この大きな空の下で [無知奮闘編]

K.A

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やっと巡ってきた順調な日常

試験当日 1

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日にちの経つのは早いもので社内資格の試験当日となった。
日々の作業自体はさすがに一週間もすれば慣れたものだ。
同期もみんな順調らしく、Jが風邪で一日休んだ以外はみんな揃って順調そのものらしい。
相変わらず昼は一緒にとってるが、喫煙所では先輩方が気さくに話しかけてきたりして、少しずつではあるが周囲に打ち解けてきている。

朝の喫煙所。
試験という事もあってテキストを持ち込み、タバコを燻らせながらギリギリまでにらめっこ。

Y「おはよ、試験って今日だっけ?」
私「おはよう、そうだよ。新人研修したあの会議室でやるんだって」
Y「試験通ったら時給上がったりするのかな?」
私「先輩が言ってたけど、変わらないって」
Y「なぁんだ」

[なぁんだ]はどちらかといえばこっちの台詞である。

F「おはよう!」
相変わらず朝から元気がいいF。
F「試験今日だっけ?頑張ってね」
私「さんきゅ」
まぁ、実地兼ねた試験だから先輩からいろいろ教わったし、満点まではいかないかもしれないけど落ちる確率は限りなく低いとは思っていた。
でも、過信は禁物。
まずは試験通過が第一関門。
これくらいさっさとクリアしておかないと。
審議会が待ってる事だし。

私「Fの方はどうなの?」
F「たぶん来週からシフトに入ると思うよ、班が反対になっちゃうかもね」
この現場も例外なく夜勤がある。
しかも四勤二休、土日祝祭日関係なしに四日出勤したら二日休みのサイクル。
平日休みが好きな私にとっては大歓迎だ。

F「あ、でもすごいよね」
私、Y「何が?」
F「ここって夜勤も食堂開いてるんだって!メニューは昼間より少ないらしいけど。わざわざ飯を用意しなくていいから楽だよね」
私「そうなの?初耳」
Y「たしかに楽だね、自炊再開しなきゃいけないかと思った」
前の現場は夜は食堂閉まってたからカップラーメンばかり食べてた気がする。

それにしても、こんな他愛もない話でも楽しく感じる。
こんな日常が続くんだなぁと、自然と笑顔になる。

私「ひとつ提案があるんだけど」
F、Y「なに?」
私「班が別れて休みがずれちゃうとなかなか実現しなくなっちゃうからさ、今週の金曜の仕事終わりに飲みに行かない?」
Y「あ!いいね!賛成!」
ぴょんぴょん小刻みに跳び跳ねて喜びを表現するY。
F「僕も賛成!Jにはお昼に伝えればいいね」
Y「あ.....でも男子ばっかりだぁ」
私「じゃあ、女房呼ぼうか?それなら大丈夫でしょ?」
Y「え?ほんとに?」
私「最近バタバタしててどこにも連れていってあげれてないから女房も喜ぶよ。あとでメールしておくね」
Y「ありがとう」
私「以外と話が合うかもよ、歳も近いから....」
Y「だからぁ、女性の前で年齢の話はしないの!」

.....油断した。
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