天穹は青く

梅林 冬実

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君の名を

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「僕の名前はね」
少しおいてその子は言った。
「君の好きに付けていいよ。それが僕の名だ」
じわじわと喜びが心に満ちる。この子の名前を好きに付けていいなんて、とっても素敵なことじゃない。
「そうだな。君は天使っぽいから『オリフィエル』にする」
オリフィエル?とその子は聞き返して
「ちょっと長くない?」
「ううん、それでいいの。七大天使のひとり。アダムとイブを楽園から追い出した天使の名前」
「へぇ」
オリフィエルは感心したように言い、
「そんなのが好みなの?」
オリフィエルという名の響きが好きなだけとは言えず、
「そう、好きよ」
サラッと答えるユカにオリフィエルは
「君は嘘が下手だね」
呆れたように笑い、ユカを連れて歩く。
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