この大きな空の下で [無知奮闘編]

K.A

文字の大きさ
上 下
10 / 51
新天地とやはり気になる正義の定義

扱いの違い 2

しおりを挟む
幸いにも認知度テストは全員合格であった。

「余談ですけど、このテスト出来なくて、そのまま帰ってもらった方が過去にいましたよ。」
なんて言いながら笑顔の表情を浮かべる総務の方。

....危ねぇ危ねぇ、シビアな部分はしっかりシビアじゃないか!

「ちなみに何点だったんですか?」

唯一の女性が興味津々で質問した。

「えーと、たしか四点だったかな。他のメンバーがメモを取ってたからそれをコピーしてカンペ作って見せながら再試験しても結果は変わらず四点だったと聞いてます」

....どんだけだよ。

普通に話を聞いてたら落ちる事の方が難しいレベルのテストではあったが、それでも落ちる人は落ちるんだ。

「先にも後にもその方ひとりですね、最終的に落ちたのは。後の方は再試験で全員合格してましたからね」

言葉の最後をチャイムが掻き消した。

「じゃあ、昼休憩にしましょう!午後は一時から開始します。遅れないようにしてくださいね。それとここは広いので万が一迷ったら[第二会議室はどこですか?]と聞いてください。ここは第二会議室ですよ」

ふーっと肩の力を抜く。

「食堂行きますか」
結局、今日知り合ったばかりの同期四人で固まって行動する事に。

食堂に到着する。
さすがに工場の規模が大きいと食堂も大きい。
メニューも豊富である。

定食がA、B、特の三種類
他にカレー、そば、うどん、ラーメンとなかなかのラインナップ。
他にもおにぎりやサラダなんかも並んでいる。
更に特筆すべきは料金が安い!
そば、うどんが200円
カレーが250円
ラーメンが250円
定食もABなら350円
特だけは450円とスペシャル感なお値段だが、それにしても安い。
これは財布にも優しいし、飽きも来ないだろう。

私は眠くなるのを警戒しておにぎりひとつとラーメンにした、おにぎりが70円だからこれで320円である。
ここは現金決済ではなく給料天引き制。
さっき担当者から渡された派遣用のIDカードで決済する。
これなら来たばかりで手持ちに不安があっても問題ない、とりあえずは飯にありつける。

とにかく、昼の食堂はある意味で戦場だ。
休憩時間が限られてるから仕方ないといえば仕方ない事なのだが。
ぼーっとしてるとあっという間に席が埋まる。
今日とて例外ではなく、片っ端から席がどんどん埋まっていく。
とりあえず今日は初日なので、隅っこの席をペットボトルでキープして交代で食事を取りに行く事にした。

滞りなく四人全員が食事を取ってこれた。
私「お茶取ってくるね」
と席を立ち、敢えて食器を下げる様子を遠目に見ていた、さすがにここまでは説明がなかったのて実際に見て覚えるしかない。
食器を下げる所には、目の前に大きなシンクがあって水が並々と入っている。
その手前に小さなシャワーみたいなものがあり、お皿をそこですすいでからシンクに沈めている。

....あ、なるほどね!

瞬時に理解した私はお茶を持ち、意気揚々と席に戻る。

「もう、みんな食べ終わっちゃうよ」

みんなの前職は聞いてなかったが、揃って食べるのが早い。
私「三分くださいな」
おにぎりとラーメンをさっさと流し込む。

「お待たせ、行きましょうか」

食べるという用事が済んだらとっとと退散するに限る、そんな中でもまだまだ食堂には人が押し寄せているんだから。

「午後からは何するのかな?」

言われてみれば開始時間しか聞いてない。
でも一日研修って言ってたから別の教育かもしれない。

J「そういえば、Kさん(私の事)プレスって言ってましたよね」
私「それよりも、そろそろ同期同士の敬語やめにしない?もう少しフランクにいきませんか?」
F「敬語やめにしようといいながら敬語になってるよ」
私「あ、たしかにそうだね」
前はみんなで笑いながら休憩なんてなかったなぁ

Yさんもクスクス笑ってる。
Y「よかった、なんか楽しそうな人達ばかりで。私工場って初めてだから少し怖かったんだぁ」
少し緊張が解けたように話し始めた。

Y「いいよ、同期同士敬語なしに賛成一票」

私「決まりだね」

J「いいよ、そっちの方が気が楽だし」
F「僕、最年少だけどいいの?」

Y「女性の前で年齢の話はしないの!」

F「失礼しましたぁ!」

楽しいメンバーでほんとによかった。
ここならちゃんと仕事に取り組めそうだ。

J「あ!そろそろ戻らないとヤバイよ」

いそいそと会議室に戻るのであった。
しおりを挟む

処理中です...