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第2章 動きだした凶悪な者達

第3話 ガス王国の混乱と、王女の大誤算

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 ブラー王国の鉱山砦でカザト達が、奮戦していた頃

 ガス旧王城を拠点とするゴブリンエンペラーの軍は、不自然なほどの大軍となって王都や、各領地に出兵を始めた。
 一部隊約50~30万のゴブリン軍である。
 それが、8部隊放たれた。
 元ゲルー王国に駐屯する、ゴブリン軍には動きはなかったが、不自然に城からも出てこなかった。
 そして、その部隊は各国の国境とガス王都に、攻め込んだのである!


ガス王都

とある安宿

生徒会長・勇者
「ち!クソ!オイ!姫様の側近よ!王城に入ればいいじゃねーか!何をしているのだ!」

ポッチ(ブレーダー王女?)
「無理だったのよ!誰かさんたちが、戦わなかったせいで旧王城を開放しない限り王とは、認めないですって!」

 最近、身体に浮かんだ 契約紋の痛みに元王女は内心怯えていた。
 そこに、凶報が来る。
 冒険者ギルドの薬草集めから帰って来た奴らが、とんでもないことを言い出した!
○ガス王国王位継承争奪戦開催!
○[魔王復活の前兆における兵収集]である。

 元王女達が、真っ青になる。
 要は、強制的に戦えということだ。
 そして、一ヶ月足らずで旧王城を開放しないと、ガス国王は降王格?
 もちろん、元王女はすぐに返り咲くと思っていたけど、その計画も駄目になるのではないか?という、疑惑が生まれたのである。
 ブレーダー王女?にとってものすごい大誤算である。
 まさか祖父の先王が、ここまで怒っていたなんて。

 マズイ!!ものすごくマズイ!

ポッチ(ブレーダー王女?)
「(クソ!コイツラに戦わせて、ゴブリンエンペラーを早く討伐しないと全てが終わる!)
 さてと、遂に進退極まったわね~!
 勇者たち? そろそろ、ゴブリン達を討伐して旧ガス王城を取り返さないと、あなた達はこの宿で死ぬ事になるわよ~!
 どうするの~?」

 遂に、ポッチ(ブレーダー王女?)は大誤算の末に勝負に出た。
 切り札の一つを切ったのだ!

生徒会長・勇者
「ハァ?てめー!何を言っているんだ!
 別にいいのだぜ?
 俺たちは戦わなくても。
 困るのはお前達!さっさと帰してもらおうかなぁ~?
 ハハハハハハハハハハハ!」

ポッチ(ブレーダー王女?)
「ホホホホホホホホ!
 もう、午後なのにまだ寝ぼけているの?
 城を取り返せなかったら、魔王を討伐する以前に帰ることすらできないって、散々言っていたのに。
 [実は、少しずつ勇者達に言っていたらしい]
 ま~だ、夢の世界にいらっしゃるのね~。

 ホームシック?
 なら、ゴブリンエンペラーを討伐して、まずは城を取り返し魔王を討伐することね~。
 ついでに言うけど、私が死んでもあなた達は帰れないから。
[不正解なのだが、ブレーダーは、そう信じている。]」

生徒会長・勇者
「ハァ?!オイ!嘘だろ!ざけんなよ!クソーーーーーー!」
「てめー!俺たちを元の世界に返せ!」
「どうするんだよ!」
「オイ!風人のやつを呼んで、ゴブリンをぶっ殺させろよ!」
「どうやって、呼ぶのだ?」

担任
「オレ、寝る。お前らだけで、ゴブリンぶっ殺せ!分かったな!」
「寝てるんじゃねーぞ!このクズ担任!」

ボカ!
ボカ!
ボカ!

担任
「あう~。」

「謝れ!そして、風人にわび入れて、ゴブリン狩りを手伝ってもらえ!!」

担任
「お前たちも、同罪だろ~!」

「違うよな?」

ボカス!
ボカ!
ボカス!

