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はじめての旅
にじゅうさん
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本日の移動中も特に何もなかった。
精霊様の加護が強いんだろうか。こんな平和な移動でいいのか。いやいいんだけど、ここまで平和だと向こうで漫画やゲームで色々見てただけに逆に不安になる。
これは何か裏があって黒幕がいるな。
……いやいる訳がない。
夕飯の準備をする頃には、果穂の機嫌も戻っていた。
今日は何か作るの?とララとルルも興味津々だ。
たかだか高校生の、しかも簡単な料理しかしてこなかった自分が、こんなに料理を求められるなんて……まあ今だけかな。
「果穂何食べたい?」
「おにく!」
「カホはいつもそれね」
「おにくおいしい!」
「折角野外だしバーベキューしよ」
「バーベキュー?」
「肉や野菜を焼くだけだよ」
カレーも簡単だが、バーベキューも下準備に多少時間は掛かるが、あとは肉用意して野菜切るだけだからなあ。
串に刺すのも面倒なので、焼肉スタイルだ。
バーベキューセットも出してしまえば、あとは焼くだけである。
それでも2人には好評だったので、やはり肉は正義だ。
「ちょっと試したいことがあるんだよね」
「試したいこと」
「ちょっと果穂おいで」
「うん!」
「魔力借りるぞー」
僕が食べたことあるものが出せるなら、鍋や包丁が出せるなら、きっと他の物も、使ったことあるものなら出せる。
魔力次第で。
それなら果穂を抱えたままで欲しいものを出してしまえば、大抵のものはどうにかなるんじゃないか……
「えっ、え、何!?何出すの!?」
「凄い魔力溢れてるけど大丈夫か!?」
ちょっとしたものを出す時とは比じゃないくらいの魔力で、周りが光で包まれる。自分でも眩しい。でも手応えもある。
流石に時間は掛かるな、大きさが大きさだから。でもこれを出せたら果穂も自分も皆も楽になる。大丈夫だ、ちゃんと覚えてる……
「何これ……」
「家か……?」
「ロッジだよ……これ果穂居てもめちゃくちゃ疲れるな」
「嘘でしょ……こんなの……こんなすぐに建てれちゃうの……?」
2人が目を丸くしてる中、果穂だけは元気に飛び跳ねている。元気すぎる。待って息切れしてるんだけど僕。
小学生の頃、友達の家族に連れて行って貰った旅行で泊まったロッジ。
僕にとって旅行は修学旅行以外では初めてだったからよく覚えてる。
キッチン、シャワー、トイレ、リビング、寝室の簡単な作りだ。それで十分。これで果穂をゆっくり寝させてあげられる。
「……これ中入ってもいい?」
「どうぞ」
「かほもはいるー!」
3人はきょろきょろしながらも中に消えて行った。
僕は息を整えるため、座り込んだままだ。我ながら魔力は低いが、中々使える魔法ではないか。簡単なロッジではなく、既に懐かしい我が家も出せるのではないか。外観が浮くけど。
「ねえこれすごいんだけど!」
窓を開けて、ララが叫ぶ。近所迷惑だぞ、誰もいないけど。
早く僕にも来るよう急かすので、重い躰で中に入る。
おお、予想以上によく出来てる。
旅行で使ったのは数年前だが、当時出来たばかりのロッジだったからか、その時のイメージのままだ。いいぞ、清潔なのはとてもいい。
「ここ何?」
「お風呂場だよ、シャワー浴びれる……あ、凄いこれどうなってるんだろ、ちゃんとお湯が出る」
「!旅の途中でも川遊びとかじゃなくお風呂に入れるってこと……!?」
凄い凄いとララが嬉しそうだ。
女の子だもんな、そういうの気になっちゃうよな。ルルだけならともかく、僕達もいればこっそり川に入るのも大変だろう。
「後で使ってもいい!?」
「勿論」
「先に他のとこも見たいわ」
「キッチンと寝室くらいしかないけど」
キッチンは狭め。コンロは2口。これまたちゃんと火が点く。どういう仕組みになってるんだろう。
僕が点くと思ってるから点くのだろうか。
よく考えたら、当然のように電気も煌々と点いている。
電気使えるの?冷蔵庫は?電子レンジは?炊飯器は?
