捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中

文字の大きさ
3 / 57

第3話 ギフト『家電量販店』

しおりを挟む
「ん? ここは……」

 俺が目を開けると、そこには雲一つない青空が広がっていた。

 ここはどこだ?

 前世の記憶を取り戻したときと似ているが、あの時と違って今は天井や壁が存在しない。

 俺は体を起こして辺りを見渡して、意識を失う直前の記憶を思い出した。

「確かギフトが『家電量販店』だからっていう理由で、『死地』に追放されたんだっけか。いてて、まだ首が痛いぞ」

 俺はウィンスに殴られたところを撫でながら、何もない地平線をぼうっと見つめる。

「『死地』って呼ばれるだけのことはあるよなぁ」

 俺の視線の先には草木が一切生えておらず、建造物も何もなかった。

 気温が高すぎて草木が育たないというわけではなく、単純に地面に栄養と水がないから草木が干からびた土地。

人どころか魔物さえも好んで近づかないと言われている死んだ土地、通称『死地』。

「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」

 普通は貴族としての建前がどうとかあるだろ! 追放物でいきなり殺しにかかるなんて、アニメとかラノベのテンプレを知らんのか!

 俺は心の中で一人ツッコんでから、大きくため息を漏らす。

「とりあえず、これからどうやって生きていくか決めないとな」

 確か、人間って水がないと3日くらいで死んじゃうんだったよな?

 そうなると、大至急必要やるべきことは水源の確保か。

「といっても、近くに水があればここは『死地』なんて呼ばれないよな」

 雨が降れば多少はどこかに水が溜まるかもしれないが、一週間雨が降らないなんてことも普通に考えられる。

 さすがに、雨ごいをして三日間待つのは運に任せ過ぎだろう。

「とりあえず、ギフトの『家電量販店』がどんなものか試してみるか」

 もしかしたら、現状を奪回できる一手が『家電量販店』にあるかもしれない。

 というか、服以外に何も持っていないわけだし、『家電量販店』に賭けるしかない。

 俺は右手を何もない場所に向けて、ぐっと腕に力を入れる。

 初めて使うギフトだというのに、なんとなくこうすれば発動することができるのだということが分かった。

「いでよ! 『家電量販店』! うおっ!」

 俺がそう言うと、突然カッと目の前が光り、ぼふっという煙と共に強い風を感じた。

 それから少しして煙が晴れてから目を開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。

「おお、本当に『家電量販店』がある」

そこにはよく知っている七階建ての『家電量販店』が建っていた。

 自然と引かれるように俺がドアの前に立つと、ドアは自動で音を立てて開く。そして、ドアの先には最新家電たちが並べられていた。

「おおお、マジで異世界なのに家電があるぞ。一階はスマホ売り場がメインか?」

 俺は最新機種が並べられている売り場を通りながら、異世界なのに電化製品があるという状況に戸惑いと感動を覚えていた。

 いや、まぁ家電があるからどうしたと言われれば、その通りなんだけどな。

 ていうか、どういう原理で蛍光灯の電気が付いているんだ?

 俺はやけに明るい店内を歩きながら、ふと気になって天井を見上げる。

 電気がない世界だというのに、天井には普通の家電量販店と変わらない数の蛍光灯がつけられていた。

 電力をどうやって賄っているんだよ、異世界だぞここは。

「ん? フロアマップ? え、地下に食品あるの?」

 俺が一階のフロアを歩いて色々と見ていると、ふいにフロアマップを発見した。

 どうやら、そのフロアマップによると、地下には食品や日用品と医薬品などがあるみたいだ。

 俺は唾を飲んで微かに乾いている喉を潤わせてから、速足でエスカレーターを下っていった。

 そして、エスカレーターが下っていった先に広がる景色を前にして、俺は『おおっ』と感動の声を漏らした。

 レトルト用品や飲料水にお酒、機能性食品や衣料品に日用品に医薬品。それらがずらっと並んでおり、選びたい放題といった感じになっていた。

 俺はずらっと並んでいる商品の名から、陳列されているミネラルウォーターに手を伸ばした。

 ……会計しないと万引きになるなんてことはないよな? なんか値段表示とかないし、そもそも『家電量販店』って俺のギフトだし。

 試しにミネラルウォーターを取って飲んでみたが、特に防犯ブザーなどが鳴ることはなかった。

 まぁ、味は普通のミネラルウォーターって感じだな。

 もしかして、ここにある商品全部無料で食べ飲み放題?

