78 / 171
飲食店の戦い
しおりを挟む
ウルグイン唯一の焼肉屋
いわゆるジャパニーズバーベキュースタイルの店はカンザキの店だけだ
炭にこだわり、鉄板にこだわる
そしてもちろん、肉やタレにもこだわった
その結果、唯一の店はそれなりの知名度を得るのだがそもそも提供している肉がモンスターの肉だ
色物扱いされても仕方が無いのだが冒険者達にとってはそれはある程度当たり前の事だったので、主に冒険者には好評なのである
ではそれ以外の人は何の肉を食べているのか?
それはウーヴァという種族の、牛とも豚ともいえないが、繁殖力は強くそしてまぁまぁ美味しい
そんな家畜を飼っていたのである
そしてその家畜を、牧場で育てて仕入れる
実はそのスタイルができたのはかなり最近のことだった
それまではなんと「肉屋」自体がウルグインには存在しなかったのだ
一代にして家畜を育て卸す、さらにはそれで飲食店も経営する天才経営者が一人居たからだ
その男は実は異世界からこのウルグインにやってきていた
そう、カンザキと同じ日本人だった
名前はショーヘイ
およそ5年前にこのウルグインにやってきた
当然この世界にない知識を持ってやってきている
ダイダロスのミタニもそうだ
科学知識をもち、魔法があるこの世界で「成り上がり」を狙うには十分の知識だった
だけれども、彼がこの世界に来たのは転生でも召喚でもない
迷い込んだ、というのが正しいだろう
おそらく日本では、神隠しと言われるそれだ
彼はこの世界に迷い込んだとき、大きな傷を負ってしまう
ウルグインの郊外に住む老夫婦の庭先で助けられた
その夫婦には息子は居なかったので、ショーヘイは治療と共にそこで息子代わりとして恩返しをすることを決意する
傷が完治したのは、単なる傷薬ではなく冒険者などが使用している高額な回復薬であったと知ってショーヘイは冒険者になろうと思った
そりゃあ、異世界に魔法、ダンジョン、モンスターがそろっている
普通の日本人なら冒険者になろうとするだろう
そしてそれは彼も同じだっただけのことだ。だが実際問題それだけの能力が彼にあれば・・・なのだが
彼はまた、大けがをしてしまう。半年でダンジョン25層までが限界だった
わずかに使えた魔法、そして覚えた剣技
それは普通の日本人と比べればかなり強い部類には入る
だがダンジョンは彼の想像を超えていただけのこと
傷つき、そして彼は老夫婦の元へ帰る
心と体を癒しつつ、自分に与えられた天命はーこの世界でなすべきことはこれではないと思った
まぁその考え方が出る時点である意味、異世界に浮かれ続けていたことの証明であろう
幼いころから特になにも思わず、平凡に生きてきた
何をするにも平均、それが彼だ
だが、冒険者を辞めて一転農業を始めると徐々に才能の芽が開く
幸い、彼にはわずかだが魔法が使えた。モンスターを倒せなくとも、畑を耕したり害虫を駆除したりなど
そういった方面でなにか使えないかと考え、そして実現させる
ある種この世界でいえば彼は魔法の天才だった
そしてわずか1年で大規模農業を成し遂げる
従業員も雇った。その大半は挫折した冒険者達だった。彼の農業には若干の魔法が使えることが最低条件だったからだ
そしてそれはとどまることを知らなかった
ショーヘイは異世界に来てわずか二年と半年
大規模農業に続き大規模畜産の経営者となる
恩ある老夫婦は建てられた大豪邸、メイドのいる生活に落ち着かない様だったがショーヘイはそれを見てなんだか嬉しくなった
「人の役に立てているんだ」
そうだ、野菜や肉、牛乳などは供給できるんだ。もしかして飲食店もできるんじゃないか?
