Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

文字の大きさ
205 / 221
第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜

第二百三話

しおりを挟む
「さて、これからどうしようか」
アインは辺りを見渡す。

「かなり広いのでどこから闇の魔力が出てるか探すの骨が折れそうですね」
大広間には壁が崩れて散らばった石ころや、壊れた椅子の残骸やらしか見当たらない。

「有ったわ。アレよ」
カレンが指差した先にはポツンとこの場には相応しくない真っ黒の鎧が置かれていた。

胴体部分はプレートアーマーに華美では無い意匠が施されている。
背中にはボロボロのマント。
頭には二本角の装飾が施されており、まるで悪魔のような見た目をしていた。

その鎧は動くことなく地面にアルージェの体よりも大きな剣を突き刺し、何かを待つようにただ跪いていた。

アルージェはこの部屋に充満した闇の魔力のせいで感覚では魔力を認識することが出来ない。
なので自分の魔力を目に集中させて、魔力の流れを見る。

鎧からは重く冥い煙の様な魔力が、地面を這うように溢れ出ている。
「ただの鎧騎士ってわけじゃ無さそうですね。あの鎧からは尋常じゃない位、闇の魔力が溢れています」

「あぁ、僕には魔力は見えないけど、すごい威圧感を感じる」
鎧を見るアインの額には汗が滲み出ていた。

「私が魔法で破壊出来るか、確かめてみるわ」
カレンはすぐさま詠唱を始める。

「吹き荒れろ風雪。氷蝕ひょうしょくせよ氷冠ひょうかん。凍たる氷丘ひょうきゅう。我創りたるは雪華の城。圧壊せへしつぶせ天楼雪獄グレイシャーキャッスル』」

カレンが魔法の詠唱を終えると大きな氷塊が現れる。
ただの氷塊ではない。
それは西洋の城の形を模った氷塊。

「すげぇ」
アルージェはあまりにも綺麗なその魔法に見惚れてしまう。

カレンが杖を上から下に下ろすと、氷の城が鎧に目掛けて落下する。
氷の城は天辺から鎧にぶつかり、崩壊した氷が四方八方に飛び散る。
冷気が余波となりアルージェ達に襲いかかる。
アルージェの周りに浮いていたミスリルの盾がアルージェの前に現れて、冷気や氷の破片からアルージェを守る。
アインは氷がカレンに当たらないように、盾を構えてカレンを守るように前に立つ。

氷の城は見る影もなく崩壊し、鎧は氷の中に埋もれてしまった。
故に鎧がどういう状態なのかを目視では確認することが出来ない。

数秒間の沈黙が有ったが、闇の魔力が動いていることにアルージェが気付く。
「気を付けてください!魔力が鎧に集まっています!・・・来ます!」
鎧に集まっていた闇の魔力が一気に放出され、積もっていた氷が吹き飛ばされる。

鎧は先ほどまで跪いていたが、剣を手にこちらの様子を伺っていた。

カレンは無傷な鎧騎士を見て、声を上げる。
「あれでも無傷って、おかしいんじゃないの!?私が使える最高火力の魔法なのよ」

「鎧だと思っていましたが、一人でに動いてるところを見るとただの鎧では無さそうですね。もしかして鎧では鎧騎士なんでしょうか?」
身体強化を目だけでは無く全身に施して、アルージェは何が起きても大丈夫なように警戒する。

「鎧騎士か・・・。どちらにせよ、ただ立っているだけでここまで威圧感を感じるんだ。もしかしたら手を出したらいけないものだったかもしれないね」
アインは剣を握る手に力が入る。

数秒の睨み合いが起こるが鎧騎士は全く動く気配が無い。

「あちらさんはあくまでこっちの出方を伺うみたいだね。カレンの魔法でもダメなら僕達三人で連携してどうにかするしかない。僕が前衛あれと打ち合うよ。アルージェは中衛で遊撃を、カレンは後衛で魔法での支援をお願いしてもいいかな」

アインの言葉にアルージェとカレンは頷く。
「了解です」
「分かったわ」

「さぁ!行こうか!」
アインは体に金色の魔力を纏い、鎧騎士に肉薄する。
鎧騎士は剣を片手で持ち上げ、アインに叩きつける。

アインは盾を使い、鎧からの攻撃を受け流す。

だが、アルージェよりも大きな剣。
盾を使って受け流すだけでも、手がジンジンと痺れる程の衝撃が来る。
「クッ」
アインは顔を歪める。

鎧騎士からの追撃が来る前にアルージェとカレンが魔法を鎧騎士に向かって放つ。
アルージェは破裂する小球ブラストボールを鎧騎士の顔に向かって放ち、視界を遮る。
カレンは氷の槍アイスランスを鎧騎士の剣目掛けて放ち、軌道をズラす算段だ。

どちらも狙い通りの箇所に当たり、破裂する小球ブラストボールが顔部分で爆発を起こし、氷の槍アイスランスで剣の軌道を変わると予想していた。
だが、鎧騎士は一切怯みもせずに自身の膂力を使って、ズレた軌道を修正しアインに追撃を行った。

「なっ!?」
アインは咄嗟に盾では無く剣を使い、なんとか攻撃をいなした。

「視界を爆発で塞がれて、氷で軌道を変えたのに、無理矢理自分の膂力で軌道を変えてくるなんてね。これは本当に危険かもしれない」
アインはジンジンと痺れる手を意識して、苦虫を潰したような顔をする。

鎧騎士は更にアインに向けて、横薙ぎを繰り出す。
アインは屈んで剣を躱し反撃を入れる。

アインの攻撃は確実に入った。
見ていた二人でさえもそう思ったのだ。
アインが思わないはずが無い。

だが予想外の方法で攻撃を無力化されてしまう。
鎧騎士から闇の魔力が滲み出し、クッションのようにアインの攻撃を無力化する。

鎧で剣が弾かれることは有っても、魔力がクッションのように作用するとは思っていなかった。
アインは何が起きたのか咄嗟に理解できず、一瞬だけ思考が止まってしまう。

だが戦いの中での一瞬は大きな隙となる。

アインの思考が戻った時、鎧騎士は剣を振りかぶりアインに叩きつけようとしていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

処理中です...