おっさんは異世界で焼肉屋する?ー焼肉GOD

ちょせ

文字の大きさ
41 / 171

ゆったり始まるプロローグ

しおりを挟む
カンザキは今ダンジョンに潜っていた

久々に一人である

階層で言えば300層

鼻歌交じりに目をつぶっていてもカンザキが危険に晒されることはない

深夜に出かけ夜が明ける前に到着している

ここに来るまでおよそ1時間程度、その程度の時間で色々な所にいけるダンジョンと言うものをカンザキは気に入っていた

山岳地帯で構成されているこのエリア

ゆっくりと昇る朝日に照らされて山々が光と影のラインを作り出している

その光に照らされて雲海がきらきらと輝いている

そしてカンザキの足元の雲海にまで光が届きそうになってカンザキは背中にしょった虫取り網を手にとって

光が届いた瞬間にそっと雲海を掬い取る

するとその中にはちいさく透明な魚が捕らえられている

「しらす・・だな・・・?」

カンザキはそうつぶやくとにやりと笑う
それをバケツに移すと、魔法の袋からおひつと茶碗、小皿を取り出しておひつをあける

白いご飯から湯気がふわりと立ち上る
カンザキは茶碗にご飯を盛ると、そのしらすを小皿に移して醤油をちょろっとかけてから

ぱくり

もぐもぐごくん

「うん、うまいな!」

そして白いご飯としらすの相性は最高で、どんどん食べていく
そして5杯ほど食べてからー

お茶をご飯にかけて仕上げのお茶漬け

「ごちそうさまでした」

そういって両手を前にあわせて言った

ふう、幸せだな~

そう思う

ここに来るまでどれだけ長い旅・・冒険をしたのかはもう覚えていない
この世界に来てからは10年とちょっとだ。もう使命とか運命とかに縛られる必要もない
今は全力でスローライフを楽しむのがカンザキのスタイルだ

「だからって怠けすぎじゃと思うんじゃがのー」

「うわっ!?」

「なんじゃ?」

「いつから居たんだよ、むーたん」

「ふむ。そうじゃな、おぬしが魚を掬った所からかのー」

「ほぼ最初からか!しかも見てたのか!」

「美味そうに食べておったからな、さて、わしにも少しくれろ」

そういってむーたんはちゃわんにご飯をよそう。しらこに醤油をかけてー

「いただきます」

そういって食べ始めた。

「おお!うまいのこれはー」

うんうん
美味いよねー。そういえば・・

「気になってたんだけど、むーたんはなんでそんな言葉使いなんだ?」

「嫌かの?」

「嫌っていうか、なんでかなぁと」

「そうじゃのー、こういうしゃべり方の方が貫禄がでるんじゃないかとおもっての」

「貫禄とかそういう問題だったわけ!?」

「そうじゃな」

もぐもぐ

「じゃぁ普通に話せるのか?」

「うん、喋れるよ!カンザキさん♪」

ぶはっ

「あやうく吐きそうになっちまった・・」

「どうしちゃったのかなーやっぱり前の方がいいかな?」

「違和感しかない!」

「まぁ、言葉なんぞ伝わればいいんじゃないかの」

「あ、落ち着く」

そして全部食べ終わってから

「ごちそうさまでした」

むーたんはそう言った

「さて、そんじゃ帰るか」
「んむ。帰ろう」

帰り道ー山を駆ける様に下る
むーたんは浮いたまま飛んでついてくる

「カンザキよ」

「なんだ?」

「楽しいの。この世界は」

「そうだな、楽しいな」

「おぬしがそう望んだからここはーこうなのか?」

「いいや、違うぞ?ダンジョンでは人は命を落とすし、国同士は戦争もしている。俺はまだなんも関与しちゃいない」

「そうか、すまなかったな」

「わかってるよ、でも俺はまだ焼肉屋をやっていたいんだ」

「それは、同意見じゃの!じゃが、わしを契約するような事態になっておることを考えるとなかなかもう、それはもう、めんどくさい事になっていくんじゃないかのう?」

カンザキはビクっとして
両手で耳をふさいで

「それは言わないでくれーーーー」

そう叫びながら帰っていくのだった




-----------




街に戻るとすっかり朝になっている

朝早くからダンジョンに潜る者も居れば、帰っていく者もいる
見知った顔もあれば知らない顔もある

カンザキとむーたんはそれを眺めながら家路に向かう

「さて、ゆっくりできたし今日もがんばるか!」

「そういえば、もうすぐ祭とかじゃの?準備はできとるんか?」

「おうよ、準備万端だ。だけど祭ってもあれだろ、5年に一度とかそういうことらしいけど」

「ふむ、そんなに頻繁にあるのか」

「いや、そりゃむーたんにとってはだけど俺らにとっては凄いまれだぞ?生きてる間に何回あるのかってレベルで」

「そうなのか」

「そうなんだよ」


そんな他愛の無い話をしながら店にもどる

するとシアが洗濯をしていた

「シアご苦労さん」

「おかえりなさいカンザキさま」

「そろそろその、さまってのもやめてくれないか?」

シアは洗濯物の水を切りながらー

「嫌です」

そう言った

「頑固だな・・・」

「姉譲りですよ」

「そこは母親譲りとかになるんじゃないのか?」

「母は良く知りませんから。でも姉が居てくれたので寂しく思った事はありませんよ。乳母もいますしね」

「そうか、悪いこと聞いちゃったな」

頭をポリポリと掻きながらカンザキは言った
そういえばまだ俺はシアのこと余り知らないなとそう思う

シアは洗濯物を洗い終わると、裏庭に干していく
ここにシアが住み込みを始めてからはずっとやっている仕事だ
本来はカンザキはそこまでやってもらう気は無かったのだが、シアが自主的にいろいろとしてくれている
申し訳ないとおもっているのだが、シアが辞めてくれないので最近はもう諦めている


こんな風にしてカンザキの1日は始まっていく



さて、仕込みを始めるか




そして店を開店して、その日初めての客が訪れる




「おー!焼肉屋じゃん!」


その女性はジーパンにパーカーを着ていたのだった
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安
ファンタジー
ごく普通のフリーター・岩倉運命は謎の少年に刺され、命を落としてしまう。そんな岩倉運命だったが、サダメ・レールステンとして転生を果たす…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界異話 天使降臨

yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。 落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。 それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。

処理中です...