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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
165.悪役令嬢は専属メイドから面白い話を聞く
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「一体何の話なのかしら?」
と、私が言うとエルーサは「こちらを」と、一皿のプリンを取り出す。
「プリン?」
「はい、我が家の料理人が作ったものではありますが、お嬢様からのアドバイスで作ったものです――残りの在庫でいうと最後になってしまいますが、皆様の分もご用意しますね」
そう言ってテーブルに人数分のプリンを置き、皆がそれを手にする。
「お食べ下さい」
そう言われて私はプリンを一口食べて、何が言いたいのか考える。当然、食べ多分は元々が持っている魔力を元に体内で栄養などもあるが魔力も回復する――けど、即座に回復するようなモノでは無いと思うのだけど。そんな事を思いつつ、プリンを食べる。うん、美味しいわ。
すると、ウィンディが「ん?」と、不思議そうな声を上げた。
「どうしたのウィンディ?」
「アリエル様、分かりませんでしたか? 全然、気にせずに色々と食べてましたけど、エステリア様のところの料理、もすかすると結構ヤバイかもしれません」
「? 確かに美味しいのは確実だけど?」
そう言われて私は自信の魔力に集中する――体内にある魔力というのは意識しなければ中々感じ取るというのは難しい。何故か? それはあって当たり前のモノだからだ。魔力を動かすことは意識的に出来るのに自身の奥底にある魔力を認識するのが、ここまで困難なのは多分だけど魔力量の所為だ。
そして、微量に魔力が溢れるような感覚を感じるわけだが、これでは分からないな。
「微量? 自然回復だと思っていたが違うようだ」
と、不可解な表情をしてアリエルはそう言った。正直、私には本当に微かな回復? と、いう感じなので気のせいと言われれば、信じてしまうかもしれないレベルの話だ。
「もしかして、我が家の面々は初めから気が付いていたの?」
私がそう言うとエルーサは静かに「はい」と、答えた。
「別に私が作って無くても回復する理由は分かっているの?」
「一応、推測ではありますが、お嬢様が考案された作成方法で作る物の多くは必然的に魔力を必要とします。それは魔道具しかり、調理方法しかりです。その結果、魔力的な意味を持った料理という物に昇華したのでは無いかと考えられているようです」
なるほど確かに。そういう可能性も存在するのか、もしかするとマリー関連の魔道具とかでも似たような事が存在するのかもしれない。この辺りの――と、思ったが既に調査済みな気もしなく無いな。
「これに関して、閣下も気が付いていたのですか?」
私の言葉に閣下は小さく笑って「キミも気付いていたと思っていたよ」と、言いながらも気付いていないことを知っていたような雰囲気を感じさせる。
「キミの場合は色々と無自覚なようだが、先程話をした普通は魔導洞窟内では魔力回復しない。しかし――」
「私が持ち込んだ食事を食べれば回復する――と、いうことですね。しかし、他の食事でも回復はするのでは無いですか?」
閣下の話でも食事による回復は言っていたが、そこまで十二分に回復出来ないのと全く回復しないでは違う。それに安全地帯ではある程度の食事は出来るだろう。それによって魔力も多少なりと回復出来るハズだが、その辺りはどうなんだろうか?
