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姫と姫と
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シアが従業員として働く様になって、1週間が過ぎた
仕事にも慣れ、すっかり看板娘が板に付いてきた。というか既にシア目当ての客もいるくらいだ。
シアは二階に俺と住んでいるが、特にこれといった問題もなく助かっている。
ほんと、不安で怖かったのは最初だけだったな。
女性で、さらに王女と言うことで怯えたのもあるが。
彼女は非常に気遣いの出来る人だった。隙がないとも言えるが。
気がつけば着替えているため、今着替えてるな、とか気にならないし
入浴なども、きちんとこれから入ります、出ましたと言ってくれる為、かち合うことも無い。
まあラッキースケベみたいな展開が一切ないのだ
俺にとってそれは、素晴らしいと言える事だった
仕事もパーフェクト!客への対応も完璧だ
そう言えば、王宮の兵士が来たのは初日だけだった、あれは何か言ったのかな?
それでも熊に見える執事クナトのやつは一日おきに来てるが
コイツも間違いなく関係者なんだがな…
総じて順風満帆と言える
んじゃあ、今日もいつも通り店を開けますか。
「シアー、店を開ける様にしてくれー」
店内を準備していたシアに言った。
「はい!」
シアはカンザキの言葉を聞くなり動き出す。
表に出て、のれんをかけて、軽く店の前を掃除する。
その間カンザキは厨房にて仕込みの続きをするのだ
その日、ついに2人は出会ってしまった
出会ってはいけない2人…ではないのだが
シアが表を掃除していると、自分とよく似たブロンドの髪の女性が話かけてきた
話には聞いていた、隣の店のキャサリンだろうかとシアは思う
「あれ?アンタこんな所で何してんの?」
いきなりアンタ呼ばわりとは不躾である。もしも衛兵が見て居たら連れて行っておしかりがあったかもしれない
でもシアはそんな事で怒ったりなどしないのだが…
「はい、こちらの店で働かせて頂いております」
と言って、彼女の顔を見たとたんにシアは驚く
「ル、ルシータお姉さま?」
シアの顔色が変わった。シアには妹のレオノールの他に、実は一人、姉が居る
彼女の名前はルシータ・ウル・グイン
シアよりも5つ年上で、とても強く美しかった
シアは彼女にたいへん良く懐いていたのだが、数年前、シアが18になった時彼女は冒険者になると言って出ていってしまった
追いかけて行きたかった。だが、姉から飛竜部隊を引き継いだばかりだったシアは、追いかけることは出来なかったのだ。
その彼女、姉と今、数年ぶりに再開したのだった
「お、お姉さまぁ」
シアは一瞬にして感極まり、思わず抱きついていた
瞳から大粒の涙を流しながら
ギュッと、数年ぶりの感触を噛み締める
「お姉さま、お姉さま、一体今までどこにいたのですか!いえ、ご無事で何よりです!お姉さまぁー」
嬉しさのあまり、人目もはばからず泣いて叫んだ
「ちょ、ちょっとやーめーてー!みんな見てる、見てるから!」
キャサリンは慌てて泣き叫んでいるシアを引き離す
「良かった、良かった、お姉さま」
泣きやみそうにないシアに、キャサリンは
「と、とりあえず中に入るわよ!」
と、言って自分の店にシアを連れ帰ったのだった
キャサリンの店は酒場だ
疲れきった冒険者達を称え、癒す。そんな店
店内は20席程のテーブルと椅子がある
シアを店内の椅子に座らせると、キャサリンが言って、キトラに水とタオルを取りに行かせた。
「で、アレクシア、アンタ何でこんな所にいるのよ」
と、キトラが持ってきた水を飲みながら、ぐすぐすと泣く妹に言った
「はい、私、カンザキ様の店で住み込みで働かせて頂いております」
涙を拭いながら言った
その瞬間、キャサリンは
ぶーーっ
思い切り水を吐いた
「お、お姉さま大丈夫ですか!?」
不安そうにシアは姉を気遣う
一体何事かと
「す、住み込み・・・」
キャサリンは思った。カンザキの店の二階には、ひと部屋しかなかったはずだ。
とりあえずはまず落ち着こうと、水を飲み直す。
「はい、私、カンザキ様をお慕い申しておりまして」
照れくさそうに、言った。
シアは言ってしまった。
ぶーーーーーーーーーーっ
キャサリンは再び水を吐いた。吐いた水はシアに降りかかる。そして、
「へぇ・・・・」
にへらっと笑い。立ち上がる
後ろでキトラがガタガタと震えだした!
