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幸福なラプンツェル3
私は産まれたときからずっと塔に住んでいる。
この狭くて満ち足りた世界でずっと生きてきたし、それで満足してきた。美しく尊敬すべき母と、私に知恵を与えてくれた先生さえ居れば充分に幸せだったのだ。
だからずっと知らなかった。
自分の足元の更に下に、こんな部屋があったなんて。
「はっ、ぁ、ぁあ……っ♡♡」
絶頂で体がびくつく度にしゃらしゃらと音がする。私の身体を縛り付ける金の鎖が擦れる音だ。
私は今、椅子に座らされている。そして椅子の肘置きと脚に私の四肢は固定されていた。唯一自由になる頭は力なく俯いている。最初こそ絶頂を迎える度に身悶えていたが、今はそんな体力すらない。
座面に大きな穴が空いていた。穴の下には一つ植木鉢があった。そこには薔薇によく似た花が植えられていて、私はその花にずっとずっと嬲られていた。
花は花弁の中心からねっとりと蜜を垂らしている。そして気紛れに私のクリトリスにむしゃぶりつき、容赦なく舐めしゃぶっていた。
クリトリスばかり弄られているせいで私の蜜壷は物欲しげにひくついていたが、そちらに対しての刺激は一切ない。ただただひたすらに肉厚な花弁にクリトリスをしゃぶられ、吸い付かれ続けている。快楽を拒むつもりはサラサラないが、意思の通じない相手にひたすらに愛撫され続けるというのは拷問に近かった。
「ぁ、また……っぁ♡♡♡ イ……っん♡♡♡」
もう何度イったか解らない。きっと嬲られ続けた私のクリトリスは真っ赤に腫れ上がり、赤く色づいているだろう。
イくほどに感度を増すそこをねっとりと包み込まれ、まるで母乳をねだる赤子のように音を立てて強く吸い付かれる刺激に体が痙攣するが、椅子に四肢を縛られた身体では逃げ出すこともできない。
けれどこれはお仕置きなのだからと、石造りの冷たい部屋の中でひたすらに与えられる快楽を受け入れるしかない。
「ぁ、あ、あ……!♡♡ はっ、ぁん♡♡♡ うぁ、ぁーっ♡♡♡ あっ、ぁあ……っ♡♡」
私をここに縛り付けた先生は暫く前から姿を消している。いや、もう随分と時間が経っているのかもしれない。
イきすぎたせいで幾度となく意識を飛ばし、そして与えられる快楽で覚醒することを繰り返しているせいで時間の感覚が曖昧だ。
窓がないせいで余計に感覚が狂っている。それほどの時間の間、私はこの花に狂わされている。
「ぃっ、あ、ぁあ……っ♡♡♡ あっ、また……またイっちゃ……ぁんっ♡♡♡♡」
「随分と楽しんでいるようだね、ラプンツェル」
不意に声がした。顔を上げればいつの間にか笑みを浮かべた先生が部屋の中に立っていた。
しかし私を見る新緑と青空のヘテロクロミアは決して笑ってなどいなかった。まだ怒っている。過ぎた快楽でぼうとした頭でそれを理解した私は、ハラハラと涙を流した。
「気に入ったかい? その花は本来その花弁の中に棒状の雄しべをくわえ込むことで受粉する性質なんだ。変わってるだろう? 君のクリトリスにそうして吸い付いているのも、本来ならば受粉を促す行為なんだよ。雄しべのある花は打って変わって百合のような見た目をしているから、今度見せてあげよう。君の中に雄しべを押し込んであげてもいいかもしれないね。雄しべは雄しべで受粉の為に熱や電気を放出する性質を持っているから、気持ち良いかもしれないよ?」
「ぁっ、せんせ、い、せんせ、ぁっ♡♡ はぁ、ん……っあ、ぅあ♡♡」
「君の母親もその花が大好きでね。昔はよく使ってあげたものさ。特に連れ戻してからは随分と反抗的だったから何度も繋いであげたんだ。今のラプンツェルみたいにね。お陰で今は仕事熱心になったから、まぁ良かったのかな?」
イきすぎて馬鹿になった頭では先生の言っていることはよく解らなかった。
先生は先生で返事を求めている訳ではないらしく、私に語りかけながら硬く尖った乳首を優しくつねる。突然の刺激に肩が跳ね、ぐにぐにと乳首を揉み潰される快感に身悶える。
「君の母親は、最初のラプンツェルは肉欲に溺れて僕の元を去った。だから新しいラプンツェルである君は最初から肉欲の味を教えてあげた。なのに君は母親のように私を誘惑した……親娘二代揃って、随分とまぁ舐めてくれたものだ。それで私が懐柔できると? この塔から逃げられると? まったく、浅慮にも程がある!」
初めて先生の表情が崩れる。まるで嘲笑するような声音に、私はそんなに愚かなことをしてしまったのかと馬鹿になりかけた頭で考える。
ごめんなさいと言いたいのに口から出るのは喘ぎ声ばかりで、その間にもぢゅっ♡ ぢゅっ♡ と音を立ててクリトリスを食まれ、吸い付かれる快楽にびくびくと腰が反応し続けている。
