ダンゴムシになったら

第八話：心の試練

ユズキの過去を知り、ナオトは彼女への想いを新たにした。その中で、ノームから次の試練について聞かされる。ノームは厳粛な表情で、「闇の湖は、君の心の闇と向き合う場所だ。そこでは、過去の自分や本当の自分と対峙することになる」と語った。

闇の湖への道のりは険しかったが、ナオトとユズキは互いを支え合いながら進んだ。湖に到着すると、湖面は暗く、何かが見つめているかのような不気味さに包まれていた。ナオトは、ユズキに「俺は行くよ」と伝え、湖に飛び込んだ。

湖の中は、別の空間のようだった。水面を突き抜けると、そこは何処か懐かしい、しかし見知らぬ場所だった。驚くことに、ナオトはそこで人間の姿を取り戻していた。

闇の湖の中、ナオトは謎の声に問い詰められる。彼の心の闇が試される中、次のような問いかけが投げかけられた。

「人間に戻りたいか？」と問われ、ナオトは自分がダンゴムシとしての生活を通じて得たもの、特にユズキとの友情とその価値を思い出す。人間としての生活への渇望と、現在の自分が持つ意味との間で揺れ動いた。「ユズキの笑顔を取り戻すことが、俺にとって今は何よりも大切だ」

続いて、「人間の姿で、彼女に会うつもりか？」という問いが来た。これは、ナオトが直面する最大の試練だった。ナオトはかつて人間だったことをユズキに隠している。「俺が人間として戻った姿で彼女に会うことは、彼女を傷つけるかもしれない」

ユズキの人間不信という過去を知るナオトは、彼女が人間に対する信頼を失った理由を思い返した。ユズキは、両親の死や村からの追放という悲痛な経験を経て、人間に対して深い不信感を抱いていた。

ナオトは、自分が人間として戻ることで、ユズキの心に再び傷をつけるかもしれないことを恐れた。

その一方で、彼の心は人間としての自分が再びユズキと向き合うことで、彼女の人間不信を癒す力を持つかもしれないという希望も持っていた。

しかし、友情が形を超えて存在することを信じ、ユズキを守るために今の自分で十分だと確信した。

そして、ナオトは湖の底で「闇の結晶」を見つけた。これは、彼がユズキを救うための新たな力を得るためのものだった。

湖から戻ると、ユズキはナオトの変化を感じ取り、「ダンゴムシ王、何か見つけたの？」と尋ねた。ナオトは、ユズキの手を握り、心の中で「俺は、友情の力を信じる。ユズキと一緒なら、どんな試練も乗り越えられる」と答えた。

この試練は、ナオトに友情の力と、自己を見つめ直す価値を教えた。二人は、闇の湖から得た新たな力を胸に、未知の冒険へと進むことを決意した。