「回復量の問題が先ず一つ。魔導洞窟で食べられる食事というのは基本的に携帯食料となるが――」
「あ、ああ……」
一度、体験で食べたことがあるが、物凄く硬くてマズい。謎の固形物なのだが、戦国時代にあった兵糧丸みたいなものだ。水やスープで溶いて食べるのだが、私の精神的外傷である謎のドロドロスープもこういった物体を溶かしたものだったのだろう。何とも言えない薬っぽい味と謎のエグミがある。まぁ、栄養価はかなり高いことを考えれば魔力も回復しそうなのに。
「あんなにマズいのに魔力も回復しないとは全くダメですね」
「なかなか手厳しいね。先人達の知恵なのだがね……それに栄養価は高いから携帯食料一つで丸一日分、無理をすれば二日は動けると言われている。まぁ、あの食事が出来る環境であれば、全くもって無用の長物な気もするがね。残念ながら戦場では使えないな」
確かにその通りだ。と、いうことは某1本で200kcal取れるバーを開発すれば、栄養と魔力も回復出来る携帯食料が作れるのではないだろうか? と、いうか、作ろう。ええ、やってやろうじゃない。自重? 何それ美味しいの? 何よりも美味しくないとダメでしょ。
と、私が言うとエルーサは「こちらを」と、一皿のプリンを取り出す。
「プリン?」
「はい、我が家の料理人が作ったものではありますが、お嬢様からのアドバイスで作ったものです――残りの在庫でいうと最後になってしまいますが、皆様の分もご用意しますね」
そう言ってテーブルに人数分のプリンを置き、皆がそれを手にする。
「お食べ下さい」
そう言われて私はプリンを一口食べて、何が言いたいのか考える。当然、食べ多分は元々が持っている魔力を元に体内で栄養などもあるが魔力も回復する――けど、即座に回復するようなモノでは無いと思うのだけど。そんな事を思いつつ、プリンを食べる。うん、美味しいわ。
すると、ウィンディが「ん?」と、不思議そうな声を上げた。
「どうしたのウィンディ?」
「アリエル様、分かりませんでしたか? 全然、気にせずに色々と食べてましたけど、エステリア様のところの料理、もすかすると結構ヤバイかもしれません」
「? 確かに美味しいのは確実だけど?」
そう言われて私は自信の魔力に集中する――体内にある魔力というのは意識しなければ中々感じ取るというのは難しい。何故か? それはあって当たり前のモノだからだ。魔力を動かすことは意識的に出来るのに自身の奥底にある魔力を認識するのが、ここまで困難なのは多分だけど魔力量の所為だ。
そして、微量に魔力が溢れるような感覚を感じるわけだが、これでは分からないな。
「微量? 自然回復だと思っていたが違うようだ」
と、不可解な表情をしてアリエルはそう言った。正直、私には本当に微かな回復? と、いう感じなので気のせいと言われれば、信じてしまうかもしれないレベルの話だ。
「もしかして、我が家の面々は初めから気が付いていたの?」
私がそう言うとエルーサは静かに「はい」と、答えた。
「別に私が作って無くても回復する理由は分かっているの?」
「一応、推測ではありますが、お嬢様が考案された作成方法で作る物の多くは必然的に魔力を必要とします。それは魔道具しかり、調理方法しかりです。その結果、魔力的な意味を持った料理という物に昇華したのでは無いかと考えられているようです」
なるほど確かに。そういう可能性も存在するのか、もしかするとマリー関連の魔道具とかでも似たような事が存在するのかもしれない。この辺りの――と、思ったが既に調査済みな気もしなく無いな。
「これに関して、閣下も気が付いていたのですか?」
私の言葉に閣下は小さく笑って「キミも気付いていたと思っていたよ」と、言いながらも気付いていないことを知っていたような雰囲気を感じさせる。
「キミの場合は色々と無自覚なようだが、先程話をした普通は魔導洞窟内では魔力回復しない。しかし――」
「私が持ち込んだ食事を食べれば回復する――と、いうことですね。しかし、他の食事でも回復はするのでは無いですか?」
閣下の話でも食事による回復は言っていたが、そこまで十二分に回復出来ないのと全く回復しないでは違う。それに安全地帯ではある程度の食事は出来るだろう。それによって魔力も多少なりと回復出来るハズだが、その辺りはどうなんだろうか?
「回復量の問題が先ず一つ。魔導洞窟で食べられる食事というのは基本的に携帯食料となるが――」
「あ、ああ……」
一度、体験で食べたことがあるが、物凄く硬くてマズい。謎の固形物なのだが、戦国時代にあった兵糧丸みたいなものだ。水やスープで溶いて食べるのだが、私の精神的外傷である謎のドロドロスープもこういった物体を溶かしたものだったのだろう。何とも言えない薬っぽい味と謎のエグミがある。まぁ、栄養価はかなり高いことを考えれば魔力も回復しそうなのに。
「あんなにマズいのに魔力も回復しないとは全くダメですね」
「なかなか手厳しいね。先人達の知恵なのだがね……それに栄養価は高いから携帯食料一つで丸一日分、無理をすれば二日は動けると言われている。まぁ、あの食事が出来る環境であれば、全くもって無用の長物な気もするがね。残念ながら戦場では使えないな」
確かにその通りだ。と、いうことは某1本で200kcal取れるバーを開発すれば、栄養と魔力も回復出来る携帯食料が作れるのではないだろうか? と、いうか、作ろう。ええ、やってやろうじゃない。自重? 何それ美味しいの? 何よりも美味しくないとダメでしょ。
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