「アレクシアぁ、アンタ、カンザキが何だって?」
低い声で、言った
「はい、カンザキさまが好きです。ですから、住み込みで働かせて頂いております!」
シアは力強く、強く言った。シアも立ち上がる
キャサリンの後ろでキトラが震えて耳をパタリと倒している!!
「シアさあ、人の男盗ろうっての?」
キャサリンが手に持ったコップをパーンと粉みじんに砕いた。
砕いた!?キトラはビクっとし、物陰に隠れる
「人の男?カンザキ様に恋人はいないと、調べはついておりますが?」
すっと無表情になってシアは長く綺麗なブロンドの髪をかきあげながら言った
「ふん、クナトの奴か。アイツの調査もいい加減だね!」
キャサリンがそう言うとシアは、
テーブルの上にあるコップを持ち、姉に向かって水をかけた。
かけた!?
ついにキトラは逃げ出した!
「まさかお姉さまもカンザキさまをお慕いしてらっしゃるとは。」
「悪いの?」
「いいえ、カンザキさまは素敵ですもの、仕方ありません。でも、お姉さまには他に素晴らしい方がいらっしゃるのではありませんか?」
「あとから出てきてずうずうしいね、実の妹でもカンザキはやれない、あれはアタシんだ。」
キャサリンはうつむき震えた声で言った、そしてぽたり、ぽたりと涙を流した。
本気の想いにシアの熱は下がるが…
一瞬、静寂が流れる
お姉さま・・・私は・・・・
そうシアは言いかけて、やめてキャサリンから目をそらす。
「まあ、私はカンザキさまと同室で、住み込みで常にご一緒しておりますから、どちらが有利かは言うまでもありませんね。」
投げ捨てる様にそう言って、店から出て行った。
ざわり
キャサリンから殺気が放たれる
「クナトぉ!いるんだろ?出てきな!」
キャサリンが叫んだ。
シュン!
一瞬でクナトが出てくる、
熊みたいなのに俊敏だ、だが、
ズシンッ
キャサリンのボディブローがクナトを捉えた!
ガァンと音を立て、クナトは店の壁をぶち破り、向かいの店まで吹っ飛んだ!
「シア、あんた男見る目あるよ」
パラパラと崩れる壁を見ながらキャサリンは呟く。
そして零れた涙を拭いた。
その強く握りしめた拳を振りかざし
「負けは、しない。」
決意を拳に込めたのだった。
拳に!?
仕事にも慣れ、すっかり看板娘が板に付いてきた。というか既にシア目当ての客もいるくらいだ。
シアは二階に俺と住んでいるが、特にこれといった問題もなく助かっている。
ほんと、不安で怖かったのは最初だけだったな。
女性で、さらに王女と言うことで怯えたのもあるが。
彼女は非常に気遣いの出来る人だった。隙がないとも言えるが。
気がつけば着替えているため、今着替えてるな、とか気にならないし
入浴なども、きちんとこれから入ります、出ましたと言ってくれる為、かち合うことも無い。
まあラッキースケベみたいな展開が一切ないのだ
俺にとってそれは、素晴らしいと言える事だった
仕事もパーフェクト!客への対応も完璧だ
そう言えば、王宮の兵士が来たのは初日だけだった、あれは何か言ったのかな?
それでも熊に見える執事クナトのやつは一日おきに来てるが
コイツも間違いなく関係者なんだがな…
総じて順風満帆と言える
んじゃあ、今日もいつも通り店を開けますか。
「シアー、店を開ける様にしてくれー」
店内を準備していたシアに言った。
「はい!」
シアはカンザキの言葉を聞くなり動き出す。
表に出て、のれんをかけて、軽く店の前を掃除する。
その間カンザキは厨房にて仕込みの続きをするのだ
その日、ついに2人は出会ってしまった
出会ってはいけない2人…ではないのだが
シアが表を掃除していると、自分とよく似たブロンドの髪の女性が話かけてきた
話には聞いていた、隣の店のキャサリンだろうかとシアは思う
「あれ?アンタこんな所で何してんの?」
いきなりアンタ呼ばわりとは不躾である。もしも衛兵が見て居たら連れて行っておしかりがあったかもしれない
でもシアはそんな事で怒ったりなどしないのだが…
「はい、こちらの店で働かせて頂いております」
と言って、彼女の顔を見たとたんにシアは驚く
「ル、ルシータお姉さま?」
シアの顔色が変わった。シアには妹のレオノールの他に、実は一人、姉が居る
彼女の名前はルシータ・ウル・グイン
シアよりも5つ年上で、とても強く美しかった
シアは彼女にたいへん良く懐いていたのだが、数年前、シアが18になった時彼女は冒険者になると言って出ていってしまった
