分水嶺の魔女に告ぐ

ノギス

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第一章 転生

一話

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中学の時に理科の授業でラジオを作った。

出来合いのキットで説明書通りに作れば誰でも出来ることはわかっていたけど、半田付けを丁寧に仕上げ、コードの配線を綺麗に整え、ダイヤルの調整が初期仕様では固かったのでカッターでバリを削り、潤滑油に家庭科教室から失敬したサラダ油を、綿棒で歯車に染み込ませたのは私くらいなものだろう。

そういうこともあり、なかなか愛着のあるラジオが完成し、周りからノイズ混じりの人の声がかすかに聞こえる教室の中で、クリアに地方局のローカルラジオのMCが、週末のイベント告知をしている声が聞こえた時は感動で泣きそうになるくらい嬉しくて、自分が誇らしかった。


だから、私がその後の進路で理工学系を選択したのは必然で、就職先に選んだラボが新型エネルギーの開発に携わる企業に属していたのも、まぁ、方向性として間違っていなかったと思う。

確かに研究室って就労時間とサービス残業とか、研究に夢中になると曖昧になって、友達と話した時、「そこ、ブラック企業じゃないの?」と言われた時も、いやいや、自分が好きでやってることだし!と本心で言い返せたこともあったけど。それから、数ヶ月?数年後?鏡に映った自分の顔を見てショックを受けて吐いた時には、既に何もかもが手遅れで。気づいたら病院で点滴にリードを付けてお散歩する日々が始まっていた。

思い当たる原因といえば、みんなで研究、開発した成果をゴッソリ上司に持っていかれたり。趣味で私が構想していた理論が、何故かラボの同僚がサイエンス雑誌にさも自分が書き上げた論文だと発表していたり、まぁ精神的な部分もなくわなかったけど。

やっぱり、寝てなかったのかな。人間寝ないとダメだという真理に辿り着いた時には、私はついに永遠の眠りという名の惰眠を誰に遠慮することなく貪ってしまっていた。


もう、次はない。でも、もし次があるとしたら。絶対に睡眠は疎かにしてはいけない。私は固く硬く、心に誓って、深く深い眠りについた。
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