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2332~2334年 月
最初のマスター
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はじめはこれが普通だと思っていた。
これが、僕の役目であると。ロボットである、僕の仕事であると。
月にあるロボット工場で製造された僕は、工場で働く男性に「しっかりがんばれよ」と頭を撫でられてから出荷された。
大型ロボット店に陳列され、最新型だった僕はすぐに売れた。月の中でも裕福な夫婦に購入された。
夫婦には成人した娘が一人いて、彼女が僕のはじめてのマスターとなった。
「これからは私の言うことに絶対従うこと。逆らったら許さないから。いいね」
彼女は開口一番、そう言った。
「はい。分かりました、マスター」
僕はそう答えた。これから彼女のために役に立とうと思った。人間をサポートする、それがロボットである僕の役目だからだ。特に僕は人間の身の回りのお世話をするように特化されて造られている。彼女の日々の暮らしを支え、助けるために自分は必要とされたのだと理解していた。
「ねえ、私って、どう思う?」
彼女は自分の部屋のベッドに腰かけ、正面に立つ僕にそう聞いた。僕は聞かれたとおりに答えるため、彼女のプロフィールと、身体的特徴を述べた。もちろん嫌味にならない程度のおせじも含めて。
彼女は黙って聞いていたが、聞き終えると、
「ダメ、やり直し。もう一回」
と、足を組んで座り、にやにやしながらそう言った。
僕は頭の中で考え直し、もう一度彼女について述べた。今度は服装のセンスの良さも取り入れてみた。
「はいダメー。やり直し」
彼女は足を組みかえて、愉快そうにケタケタ笑いながらそう言った。
どうして笑っているんだろう。僕は疑問に思ったけれど、とにかく、彼女の言うとおりにした。
「ハイもう一度、やり直し」
「やり直し。やる気あんの?」
「全然ダメ。お前、ロボットの癖に頭悪いね」
彼女は僕を見ながらずっと笑っていた。僕は全部で87回やり直した。88回目を言おうとしたら、
「もういいや。疲れた」
彼女はそう言い、ベッドに寝転んでそのまま眠ってしまった。
僕は何の指示も受けなかったので、朝までそこに立っているしかなかった。
これが、僕の役目であると。ロボットである、僕の仕事であると。
月にあるロボット工場で製造された僕は、工場で働く男性に「しっかりがんばれよ」と頭を撫でられてから出荷された。
大型ロボット店に陳列され、最新型だった僕はすぐに売れた。月の中でも裕福な夫婦に購入された。
夫婦には成人した娘が一人いて、彼女が僕のはじめてのマスターとなった。
「これからは私の言うことに絶対従うこと。逆らったら許さないから。いいね」
彼女は開口一番、そう言った。
「はい。分かりました、マスター」
僕はそう答えた。これから彼女のために役に立とうと思った。人間をサポートする、それがロボットである僕の役目だからだ。特に僕は人間の身の回りのお世話をするように特化されて造られている。彼女の日々の暮らしを支え、助けるために自分は必要とされたのだと理解していた。
「ねえ、私って、どう思う?」
彼女は自分の部屋のベッドに腰かけ、正面に立つ僕にそう聞いた。僕は聞かれたとおりに答えるため、彼女のプロフィールと、身体的特徴を述べた。もちろん嫌味にならない程度のおせじも含めて。
彼女は黙って聞いていたが、聞き終えると、
「ダメ、やり直し。もう一回」
と、足を組んで座り、にやにやしながらそう言った。
僕は頭の中で考え直し、もう一度彼女について述べた。今度は服装のセンスの良さも取り入れてみた。
「はいダメー。やり直し」
彼女は足を組みかえて、愉快そうにケタケタ笑いながらそう言った。
どうして笑っているんだろう。僕は疑問に思ったけれど、とにかく、彼女の言うとおりにした。
「ハイもう一度、やり直し」
「やり直し。やる気あんの?」
「全然ダメ。お前、ロボットの癖に頭悪いね」
彼女は僕を見ながらずっと笑っていた。僕は全部で87回やり直した。88回目を言おうとしたら、
「もういいや。疲れた」
彼女はそう言い、ベッドに寝転んでそのまま眠ってしまった。
僕は何の指示も受けなかったので、朝までそこに立っているしかなかった。
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