【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

文字の大きさ
12 / 66
はじめの一歩

じゅうに

しおりを挟む
「どうすればユートには効率的かわかったわ!今日からはスパルタでいくわよ!」

 2日目にして今日からスパルタ宣言頂きました。
 ララのスパルタメニューは言葉にすると簡単だった。
 魔力が空っぽになるまで魔法を使い、果穂に補充して貰い、また魔力が空っぽになるまで魔力を使う。
 少しずつ魔力を増やしていくことも出来るし一石二鳥だと言う。

 今日もスライムのいる原っぱで、2人から指導を受ける。
 果穂は応援係だ。

 まずは炎。気を失う。果穂が魔力を補充する。
 次は水。以下同文。
 次は風、以下略。
 雷、以下略。

 ゲームで見たようなものを一通り試してみて、その度にぶっ倒れた。
 我ながらコスパ悪すぎないか?

「昨日散々だと思ったけど、今日になって飲み込みが早くなってきたわね」
「そうかな?元の世界でのイメージのお陰かな」
「?元の世界では魔法なかったんじゃ?」
「漫画とかゲームとかあって……わかんないよね……えっとほら、物語とかが豊富だったから、それのお陰かも」
「よくわからないけど、何か掴めたなら良かったわ」
「うん……」
「使える属性は豊富なのよね……今の感じだと」
「そうなんだ」

 この世界では火と水が生活に直結してるから使える人が多いらしい。
 確かに、マッチみたいなものがあっても火が使えたり、安全な飲み水が確保出来れば生活も楽だろう。
 風や雷といった属性になると、使える人は少ないらしい。
 ゲームとかだと火属性のみ、とかは見るけど、水と火ということは進化、というか、それだけ生活に必要なものを身につけてきたのだろう。
 ……闇属性とか光属性とかあるのだろうか。

「魔力どれくらい増えたかとかわかる?」
「数値で見えるものではないけど……これくらいから」
「3ミリくらい」
「これくらいかしら」
「5ミリくらい」

 ポジティブに捉えると、倍近く増えたと思えば大成功なんだろうか……

「ちなみに果穂はどれくらい」

 無言で腕を大きく広げられた。
 なるほど。
 ……なるほど、かわいい。

「毎回魔力補充するのもあれだし、周りにバレちゃうし、もう果穂抱えながら魔法使いなさいよ」
「果穂が危ないだろ!」
「大丈夫よこの子、教えなくてもシールド張ってるわ」
「えっ」

 振り返ると、確かにぼんやりと何か発光しているような……
 えい、と引きちぎった草を投げると、綺麗に反射した。
 ……うちの妹、チート過ぎる。

「偉いな果穂は~!天才だな~!!」
「事実だけど兄馬鹿ね」
「いいからカホ抱えて魔法使ってみろ」

 ルルに渡されて、危ないだろ……と思いながらもそのままスライムに向けて氷魔法を使ってみる。
 ……倒れない。
 そのまま続けて幾つか連発してみる。
 ……倒れない!!

「おおお!」
「おー?」
「すごいな果穂!」

 携帯バッテリー的なものか。一々倒れずに魔法が使える!なんて凄い子なんだ!

「でも駄目ねこれ」
「えっ」
「これじゃいつまで経っても魔力がゴミのままだわ」
「ゴミって!てかララが言ったんじゃないか」
「毎回これだとユート自身の魔力が増えないままだから、何かあった時困ると思うのよ。だから、こうやって人気がない時は魔力空っぽにするまで魔法使って、カホに補充して貰ってを繰り返して魔力の器を大きくしていきましょ。カホの魔力をバレたくない時だけ、カホを守る振りして抱えたまま戦いましょ」
「……」
「結果的にそれがカホを一番守ることだと思うの」
「そうだね」

 できれば果穂を危ないところに連れていきたくない。
 でも一々僕が倒れてたら、果穂が魔力を補充することで聖女だと気付かれるかもしれない。補充する前に連れ去られるかもしれない。
 それなら最初から僕が抱えていたら、バレることも離れてる間に連れていかれることもない。天才か。
 僕の戦闘スタイルが決まった瞬間である。

「でももしもの時にやっぱり剣術も覚えておいた方がいいぞ!」
「それはそう」
「ユートには……これがいいな」

 収納から取り出しましたはシンプルに見える剣。
 勇者が使ってそうで厨二心が擽られる。

「普通にも使えるし、これは少し魔力を流し込むと、ユートの細腕でもドラゴンの鱗くらいは貫けるだろ」

 細腕。鱗。突っ込みたいところはあるが、有難く頂く。
 果穂を守るために文句は言わない。

「踏み込む時に少し風の魔法を使うんだ」

 そうすると高く飛べる、とルル。
 はー、そうやってあの跳躍力を……

「風の属性が一番便利だろうな、振り落とす時にも使える」
「相手によって火の属性とか変えるといいわね、その判断は得意でしょ」

 なるほどなるほど。
 確かに剣に魔法が必要だ。
 そうなるとやっぱり果穂を抱えて突撃する訳にはいかないので、自身の魔力を増やさないといけない。

「果穂、毎回大変だと思うんだけど、兄ちゃん起こすの宜しくな……」
「うん!!」

 ……力強い返事が心強い。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

【完結】平民聖女の愛と夢

ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する

白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。 聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。

処理中です...