担任
「あう~!はい、そうです。王女様は、同罪です。生徒会長が風人をゴミ呼ばりしたのが、始まりですからこいつらも謝らさないと。」

生徒会長・勇者
「わかった、わかったよ!」

ポッチ(ブレーダー王女?)
「わかったから、謝りますわよ!なら、この王都から出ないと!」

カーーーーーーーン!
カーーーーーーーン!
カーーーーーーーン!
カーーーーーーーン!
カーーーーーーーン!
 非常収集の鐘だ。

ギルド職員
「オイ!新人!ゴブリンの襲撃だ!冒険者ギルドに全員集合だ!
 逃げたら、[魔王復活の前兆における兵収集]の発令下だから処刑もあるぞ!早く行け!」

 しぶしぶ行く、勇者達…。

 しかし、その安宿の壁は薄かった!
 隣の部屋で、各地の領主達のスパイが全て聞いていたのである。
 それは、すぐにハト便で各領主に伝えられた。

 その頃、ガス国王と神聖皇国の国境でもゴブリン軍が近づいて来ていた。
 国境を守るのは女性勇者組を含む国境警備軍!

磯部 珠(いそべ りん)
「みんな!ギリギリまで奴らを引き付けてそれから、燃やそう!」

「「「オー!!」」」

 珠達は、ゴブリンには細見の身体にしては脂肪分が多い事に注目して、ゴブリンを解体したときに脂肪を集めていた。

 そして、今回それを地面に広範囲に撒いて、火計の陣を敷いたのである。
 戦力を無駄に出来ない中、皇主達の許可を得て考えつく策を重ねた末の布陣である。
 木を伐採出来ないので矢が作れない!
 だが、マナポーションが沢山ある。

 なぜか、ブラー王国に美味しいマナポーションが製造されるようになって、しかも、安く売ってくれる。
 そして、その製法が無償で伝えられたのだ。
 皇主からは、ただ首を縦に振られただけだがなんとなく、女性組はカザトが開発したと勘づいていた。

 なぜなら、カザトが好きな百発サイダーと言う、サイダーの味そのままだったからだ。
 女性勇者組の錬金術スキルを持つものや、薬師のスキルを持つものが中心に、大量生産を始めた。
 味の応用の仕方とか、かなり丁寧に書いてあったのですぐに作れたみたいだ。

 だが、彼女達は表情が曇っていた。
「これ、神聖皇国語よね?」
「こっちは、ガス王国語」
「これは、ブラー王国語らしいよ!」
 彼女達は「言語理解」スキルがあるから、わかるのだがわかるだけで、その言葉を書くときは日本で書く感じで自動的に変換された文字を書く状態になるスキルだが、ワープロみたいな綺麗すぎる印刷文字になるために、スキルで変換されたとまるわかりなのである。
 しかし、カザトが書いたマナポーションの作り方は、手書きで、しかもクセがあった。
 そして、カザトが、時々日本語で書いて消した跡とか、挿絵に日本語が使われており間違いなく、カザトが最低3つの言語を習得したと判断出来る。

 彼女達の、半数は血の気が引いた。彼女達は、とある事でカザトの事をイジメるように親から命令されていたからだ。
「ゴミ!」「クズ!」
「クソ!」「マヌケ!」

 それさえ言えば、地域で生き残れる。
 親が大不況状態で、人よりも物凄く輝く才能なんて無い凡人なのに、地元の会社を首にならず身代わりの優秀な後輩達の未来を潰しても、会社に残れる。
 パート先でも、決して首にならない。
 理由は、かなり昔のある事件の濡れ衣を、風人の家に百年以上着せているからだが。
 しかし、この異世界ではその地域の庇護が無い。
 そして、こんな形でカザトが力をつけていっているのがわかってしまった。

「やばくない?」
「やばいよね?」
「どうするのよ?」
「とりあえず、生き抜くしかないけど」
「絶対、いずれ私達の前に出てくるわよ。」

「殺される?」
「け!警察!」
「バカ!しっかりしな!この異世界に警察はないよの!」
「ゴブリンぶっ殺しで、風人は既に王家に入り込んだ。皇主も、敵対しないと決めた。」
「あんたは、おそらく駄目ね!」
「ハァ?なんでよ?」
「生徒会長と付き合っているじゃない!」
「そういう、あんたも生徒会長と寝たとか言ってたじゃない!」
「アレは、嘘よ!」
「無理よ…。真贋の判別する魔導具があるから、すぐバレる。」
「で?誰が男性経験無いの?」
「珠は、無いわね。あいつ風人を守る側だから…。」
「どうするのよ!」
「手柄立てるしかないよね?」
「手柄?」
「王女のクビ!」
「生徒会長達のクビ!」
「担任のクビ!」

