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令嬢13歳・ヒロインの不在と新しいお友達
シュミナ嬢が停学処分になって、わたくしの日々は穏やかに過ぎている。
ああ……あの子に絡まれずに生活出来る事がこんなにストレスフリーだなんて知らなかったわ!
1度ジョアンナが、パピヨン男爵家からのお茶会のお誘いの手紙を困った顔で持って来たけれど。
見なかったフリをして捨てて貰った。そしてこれからもそうするようにお願いした。
……なんのつもり……というか、探りですよねー。わざわざ行きませんよ!
彼女の取り巻き達も彼女が居ないと、とても大人しく目を合わせてくる事さえない。
まぁあの行動も集団心理ってヤツなんだろうし、そんなものよね。
そしてあの魔法実技の日から、わたくしの周辺に新しい変化が起きた。
なんと……お友達が増えたのだ!う……嬉しい!!
それはあの日、医務室から教室へ帰った時の事。
フィリップ王子とノエル様、マクシミリアンに連れられて教室の扉を開けると……一斉に生徒達の注目が集まった。
最初はイツメンの美形達が注目されているのかな……??なんて思いつつ別のクラスのフィリップ王子と執事であるマクシミリアンとはお別れして、ノエル様と席に着いたのだけど。
皆の視線はずっとわたくしを追っていたので居心地が、かなり悪かった。
(授業で悪目立ちし過ぎたかな。皆を守ろうとしてはみたものの、最終的にはノエル様とフィリップ様のお陰で助かった訳だし……。恥ずかしいなぁ)
自嘲気味な笑いを浮かべつつ遠い目で、次の授業の準備をしていると……。
「あ……あの……。シュラット様……!」
意を決したように、2人の女生徒が声をかけて来た。
えーっと……わたくしに、でいいのよね?ノエル様にじゃないわよね??
背が高く華奢で茶色の髪を肩口くらいで切り揃えた眼鏡の少女と、小柄で少しぽっちゃりとした銀に近い薄紫の髪をツインテールにしている少女。
この2人は確か……。
「ロートリンゲン伯爵家のマリア様と、カロリーネ子爵家のゾフィー様でしたわね?シュラットでは無く、ビアンカとお呼びになって?」
話しかけられたのが嬉しくて思わず満面の笑顔でそう返すと、2人は頬を真っ赤に染めて涙目になった。
『ひゃだっ……ゾフィーさん!お名前を憶えて下さっているなんて!感動し過ぎて何も言えないのだけど』『マリアさん、目的を見失ってはいけませんわ!ああ……でも嬉しい!!』なんて2人は小声で話している。
……聞こえてますわよ、お二人様……!目的……?
「ビアンカ嬢に何か御用?」
2人がもじもじしているので話しかけやすいように気を遣ってくれたんだろう。
ノエル様が柔らかい笑顔で優しく、2人に用件を言うように促した。
ほんとに気遣いの人だなーノエル様。いい彼氏になるんだろうな、こういう人が。
「あのっ、先ほどの授業では……助けて頂きまして本当にありがとうございました!」
「ありがとうございました!ビアンカ様!!」
2人は、目をキラキラと輝かせながらわたくしにお礼を述べて下さった。
その言葉に驚いて、思わず目を瞠ってしまう。
「誰も動けなかったあの状況の中で、お一人で凛として行動するお姿に私本当に感動しましたの……!!」
少しぽっちゃりさんのゾフィー様が両手を前で組んでうっとりと言う。
その後ろで真っ赤な頬を手で押さえ、眼鏡のマリア様が頷いている。
「そんな……!結局フィリップ様に助けて頂きましたし、わたくし大した事しておりませんのよ?でもそう言って頂けると本当に嬉しいですわ」
嬉しくて、嬉しくて。真っ赤になって、にやける口元を両手で押さえてしまう。
ああ、思い切って、行動して良かった!まさかクラスメイトに話しかけて頂けるなんて!
