この大きな空の下で [無知奮闘編]

K.A

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正義の在処

いつもの風呂と発泡酒

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三人と別れ、電車を待つ。

そのタイミングで妻からメール
「帰りは何時くらい?」
「今ホームだよ、あと三十分くらいかな」
「わかった」
必要最低限のメールを交わしたところでホームに電車が滑り込んできた。

駅から自転車で五分くらいのところに寮がある。
多少の雨でも問題ない距離だ。
[明日からも同じ時間でいいかな]
明日からの手応えを若干感じながら玄関を開ける。

私「ただいま」
妻「おかえり、どうだった?」
私「うん、やっていけそうだよ」
妻「よかった、あ、御飯出来てるからね」
私「飯食っちゃった?」
妻「うん、先に食べちゃった」
私「風呂は?」
妻「まだ」
私「たまには一緒に入ろうか」
妻「うん、いいよ」

急いで御飯をかきこんで、妻が先に入ってる風呂へ。

妻「早いね」
私「今日の事話したいからさ」
妻「へぇーっ」

妻と湯船に浸かりながら今日の出来事を話し始めた。
妻「同期がいてよかったね、それに審議会って何?ひょっとしてそっちが本社なの?」
私「うん、多分そうじゃないかな。研修も時間掛けて丁寧だったし。審議会は想定外だったけどさ」
妻「それはそうと、その同期の女の子って可愛いの?」
これはヤキモチだ。
私「んーどうだろ?普通じゃない?でも好みではないよ」
妻「ほんとに?」
私「なんで疑うんだよ」
笑いながら答える。
私「同期が可愛いとか今はそれどころじゃないよ。審議会に出なきゃいけないのは確定してるんだから」
妻「そっか、そうだよね」
私「今から頭が痛いよ」
妻「でも勝ち目あるんでしょ?なら大丈夫じゃない?」
私「そうだといいけどね、果たしてどの範囲まで話が広がるかある程度は覚悟しておかないとね」
妻「現場変わって早々に大変だね」
私「まぁ、なるようになるでしょ。先に出るね」

ザバァッと風呂から上がり、発泡酒を流し込む。
気持ち的にやっとサッパリした感じだ。
背後から妻の声がする

「私にもちょうだい」
「あいよ」

並んで髪を乾かしながらのんびりテレビ。
久しぶりの[のんびりした感覚]
ちょうど見たかったプロレスが始まる時間だ。
私はよく地方のプロレス観戦に行く。
もちろん妻もだ。
妻は私の影響で一緒に観るようになり、地方観戦も一緒に行くようになった。
最近では贔屓の選手も出来たらしく、勝ち負けに一喜一憂している。
どうやら、今日のカードには贔屓の選手は出てないようだ。

妻「え、なんで?」
インディー団体にはよくある事だ。
あんなにハードな動きをしてるんだから、たまには休まないと体がもたない。
いくらブロレスラーとはいえ人間なのだ。

私は別に贔屓の選手がいるので、妻には悪いが充分に楽しませてもらった。
私「明日も早いから先に寝るね」
妻「今日と同じくらい?」
私「今日よりちょっとだけ早めかな」
妻「なんで?」
私「更衣室が混むんだよ、あれ苦手でさ」
妻「残業は?」
私「わからない、実務初日だから多分定時じゃないかな。遅くなるようだったらメールするよ」
妻「うん、わかった。おやすみ」
私「おやすみ」

布団に潜り込む。
安堵感からか眠気が一気に襲ってきた。
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