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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百三十八話
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迎えた休息日。
今日はアインとラーニャに会いに行く日である。
「おはようございます!」
アルージェはカレンの研究所の扉をノックして入る。
「ようやく、来たわね」
机に向かっていたカレンが立ち上がる。
「ルーネがなかなか起きなくて、すいません」
アルージェが頭を下げてカレンに謝ると、ルーネは牙を見せアルージェを威嚇する。
「相棒は違うって言ってるみたいだけど?」
カレンがルーネに向けていた視線をアルージェに移す。
「あぁ・・・、すいません。僕が寝坊しました・・・。昨日、一日模擬戦してて疲れてたみたいです」
アルージェは謝りながらルーネを見るが、ルーネはアルージェから視線を逸らす。
「ふーん、そうなんだ。意外としっかり訓練とかしてるのね。偉いじゃない」
「あんなことがあったんで、強くならないとって思ってるんですよ」
「そっか、君がちゃんと前向いててよかったわ。さぁ、ここで話してるのもなんだし、大聖堂に行くわよ」
カレンは机のそばに置いてあった杖を取る。
「大聖堂・・・。ちょっと教会的なところは・・・」
アルージェは少し嫌そうな素振りをする。
聖国に追われている身のアルージェは聖国に繋がりそうな場所に自ら出向くなんてしたくないのだ。
「そういえば君、聖国に追われてるんだっけ?大丈夫よ。ラーニャのいる教会はあんたを追っている聖国とは違う宗派だから、入った瞬間取り押さえられることなんてないわ。それと何?悪魔崇拝でもしてるの?」
カレンがニヤニヤしながらアルージェに尋ねる。
「そんな物騒なことしてないですよ!第一、悪魔なんて本当にいるんですか?」
「魔法を人間に教えたのは悪魔だと言われてるけど、天使が教えたって言う説もあるわね。だから昔にはいたんじゃない?今はいないだろうけど」
「へぇ、悪魔って本当に居たんだ・・・」
「もう!君と話してたいつまで経っても教会に行けないから、話はここまで!早く行くわよ!」
カレンは速歩で研究室を出ていく。
「あぁ、待ってください!」
アルージェはカレンを追いかける。
大聖堂までは学園の門から出て馬車に乗り、15分程らしい。
アルージェとカレンは道中、ずっと魔法の話をしていた。
大聖堂はイメージしていた尖った塔がいくつも生えている建物ではなく。
豆腐建築の建物にドームが乗っているような見た目だった。
もちろん壁には装飾が施されていて屋根には柵?みたいなのがあるので完全に豆腐ではない。
「大聖堂ってこんな感じなんですね。なんか思ってたより大人しいです」
アルージェは馬車の窓の外をかじりつく様に眺める。
「大人しいってどんな建物想像してたのよ」
「どんなの・・・。学園内にある塔みたいなのががいっぱい生えているものかと・・・」
「生えてる・・・?あぁ、なんとなく想像できたわ。確か聖国の方はそんな感じだったわね」
カレンは視線を上に向けて思い出すように話す。
「大聖堂って中も大人しい感じですか?」
アルージェは大聖堂を見るのをやめて席に着き、カレンの方をみる。
「まぁ、聖国の教会と比べたら大人しいわね」
「ほぇー、聖国も追われてなければ行ってみたかったなぁ」
「聖国は君には合わないんじゃないかな。行っても多分楽しくないわよ」
「ん?何でですか?」
「聖国はちょっと特殊でね。神の言葉は絶対なの。そしてその神の言葉を聞けるのは神子だけなのよ。つまり神子が名指しで誰かを悪だと言えば、悪くなくても本当に悪になるのよ。今の君の状態ね」
「無実だという証拠があってもですか?」
「えぇ、そうよ。神は完璧な存在だから、間違いなんて絶対に起こさないって考え方みたいね。善悪の区別がしっかりと出来る人間だと、段々とおかしくなってくるでしょうね」
カレンは窓の外に視線を向ける。
「聖国。思ってたより嫌な国ですね」
「そうね。ラーニャの宗派はそういうのじゃないから安心していいわよ」
「あはは、それは良かったです。皆さんは僕にとって命の恩人なので、あんまり敵対とかしたくないですからね」
「敵対ね。確かに生徒とは戦いたくないわ。少しでも関わったら情が湧いちゃってるもの。さぁ、ついたわよ」
御者が場所の扉を開く。
カレンとアルージェはお礼を告げて馬車を降りて大聖堂の中に入る。
中に入るとまず目に入ったのは、壁一面のステンドグラスだ。
ステンドグラスは一枚の絵といった感じではなく、縁によって描かれているものが違う。
だが全てに共通して言えることは大きく人が描かれていて、その下のステンドグラスに武器が描かれていたり天秤が描かれていたりする。
「すごい。きれいだ」
アルージェはステンドグラスに心奪われる。
「ほら、おのぼりさん。立ち止まったら迷惑だから動きながら見なさい」
「あっ、すいません」
アルージェはカレンの後ろを追従する。
ステンドグラスの前には大きめの像が置いてある。
長椅子に座り、その像に必死に祈っている人達が結構いる。
「教会のイメージそのままだ!」
