【完結】オネエ騎士の執着溺愛

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12 ガレス

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 貴族の令息、令嬢は必ず学園に通わなければいけないなどと、平民の俺は知る由もなかった。
 長い者で6年、短い者で3年通うらしい。といってもほとんどの者が王都の6年制の学園に13歳から通うらしい。
 だが、ココや近隣のご令嬢たちは16歳から修道院に附属する女学園に通う者が多いとか。そして、その女学園は王都ほど遠くはないが通うほど短い距離ではない為、寮生活になるという。
 ・・・3年も、ココに会えなくなるのか。がくり、と力が抜けて跪きそうになった。──いや、今も会えてはいないのだが。コレットを通して勝手にココを近くに感じていたのだ。
 それに、確かにコレットの心配も頷ける。
 大げさでなく箱入り中の箱入りのお嬢様のココに、大勢の他人と朝も昼も夜も一緒とか、そんな事ができるのか。
 コレットの話に、嫌な汗をかいた。


 その後、俺は将軍の執務室に駆け込んだ。

 「将軍!俺を、お嬢様の護衛にしてくれ!」

 「──急になんだ」

 将軍は呆れたように、護衛二人と第1部隊隊長を体にくっつけたまま目の前まで来た俺を見やった。
 脳筋に呆れられるとは屈辱だ。

 「俺がお嬢様の護衛に付く。そして、お嬢様が安心して、いつでもどこにでも行けるようにするんだ!」

 「お前、そこまでお嬢様のことを・・・?」

 俺の両腕を後ろで拘束中の第1部隊隊長が呟いた。
 そこまでどころか、どこまでも俺の頭の中はココでいっぱいだ。

 「──もういいぞ、離してやれ」

 「「「はっ」」」

 将軍の一声で、ようやくごつごつとした筋肉の固まり達から解放された。

 「・・・直情型の脳筋は厄介だな」

 「俺をあんたと一緒にするな」

 「むむ、──以前お前にココの護衛を頼んだら断ったじゃないか」
 
 「状況が変わったんだ。お嬢様は外に出たがっている。──今度こそお嬢様に、世界は美しくて優しくて、お嬢様の味方なんだと教えてやりたい。安心させてあげたいんだ」

 「・・・そうか。わかった。ココの護衛はガレス、お前に頼もう」

 「将軍!脳筋は話が早くて助かるぜ!」

 ドカッ、足を瞬時に蹴られ、床に転がった。直ぐに立ち上がったが、めちゃくちゃ痛い。

 「言葉が過ぎるぞガレス!私の将軍に!」

 蹴ったのは第1部隊隊長のアッシュだ。

 「・・あー、私はお前だけの将軍ではないがな」

 「はっ、失礼しました。つい心の声が」

 「・・・・・そうか」

 第1部隊隊長のアッシュが将軍に入れ込んでる、という噂は本当だったようだ。俺には関係ないが。

 「だが、どうやってココに護衛を受け入れてもらうかな、私ともようやく食事を共にしてくれるようになったばかりなのだ」

 「そこは、俺に任せてくれ。一つ考えがある」

 そう、ずっと温めてきた案があるのだ。

 「それと将軍、もう一つ頼みがあるんだ」

 ココの為のもう一つの頼みを願い出た。
 その頼みとは、ココの為の部隊を作ること。護衛が一人、二人いても完璧にココを守ることはできないからだ。
 だが、これには将軍は難色を示した。

 「兵は国の為のもの。一個部隊を娘に割くことはできない」

 「国の為?軍学校も兵の運営も、一切国から金は出てないと聞いたぞ?」

 「・・・確かにそうなんだが、その分、税金をかなり免除されているんだ」

 どうも国との駆け引きがあるようだ。

 「だったら遊撃部隊を作ってくれ。助っ人部隊だ。どこかの部隊が人手を必要とした時に駆け付ける部隊だ」

 「・・・なるほど。考えてみよう」

 「ああ、そもそも真っ正直に生きているアンタのシワ寄せが娘に来てるんだ。それを忘れるな」

 ぱこん、と第1部隊隊長に後頭部を引っぱたかれた。
 将軍の苦しそうな表情に、確かに言い過ぎた、と反省した。
 だが、ココが連れ去られたあの事件が俺は忘れられないんだ。
 間一髪で助け出すことができたが、あれは奇跡だった。
 何度も繰り返し見る悪夢の中では、何度もココの泣き叫ぶ声を聞いた。
 あれを現実にしてはならない。


 その後、隊員10人の遊撃部隊が第6部隊として編成され、俺が隊長に抜擢された。ココの護衛とかけ持ちだ。
 それはつまり、遊撃部隊は主にココを守る為の部隊だ、ということだ。


 そして、護衛として任務に着くため、将軍に連れられ屋敷の3階にあるココの部屋に入った。
 この時、ココは14歳。
 初めて鍛錬場で出会ってから6年が、中庭のあの事件があってから4年が経っていた。

 ココは出会った頃より背が伸びていた(当たり前だ)。そして、小さな顔にスラリとした四肢、燃えるような紅い髪と同じ色の大きな瞳。
 ココは、まるで咲き始めの薔薇のように美しかった。
 だが真っ白な顔色で、今にも倒れそうに、がたがたと震えている。
 男に対し、恐怖を覚えてしまうのだ。俺の体型も、軍学校に入ってから筋肉ムキムキになってしまったから、なおさらだろう。
 ぐら、とココがよろけた。
 俺はすかさず前に出てココを受け止めた。
 そして、言ったのだ。

 「んもう!危ないじゃないのよう!お嬢様ったらドジっ子なのねえ!」

 オネエ言葉、ってヤツだ。
 ココも将軍も、ポカンと呆気に取られていたが、ココが先に立ち直った。
 そして、笑顔でよろしく、と言ってくれた。最高の笑顔だった。
 反して、将軍はなかなか顔が戻らなかったな。考えがあるって言っておいただろうに。
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