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令嬢13歳・男装令嬢とシュミナ嬢・後
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「……ドン引きものの話だから……面識がない人に話したくて。食堂のお兄さんはたまに話を聞いてくれるんだけど、あんまり迷惑ばっかもかけられないじゃん」
シュミナ嬢はぽつり、とそう切り出した。
口調がお猫を被ってるモードじゃなくて完全に素だ……そしてユウ君、あれからもお話たまに聞いてあげてるのね。
「だから……その、ごめんね。呼び止めちゃって」
……シュミナ嬢が謝罪から、入った。
これはユウ君がちゃんと彼女自身と向き合って話した結果で、彼女も変わり始めているのだろう。
ユウ君の人柄ありきだと分かってはいるのだけど『話が聞けない子』だと決めつけてしまったわたくしも悪かったのね、なんて猛反省をしてしまう。
「えっと……何の話なのかな?」
「わーお兄さんやさしー。本当にこんなめんどくさそうな女に付き合ってくれるんだ? お兄さんの気が変わらないうちにお話聞いてもらお!」
シュミナ嬢がそう言って背中越しに楽しそうに笑う気配がする。
ラフな口調で楽しそうに話す彼女は、令嬢らしくはないけれど前世の女子中学生そのものといった感じだ。
「あのね、私さっきまで……。私が仲がいい人の彼女になりたい人にやっかまれて、囲まれて、ぼっこぼこに悪口言われてたのね。最近そんな事が結構増えてて」
……仲がいい人……エイデン様の事だろう。
イケメンで公爵家で一見人当たりが良い彼の婚約者になりたいご令嬢は確かに多そうだ。
内面は結構とんでもないんだけど……顔が良いって得である。
それにしてもシュミナ嬢が影でそんな事になっていたなんてなぁ……。
男爵家の彼女が受ける虐めはゲームの中のわたくしがしていたような容赦がないものに違いない。
「……それは、大変だったね」
「でも、私今まで似たような事を……。いや、もっと酷い事を人にしてたのね」
うん、存じております……。
「自分がされて、最低な事してたなーって改めて強く思って。自分が虐めてた子に謝りたいな……って思うんだけど。こんな事されて謝られても許せないよねって思うと落ち込んじゃって。我が身に降りかからないと理解出来ないとか、ほんと私馬鹿だなーって……」
話しながら、彼女はしゃくりを上げる。
シュミナ嬢が謝ろうと思ってくれたなんて……なんだか感動してしまう。
わたくしは立ち上がると彼女の前に移動して、視線を合わせるようにしゃがんだ。
うん、別にバレても……いいや。
「酷い事をした子に謝れば、いいんじゃない? やってみないと分からないでしょう?」
言いながら涙を流す彼女のピンクの頭をぽふぽふと撫でる。
わぁ……めちゃくちゃ髪の毛柔らかい。そして近くで見るヒロインは本当に可愛いわね……。
シュミナ嬢は頭を撫でられながら、頬を赤くした。
「……お兄さん優しくて、いい人ね。通りすがりなのに真面目にこんな話聞いてくれて」
そう言ってシュミナ嬢は屈託のない笑顔を浮かべた。
整った美しい顔が邪気なく笑うと愛らしいにも程がある。
取り巻きさん達がコロリといくのも分かるわ……わたくし、百合の気はないわよ。
「頑張ってみようかなぁ……。でももうちょっと覚悟が必要かもなぁ。他に気になる事もあってそれどころじゃっていうのもあるんだけど……」
「……気になる事?」
わたくしが首を傾げて訊くと、彼女はまた目から大量の涙を零した。
「……日頃の行いが悪すぎて、私このままじゃ監禁されてお薬漬けにされちゃうかも……」
ああ……エイデン様のバッドエンドってそんな感じだったわね……。
監禁されて生活の全てを管理される上に何も考えられないようにお薬漬けにされちゃうのよね。
全年齢ゲームの描写の限界だったからあそこまでの表現だっただけで、それ以上の事も多分されるんだろうなぁ……。
考えるだけで恐ろしい。
「今からでも、巻き返せるでしょう?」
今はまだエイデン様のバッドエンドを回避出来る時期のはずだ。
