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聖女様は世界が見たい
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そしてわたしは明日旅に出る。
お兄ちゃんと約束してたの、お兄ちゃんがこの世界に来た、17歳になったら許すって。
わたしは聖女様になる。
不思議とどんどん力が強くなってる気がするの。
もう隠し切れないとも思ったし、やっぱり隠したままではいけない力だと思う。
カレンちゃんを見て、わたしも、わたしが選んだ人だけじゃなくて、この世界に使わなきゃいけない力なんじゃないかって思った。
もう十分子供として甘やかして貰った。
お兄ちゃんのとこにいけば、わたしは幾つになっても妹になれる。だから自分から飛び出さなきゃ。
お兄ちゃんに教えて貰った。
いつかわたしが世界を救わないといけない事態になるのが決まってるらしいって。
それを聞いておいて、その時までぼおっと待っていていいのかな。だめだよね。
その時までに準備しておかなきゃだめだ。
だからわたしは旅に出る。それはいつかの為に。準備の為の旅。
学園に通って、色々習った。聖女だって隠してるから、皆に内緒の魔法もたくさん練習した。
そこで会得した転移魔法。
でもこれはどこでもいけるわけではなくて、行ったことがある場所……ちゃんと転移陣がないとだめなんだって。
だからわたしは色んなところに行って、転移陣を残すことにした。
だってわたしは世界を救うんでしょ、それならすぐそこにいけなきゃだめじゃない、遅れてきた聖女なんて役に立たない。
何かあってからじゃだめ。生きてなきゃ意味ない。
だから今のうちに準備をしていくの。
世界中を旅して、戻ってきたら聖女だって公表しよう。
その時わたしはいくつになってるかな。
世界がどうなってるかわからないから、もしかしたら前の世界よりずっと狭くて、すぐ帰ってこれるかもしれないし、広過ぎておばあちゃんになってるかもしれない。
でも行かなきゃ何もわからない。
小さい国は困ってる人がたくさんいるかもしれない。
大きい国には悪い人がたくさんいるかもしれない。
途中でこわい化け物に会うかもしれない。
素敵な人に会えるかもしれない。
美しい景色を見れるかもしれない。
そういうものを見る為に、世界を知る為に。
「もう明日かあ」
「寂しい?ねえお兄ちゃん寂しい?」
「寂しいよそりゃあ、でもお前のことだし、どうせすぐ戻ってくるんだろ?」
「えへへ、便利だよね、転移魔法!毎日帰って来てもいいんだけど~」
「それでもいいぞ、と言いたいところだけど、旅に出るなら駄目だ、たまににしなさい」
「お兄ちゃん何だかんだわたしに甘いとこ大好き!」
腕にぎゅうっとしがみつく。
お兄ちゃんであって甘いお父さんみたいな存在。
わたしとは血が繋がってないのに、それでも大事にだいじに、わたしのことばかり考えて育ててくれた人。
離れるのはわたしの方がきっと寂しい。
でもお兄ちゃんにはもう綺麗な奥さんがいて、かわいいかわいい息子も出来た。
もうわたしだけが大事なわけじゃない。
それが嫌なわけじゃない。嬉しい。
わたしがお兄ちゃんの未来を奪わなくて嬉しい。
それだけが、わたしがこの世界に来た時の後悔。
だからわたしは旅に出られる。
「でもあれだな」
「うん?」
「ルイズ様も行くんだろ?男と2人ってのがなー、百花とか……ルルとか……」
「だめだよ、百花ちゃんもルルくんもお仕事あるでしょ、お兄ちゃんお仕事は大事だって言ってたじゃん、それに百花ちゃんやルルくんいたらいつまでたってもわたし甘えっ子だよ」
それにしてもなあ、と唸るお兄ちゃん。
酷い、精霊様もいるんだし、わたしだってそんな浮かれた気持ちで旅に出る訳じゃないんだからね!
第2王子のルイズ様。
リュカ様が順当に王様になったし、元々ルイズ様は王位はリュカ様が継ぐべきたと言ってたので、そこで揉めることはなかったみたい。
ただ周りが赦しても、自分の母親のこともあるからずっと悩んでたんだろうな、カレンちゃんから聞いて、わたしに一緒に連れて行ってくれないかと打診がきた。
王族だし、お仕事関係とか婚姻関係とか面倒くさ……大変そうだからお断りしようと思ったんだけど、ルイズ様も色々あるんだろうな、どうしてもとお願いされたので了承してしまった。
リュカ様にもお願いされちゃったしね。
いざとなればわたしの転移魔法で逃げられるし、魔法も使えるし、王族といえど守られるだけじゃないでしょ、多分。
そんな訳で、わたしとルイズ様と、精霊様と旅に出る。
お兄ちゃんからは餞別として昔作ったロッジも貰ったし……というかずっとわたしが収納してるし、お味噌や醤油とか、慣れ親しんだ調味料も貰った。
無くなったらまた貰いに帰ってくるくらいのつもりでいる。
世界を見に行くとはいえ、わたしの帰る場所はすぐ傍にあるのだ。
長く重い旅のようで、いつでも帰って来れる旅。
それくらいがわたしにはあってる。
甘えないようにと同行を断っておきながら、いつでもお兄ちゃんに会えるようにしておくの。
だってわたしは我儘な聖女様。
今まで自由に生きてきた。
そしてこれからも。
聖女になるのはわたしの意思。
お兄ちゃんが悩んでたように、わたしの未来を誰かに縛らせたりしない。
だってわたしには力があるから。
わたしを止められるのはお兄ちゃんだけ。
「行ってくるね、でもすぐに帰ってくるから!」
それまでは、わたしが聖女なのは内緒でお願いします!