そう思ったわずか半年後、「ショウ屋」という郷土料理の店を出した
これは懐かしい日本の料理だ。作れる料理はなんでも作った
それが人気を博して、ウルグインに10店舗を超えるチェーン店を展開するに至った
しかし例え異世界といえど善良な人間ばかりではない
冒険者ギルドは再就職先としてショウヘイの農場や飲食店はありがたかった
だがー
おもしろくないのは商人ギルドだった
新参者の台頭など、面白いはずはない
あの手この手を使って妨害にかかる、当然刺客も送られるし農場も荒らされた
最終的に、「ショウ屋」の権利をよこせと言ってきたときにショウヘイはキレた
今まで特に使い道のなかったお金
それを使う
だが、それは現代社会における情報戦略・情報戦争に近いものになる
結果、ショウヘイはそのまま商人ギルドのギルド長になるのだった
「ショウヘイさん、そろそろ結婚とかしないんですか?」
キラキラとした目をした少女のナートはショウヘイにそう聞いた
それは自身もショウヘイと結婚したいんですけどというアピールに他ならない
だがラノベ主人公らしく彼はそんなことにはまったく気づかない
「あーそんなのいいよ、仕事が今面白いんだよ」
ひらひらと手を振りながらそういうが、心の中では自分のことを好きな女性なんているはずがないと思っているし、まさか目の前の少女がそんな事を思っているなど想像もしていない
「そうよ、ショウヘイさんは仕事が忙しいんだから」
「ソシア!、あんた仕事はどうしたのよ!!」
ナートのライバル登場である
無論、ソシアもショウヘイの事を好いているし、ナートもショウヘイを狙っていると知っている
そもそも僅か数年で一大農業革命を起こし、さらにはギルド長まで上り詰めたのだ、モテないはずはない
おそらくは二人の知らないライバルがまだまだいるはずだ
その点、この二人は比較的ショウヘイに近いところにいるので有利だということも自覚している
「もう今日の書類整理は終わったわ、ショウヘイさんこれ確認お願いしますね」
大きな胸を誇張するような服を着て、悩まし気な目でショウヘイを見る
ショウヘイが顔を赤くして、「あ、ああ」といって目を胸元からそらすのを見てソシアはうふふと笑う
とてもナートと同い年には見えないソシアはまるで勝ったといわんばかりにナートに胸を突き出して言った
「そろそろ、お昼にしませんか?新しい飲食店ができたそうなので視察を兼ねてそちらにでも」
「な!わ、わたしもいくわ!」
ナートが取り残されまいと必死に訴える
パターンでいけば、色気に弱い主人公と言うのは定番だが、選ぶのはなぜかスタイルの劣る方・・と決まっているのでこの二人の勝負は「普通」に考えればナートの勝ちなのだが・・
「ああ、行こうか。噂は聞いているよ・・なんでも焼肉屋だそうだね」
そう言ってショウヘイは立ち上がり、ナートとソシアを連れて出かける
焼肉ゴッドー、カンザキの店へと
いわゆるジャパニーズバーベキュースタイルの店はカンザキの店だけだ
炭にこだわり、鉄板にこだわる
そしてもちろん、肉やタレにもこだわった
その結果、唯一の店はそれなりの知名度を得るのだがそもそも提供している肉がモンスターの肉だ
色物扱いされても仕方が無いのだが冒険者達にとってはそれはある程度当たり前の事だったので、主に冒険者には好評なのである
ではそれ以外の人は何の肉を食べているのか?
それはウーヴァという種族の、牛とも豚ともいえないが、繁殖力は強くそしてまぁまぁ美味しい
そんな家畜を飼っていたのである
そしてその家畜を、牧場で育てて仕入れる
実はそのスタイルができたのはかなり最近のことだった
それまではなんと「肉屋」自体がウルグインには存在しなかったのだ
一代にして家畜を育て卸す、さらにはそれで飲食店も経営する天才経営者が一人居たからだ
その男は実は異世界からこのウルグインにやってきていた
そう、カンザキと同じ日本人だった
名前はショーヘイ
およそ5年前にこのウルグインにやってきた
当然この世界にない知識を持ってやってきている
ダイダロスのミタニもそうだ
科学知識をもち、魔法があるこの世界で「成り上がり」を狙うには十分の知識だった
だけれども、彼がこの世界に来たのは転生でも召喚でもない
迷い込んだ、というのが正しいだろう
おそらく日本では、神隠しと言われるそれだ
彼はこの世界に迷い込んだとき、大きな傷を負ってしまう
ウルグインの郊外に住む老夫婦の庭先で助けられた
その夫婦には息子は居なかったので、ショーヘイは治療と共にそこで息子代わりとして恩返しをすることを決意する
傷が完治したのは、単なる傷薬ではなく冒険者などが使用している高額な回復薬であったと知ってショーヘイは冒険者になろうと思った
そりゃあ、異世界に魔法、ダンジョン、モンスターがそろっている
普通の日本人なら冒険者になろうとするだろう
そしてそれは彼も同じだっただけのことだ。だが実際問題それだけの能力が彼にあれば・・・なのだが
彼はまた、大けがをしてしまう。半年でダンジョン25層までが限界だった
わずかに使えた魔法、そして覚えた剣技
それは普通の日本人と比べればかなり強い部類には入る
だがダンジョンは彼の想像を超えていただけのこと
傷つき、そして彼は老夫婦の元へ帰る
心と体を癒しつつ、自分に与えられた天命はーこの世界でなすべきことはこれではないと思った
まぁその考え方が出る時点である意味、異世界に浮かれ続けていたことの証明であろう
幼いころから特になにも思わず、平凡に生きてきた
何をするにも平均、それが彼だ
だが、冒険者を辞めて一転農業を始めると徐々に才能の芽が開く
幸い、彼にはわずかだが魔法が使えた。モンスターを倒せなくとも、畑を耕したり害虫を駆除したりなど
そういった方面でなにか使えないかと考え、そして実現させる
ある種この世界でいえば彼は魔法の天才だった
そしてわずか1年で大規模農業を成し遂げる
従業員も雇った。その大半は挫折した冒険者達だった。彼の農業には若干の魔法が使えることが最低条件だったからだ
そしてそれはとどまることを知らなかった
ショーヘイは異世界に来てわずか二年と半年
大規模農業に続き大規模畜産の経営者となる
恩ある老夫婦は建てられた大豪邸、メイドのいる生活に落ち着かない様だったがショーヘイはそれを見てなんだか嬉しくなった
「人の役に立てているんだ」
そうだ、野菜や肉、牛乳などは供給できるんだ。もしかして飲食店もできるんじゃないか?
そう思ったわずか半年後、「ショウ屋」という郷土料理の店を出した
これは懐かしい日本の料理だ。作れる料理はなんでも作った
それが人気を博して、ウルグインに10店舗を超えるチェーン店を展開するに至った
しかし例え異世界といえど善良な人間ばかりではない
冒険者ギルドは再就職先としてショウヘイの農場や飲食店はありがたかった
だがー
おもしろくないのは商人ギルドだった
新参者の台頭など、面白いはずはない
あの手この手を使って妨害にかかる、当然刺客も送られるし農場も荒らされた
最終的に、「ショウ屋」の権利をよこせと言ってきたときにショウヘイはキレた
今まで特に使い道のなかったお金
それを使う
だが、それは現代社会における情報戦略・情報戦争に近いものになる
結果、ショウヘイはそのまま商人ギルドのギルド長になるのだった
「ショウヘイさん、そろそろ結婚とかしないんですか?」
キラキラとした目をした少女のナートはショウヘイにそう聞いた
それは自身もショウヘイと結婚したいんですけどというアピールに他ならない
だがラノベ主人公らしく彼はそんなことにはまったく気づかない
「あーそんなのいいよ、仕事が今面白いんだよ」
ひらひらと手を振りながらそういうが、心の中では自分のことを好きな女性なんているはずがないと思っているし、まさか目の前の少女がそんな事を思っているなど想像もしていない
「そうよ、ショウヘイさんは仕事が忙しいんだから」
「ソシア!、あんた仕事はどうしたのよ!!」
ナートのライバル登場である
無論、ソシアもショウヘイの事を好いているし、ナートもショウヘイを狙っていると知っている
そもそも僅か数年で一大農業革命を起こし、さらにはギルド長まで上り詰めたのだ、モテないはずはない
おそらくは二人の知らないライバルがまだまだいるはずだ
その点、この二人は比較的ショウヘイに近いところにいるので有利だということも自覚している
「もう今日の書類整理は終わったわ、ショウヘイさんこれ確認お願いしますね」
大きな胸を誇張するような服を着て、悩まし気な目でショウヘイを見る
ショウヘイが顔を赤くして、「あ、ああ」といって目を胸元からそらすのを見てソシアはうふふと笑う
とてもナートと同い年には見えないソシアはまるで勝ったといわんばかりにナートに胸を突き出して言った
「そろそろ、お昼にしませんか?新しい飲食店ができたそうなので視察を兼ねてそちらにでも」
「な!わ、わたしもいくわ!」
ナートが取り残されまいと必死に訴える
パターンでいけば、色気に弱い主人公と言うのは定番だが、選ぶのはなぜかスタイルの劣る方・・と決まっているのでこの二人の勝負は「普通」に考えればナートの勝ちなのだが・・
「ああ、行こうか。噂は聞いているよ・・なんでも焼肉屋だそうだね」
そう言ってショウヘイは立ち上がり、ナートとソシアを連れて出かける
焼肉ゴッドー、カンザキの店へと
0
あなたにおすすめの小説
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界異話 天使降臨
yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。
落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。
それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる