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第5章 ついに始まった本当の戦い。

32話 誰がそのスイッチを押したのか?!

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 カザトは、ドワーフ王国にいた。
 そして、マトの街ではサミットが行われている。
 議題は、ガス王国。
 各国からの調査結果が出されていた。
 各ガス貴族領の留守番貴族達が、なぜ当主達が牢屋に入っているのに、沈黙していたのかという謎が、解き明かされる。

 一言で言うと、殺されていた。

 住民や、その領の冒険者ギルドの夜番や商業ギルドの警備員達の証言とかも、多数出されており、犯人は1人に絞られていた。

 犯人は旧グランド王国王太子位であり、エルフ最強の戦士レイダー。
 今は、瘴気怪獣ブラック・レイダーであり、怪獣は討伐されたが、調べていないので本当に純粋なレイダーとはわからないから、呼び名をブラック・レイダーとすることになった。

 
  ふ~ん。
 ポリポリと、トワイライト達が作ってくれた醤油せんべいを食べて、カザトが昼のテレビでも見る感覚で、ベッドの上で魔導通信を見ていた。
 トワイライトたちは、精霊の館(城)に行って会議だ。
 これからの事を女性陣と調整するらしい。
 
 ゴワンゴワンゴワンゴワンゴワンゴワン!

 地面がなっている。
 何かが、フェイクランドに起こっている。
 だが、何が起こっているのかは、わからない。
 キスカが、ブラック・レイダーも勇者召喚されてしまって、フェイクランドにいないのでどうするのか?
 そして、ガス王国の空白地帯をどうするのか?ということに意見を言っている。
 しかし、あまりいい案なんてない。
 そりゃ~そうだよな~。

 ガス王国の地方を治めていたガス貴族達は全滅。
 せっかく、邪神討伐の戦力がない~!なんて言って、カザトに無理矢理押し付けようとしていたから、戦力復活させるために、ガス王族の血を引くガス貴族達も巻き込んで30万の[勇者]を復活させたのだ。

 邪神討伐をサポートするガス王族とガス貴族自ら[勇者]となり、しかも30万人の[勇者]が出現したのだから、そいつらに邪神討伐をさせるのが当たり前だったのに…。
 全員、しかも勇者ゴン太まで勇者召喚されてしまった。

 カザトは、まだまだ疲労困憊。
 身体が重い。
 ベイントス公国の国境は、カザトに邪神討伐をさせようとする貴族に対して、通過許可を出していないから、まだドワーフ王国は静かだ。

 だが、例外がある。
 既に、ドワーフ王国に入っている他の国の使者たちであった。
 いや、疲労困憊だから無理だって言っているのに…。
 それにしても、身体が辛いな~。
 高濃度酸素発生器でも作るか?
 何度か失敗していたのだが、実は鑑定眼の封印を外している状態で、酸素!と心の中で指定すると、色分けで見えるようになった。
 これなら、作れそうだ。
 フラフラな手で、なんとか錬金術で部品を作っていっているうちに…
 できたな。
 あ~、出来てしまった。
 何で試そうか?
 あ!俺だ!

 早速、自分で使って見た。
 しゅ~!こ~!
 しゅ~!こ~!
 しゅ~!こ~!

 クカ~

 うん?
 あ!
 寝てた?
 いつの間にか1時間寝ていた。
 これは!使えるな!
 魔力の出力源を、魔石から自分の魔力に替えると、もっと軽くコンパクトになるな。

 そんな事を考えながら、カザトは酸素濃縮器と発生器を合体したハイブリッドタイプを作ろうとしていた。
 少し元気に、なってきた途端に精霊の館(城)近くのホワイトマーキュリーの出力が上がっていく。

 実は、カザトが前にホワイトマーキュリーを使ってフェイクランドの15分の1の海を復活させていたのが、瘴気ヘドロ元のフェイクが吸い込んだのと、レイダーが取り込んだのがあって、今現在、沼となったのが3ぶんの1。海水(高濃度聖水)になったのが3分の1、そして瘴気ヘドロの塊が3分の1の状態になっていた。

 あ~海に行けそうだな~。
 そうするには、まず自分を回復しないとな。
 そうだよな、心電図も試作する?
 そして、うん、点滴でもつくるか?
 錬金術を駆使して、カザトの部屋は重症患者病室に変化していたのだった。

 

 その頃、ドワーフ王城に勤務するある文官ドワーフが、城の王族の私生活エリアに向かっていた。

文官ドワーフ・バス?
「(く!貴様!何者だ!俺を乗っ取って何を考えてやがる!フェイクの部下天使なんかに、負けてたまるか!)
 く!このドワーフ、なんて精神力なんだ!
 押さえつけても、抑えつけても精神のそこに意識が沈まないぞ!
 それに、私は天界の運命管理局の第二課のエリートだ!あんなフェイクの部下天使と一緒にするな!
 クソ!
 どこだ!筑紫 風人を、この運命局の天使の鑑定眼ですら捕捉できないだと!
 ち!禁呪で不正を働いている奴は許さん!
 あ?なんだ?他の運命局の別の課の奴らの気配がするな。
 なんだ?
 どういうことだ?」

 ささくさと、隠れるドワーフ・バスに乗り移った天使は、物陰に隠れる。

 やってきたのは、ガス貴族の生き残りであった。しかし、気配でわかるが同じ運命局で顔を見たことがあった者で、他の課の者達しかも、第1~第3,000,000,000課での合同会議の時に見たことがある奴が10天使もいる。
 確か、課もバラバラだ。

「なぜ、ガス貴族の身体しかなかったのだ!」
「知るか!フェイクに頼んでいた身体が、これしかなかったのだ!」
「で?他の運命局の奴らは?」
「既に第1と、第3が上層部に呼び出しを食らった。第2の課長は、事故で通すつもりらしいが上層部のあの○道○殺派は、更に上の上層部から単独独立行動を許可をされたらしい。」
「で?今のうちに、その筑紫 風人ってガキを始末するってことかよ!」
「殺しはまずい。駄目だって!]
「関与したことがバレたら、第1~第10,000,000課は確実に消し飛ぶ。」
「何が、ゼーロ計画だよ!」
「おい、おかしい!運のマイナスステータス・カウントが1億を超えだしたぞ?」
「ハァ?どういうなんだよ!」
「俺達の任務は、その筑紫 風人って奴が己のステータスから、マイナスの運命値を物質化して、クソブレーダー王女って不幸の元凶に無理矢理付与していたから、その今回の事故がバレたのだろ?」


文官ドワーフ・バス(ある天使)
「なんですって?私が聴いた事と違う。
 自分の不幸を他人に禁呪で擦りつけたッて話では?

(あんたアホか!最終確認されたカザト様の運のステータス・マイナス6800って事は既に、このフェイクランドでは有名なことだぞ!
 あのな!マイナス1000で既にこの世界の崩壊レベルのマイナス運だよ!
 あんたら、聞いていたらそんなモノを遊び感覚で人に付与しているのかよ!
 呆れたぜ!
 フェイクの部下天使と違うだ?
 事故で済ませて、殺すだ?
 証拠隠滅じゃないか!
 フェイクの部下天使と同じくらいクソだな。
 大体、不幸運の返品を無理矢理また押し付けるなんて悪魔か!)

 く!言わせておけば!
 あなた達には、次元が違いすぎてわからないことなよ!

(このろくでなしめ!)
 ち!」

 そして、他の侵入者達が更に増える。
 旧アッガローンス貴族の者達の身体を使った運命局の者達が、空間転移でやってきたのだ。

 だが、このカザトに対する大き過ぎる冤罪が、更に加算されてしまっていることに、このものの達は気がついていなかった。

「空中を浮遊している、物質化された不幸を早く元に戻せ!」
「あれは、なぜ元に戻らないのだ!」
「本来なら自動的に戻るはず。」
「やはり、未確認の禁呪か!?」

 その頃、天界上層部では。

「発表します。筑紫 風人の暫定ステータス数値の運の数値が、
マイナス965,842,130,000,000,000になりました。
 もちろん、あの分離した不幸を物質化したものを計算に入れておりません。」

「ハァ?まだ、無理矢理あの分離した不幸は戻ってないのですよね?」
「まさか…あいつら!」
「ハァ、そのまさかですね。」
「ギルティ!(有罪)」
「運命局だから、知らなかったとか事故だったというのは、なしで!」
「元々、あの不運は筑紫 風人のものではなかった。生きているのもびっくりだが、それを分離するか?
 コスモよ、彼は何者だ?」

コスモ
「あなたも、知っているはずの義務をもつ人ですよ。」

「ハァ、運命局の奴が筑紫 風人を勝手に無理矢理罪人にでっちあげて、罪人に仕立て上げてしまうことによって、運のマイナス数値が兆の単位を超えたぞ!
 どうするつもりだ!」

「無茶苦茶や~。
 運命局の奴らに、即時活動停止を命令しろ!
 そして、すぐにこの奴らが引き起こしたマイナス数値を適正なものに変えろ!
 適正なものに!
 これまでのマイナス数値での苦労を取り返すぐらいだから、プラス30兆レベルでは解決できへんで!
 わかっているやろな!
 俺達に振らず、運命局で責任を持ってやれ!」

 天界運命局第25課 課長
「そ、そんな!あの案件は第四特殊室の命令でやったことで、我々は無罪です。」

「実行したのは?そんな不正を実行したのは?
 君達だろう?」
 いつの間にか、そこにいたピエロが言った。

「そ、そんな!あんたらが、出てきたのかいな。おい課長!すぐに是正じゃ!やれや!」

天界運命局第25課 課長
「ヒィーー!」


ドワーフ城
 その頃、不幸カウンターがそんな事になっており、それを測定していた天使達の計器も…。

 ボン!

「な!マイナス1億ぐらいなら計測できるのに、爆発したぞ!」
「な、なんだと!まだ、筑紫 風人に不幸を押し込んでなかったよな?」
「どうなっているのだ?」

文官ドワーフ・バス(ある天使)
「ハァ?マイナス1億?
 あれは、持ち出すのにも最低課長とその上の中層部の許可が3ついる、計測器だ。
 なぜ、あんなモノの携帯許可すら出てしまっているのよ?
 おかしいでしょ。
 あ!やばいな。隠れよう。」


 爆発音で、普段は王族の生活エリアに入らない警備兵が確認の為に入って来た。

警備兵
「なんだ!貴様らは!敵襲!敵襲!」

 カーン!カーン!カーン!カーン!
 非常事態の鐘がなる。
 近衛兵が殺到する。

「ちい!眠れや!」
 先程の警備兵を眠らせて、ステータスカウンターで探知した、カザトの部屋に入った天使達(肉体は、ガス貴族や旧アッガローンス貴族や、小王国郡の貴族)は、重症患者の病室となった部屋を見て…
「「「「「「「ハァ?」」」」」」」
と、なる。

 ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!
 心電図っぽいものもある。
 酸素吸入機、AED?、電気ショックの機械やなど、揃っていた。
(全て、カザトが適当に作ったお手製である。)

 警備兵が、やってきた!
「あそこだ!突撃!」

 その時カザトが、起きた!

カザト
「なんだ?お前ら?
 邪気だと!部下天使の上位版か?」

「ほう!肉体ではなく、中身を見たか?!
 貴様、一目で俺が気にしていることを、看破するとは!
 死ね!」

「殺したらだめだろ!
 だが、貴様が原因だろう!
 拘束する!」

「く!抵抗するな!」

カザト
「賊の言うことなんて聞くか!
 悪魔聖断!」

 カザトの聖気を載せた手刀が、ガス貴族の中身の天使を真っ二つに斬る!
 
ガス貴族(天使)
「ギョエーー!」

カザト
「逃がすか!」
 カザトは、手刀で中の天使のみ斬っていく。

「クソ!運命局非常事態・緊急脱出装置起動!」

 フォン!
 一瞬で消えた天使達。

カザト
「ク、クソ、逃げられた。フェイクの手下か同僚か?」

 ドサリ、ドサリ、ドサリと、その場で倒れる中身の天使が抜けた、ガス貴族や小王国郡の貴族や旧アッガローンス貴族の者達。

 その事は、サミット中のキスカ副女王にすぐに連絡が入った。



 マトの街

キスカ副女王
「良くも、ドワーフ城の我が伴侶を殺そうとしてくれましたね!
 どうしてくれようか!」

小王国郡の一国王
「知らん!わしは知らんぞ!
 小娘が、戦争する気か?
 それ以上、わしを愚弄すると許さんぞ!」

キスカ
「やってやろうじゃないか!
 どうせ、前国王の時も援軍すら出してくれなかった国だ!
 貴様らを助ける義理も義務もない!
 戦争だと!
 上等じゃないか!
 宣戦布告、確かに受け取った!」

ベイントス公国 首相
「旧アッガローンス貴族の下手人の家系図での親戚3親頭まで全て拘束しろ!
 聖者様に…!許さんぞ!」

ラッド国王
「ガス貴族…、そいつら、どうやってブラック・レイダーの虐殺の手から生き延びた?
 まさかエルフの最長老と同じく、フェイク様の直属のスパイなのか!」

皇主
「な!ありえるな。ということは、フェイク様も関係したのか!
 おい!小王国郡の国王達よ!
 邪神を討伐しろなんていって、暗殺を企てるということは、邪神討伐が目的ではなくカザト殿暗殺が、目的だな。
 邪神討伐は、真っ赤な嘘だったのか!」

皇帝
「貴様ら、恥すらなくなったか!
 貴様らに黙って食糧援助しているの1人がカザト殿だぞ!
 人ですらなくなったのか!」


 つづく
 
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