14 / 57
第14話 異世界での現代での移動手段
しおりを挟む
「ラインさん。お待たせしまし……た」
俺たちが支度を終えて『家電量販店』の入口に向かうと、俺が多めに置いておいたラインの分の食事が綺麗になくなっていた。
まさか、この短時間で完食するとは思わなかった。腹が減っているだろうかと思って数食分置いておいたんだけど。
ラインさんはそれでもまだ足りなかったのか、スプーンを使って容器の隅にある食べ物を慎重に掬おうとしていた。
しかし、ラインさんは声をかけられて俺たちが来たことに気づいたようで、慌てたように容器を置いて背筋をピンと伸ばす。
「はっ、メビウス様! お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ございません!」
「い、いえ、綺麗に食べてもらえたのなら良かったです」
俺がそう言うと、ラインさんはまた深々と頭を下げた。
おかしいな。俺がもう貴族ではないことはラインに教えてあるんだけど、やけに畏まってしまっている。
俺は頬をかいてから本来の目的を思い出して続ける。
「それじゃあ、ラインさんのお仲間がいる所まで案内してもらっていいですか?」
「分かりました! 荷物は私がお運び……あれ? メビウス様。荷物はどちらに?」
ラインさんは顔を上げて立ち上がってから、俺たちの荷物が俺の背負っているランドセルだけだと気づいたようで首を傾げていた。
まぁ、これから食料を届けに行くと言っておいてランドセル一つで出てきたら、そんな反応にもなるか。
「ちゃんと村の方たちの分の食糧はここに入っていますよ。えっと、特殊な鞄なので村の人たちが何人いても平気なくらいには食糧が入っています」
「なるほど。魔法袋みたいな鞄でしたか。すみません、初めて見るタイプの鞄だったので気づけませんでした」
ラインさんは感心するようにそんな言葉を漏らした後、すぐに何かを思い出したように顔を曇らせた。
「ラインさん?」
「非常に言い出しにくかったんですが、実はここから結構距離あるんです。私も二日間歩き続けて、ようやくこの館にたどり着いたので」
ラインさんはそう言うと、申し訳なさそうに頭を掻いた。
多分、あえて言わなかったのではなくて本当に言い忘れていたのだろう。あれだけフラフラの状態だったんだから、そうなるのも当然だ。
俺はラインさんが眉を下げたのを見て顔を横に振る。
「大丈夫ですよ。そうなるんじゃないかと思って、良い物を持ってきたので」
「良い物?」
俺はラインさんがきょとんと首を傾げたのを見て、後ろに控えるアリスの方に振り返る。
「アリス」
「はい、旦那様」
すると、アリスは頷いてから入り口の自動ドア付近に立った。
そして、ラインは自動ドアが開いた先にあったモノを見て目を細める。
「こ、これは……なんですか?」
「特定小型原付です。こじんまりした原付みたいな感じですね」
自動ドアが開いた先にあったのは、三台の電動の特定小型原付だった。
本来は自転車と原付の間のような物なので、タイヤも小さく折りたためるタイプが多い。しかし、どこでも走れるようにとか速度面とか色々と仕様変更をした結果、ほぼ原付みたいになってしまった。
「げ、原付というのは?」
俺はそんなラインさんの言葉を聞いて、昔見たテンプレのアニメやラノベと近いものを感じた。
なんかこの感じ、文明レベルの低い世界に転生して、薄い知識で無双する系のアニメとかラノベみたいだ。
……うん、実際に体験してみると、この感じは結構悪くないかも。
俺はそんなことを考えながら、特定小型原付に跨ってアクセルをふかして説明をする。
「こんな感じで跨って、アクセルを回すと走るんです。大気中にある魔力を吸って動くようにしたので、燃料が尽きることもないんじゃないかなと思います」
常に燃料を消費するものだからどうしようかと思ったが、そこは太陽光電池とかの原理をイメージしてみた。
この世界には大気中にも魔力が存在する。だから、それを吸う仕組みにしたら面白いんじゃないかと思い、仕様変更をしてみた。
アクセルをふかしても問題がない所を見ると、今回も仕様変更が上手くいったみたいだ。
俺がそんなことを考えながら得意げに笑みを浮かべると、途中まで真面目な顔で話を聞いていたラインさんがぽかんと口を開けていた。
「もしかして、メビウス様は発明家様なのですか?」
「発明家? いやいや、そんな大層な物じゃないですって」
俺は頭をブンブンと振って否定したが、ラインさんは俺の言葉が聞こえていないのか羨望の眼差しを俺に向けていた。
どうやら、どんどんとラインの中での俺の評価が上がっていっているような気がした。
そんなことがあって、俺たちはラインさんの仲間の元へと急ぐことになったのだった。
俺たちが支度を終えて『家電量販店』の入口に向かうと、俺が多めに置いておいたラインの分の食事が綺麗になくなっていた。
まさか、この短時間で完食するとは思わなかった。腹が減っているだろうかと思って数食分置いておいたんだけど。
ラインさんはそれでもまだ足りなかったのか、スプーンを使って容器の隅にある食べ物を慎重に掬おうとしていた。
