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第3章 え?これまでがエピローグみたいなもので、これからが本番っぽいって!マジか!
第53話 平和な街の一角で
しおりを挟む「お嬢ちゃん、また明日買いに来るね。」
「ありがとうございます。」
ここ最近できた人気のパン屋では行列ができていた。
黒く硬いコッペパンが主流のこの世界で、柔らかくそしてほんのり甘いフワフワ食パンが、マドラーの街に登場してすぐに話題となった。
マドラーの街は、バボン王国の王都から乗り合い馬車で6日、西の港街からは馬車で1日かかる内陸部の街である。
ここのパン屋は評判がすごく良かった。
かわいいツインテールのスタイルのいい金髪娘が、パンを焼いて売っているのだ。
そして、商売敵の者が店に入って来ると惜しげもなく白い食パンの作り方を教えるのである。
すぐに上達できるわけではない職人の世界。
なかなか受け入れてくれない職人の世界。
しかし、この少女は惜しげもなく教えてくれるだけでなく、商売敵の息子達を弟子として受け入れ、仕込みからこれまでの無かった発酵から、焼き上げまで全て教えていく。
「あなた達が、未来のパンを作るのよ。」
こう言っては、酵母の作り方など教えてくれる。
給料も金貨5枚で、街の基準では高基準である。
弟子どころか、商店会からは(ボス)と呼ばれ、商業ギルドからは高待遇で加盟してほしいとオファーがきていた。
ある日、そのパン屋に領主の息子が取り巻き達を連れてやってきた。
領主息子ゲーズ
「グヘヘ、細い身体だがいいだろう。
俺様の下僕にしてやろう。
明日パンをもって館に来い。
さもないと、この商店通りは丸焼きだ!わかったな!」
そう言って立ち去る領主の息子。
その日はパン屋は閉店して、従業員達とミーティングが始まった。
「ボス!うちのオヤジに言って、なんとかしてもらいますよ。」
「商業ギルドに頼むのもいいのでは」
少女
「商業ギルドに登録は考えていたわ。
だけど、こんなに早く目を付けられるとは思わなかった。
この際だから、この店はパン屋の研修場所として商業ギルドに経営を任そうと思う。
あなた達は、もう十分に食パンが焼けるようになったわ。
前から言っていた事だけど、私も修行の旅にまた出るつもりよ。」
「「「「「「ボス!」」」」」」
少女
「例えどんな再会しても、胸をはって会えるようにしましょう。」
「「「「「「ハイ!」」」」」」
少女はその日に商業ギルドに登録して、店はギルド管轄のパン屋修業場として存続することになった。
その貢献により、はじめからB級ギルドライセンスという、上から2番目の高待遇扱いであった。
次の日、領主の息子が店にやってきた時には少女の姿はなかった。
門番が言うには、朝の開門と同時に乗り合い馬車に乗って出発したみたいだ。
追いかける領主の息子達は、昼頃に馬車を補足する。
領主の息子
「止まれ~!」
まるで山賊である。
馬車はスピードをあげて逃げる。
領主の息子
「クソ!誰かあれを止めろ!」
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーアロー!」
領主の息子
「バカ!焼く気か!」
ドッカーン!
燃える馬車。転げ落ちる御者。
横の谷に落ちて行く客車。
あぜんとする領主の息子達の後ろに、商業ギルドから抗議が来た領主が兵士を連れて追いかけてきた。
「このバカモンが!」
領主が息子を殴り殴り叩きのめす。
谷の底を捜索したが、見つかったのは黒焦げの食パンと焼け焦げた少女の着ていた服の切れ端だけであった。
谷底の川からの滝壺のほとりでは…
「あ~、ひどい目にあった。」
AI
「なかなかの脱出劇でしたよ。」
ボーン!…
白い煙とともに、焼け焦げた少女の姿は用に変わった。
へんげの葉で少女の姿に化けていたのだ。
用は生きていた。
AI
「なぜ、食パン屋さんだったのです?」
「だって、黒コッペパン硬いし食べ難いから」
そして、用は商業ギルドで買った地図とマップを照らし合わせて、次の街ヘ向かって行く。
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