涙でぼやけた視界。伸びてきた手がはあはあと荒い息を零す口の中に入り込んできたかと思うと、舌を摘まれた。強引に上を向かされ、表情を消した先生と視線が絡み合う。
「ここを逃げてどこに行くつもりだったんだい、ラプンツェル。お前の身体は私が整えたんだ。外で生きていけるなど夢のまた夢だというのに」
「は、ひ……な、んれ?」
「当たり前だろう? お前に欲と言うものを教えたのは私なんだよ?」
「なんれ、私が……出て行く、の? やだ、わたし、いや、外は、ぁっ♡♡ ひゃんっ♡♡」
私がどこかに行く? 何故? そう思って舌を離された時に疑問を口にしようとした瞬間、またクリトリスを強くぐにぐにと揉まれて質問が嬌声へと摩り替わる。
まるでしごくように肥大化したクリトリスを上から下へとしゃぶられて、余りの刺激にのけぞった。
またイってしまう。そう思った瞬間、先生がしゃがみこんだかと思うと椅子の下の植木鉢を動かす。クリトリスに吸い付いていた花が無理矢理剥がされ、私は久方ぶりに解放されたことに身体を震わせた。
「はっ、ぁ……あ、せん、せ……?」
椅子に座ったまま、また先生を見やる。座り込んでいるお陰で先生の顔がよく見えた。
先生は驚いたように私を見ていた。しかしすぐに眉間に皺を寄せると、かぶりをふってまた笑みを浮かべる。あの怒っているような笑みだった。
「嘘を言うんじゃないよラプンツェル。君は私から逃げ出したくて、私を誘惑したんだろう?」
「な、んれ? なん、で、わたし、が……先生から、逃げるん、ですか……?」
「……君の母親はそうだった。無理矢理連れ戻した私を篭絡することで逃げ出そうと。だから君も……いや……」
そこまで言って先生はふいとそっぽを向く。何故そう思ったのかは解らないが、私が先生を誘惑したから、先生は私が逃げ出そうとしたのだと思ったのだ。ということは解った。
そしてそれがかつての母の行動が原因だと言うことも。
「ちがう、違います……私、ただ、先生と気持ちよく、なりたくて……逃げたいなんて、思って、ません」
「なら何故私の言うことに逆らったんだい? お前の初花を奪う相手は私が決めると言っておいたはずだよ」
「だって……せんせいに、抱いて、欲しくて……」
ただそれだけだった。そこまで怒ると思って居なかった。小さな我が侭のつもりだったのだ。
私を抱きしめてくれた先生の温もりが愛しくて、先生に抱いて欲しかった。一緒に気持ちよくなりたかった。先生となら絶対に気持ち良いに決まってる。
潤んだ瞳で先生を見る。
先生は躊躇うように視線をさ迷わせると、ぎゅっときつく目を瞑った。それどころか俯いてしまったせいで銀色のさらさらとした髪が先生の顔を隠してしまう。
「人は嘘をつく生き物だ。君の祖父母も、母親もそうだった。だから私は、君もついにその時が来たのだと思ったよ。外の世界に出るために、従順なふりをしながらずっと私を誘惑する機会を待ち望んでいたのだと」
「違っ、違います、わたしは、私はただ……先生と気持ちよく、なりたくて。先生が嫌なら、もう言いません。我慢、します。だから、だから……」
「なら……それを証明してもらおうかな?」
自嘲するような、嘲笑うような、不思議な笑みを浮かべた先生が指を鳴らす。
途端に私の四肢を縛っていた金色の鎖がしゃらりと音を立てて地面に落ちた。立ち上がるように言われ、絶頂を繰り返したせいで震える足で何とか立つ。
差し出されたのは灰色の下着だった。それは薄い金属で出来ている、見たことのない下着だった。
「せんせい、これは……?」
「貞操帯と言う。私が許可するまで君が気持ちよくなることを許さない為の下着だよ、ラプンツェル。君の言うとおりならば、君は肉欲が原因で私を誘惑したんだろう? けれど私が望まないならばもう言わないと言う。ならこれをつけて、私が良いと言うまで過ごすんだ。君がこれをつけて私の言いつけを守り塔にとどまることが出来たなら、君は嘘を言っていないし、外に出たいなどと思っていない。と信じてあげよう」
「……解りました。それで先生が、信じてくれるなら」
先生は私の言葉なんて信じていないんだ。
そのことに深く傷つきながらも、先生の言うとおりにその金属で出来た下着をつける。
最後に腰のところで鍵を締められ、私は一切の快楽を禁じられた。同時に先生の指先が私の下腹部を一撫ですると、お臍の下の辺りに小さな文様が浮かび上がる。
「さあ、これで完成だ。これでもう、君は絶頂することができない。こんな風に胸をいじっても無駄ということだ」
そう言って先生の両手が私の乳首をつまむ。ぐにぐにと痛いくらいに乳首をつまみ上げられ、揉まれ、指先で押しつぶされて気持ちよさに甘い声が漏れる。