磯部 珠(いそべ りん)
「その程度じゃ、無理よ!」

「「「「?!」」」」

磯部 、珠
「で、さっきから聞いてたけどみんな覚悟はあるの?
 彼女候補なのでしょ?」

「あ、あるわよ」

磯部 珠
「決まりね。生き抜いて、みんなで元の世界に帰還するよ。」

「「「わかった。」」」

そして、戦いが始まった。



□□

ガス王国

 その頃、命がらがら帰って来た執事達から各地の領主は、とある共通の答えを導き出していた。
○カザトは、進んでガス王国に協力しない。
○[魔王復活の前兆における兵収集]の王勅令でも従軍させる事は不可能!
 ただし冒険者としてなら雇える。
 ただし従量制!
○しかし、雇うには安全の保証と、とあるものがいる。
○勇者達のクビとブレーダー王女のクビだ!

 しかし、それさえ手に入ればカザトを陣営に引き込める。
 金は民衆と占領地から巻き上げて王位をとってから、今のガス国王から絞り取ればいい!
 各公爵派から、ブレーダー王女と生徒会長・勇者達のクビを狙って、遂に暗殺者達が解き放たれた!

□□

そして、ガス王都では…

ポッチ(ブレーダー王女?)
「ヒィーヒィヒィヒィヒィ!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!」

 ギルドマスターの影なる配慮によって、比較的安全な城壁の上に配置されたポッチは、1時間のファイヤーボール!の乱射と、マナポーションによるトイレ行き20分のヘビーローテーションをやっていた。
(ゴブリンが密集しているから、当たらないほうがおかしい状態なので乱射でも当たる。)
 そして、勇者達も盾を持ってゴブリンを、斬ることになった!
 
生徒会長・勇者
「スラッシュ!スラッシュ!スラッシュ!

 ハァハァハァハァライトヒール!

 スラッシュ!スラッシュ!スラッシュ!

 ハァハァハァハァ」

「風人のヤツ、なんであんなに強いんだよ!
 俺たち、ゴブリンをこんなに斬っているのになんで、レベルが上がらねーんだよ!」

「他の冒険者達に聞いたけどなかなか、ゴブリンじゃ上がらないらしいぜ!」

「俺も、聞いたけどレベルの上がり方って、こんなものだって言われた。」

「風人(カザト)の戦歴を見たけど、この王都にいたときはほぼ千単位だからな。
 マジでぶっ飛んでやがる!」

「つまり、もっと斬らないとレベルアップしないってことかよ!」

「なぁ?生徒会長の勇者スキルに、獲得経験値100倍ってスキルがあったよな?
 それでも、上がってないっておかしくねぇか?」

生徒会長・勇者
「俺も、おかしいから教会に鑑定してもらって調べたけど、
 スキルは、あるにはあるけど起動していないなのでは?とか言われた。」

「一部は、起動って感じで、意識を注がないといけないスキルがあるけど、そんな感じは有るのか?」

生徒会長・勇者
「無い!全く無い!」

「なぁ?やっぱりおかしくないか?」

「騙されたってことか?」

「風人は、文字化け鑑定スキルだけ。
 女神の加護も無い!
 それどころか、会ってすらない!
 他のブーストスキル無し!
 だけど、強くなっている。」

「風人以外の男の俺たちは全員ブーストスキルがある。
 だけど、全くブースト実績が無い!」

「なぁ?あの姫に問いたださないといけないのじゃないか?」

「俺たちが、悪いだけじゃないぞ?」

 こうして、ポッチ(ブレーダー王女?)に疑惑の目が集まりつつある中、それを城壁から見て聞いた本人は?

ポッチ(ブレーダー王女)
「確かに、おかしい。
 こうなったら、冒険者ギルドマスターを使って、調べさせないといけないかもしれない。」
 と、側近達と相談していた。

 だが、ゴブリンの増援がまた来た!
 既に150万を超えている。
 ガス王都完全包囲である。
 逃げると言う選択肢は無くなった。
 ブレーダー王女は神聖皇国に連絡を入れる事を、決意する。

 なんとかしないと!

 交替の時間が来て勇者達と話あって、ギルドマスターに直談判する事になった!
 その時、冒険者ギルドの魔導掲示版が、更新された!


 表題

冒険者ギルド(仮)マスター達との混成パーティー
「チーム・カザト!」
ブラー王国鉱山砦防衛成功!
ブラー王国王都開放に過大なる貢献!
ブラー国王・ガス国王国境砦の開放に過大なる貢献!

ゴブリン 討伐カウント7035600匹
ゴブリンジェネラル 討伐カウント2050542匹
コブリンキング 討伐カウント1065257匹
ゴブリングレートキング 討伐カウント15匹

 ガス王国ラッド公爵は「チーム・カザト」に領内全ての街民権獲得と、無料宿泊を表明。
 ブラー王国の要請により、ラッド公爵軍の立て直し後、ガス王国神聖皇国国境に向かう。
 このことに、神聖皇国皇主は感謝の意を表明。
 ガス先王も、領内自由行動を認可する書類を作成した。


□□

ポッチ(ブレーダー王女?)
「ハァ?先王の許可?それって、自由遊軍の許可?
 クソ!もう管轄下に置けないじゃないのよ!
 勇者達のスキルを、動かす事を優先しないとこの王都も終わりよ!
 恨んでいるから、もし、やってくるとしたらこの王都は一番最後だろうからね。」

冒険者ギルドマスター バッカー
「ふ~ん?敵前逃亡した王族がなぜここにいるんだい?」

生徒会長・勇者
「オレ達ののスキルが起動しないだ!
 なんとかしてくれ!!」

冒険者ギルドマスター バッカー
「ハァ? 起動しない?
 勇者スキルは光魔法だけが、意識して使うスキルで後は全て常時起動だぞ!」

「なぜ、調べもしないでわかるんだ?」

ポッチ(ブレーダー王女?)
「ギルドマスターの祖父は、前勇者達の一員なのよ!」

冒険者ギルドマスターバッカー
「しかも、邪神と魔王をたおしたら、元の世界に帰る事ができると騙されて、ただ働きさせられた怒り狂った前勇者達のな!」

「「「「騙された?」」」」


ポッチ(ブレーダー王女?)
「(しまった!そうだった!前勇者達は騙されて帰る事ができなかったんだ!
 そして邪神戦争になってガス王家も一時ほぼ壊滅したんだ!忘れてた!
 まずい!だけど、ここでギルドマスターの機嫌を損ねたら、本当の終わりよ!
 辛抱よ!耐えるのよ!)

 そうよ、わたしは…
(何か、いい事を思いつけ!わたしの頭よ!思いつけ!そうだ!!)
 魔王が、討伐された時に既に管理者神様は邪神に取って代わられていたと思っているわ。
 そして、前勇者達に邪神戦争で討伐された。
 だから、勇者達がなくなったあとに回復された管理者神様がひょっこりと出てきたと考えられるのよ!
 だから、今回は早めに魔王復活の神託が来た。
 そう考えるとすべての辻褄が合う!
(あれ?いい加減な事を、言ったにしては確かに、辻褄が合うな~よし、これで行こう!)」

冒険者ギルドマスター
バッカー
「ふ~ん
(いい加減な事を、言いやがってだけど…その可能性もあると当時言い出した奴がいたからな~
 だが、第2世代管理者神フェイクが邪神ではない証拠では無いんだよ!)

 じゃあ、勇者召喚魔法陣があれば、すぐに勇者達は元の世界に帰る事が出来るって事だな!
 すぐに帰してやれ!
 スキルが不全起動なら勇者達の運命は真っ暗だ!
 魔王どころか、手下以下のゴブリンエンペラーすら倒せないぞ!」

□□

 とんでもないブーメランが帰って来た、ブレーダー王女?であった。




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