しかし、ラインさんは声をかけられて俺たちが来たことに気づいたようで、慌てたように容器を置いて背筋をピンと伸ばす。
「はっ、メビウス様! お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ございません!」
「い、いえ、綺麗に食べてもらえたのなら良かったです」
俺がそう言うと、ラインさんはまた深々と頭を下げた。
おかしいな。俺がもう貴族ではないことはラインに教えてあるんだけど、やけに畏まってしまっている。
俺は頬をかいてから本来の目的を思い出して続ける。
「それじゃあ、ラインさんのお仲間がいる所まで案内してもらっていいですか?」
「分かりました! 荷物は私がお運び……あれ? メビウス様。荷物はどちらに?」
ラインさんは顔を上げて立ち上がってから、俺たちの荷物が俺の背負っているランドセルだけだと気づいたようで首を傾げていた。
まぁ、これから食料を届けに行くと言っておいてランドセル一つで出てきたら、そんな反応にもなるか。
「ちゃんと村の方たちの分の食糧はここに入っていますよ。えっと、特殊な鞄なので村の人たちが何人いても平気なくらいには食糧が入っています」
「なるほど。魔法袋みたいな鞄でしたか。すみません、初めて見るタイプの鞄だったので気づけませんでした」
ラインさんは感心するようにそんな言葉を漏らした後、すぐに何かを思い出したように顔を曇らせた。
「ラインさん?」
「非常に言い出しにくかったんですが、実はここから結構距離あるんです。私も二日間歩き続けて、ようやくこの館にたどり着いたので」
ラインさんはそう言うと、申し訳なさそうに頭を掻いた。
多分、あえて言わなかったのではなくて本当に言い忘れていたのだろう。あれだけフラフラの状態だったんだから、そうなるのも当然だ。
俺はラインさんが眉を下げたのを見て顔を横に振る。
「大丈夫ですよ。そうなるんじゃないかと思って、良い物を持ってきたので」
「良い物?」
俺はラインさんがきょとんと首を傾げたのを見て、後ろに控えるアリスの方に振り返る。
「アリス」
「はい、旦那様」
すると、アリスは頷いてから入り口の自動ドア付近に立った。
そして、ラインは自動ドアが開いた先にあったモノを見て目を細める。
「こ、これは……なんですか?」
「特定小型原付です。こじんまりした原付みたいな感じですね」
自動ドアが開いた先にあったのは、三台の電動の特定小型原付だった。
本来は自転車と原付の間のような物なので、タイヤも小さく折りたためるタイプが多い。しかし、どこでも走れるようにとか速度面とか色々と仕様変更をした結果、ほぼ原付みたいになってしまった。
「げ、原付というのは?」
俺はそんなラインさんの言葉を聞いて、昔見たテンプレのアニメやラノベと近いものを感じた。
なんかこの感じ、文明レベルの低い世界に転生して、薄い知識で無双する系のアニメとかラノベみたいだ。
……うん、実際に体験してみると、この感じは結構悪くないかも。
俺はそんなことを考えながら、特定小型原付に跨ってアクセルをふかして説明をする。
「こんな感じで跨って、アクセルを回すと走るんです。大気中にある魔力を吸って動くようにしたので、燃料が尽きることもないんじゃないかなと思います」
常に燃料を消費するものだからどうしようかと思ったが、そこは太陽光電池とかの原理をイメージしてみた。
この世界には大気中にも魔力が存在する。だから、それを吸う仕組みにしたら面白いんじゃないかと思い、仕様変更をしてみた。
アクセルをふかしても問題がない所を見ると、今回も仕様変更が上手くいったみたいだ。
俺がそんなことを考えながら得意げに笑みを浮かべると、途中まで真面目な顔で話を聞いていたラインさんがぽかんと口を開けていた。
「もしかして、メビウス様は発明家様なのですか?」
「発明家? いやいや、そんな大層な物じゃないですって」
俺は頭をブンブンと振って否定したが、ラインさんは俺の言葉が聞こえていないのか羨望の眼差しを俺に向けていた。
どうやら、どんどんとラインの中での俺の評価が上がっていっているような気がした。
そんなことがあって、俺たちはラインさんの仲間の元へと急ぐことになったのだった。
119
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』
雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。
前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。
しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。
これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。
平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる