男装魔法師団団長は第三王子に脅され「惚れ薬」を作らされる 両思い編

コーヒーブレイク

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フェリシアって男装するのに抵抗なかったの? (完)

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「フェリシアってさ、男装するのに抵抗なかったの?」

 魔法師団団長室で、ミランがそんなことを聞いた。予定のパフォーマンスが終わり、今は休憩時間だ。このあと団員たちは抽選で選ばれたファンとお茶する予定である。

「どうしたんですか、いきなり」

 髪や服装を整えながら、フェリシアは青い目を丸くした。

「ふと思ったんだよ。貴族女性が男のフリをするのって、結構大変じゃないかなと思って」

 ミランはマネージャーとして、この後の予定を確認しながら言った。

「実は私、男装するの初めてじゃないんですよ」

「え? そうなの?」

「まだ貴族学校に通っていたころ、男装してカフェで働いていたことがありまして」

「な、なんで!?」

「バイトの募集が男性だけだったんです。オーナーも男装してみたら? そのほうが女性の集客が見込めそうだ、って言ってくれて、それで」

「それで!? 男装したの?」

「はい。ご存じの通り、うちは貧乏で、そこのカフェ、給料がよかったんですよ。だから男装することにしました。あまり喋らなくていいと言われたので、お客には最後までバレませんでした」

「クラスメイトとかにもバレなかったのか?」

「学校からは離れた所でしたから……学校近くの『メイドカフェ』にも応募したんですけど、面接の段階でやんわり断られてしまって」

「だろうね……いや、失礼」

「いいえ。適材適所というやつです。今こうしてフェリクス・ブライトナーとしてやっていけているのも、男装カフェバイトのおかげです。自分で言うのもなんですけど、女性にきゃーきゃー言われるのも慣れてます」

 それ本当に自分で言う? 君も結構変わってるね……ミランはそう思ったが、口には出さなかった。
 めずらしく、愛しい恋人が自信満々な顔だったからだ。
 男装してそういう自信に満ちた顔をすると、いっそう様になる。

 男装の才能がフェリシアにはあったってことなのか……?

「殿下、奇妙なものを見る目で見ないで下さい」

 唐突にフェリシアが言った。
 その声は、ほんの少しだけ恥じらいを含んでいるようだった。
 自分で言ってて恥ずかしくなったらしい。

「そろそろ時間です。レディーたちを待たせるわけにはいきません。参りましょうミラン殿下」

 それもほんの一瞬で、フェリシアはすぐにフェリクスの顔に戻ってミランを促す。
 フェリクスとフェリシアをすぐに切り替え、使い分ける器用さに、ミランはいつも驚かされていた。

 君もレディーなんだけどね……。

 今は王子ではなくマネージャーという立場のミランは、スタイリッシュ手帳を閉じ、たじたじと言った風に微笑むのだった。



フェリシアって男装するのに抵抗なかったの?  終わり
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