自称女神様の側近は今日も行く

Mr.アマゾネス

文字の大きさ
3 / 9

第二話 家庭教師、来ました

しおりを挟む
 何処をどう歩いたかなど思えていません。気がつけばどこかの城のような場所にたどり着いていました。
 
 目の前には我が愛しの女神様が玉座の様な椅子に座りこちらを見ています。
 その姿すら美しい。

「そろそろ。意識をしっかりと持って欲しいのですが・・・。」

 女神様が困ってます。まぁ困らせてるのは俺ですけど・・・。
 傷心した心というのは治りが悪いものです。

「私の従者にする儀式がまだあるのですが・・・」

 聞き捨てならない言葉がありました。

「あら?・・・俺ってば、まだ女神様の従者じゃないんですか?」
「先程のはあくまであなたの体を天使・・神の従者になるべく魂のあり方を変化させたに過ぎません。どの神と契約するかは天使の自由です。神と契約をすることでその神の加護を受けて初めて従者となるのです。今はその器の準備が出来たに過ぎません。」
「なるほど。」
「私と契約しなくてもいいのですよ。私の容姿を気に入っているだけなのであれば他にも美しい神はたくさんいます。」
「なにをおっしゃいます!!俺は例えどんな美しい神に出会ったとしてもあなたへのこの気持は変わりません!!あの時から俺はあなたを心より崇拝して心よりあなたを愛すると決めたのですから!!」
「・・・」

 あら?ソッポを向かれてしまいました。相変わらず女神様は俺の愛に答えてくれませんねぇ。
 まぁこれからゆっくり行くとしましょう!!

「ご、ごほん!では、私の従者として契約をするために聖痕を付けますのでこちらに来てください。」

 女神様はわざとらしい咳をしてそう言いました。

「成婚―」
「違います!!」

 俺のニュアンスが違ったのでしょうか、なぜか言葉が遮られました。

「聖痕!!聖・痕です!!スティグマともいいます!!」

 二度言われました。大事なことのようです。
 そんなに否定されては悲しくなってしまいます。

「聖痕ですね・・・。」
「そうです。神の従者である。証です。」
「俺が勇者の時にしていたものですか?」

 日本からユーグリッドに行く際に俺は女神様から聖痕を受け取った。
 聖痕があれば神の加護が受けられるということだったはず。勇者の証でもある。

「形は同じですが。意味が全然違います。肉体への聖痕と魂への聖痕とでは加護の量も違いますが絆の深さも違います。」
「絆ですか・・・なんかエロいですね。」
「エロくなんてありません!!神聖なものです!!」
「勇者の時の加護も反則的でしたけどそれ以上ですか・・・。」
「あれぐらいの力がないと魔王など倒せません。」

 なにがトリガーになったのやら女神様がちょっとスネられました。
 その姿すら美しい。

「こほん!話が打線しましたが、今からあなたに私の聖痕を付与します。こちらに来てください。」

 指示された様に俺が女神様の前まで足を進めると体が自然とその場に跪いて女神様に頭を下げます。

「汝の真名(まな)を示せ。」

 意味を聞かなくても意味がわかります。いいえ、魂が知っているかのようです。

「八神(やがみ)和人(かずと)」

 俺が日本にいた時の名前です。ユーグリッドでは勇者カズトと呼ばれていいましたね。

「汝を我が眷属とし、新たな名と我が真名を授ける。」

 胸が焼けるように熱くなります。これはきっと愛の熱さですね!!
 そうに違いありません!!ヒャッハァー!!いい熱さだぜ!!燃えるようだ!!
 心のなかで一人でテンションを上げていると女神様が続けます。

「我、アリアラ。汝の名、アルデリッヒ。」

 燃えるような熱さが収まると次は清々しいまでの晴れやかで爽やかな風が胸の内を吹き抜けていきました。

 ――我が愛しの女神様の名は『アリアラ』
 ――生まれ変わった自分の名は『アルデリッヒ』

 まるで、最初から知っていたし、最初からそれが自分の名であった様な感覚。
 忘れていたのを思い出したような感覚です。こうなることが運命で決まっていたような。定めの様な。