そ……そうだ!折角話かけて貰ったのだし……!!
「あの、マリア様、ゾフィー様!」
わたくしが意を決して声をかけると、お二人はきょとん、とした顔でこちらを見た。
「こうしてお声をかけて下さったのも、何かのご縁ですし……。ご迷惑じゃなければ、わたくしのお友達になってくれません事?」
精一杯可愛く無害に見えるように、小首を傾げて2人におねだりしてみる。
折角美少女に生まれたんだ、ここは容姿の使いどころよ!
あざとい?こっちは女友達を逃すまいと必死なのよ!!
すると2人は、真っ赤になって固まった後に……地に倒れ伏した。
「尊い……!!!」
前世でわたくしが散々喚いていたような事を言いながら。
その日から、お二人とは度々休み時間やランチをご一緒するようになった。
時折お二人ともうっとりわたくしを見ながら『尊い……』って呟くのが気になるけど。
と……尊くなんてないわよ!
そしてそれを切っ掛けに他の生徒の方々もまだ少し遠巻きではあるけれど、話しかけて下さるようになったのだ。
シュミナ嬢に感謝する事なんて1つも起こり得ないと思っていたけれど……この件に関しては、騒ぎを起こしてくれた彼女のお陰である。
一つ衝撃的だったのが。
『ビアンカ様、俺達……虐めを見過ごしていて、本当に申し訳ありませんでした!』って数人の男子生徒にとても済まなそうに謝られた事だった。
……薄々思ってたけど。あれって傍から見て虐めに見えてたんだなぁ……。
そう見えているのなら案外シュミナ嬢による風評被害は気にしなくて良さそうね!という嬉しさで、ニッコリ彼らに微笑んで『気にしないで下さいませ?』と言ったら……。
彼らは顔を真っ赤にして固まってしまった。
「お嬢様、人をたらし込むのはお止め下さいね?」
なんてマクシミリアンには失礼な事を言われたけど。
わたくし、たらし込んでなんか無いわ!お友達が欲しいだけなのよ!
ああ……あの子に絡まれずに生活出来る事がこんなにストレスフリーだなんて知らなかったわ!
1度ジョアンナが、パピヨン男爵家からのお茶会のお誘いの手紙を困った顔で持って来たけれど。
見なかったフリをして捨てて貰った。そしてこれからもそうするようにお願いした。
……なんのつもり……というか、探りですよねー。わざわざ行きませんよ!
彼女の取り巻き達も彼女が居ないと、とても大人しく目を合わせてくる事さえない。
まぁあの行動も集団心理ってヤツなんだろうし、そんなものよね。
そしてあの魔法実技の日から、わたくしの周辺に新しい変化が起きた。
なんと……お友達が増えたのだ!う……嬉しい!!
それはあの日、医務室から教室へ帰った時の事。
フィリップ王子とノエル様、マクシミリアンに連れられて教室の扉を開けると……一斉に生徒達の注目が集まった。
最初はイツメンの美形達が注目されているのかな……??なんて思いつつ別のクラスのフィリップ王子と執事であるマクシミリアンとはお別れして、ノエル様と席に着いたのだけど。
皆の視線はずっとわたくしを追っていたので居心地が、かなり悪かった。
(授業で悪目立ちし過ぎたかな。皆を守ろうとしてはみたものの、最終的にはノエル様とフィリップ様のお陰で助かった訳だし……。恥ずかしいなぁ)
自嘲気味な笑いを浮かべつつ遠い目で、次の授業の準備をしていると……。
「あ……あの……。シュラット様……!」
意を決したように、2人の女生徒が声をかけて来た。
えーっと……わたくしに、でいいのよね?ノエル様にじゃないわよね??