「これって……一生ここで暮らせるんじゃね?」

 水の確保ができればと思って『家電量販店』を使ってみたが、これは想像以上の収穫だな。

 さすがに生野菜とか生魚とかはないかもしれないが、それでも生きていくには十分すぎる物たちが揃っている。

 ウィ、ウィーン。

 俺がそう考えて口元を緩めていると、どこかから機械音が聞こえてきた。

 ミネラルウォーターを飲みながら音のする方を振り向くと、徐々にその音がこちらに近づいてきていた。

「な、なんだこの音は……」

 ウィーン、ウィーン、ウィーン。

 徐々に近づいてくる未知の音を前に、俺はミネラルウォーターを口から離す。

 俺が息を飲んで小さく構えていると、その機械音の正体が俺のもとに近づいてきた。

 白を基調とした細身のフォルムをしたそれは、胸元に液晶をつけており、真っ黒な目で俺をジィっと見ている。

 ザ・ロボットというような形をしているそれは、機械音を立てながらせわしなく動いていた。

「ペッハー君?」

 機械音を出しながら俺のもとに近づいてきていたのは、みんなご存じ人型ロボットのペッハー君だった。

「ウェルカムデス。ダンナサマ!」

 ペッハー君はボーカロイドのような声でそう言うと、両手を上げて俺を迎えてくれたのだった。

ん? 今俺のことを旦那様と言ったか?

これが俺とアリス(ペッハー君)との最初の出会いだった。

 そして、この時の俺は知るはずがなかった。というか、誰も想像することなどできるはずがないだろう。

このペッハー君が、俺の人生におけるメインヒロインになるなんて。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

ありふれた話 ~追放された錬金術師は、神スキル【物質創造】で辺境に楽園を築きます。今さら戻ってこいと言われても以下略

ゆきむらちひろ
ファンタジー
「追放」「ざまぁ」「実は最強」「生産チート」「スローライフ」「可愛いヒロイン」などなど、どこかで見たことがあるような設定を山盛りにして、ゆきむら的に書き殴っていく異世界ファンタジー。 ■あらすじ 勇者パーティーで雑用兼ポーション生成係を務めていた錬金術師・アルト。 彼は勇者から「お前のスキルはもう限界だ。足手まといだ」と無一文で追放されてしまう。 失意のまま辺境の寂れた村に流れ着いたアルトだったが、 そこで自身のスキル【アイテム・クリエーション】が、 実はただのアイテム作成ではなく、 物質の構造を自在に組み替える神の御業【物質創造】であることに気づく。 それ以降、彼はその力で不毛の土地を肥沃な農地に変え、 枯れた川に清流を呼び戻し、 村人たちのために快適な家や温泉まで作り出していく。 さらに呪いに苦しむエルフの美少女を救い、 お人好しな商人、訳ありな獣人、腕利きのドワーフなどを取り入れ、 アルトは辺境を活気あふれる理想郷にしようと奮闘する。 一方、アルトを追放した勇者パーティーは、なぜかその活躍に陰りが見えてきて……。  ―・―・―・―・―・―・―・― タイトルを全部書くなら、 『追放された錬金術師は、神スキル【物質創造】で辺境に楽園を築きます ~今さら戻ってこいと泣きつかれても、もう遅い。周りには僕を信じてくれる仲間がいるので~』という感じ。ありそう。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に同内容のものを投稿しています。 ※この作品以外にもいろいろと小説を投稿しています。よろしければそちらもご覧ください。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」 幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。 あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。 しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。 俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる! 「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」 俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。 その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。 「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」 「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」 『コメント:なんだこの配信……神か?』 『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』 これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。

処理中です...