「スイッチが点く!えっ冷蔵庫ちゃんと冷たい!」
どういうことだ、これにも魔力が使われてるのか?今現在も魔力を消費してるんだろうか。
でも使えるのすごい。ご飯は安心して炊けるし、冷めたものは温められるし、収納だと常温のままだけど、これなら冷たいものも冷たく頂ける。
「いやもうこれ住めるじゃん、日本と一緒じゃん、僕めちゃくちゃ凄いじゃん」
昨日出したものを冷蔵庫にぽいぽい入れておく。泣きそう。日常って大事だったんだな……
本当に数日しか経ってないのに、こんな行為が既に懐かしい。
「おいすげーぞ上がってこい!」
いつの間にか果穂とルルは2階に上がっていたらしい。
今度はルルが嬉しそうな声を出していた。
「なによー」
「ベッドがすっげー柔らかい!」
「なにこれほんとにふかふかじゃないの!」
特別いいベッドではない。
それでもこの世界の硬いベッドに慣れた2人には豪華なベッドに感じられたのだろう。
喜ぶ2人が子供のようでかわいい。そこに果穂も入ってはい、かわいい。僕の魔力が持ってかれた甲斐があるってもんだ。
その晩、僕を含め、4人とも見張りをすっかり忘れ安眠を貪ってしまったのだった。
精霊様の加護が強いんだろうか。こんな平和な移動でいいのか。いやいいんだけど、ここまで平和だと向こうで漫画やゲームで色々見てただけに逆に不安になる。
これは何か裏があって黒幕がいるな。
……いやいる訳がない。
夕飯の準備をする頃には、果穂の機嫌も戻っていた。
今日は何か作るの?とララとルルも興味津々だ。
たかだか高校生の、しかも簡単な料理しかしてこなかった自分が、こんなに料理を求められるなんて……まあ今だけかな。
「果穂何食べたい?」
「おにく!」
「カホはいつもそれね」
「おにくおいしい!」
「折角野外だしバーベキューしよ」
「バーベキュー?」
「肉や野菜を焼くだけだよ」
カレーも簡単だが、バーベキューも下準備に多少時間は掛かるが、あとは肉用意して野菜切るだけだからなあ。
串に刺すのも面倒なので、焼肉スタイルだ。
バーベキューセットも出してしまえば、あとは焼くだけである。
それでも2人には好評だったので、やはり肉は正義だ。
「ちょっと試したいことがあるんだよね」
「試したいこと」
「ちょっと果穂おいで」
「うん!」
「魔力借りるぞー」
僕が食べたことあるものが出せるなら、鍋や包丁が出せるなら、きっと他の物も、使ったことあるものなら出せる。
魔力次第で。
それなら果穂を抱えたままで欲しいものを出してしまえば、大抵のものはどうにかなるんじゃないか……
「えっ、え、何!?何出すの!?」
「凄い魔力溢れてるけど大丈夫か!?」
ちょっとしたものを出す時とは比じゃないくらいの魔力で、周りが光で包まれる。自分でも眩しい。でも手応えもある。
流石に時間は掛かるな、大きさが大きさだから。でもこれを出せたら果穂も自分も皆も楽になる。大丈夫だ、ちゃんと覚えてる……
「何これ……」
「家か……?」
「ロッジだよ……これ果穂居てもめちゃくちゃ疲れるな」
「嘘でしょ……こんなの……こんなすぐに建てれちゃうの……?」
2人が目を丸くしてる中、果穂だけは元気に飛び跳ねている。元気すぎる。待って息切れしてるんだけど僕。
小学生の頃、友達の家族に連れて行って貰った旅行で泊まったロッジ。
僕にとって旅行は修学旅行以外では初めてだったからよく覚えてる。
キッチン、シャワー、トイレ、リビング、寝室の簡単な作りだ。それで十分。これで果穂をゆっくり寝させてあげられる。
「……これ中入ってもいい?」
「どうぞ」
「かほもはいるー!」
3人はきょろきょろしながらも中に消えて行った。
僕は息を整えるため、座り込んだままだ。我ながら魔力は低いが、中々使える魔法ではないか。簡単なロッジではなく、既に懐かしい我が家も出せるのではないか。外観が浮くけど。
「ねえこれすごいんだけど!」
窓を開けて、ララが叫ぶ。近所迷惑だぞ、誰もいないけど。
早く僕にも来るよう急かすので、重い躰で中に入る。
おお、予想以上によく出来てる。
旅行で使ったのは数年前だが、当時出来たばかりのロッジだったからか、その時のイメージのままだ。いいぞ、清潔なのはとてもいい。
「ここ何?」
「お風呂場だよ、シャワー浴びれる……あ、凄いこれどうなってるんだろ、ちゃんとお湯が出る」
「!旅の途中でも川遊びとかじゃなくお風呂に入れるってこと……!?」
凄い凄いとララが嬉しそうだ。
女の子だもんな、そういうの気になっちゃうよな。ルルだけならともかく、僕達もいればこっそり川に入るのも大変だろう。
「後で使ってもいい!?」
「勿論」
「先に他のとこも見たいわ」
「キッチンと寝室くらいしかないけど」
キッチンは狭め。コンロは2口。これまたちゃんと火が点く。どういう仕組みになってるんだろう。
僕が点くと思ってるから点くのだろうか。
よく考えたら、当然のように電気も煌々と点いている。
電気使えるの?冷蔵庫は?電子レンジは?炊飯器は?
「スイッチが点く!えっ冷蔵庫ちゃんと冷たい!」
どういうことだ、これにも魔力が使われてるのか?今現在も魔力を消費してるんだろうか。
でも使えるのすごい。ご飯は安心して炊けるし、冷めたものは温められるし、収納だと常温のままだけど、これなら冷たいものも冷たく頂ける。
「いやもうこれ住めるじゃん、日本と一緒じゃん、僕めちゃくちゃ凄いじゃん」
昨日出したものを冷蔵庫にぽいぽい入れておく。泣きそう。日常って大事だったんだな……
本当に数日しか経ってないのに、こんな行為が既に懐かしい。
「おいすげーぞ上がってこい!」
いつの間にか果穂とルルは2階に上がっていたらしい。
今度はルルが嬉しそうな声を出していた。
「なによー」
「ベッドがすっげー柔らかい!」
「なにこれほんとにふかふかじゃないの!」
特別いいベッドではない。
それでもこの世界の硬いベッドに慣れた2人には豪華なベッドに感じられたのだろう。
喜ぶ2人が子供のようでかわいい。そこに果穂も入ってはい、かわいい。僕の魔力が持ってかれた甲斐があるってもんだ。
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