アルージェは嬉しそうにキョロキョロといろいろなところに視線を移す。
大きな像の前には教台が置いてあり、そこにラーニャが立っていて説教をしていた。
今日はアインとラーニャに会いに行く日である。
「おはようございます!」
アルージェはカレンの研究所の扉をノックして入る。
「ようやく、来たわね」
机に向かっていたカレンが立ち上がる。
「ルーネがなかなか起きなくて、すいません」
アルージェが頭を下げてカレンに謝ると、ルーネは牙を見せアルージェを威嚇する。
「相棒は違うって言ってるみたいだけど?」
カレンがルーネに向けていた視線をアルージェに移す。
「あぁ・・・、すいません。僕が寝坊しました・・・。昨日、一日模擬戦してて疲れてたみたいです」
アルージェは謝りながらルーネを見るが、ルーネはアルージェから視線を逸らす。
「ふーん、そうなんだ。意外としっかり訓練とかしてるのね。偉いじゃない」
「あんなことがあったんで、強くならないとって思ってるんですよ」
「そっか、君がちゃんと前向いててよかったわ。さぁ、ここで話してるのもなんだし、大聖堂に行くわよ」
カレンは机のそばに置いてあった杖を取る。
「大聖堂・・・。ちょっと教会的なところは・・・」
アルージェは少し嫌そうな素振りをする。
聖国に追われている身のアルージェは聖国に繋がりそうな場所に自ら出向くなんてしたくないのだ。
「そういえば君、聖国に追われてるんだっけ?大丈夫よ。ラーニャのいる教会はあんたを追っている聖国とは違う宗派だから、入った瞬間取り押さえられることなんてないわ。それと何?悪魔崇拝でもしてるの?」
カレンがニヤニヤしながらアルージェに尋ねる。
「そんな物騒なことしてないですよ!第一、悪魔なんて本当にいるんですか?」
「魔法を人間に教えたのは悪魔だと言われてるけど、天使が教えたって言う説もあるわね。だから昔にはいたんじゃない?今はいないだろうけど」
「へぇ、悪魔って本当に居たんだ・・・」
「もう!君と話してたいつまで経っても教会に行けないから、話はここまで!早く行くわよ!」
カレンは速歩で研究室を出ていく。
「あぁ、待ってください!」
アルージェはカレンを追いかける。
大聖堂までは学園の門から出て馬車に乗り、15分程らしい。
アルージェとカレンは道中、ずっと魔法の話をしていた。
大聖堂はイメージしていた尖った塔がいくつも生えている建物ではなく。
豆腐建築の建物にドームが乗っているような見た目だった。
もちろん壁には装飾が施されていて屋根には柵?みたいなのがあるので完全に豆腐ではない。
「大聖堂ってこんな感じなんですね。なんか思ってたより大人しいです」
アルージェは馬車の窓の外をかじりつく様に眺める。
「大人しいってどんな建物想像してたのよ」
「どんなの・・・。学園内にある塔みたいなのががいっぱい生えているものかと・・・」
「生えてる・・・?あぁ、なんとなく想像できたわ。確か聖国の方はそんな感じだったわね」
カレンは視線を上に向けて思い出すように話す。
「大聖堂って中も大人しい感じですか?」
アルージェは大聖堂を見るのをやめて席に着き、カレンの方をみる。
「まぁ、聖国の教会と比べたら大人しいわね」
「ほぇー、聖国も追われてなければ行ってみたかったなぁ」
「聖国は君には合わないんじゃないかな。行っても多分楽しくないわよ」
「ん?何でですか?」
「聖国はちょっと特殊でね。神の言葉は絶対なの。そしてその神の言葉を聞けるのは神子だけなのよ。つまり神子が名指しで誰かを悪だと言えば、悪くなくても本当に悪になるのよ。今の君の状態ね」
「無実だという証拠があってもですか?」
「えぇ、そうよ。神は完璧な存在だから、間違いなんて絶対に起こさないって考え方みたいね。善悪の区別がしっかりと出来る人間だと、段々とおかしくなってくるでしょうね」
カレンは窓の外に視線を向ける。
「聖国。思ってたより嫌な国ですね」
「そうね。ラーニャの宗派はそういうのじゃないから安心していいわよ」
「あはは、それは良かったです。皆さんは僕にとって命の恩人なので、あんまり敵対とかしたくないですからね」
「敵対ね。確かに生徒とは戦いたくないわ。少しでも関わったら情が湧いちゃってるもの。さぁ、ついたわよ」
御者が場所の扉を開く。
カレンとアルージェはお礼を告げて馬車を降りて大聖堂の中に入る。
中に入るとまず目に入ったのは、壁一面のステンドグラスだ。
ステンドグラスは一枚の絵といった感じではなく、縁によって描かれているものが違う。
だが全てに共通して言えることは大きく人が描かれていて、その下のステンドグラスに武器が描かれていたり天秤が描かれていたりする。
「すごい。きれいだ」
アルージェはステンドグラスに心奪われる。
「ほら、おのぼりさん。立ち止まったら迷惑だから動きながら見なさい」
「あっ、すいません」
アルージェはカレンの後ろを追従する。
ステンドグラスの前には大きめの像が置いてある。
長椅子に座り、その像に必死に祈っている人達が結構いる。
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大きな像の前には教台が置いてあり、そこにラーニャが立っていて説教をしていた。
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