悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
18 / 314
第一章 悪役令嬢は動き出す

18.悪役令嬢は裏技を理解する

しおりを挟む
「本来、防御は魔法もしくは魔術を使ったほうが効果が高いのはお嬢様はご理解されていると思いますが、防御の魔道具は超高速術式の名手であった魔導師ハイデゼルドの超高速術式が使用されている為に展開が速いのが特徴です」
「確かに瞬時に展開されたみたいだけど、魔法としての防御魔法の方が速いよね?」
「はい、しかし、使用魔力量が全く違います。特に魔力量の少ない貴族などはおいそれと魔法を使う事は出来ません」
「やっぱり魔力量の問題が大きいのね」
「ですね。で、ここからが大事なところです。盾を張っている状態で魔法や魔術は防御対象となります」

 それは当たり前だよね。問題は魔法や魔術全てに反応するらしいから、強化などと相性が悪いハズで防御魔法であれば、その問題も関係ないんだけどね。

「魔法や魔術は弾きますが、魔力自体は弾く事はありません」
「なるほどね。だから魔力同調なのね」
「お気付きになりましたか?」
「考えたら、どんな魔道具も無効化出来ちゃうんじゃない?」
「相当量の魔力量が必要になる場合があるので効率的ではないと思いますよ」

 魔力同調というのは魔法や魔術……特に魔道具を使用する時に基礎として学ぶのだけど、魔力というのは個人固有のモノで他人の魔法や魔術、魔力に干渉する時に感じる反発を魔力の反作用という。なんだか弾かれるような抵抗感がある。

 魔力を同調させる事で自身の魔力で扱う事が出来るようにする技術だ。そして、もう一つ特性があって、それは同調した魔力を使って発動した魔法や魔術を乗取る事だ。

「術式として防御術式は複雑さがあまりないのでコツさえ掴めば一瞬で上書きする事が出来ます」
「上書き?」
「はい、乗っ取る方法ですと、それを利用してこちらの魔力を無駄に消費させられる場合がありますので、術式を乗取って効果の無い術式に変えます」

 効果の無い術式に上書きする――と、いうことは魔術では無く魔法かな。

「ではお嬢様。さっそくやってみましょう。はじめはゆっくりでいいので、この展開している防御魔術に向かって魔力で満たしていきましょう。一気に強い魔力量を叩き込んだら魔道具が壊れるので気を付けて下さい」

 実践して覚えろってことね。まずは魔力を放出して防御魔術に魔力を満たしていく……うーん、出力調整が難しい。無理にやったら確実に破壊しちゃいそうだ。

「そのまま、別のイメージに変える感じで魔法へと昇華させて下さい」
「なるほど……こうね!」

 次の瞬間、防御魔術で展開されていた盾がサラサラと崩れていく。

「塩――ですか?」
「そうよ。魔力量に応じて塩を出す効果にしてみたわ。一応、確認の為に使ってみて貰える? 魔法陣を書き写すから」
「そちらが目的ですか……」
「当然!」

 魔石に魔法を刻印した時、魔術的な魔法陣として刻印される。新しいイメージで書き換えた防御魔術は今、塩を生み出す魔術へと変換された。当然、魔力を込めれば刻印された魔法陣が浮かぶ……ハズなのだ。

「ふんふふーん♪ これで塩使い放題よ」
「お嬢様が楽しそうで何よりです。そういえば、これはまだ奥様から広めるなと言われている技術ですが……」
「お母様が?」
「はい、先ほどの魔力同調からの上書きの応用技術になります」

 ナニそれ、超興味深い。でも、応用技術って言ったよね。
 と、いうことは相手の魔法や魔術に対して何かする……ってことなのかな?

「お嬢様が解明した術式分解を利用して――」
「ああっ、そういうことぉ! 魔力同調を利用して術式の一部を上書きして術式を発動させないってことね。魔法の場合も同様の理論で無効化するってことね」
「さすがお嬢様です。しかも、この方法は防御しずらいのが特徴となります」

 確かに魔力の干渉なんて微量であれば気にも留めない人も多いくらいだけど――欠点とすれば、近くにいないと魔力を飛ばすのがかなり負担になるし、タイムロスも洒落にならないから、持ってるほど実用的ではないかもしれない。でも、まだこれから色々と研究出来そうな内容よね。

「そういえば、アンネマリー様とのお話合いは如何されますか?」
「その件なんだけど、『二人きり』は難しいけど、私の部屋でお茶会であればある程度のプライバシーは確保出来るんじゃない? 向こうが納得してくれるかは別の話だけどね」
「それはアンネマリー様もご理解されているのではないでしょうか?」
「だったら、いいんだけどね……」

 ま、エルーサから色々とヒントを貰ったし、なんとかなるでしょ。と、私は思いつつ彼女の手紙へ返事をしたためるのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

処理中です...