「その名、謹んでお受けいたします。我が最愛なる女神アリアラ様」

 面を上げるとそこには今まで見たどんな美より美しく、神々しい芸術的な女神が立っていた。

「これで、聖痕の付与も終わりです。これからよろしくお願いします。アルデリッヒ。」

 ニコリを可愛らしく笑いかける女神をいつもでも見ていたが俺は聖痕がついた胸にゆっくりと手を当てて今一度、頭を下げます。

「幾、久しく」

 女神様が「えぇ。よろしくお願いします」というと玉座に座り直します。
 そして、一呼吸した後に俺に向けてその小さく可愛らしいお口を動かします。

「私の名ですが。普段は私を真名で呼ばないでください。」
「それは、なぜですか?」
「神や、天使達にとって真名とは特別な物です。自分を構成する一部と言ってもいいでしょう。だから、たやすく他人に教えたりはしません。己の従者である天使にも教えない神だって存在します。それだけ、真名というのは大事なものです。あなたもたやすく真名を教えてはいけませんよ。信頼出来る者にだけ教えるのです。」
「わかりました。では、俺は女神様のことをなんと呼べば?」
「そうですねぇ。いろいろ呼び名が有りますが。ユーグリッドで使われていたコーネと呼んでください。」
「わかりました。女神コーネ様。」

 「その名前、気に入ってるんです。」と女神様がウインクしてます。
 そんな姿も美しい。

「さて、これで聖痕の儀は終わりです。さっそく天使のしての仕事をして欲しいのですが・・・。まずはお勉強をしましょう。」

 なにを言っているんですかこの女神様は・・・
 しかし、そんな姿も美しい。

「勉強?ですか・・・。」
「はい。あなたはまだ、天界についても天使についても全然しりませんよね?」
「日本にいる時は神話とかを読んではいまし、ユーグリッドでもそれなりに神話とかがありましたよね。」
「あぁ、あの好き勝手書いてあるやつですね。」
「好き勝手ですか・・。」
「あんなものは人間が掻いた妄想です。事実無根とまではいませんが面白おかしく着色して書いてあります。そんなのではなくて正確な歴史や決まり事、天使について学んでもらいます。」

 なにか、コーネ様が悪く書かれたいたのでしょうか?恨みがるのでしょうか?
 そんな文献、どっちらの世界でもみたことないのですが・・・。

「まぁ、女神様がそこまでいうなら学びますけど。」
「はい。しっかりと学んでください。家庭教師も雇ってありますから」

 ん?家庭教師?

「カマエルさん。入ってきてください。」

 後ろの扉が開かれて一人の女性が入ってきました。
 スーツ姿で頭をお団子状に縛り、整った顔にはザマスメガネが掛けられて謎の反射で目が見えません。
 そのカマエルと呼ばれた女性はヒールの音を響かせながら俺の横まで来ると、俺と同じ様に女神様に跪いて頭を下げます。

「お呼びに預かり光栄であります。」
「いえ、あなたに受けてもらえてこちらこそ光栄です。」
「勿体無いお言葉。それで、私の生徒はどちらに?」

 辺りを見渡すように顔を左右に振ります。
 それを見たコーネ様は苦笑して言いました。

「あなたの隣にいる天使ですよ。」

 そう言われるとザマスメガネをこちらに向けて首をかしげます。

「この天使が?」
「はい。」

 家庭教師を名乗る女が人のことをマジマミと下から上まで、まるで品物を吟味するように見た後、またメガネの縁を指先で押し上げました。

「女・・・いや、男。付いているものがついていますね。変態ですか。」

 はい!傷つきました!!今俺傷つきましたよ。
 しかし、反論できないのが悔しいです!!

「いや、これには深いわけが・・・」
「どんな理由があろうと結果が全て。あなたは紛れも無い変態です。」
「返す言葉もありません。」

 その場でうなだれる俺を無視してカマエル先生はコーネ様の方に向き直ります。

「生徒は不服ですが、一度受けた依頼です。この私が教育するのですから完璧な変態・・・いえ、完璧な天使に仕立てあげましょう!!」
「今!絶対、好意的に変態っていいましたよ!この人!!」
「あなた。うるさいですね。神の御前ですよ。慎みなさい。それに教育はもう始まっているのですよ!!先生とお呼びなさい!!」

 バチっ!!

 カマエル先生がどこから出し方わからいムチを手に叩いてきます!

「はう!!」

 変な声が出てしまった。
 そんな俺達のやりとりを見てコーネ様は額に手を当ててめ息を漏らすのでした。

「はぁ。カマエルさん後は任せました。私は少し疲れたので休ませて頂きます。」
「はい。私にお任せください。」

 カマエル先生は一礼した後に、俺を持っているムチで簀巻にして引きずるように部屋を後にするのです。

「いやです!!助けてください!!ムチを持った人とどう接していいかわかりません!!助けてください!!女神様!!」
「うるさいですよ!!黙りなさい!!」
「アヒン!!!」

 女神様に『助けて』の目線を送りましたがニコやかに微笑みかけられ手を振られました。
 あぁ~俺はこのあとどうなるのでしょうか・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

30歳の英雄王は転生勇者を拾い無双に育てます

蒼井青龍
ファンタジー
山奥の小屋でのんびり暮らしていた 英雄王のライに、現世から転生してきた赤ん坊を立派な無双勇者に育て世界を魔王族から守る 英雄譚

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...