お兄ちゃんと約束してたの、お兄ちゃんがこの世界に来た、17歳になったら許すって。
わたしは聖女様になる。
不思議とどんどん力が強くなってる気がするの。
もう隠し切れないとも思ったし、やっぱり隠したままではいけない力だと思う。
カレンちゃんを見て、わたしも、わたしが選んだ人だけじゃなくて、この世界に使わなきゃいけない力なんじゃないかって思った。
もう十分子供として甘やかして貰った。
お兄ちゃんのとこにいけば、わたしは幾つになっても妹になれる。だから自分から飛び出さなきゃ。
お兄ちゃんに教えて貰った。
いつかわたしが世界を救わないといけない事態になるのが決まってるらしいって。
それを聞いておいて、その時までぼおっと待っていていいのかな。だめだよね。
その時までに準備しておかなきゃだめだ。
だからわたしは旅に出る。それはいつかの為に。準備の為の旅。
学園に通って、色々習った。聖女だって隠してるから、皆に内緒の魔法もたくさん練習した。
そこで会得した転移魔法。
でもこれはどこでもいけるわけではなくて、行ったことがある場所……ちゃんと転移陣がないとだめなんだって。
だからわたしは色んなところに行って、転移陣を残すことにした。
だってわたしは世界を救うんでしょ、それならすぐそこにいけなきゃだめじゃない、遅れてきた聖女なんて役に立たない。
何かあってからじゃだめ。生きてなきゃ意味ない。
だから今のうちに準備をしていくの。
世界中を旅して、戻ってきたら聖女だって公表しよう。
その時わたしはいくつになってるかな。
世界がどうなってるかわからないから、もしかしたら前の世界よりずっと狭くて、すぐ帰ってこれるかもしれないし、広過ぎておばあちゃんになってるかもしれない。
でも行かなきゃ何もわからない。
小さい国は困ってる人がたくさんいるかもしれない。
大きい国には悪い人がたくさんいるかもしれない。
途中でこわい化け物に会うかもしれない。
素敵な人に会えるかもしれない。
美しい景色を見れるかもしれない。
そういうものを見る為に、世界を知る為に。
「もう明日かあ」
「寂しい?ねえお兄ちゃん寂しい?」
「寂しいよそりゃあ、でもお前のことだし、どうせすぐ戻ってくるんだろ?」
「えへへ、便利だよね、転移魔法!毎日帰って来てもいいんだけど~」
「それでもいいぞ、と言いたいところだけど、旅に出るなら駄目だ、たまににしなさい」
「お兄ちゃん何だかんだわたしに甘いとこ大好き!」
腕にぎゅうっとしがみつく。
お兄ちゃんであって甘いお父さんみたいな存在。
わたしとは血が繋がってないのに、それでも大事にだいじに、わたしのことばかり考えて育ててくれた人。
離れるのはわたしの方がきっと寂しい。
でもお兄ちゃんにはもう綺麗な奥さんがいて、かわいいかわいい息子も出来た。
もうわたしだけが大事なわけじゃない。
それが嫌なわけじゃない。嬉しい。
わたしがお兄ちゃんの未来を奪わなくて嬉しい。
それだけが、わたしがこの世界に来た時の後悔。
だからわたしは旅に出られる。
「でもあれだな」
「うん?」
「ルイズ様も行くんだろ?男と2人ってのがなー、百花とか……ルルとか……」
「だめだよ、百花ちゃんもルルくんもお仕事あるでしょ、お兄ちゃんお仕事は大事だって言ってたじゃん、それに百花ちゃんやルルくんいたらいつまでたってもわたし甘えっ子だよ」
それにしてもなあ、と唸るお兄ちゃん。
酷い、精霊様もいるんだし、わたしだってそんな浮かれた気持ちで旅に出る訳じゃないんだからね!
第2王子のルイズ様。
リュカ様が順当に王様になったし、元々ルイズ様は王位はリュカ様が継ぐべきたと言ってたので、そこで揉めることはなかったみたい。
ただ周りが赦しても、自分の母親のこともあるからずっと悩んでたんだろうな、カレンちゃんから聞いて、わたしに一緒に連れて行ってくれないかと打診がきた。
王族だし、お仕事関係とか婚姻関係とか面倒くさ……大変そうだからお断りしようと思ったんだけど、ルイズ様も色々あるんだろうな、どうしてもとお願いされたので了承してしまった。
リュカ様にもお願いされちゃったしね。
いざとなればわたしの転移魔法で逃げられるし、魔法も使えるし、王族といえど守られるだけじゃないでしょ、多分。
そんな訳で、わたしとルイズ様と、精霊様と旅に出る。
お兄ちゃんからは餞別として昔作ったロッジも貰ったし……というかずっとわたしが収納してるし、お味噌や醤油とか、慣れ親しんだ調味料も貰った。
無くなったらまた貰いに帰ってくるくらいのつもりでいる。
世界を見に行くとはいえ、わたしの帰る場所はすぐ傍にあるのだ。
長く重い旅のようで、いつでも帰って来れる旅。
それくらいがわたしにはあってる。
甘えないようにと同行を断っておきながら、いつでもお兄ちゃんに会えるようにしておくの。
だってわたしは我儘な聖女様。
今まで自由に生きてきた。
そしてこれからも。
聖女になるのはわたしの意思。
お兄ちゃんが悩んでたように、わたしの未来を誰かに縛らせたりしない。
だってわたしには力があるから。
わたしを止められるのはお兄ちゃんだけ。
「行ってくるね、でもすぐに帰ってくるから!」
それまでは、わたしが聖女なのは内緒でお願いします!
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