私の身体は先生の手によって乳首だけでもイけるくらいに調教されている。花に散々クリトリスを苛められていたこともあり、すぐにこみ上げてくる絶頂感。
しかし張り詰めた快感はいつまでもはじけることなく、子宮が切ないくらいに疼くだけで果てることが出来ない。
もう少しでイける。そう思うのに、乳首をいじられて気持ち良いのに、最高潮の瀬戸際まで高まった快感を弾けさせることが出来ないもどかしさに私は身をよじった。
「先生、ぁ、せんせ……イけない、イけないの、ぉ♡」
「私がそうしたんだ。当然だろう」
そう言って先生は手を離すと、ピンと乳首を弾いた。プルンと揺れる胸。快楽はあるのに、イけないことにじれったくて仕方がない。
けれどこれで先生が私を信じてくれるなら。そう思ってイきたくても我慢する。
「私が良いと言うまでそのままでいなさい」
「……は、はい。先生」
「私に君を信じさせてくれ、ラプンツェル」
そう言って先生はにこりと笑う。
その目はちっとも私を信じてなどいなかった。
それから私はいつもの部屋に戻された。階下の調教部屋は先生の魔法でないと行けない場所らしく、私にはその部屋に辿り着く為の手段は無いに等しい。
だから部屋の存在を知らなかったのだと納得しながらも、私は日常に戻った。
戻った、つもりだった。
「……はぁ、ん」
勉強も仕事もない日々は酷く退屈で、それでいて物足りない日々だった。
快楽を、絶頂を求める身体のうずきは日に日に増していくのに、それを誤魔化すものが何もないというのが余計に辛かった。
こっそりとお風呂の中で乳首を弄っても、気持ちよくはなれてもイくことができない。それがもどかしくて、もどかしくてもどかしくて堪らない。
それどころか昂ぶるだけ昂ぶった身体を持て余す羽目になり、後悔することになったのは言うまでもないだろう。
仕事に行く母のなんと羨ましいことか。ずるいと母に当たってしまいそうで、見送りもせずに寝室に篭ることが多くなった。
同時に先生がずっと家に居るようになったことも、私の疼きを助長させている。
先生なら私を気持ちよくしてくれる。それは私にとって朝になれば太陽が昇ることと同じくらい当然のことだ。
けれど私は先生が嫌なら我慢すると言っている。先生自身を誘惑しないのならば良いかなとも思ったが、私は先生に信じて欲しい。
だから我慢した。じゅくじゅくと疼き続ける蜜壷。切なくてじれったくて仕方がなかったけれど、クリトリスが貞操帯に擦れてもどかしかったけれど、我慢を続けた。
そうすれば先生は私を信じてくれる。先生と母の間に何があったのかは知らないが、母のせいで先生が私を信じてくれないというのが嫌だった。
私を見て欲しい。私は先生を裏切ったりしないから、私だけでも信じて欲しい。そう思ってひたすらに耐えたのだ。
意味もなく甘いと息を漏らしてしまうくらい快楽を求める日々に泣きじゃくりたくなったが、先生の為にひたすらに耐えて。耐えて、耐えて。
「では行って来ますね、ラプンツェル。ああ、そうそう。貞操帯の鍵はここにかけておきますが……触ってはいけませんよ」
「……はい、先生」
私はいつまで耐えればいいのだろう?
黒いローブを着た先生を見送り、私はそんな諦めにも似た感情を抱くようになっていた。
目の前に鍵を置いていかれたことで、もう良いんじゃないかと言う誘惑と、耐えなければいけないという思いがせめぎ合う。
ゴールが見えないことが私の心を弱らせ、同時に先生のあからさまな挑発が、先生が私を信じてくれることなどないのではないかと言う諦めを抱かせていた。
壁に打たれた釘に引っ掛けられた鍵を見つめながら、自然と溜息が漏れる。
「……いつになったら、先生は信じてくれるのかしら」
漏れた弱音は、誰にも聞かせられない本音だ。
憂鬱な気分になりかけたが、私はかぶりをふって気持ちを切り替えた。先生に信じて欲しいならば、私はひたすらに我慢するしかないのだと。
あれ以来、先生は冷たい笑顔しか見せてくれない。だから私は今日も一生懸命先生に好いてもらえる装いをする。
手足と身体を彩る金の鎖のボディチェーンと、肌が透けて見えるくらい薄い布で出来たドレス。先生が一番好きな組み合わせだ。
少しでも先生が喜んでくれるならとお気に入りのドレスを身に纏ったところで、不意に部屋のドアが開かれた。
振り返れば見知らぬ男の人がそこに立っている。彼はぽかんとした顔で此方を見つめていた。私もまた、突然の来訪者に頭が真っ白になる。
「だ、誰……?」
「……驚いた。本当にそっくりだ」
それがこの国の騎士を名乗る男だなんて、私は欠片も思ってもいなかったのだ。
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