【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

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2人の聖女様

ごじゅうろく

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「……だめです、絞れない」
「そんなに怪しい人いる?」
「『聖女様』も王族も恨まれることは多いですから……」
「……」
「こわいですよね、私だって恨まれたくないです。だから聖女様になんてなりたくなかった……どれだけ救っても、守れない命が少しでもあったら恨まれちゃいますよね……どれだけ、救えても」

 何も言えなかった。
 どちらの気持ちもわかるから。
 それを聖女様に押し付けるのはおかしいけど、そこにしか怒りの持って行き場がない。
 聖女様が傷付くとわかっていても。

「例えば孤児院のこともありますよね」
「……ああ」
「別に子供達を苦しめようと思ってる訳ではなかったんです、ただ普通の相場がわからなくて、自分達のことの方が大事なだけ。だから私がお願いしたら、最初は十分だろうと渋りましたが、街の目のことを突くとすぐに了承したんです」

 そんな簡単に……
 カレンにお願いしたのは間違ってはなかったようだけど。

「……リュカ様はとても優しい方。街のことも気にしてくれて、孤児院のことも率先して動いてくれました……ただほんとに、王族の普通しか知らなかったから、街の闇はわかってなかっただけ。それを今から変えていこうって、言ってくれたんです」
「そうだったんだ……」
「第1王子だから、勿論その下の王子様達も……仲良くしているように見えましたが、そのお母様や周りの人はリュカ様が邪魔だと思う人も多かったでしょうね」
「……」

 この世界の王族とか全く関わらなかったから知らなかったけど、やっぱり妾さんとかいたんだろう。
 所謂腹違いの兄弟が沢山いて、ひとつの地位を取り合うと。

「一番怪しいのは?」
「……わからないです、もう誰が怪しくて、誰が怪しくないのか」
「じゃあ……カレンだけでも第1王子だけでもなく、2人のことを疎ましいと思ってる人は?」
「……それも、大勢いるかと……私を聖女として迎えるのを反対していた方もいますし、それを助けてくれたのはリュカ様なので……私が気に入らないからリュカ様を排除したい方もいましたし、リュカ様側に聖女がつくのを嫌がってる方もいると聞いたこともあります」
「ううん……呪いのような魔法を使う人に心当たりは?」
「すみません、それも……」

 言葉に詰まる。
 カレンがわからなければ僕達もわからない。
 せめて果穂が確認出来れば……

 そう思っていたのがバレたのか、じゃあ果穂が見る、と言い出した。

「何言ってんの果穂、危ないんだぞ!」
「そうですよ!感染してしまったら……!」
「かほだいじょーぶだよ、かほびょーきしないよ」
「果穂……」
「にいにはすぐしんぱいするね」
「するに決まってるだろ、もし怪我したり呪われたり、果穂がいなくなったら……」
「いなくならないよ、ようせいさんもだいじょぶって」
「……じゃあ僕も行く」
「何言ってんの2人とも……」
「もし何かがあった時の為に絶対果穂から離れない」

 もしばれてしまった時は僕がどうにかするつもりだ。
 お城をぶっ壊してでも逃げる。

「あ、あの、見るとは……」
「カレンちゃんにわるいことしてるひとみつけにいく!」
「どうやって……」
「おしろのなかはいる」
「それは……どうやって」
「……カレンに頼まれてリュカ様の様子を見に来た精霊士ってことにしよう」
「えっ」
「実際に見るのは果穂だ、でも僕が精霊士だってことにしたい」

 精霊が騒いでるとか少ないとかそれらしいことを言って、原因を特定する為にとお城の中を歩かせてもらう。
 全員の確認は難しいだろうが、部屋の前とかを通ればわかるだろう、果穂が。
 そいつを取っ捕まえて吐かせるかどうかすればいい。

「みたらわかるとおもう、カレンちゃんとおーじさまにわるいことしてるひと、もやもやしてるひと、さがす」

 果穂にはまだ語彙力がない。
 自分でもどう伝えたらいいのかわからないのだろう、顔が必死だ。

「……今日はもう帰ろう。そして朝お城に向かうよ」
「私はそれを出迎えたらいいんですね……?」
「うん……大丈夫だよ、僕も他力本願なんだけどさ、精霊様がきっと助けてくれる」

 また泣き出したカレンにハンカチと、以前ララから借りたままの、魔力の入った玉を渡した。
 これは?と訊くカレンに説明をして、今夜はこれで凌いで欲しいと伝える。

「魔力が、この中に……」
「そう、本当は今、このまま行けたらいいんだけど多分お城にはこんな時間だし入れてもらえないよね、だからそれまで魔力に困るようならこれを使って」
「ありがとうございます……」
「……お城まで送るよ」

 結構長く話してしまった。
 僕達は今から帰って寝れるけど、カレンはきっと眠れないだろう。
 ……早くどうにかしてあげたい。
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