追いかけて行きたかった。だが、姉から飛竜部隊を引き継いだばかりだったシアは、追いかけることは出来なかったのだ。
その彼女、姉と今、数年ぶりに再開したのだった
「お、お姉さまぁ」
シアは一瞬にして感極まり、思わず抱きついていた
瞳から大粒の涙を流しながら
ギュッと、数年ぶりの感触を噛み締める
「お姉さま、お姉さま、一体今までどこにいたのですか!いえ、ご無事で何よりです!お姉さまぁー」
嬉しさのあまり、人目もはばからず泣いて叫んだ
「ちょ、ちょっとやーめーてー!みんな見てる、見てるから!」
キャサリンは慌てて泣き叫んでいるシアを引き離す
「良かった、良かった、お姉さま」
泣きやみそうにないシアに、キャサリンは
「と、とりあえず中に入るわよ!」
と、言って自分の店にシアを連れ帰ったのだった
キャサリンの店は酒場だ
疲れきった冒険者達を称え、癒す。そんな店
店内は20席程のテーブルと椅子がある
シアを店内の椅子に座らせると、キャサリンが言って、キトラに水とタオルを取りに行かせた。
「で、アレクシア、アンタ何でこんな所にいるのよ」
と、キトラが持ってきた水を飲みながら、ぐすぐすと泣く妹に言った
「はい、私、カンザキ様の店で住み込みで働かせて頂いております」
涙を拭いながら言った
その瞬間、キャサリンは
ぶーーっ
思い切り水を吐いた
「お、お姉さま大丈夫ですか!?」
不安そうにシアは姉を気遣う
一体何事かと
「す、住み込み・・・」
キャサリンは思った。カンザキの店の二階には、ひと部屋しかなかったはずだ。
とりあえずはまず落ち着こうと、水を飲み直す。
「はい、私、カンザキ様をお慕い申しておりまして」
照れくさそうに、言った。
シアは言ってしまった。
ぶーーーーーーーーーーっ
キャサリンは再び水を吐いた。吐いた水はシアに降りかかる。そして、
「へぇ・・・・」
にへらっと笑い。立ち上がる
後ろでキトラがガタガタと震えだした!
「アレクシアぁ、アンタ、カンザキが何だって?」
低い声で、言った
「はい、カンザキさまが好きです。ですから、住み込みで働かせて頂いております!」
シアは力強く、強く言った。シアも立ち上がる
キャサリンの後ろでキトラが震えて耳をパタリと倒している!!
「シアさあ、人の男盗ろうっての?」
キャサリンが手に持ったコップをパーンと粉みじんに砕いた。
砕いた!?キトラはビクっとし、物陰に隠れる
「人の男?カンザキ様に恋人はいないと、調べはついておりますが?」
すっと無表情になってシアは長く綺麗なブロンドの髪をかきあげながら言った
「ふん、クナトの奴か。アイツの調査もいい加減だね!」
キャサリンがそう言うとシアは、
テーブルの上にあるコップを持ち、姉に向かって水をかけた。
かけた!?
ついにキトラは逃げ出した!
「まさかお姉さまもカンザキさまをお慕いしてらっしゃるとは。」
「悪いの?」
「いいえ、カンザキさまは素敵ですもの、仕方ありません。でも、お姉さまには他に素晴らしい方がいらっしゃるのではありませんか?」
「あとから出てきてずうずうしいね、実の妹でもカンザキはやれない、あれはアタシんだ。」
キャサリンはうつむき震えた声で言った、そしてぽたり、ぽたりと涙を流した。
本気の想いにシアの熱は下がるが…
一瞬、静寂が流れる
お姉さま・・・私は・・・・
そうシアは言いかけて、やめてキャサリンから目をそらす。
「まあ、私はカンザキさまと同室で、住み込みで常にご一緒しておりますから、どちらが有利かは言うまでもありませんね。」
投げ捨てる様にそう言って、店から出て行った。
ざわり
キャサリンから殺気が放たれる
「クナトぉ!いるんだろ?出てきな!」
キャサリンが叫んだ。
シュン!
一瞬でクナトが出てくる、
熊みたいなのに俊敏だ、だが、
ズシンッ
キャサリンのボディブローがクナトを捉えた!
ガァンと音を立て、クナトは店の壁をぶち破り、向かいの店まで吹っ飛んだ!
「シア、あんた男見る目あるよ」
パラパラと崩れる壁を見ながらキャサリンは呟く。
そして零れた涙を拭いた。
その強く握りしめた拳を振りかざし
「負けは、しない。」
決意を拳に込めたのだった。
拳に!?
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