背が高く華奢で茶色の髪を肩口くらいで切り揃えた眼鏡の少女と、小柄で少しぽっちゃりとした銀に近い薄紫の髪をツインテールにしている少女。
この2人は確か……。
「ロートリンゲン伯爵家のマリア様と、カロリーネ子爵家のゾフィー様でしたわね?シュラットでは無く、ビアンカとお呼びになって?」
話しかけられたのが嬉しくて思わず満面の笑顔でそう返すと、2人は頬を真っ赤に染めて涙目になった。
『ひゃだっ……ゾフィーさん!お名前を憶えて下さっているなんて!感動し過ぎて何も言えないのだけど』『マリアさん、目的を見失ってはいけませんわ!ああ……でも嬉しい!!』なんて2人は小声で話している。
……聞こえてますわよ、お二人様……!目的……?
「ビアンカ嬢に何か御用?」
2人がもじもじしているので話しかけやすいように気を遣ってくれたんだろう。
ノエル様が柔らかい笑顔で優しく、2人に用件を言うように促した。
ほんとに気遣いの人だなーノエル様。いい彼氏になるんだろうな、こういう人が。
「あのっ、先ほどの授業では……助けて頂きまして本当にありがとうございました!」
「ありがとうございました!ビアンカ様!!」
2人は、目をキラキラと輝かせながらわたくしにお礼を述べて下さった。
その言葉に驚いて、思わず目を瞠ってしまう。
「誰も動けなかったあの状況の中で、お一人で凛として行動するお姿に私本当に感動しましたの……!!」
少しぽっちゃりさんのゾフィー様が両手を前で組んでうっとりと言う。
その後ろで真っ赤な頬を手で押さえ、眼鏡のマリア様が頷いている。
「そんな……!結局フィリップ様に助けて頂きましたし、わたくし大した事しておりませんのよ?でもそう言って頂けると本当に嬉しいですわ」
嬉しくて、嬉しくて。真っ赤になって、にやける口元を両手で押さえてしまう。
ああ、思い切って、行動して良かった!まさかクラスメイトに話しかけて頂けるなんて!
そ……そうだ!折角話かけて貰ったのだし……!!
「あの、マリア様、ゾフィー様!」
わたくしが意を決して声をかけると、お二人はきょとん、とした顔でこちらを見た。
「こうしてお声をかけて下さったのも、何かのご縁ですし……。ご迷惑じゃなければ、わたくしのお友達になってくれません事?」
精一杯可愛く無害に見えるように、小首を傾げて2人におねだりしてみる。
折角美少女に生まれたんだ、ここは容姿の使いどころよ!
あざとい?こっちは女友達を逃すまいと必死なのよ!!
すると2人は、真っ赤になって固まった後に……地に倒れ伏した。
「尊い……!!!」
前世でわたくしが散々喚いていたような事を言いながら。
その日から、お二人とは度々休み時間やランチをご一緒するようになった。
時折お二人ともうっとりわたくしを見ながら『尊い……』って呟くのが気になるけど。
と……尊くなんてないわよ!
そしてそれを切っ掛けに他の生徒の方々もまだ少し遠巻きではあるけれど、話しかけて下さるようになったのだ。
シュミナ嬢に感謝する事なんて1つも起こり得ないと思っていたけれど……この件に関しては、騒ぎを起こしてくれた彼女のお陰である。
一つ衝撃的だったのが。
『ビアンカ様、俺達……虐めを見過ごしていて、本当に申し訳ありませんでした!』って数人の男子生徒にとても済まなそうに謝られた事だった。
……薄々思ってたけど。あれって傍から見て虐めに見えてたんだなぁ……。
そう見えているのなら案外シュミナ嬢による風評被害は気にしなくて良さそうね!という嬉しさで、ニッコリ彼らに微笑んで『気にしないで下さいませ?』と言ったら……。
彼らは顔を真っ赤にして固まってしまった。
「お嬢様、人をたらし込むのはお止め下さいね?」
なんてマクシミリアンには失礼な事を言われたけど。
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