……現実がゲーム内の進行度そのままなら、だけど。
「……頑張ってるんだけど、ちょっと心が折れそうで」
シュミナ嬢は溜め息を吐いて膝を抱えて丸まった。
しかしぱっと勢い良く顔を上げる。
「お兄さん、ありがと。話聞いてくれて。どこか行くつもりだったんでしょう? 邪魔してごめんね?」
そう言いながら彼女はにこりと明らかに無理をしている顔で笑った。
「……また会う事があれば、話くらい聞くから」
ぽふり、と頭を撫でてそう言うとシュミナ嬢は顔を赤くして小さく頷いた。
無責任な事を我ながら言ってるなぁと思うけど……学園祭までの間に衣装合わせの機会は多分何度かあるわよね。
その時にちょっと様子を見に行ってみよう……ビアンカに悩みを話して!っていきなり言われても困りそうだしこの姿の方がいいわよね。
今のシュミナ嬢の様子を見ている感じ、ビアンカの姿で悩みを聞く機会も早く来るのかも……なんて思うけど。
シュミナ嬢はぽつり、とそう切り出した。
口調がお猫を被ってるモードじゃなくて完全に素だ……そしてユウ君、あれからもお話たまに聞いてあげてるのね。
「だから……その、ごめんね。呼び止めちゃって」
……シュミナ嬢が謝罪から、入った。
これはユウ君がちゃんと彼女自身と向き合って話した結果で、彼女も変わり始めているのだろう。
ユウ君の人柄ありきだと分かってはいるのだけど『話が聞けない子』だと決めつけてしまったわたくしも悪かったのね、なんて猛反省をしてしまう。
「えっと……何の話なのかな?」
「わーお兄さんやさしー。本当にこんなめんどくさそうな女に付き合ってくれるんだ? お兄さんの気が変わらないうちにお話聞いてもらお!」
シュミナ嬢がそう言って背中越しに楽しそうに笑う気配がする。
ラフな口調で楽しそうに話す彼女は、令嬢らしくはないけれど前世の女子中学生そのものといった感じだ。
「あのね、私さっきまで……。私が仲がいい人の彼女になりたい人にやっかまれて、囲まれて、ぼっこぼこに悪口言われてたのね。最近そんな事が結構増えてて」
……仲がいい人……エイデン様の事だろう。
イケメンで公爵家で一見人当たりが良い彼の婚約者になりたいご令嬢は確かに多そうだ。
内面は結構とんでもないんだけど……顔が良いって得である。
それにしてもシュミナ嬢が影でそんな事になっていたなんてなぁ……。
男爵家の彼女が受ける虐めはゲームの中のわたくしがしていたような容赦がないものに違いない。
「……それは、大変だったね」
「でも、私今まで似たような事を……。いや、もっと酷い事を人にしてたのね」
うん、存じております……。
「自分がされて、最低な事してたなーって改めて強く思って。自分が虐めてた子に謝りたいな……って思うんだけど。こんな事されて謝られても許せないよねって思うと落ち込んじゃって。我が身に降りかからないと理解出来ないとか、ほんと私馬鹿だなーって……」
話しながら、彼女はしゃくりを上げる。
シュミナ嬢が謝ろうと思ってくれたなんて……なんだか感動してしまう。
わたくしは立ち上がると彼女の前に移動して、視線を合わせるようにしゃがんだ。
うん、別にバレても……いいや。
「酷い事をした子に謝れば、いいんじゃない? やってみないと分からないでしょう?」
言いながら涙を流す彼女のピンクの頭をぽふぽふと撫でる。
わぁ……めちゃくちゃ髪の毛柔らかい。そして近くで見るヒロインは本当に可愛いわね……。
シュミナ嬢は頭を撫でられながら、頬を赤くした。
「……お兄さん優しくて、いい人ね。通りすがりなのに真面目にこんな話聞いてくれて」
そう言ってシュミナ嬢は屈託のない笑顔を浮かべた。
整った美しい顔が邪気なく笑うと愛らしいにも程がある。
取り巻きさん達がコロリといくのも分かるわ……わたくし、百合の気はないわよ。
「頑張ってみようかなぁ……。でももうちょっと覚悟が必要かもなぁ。他に気になる事もあってそれどころじゃっていうのもあるんだけど……」
「……気になる事?」
わたくしが首を傾げて訊くと、彼女はまた目から大量の涙を零した。
「……日頃の行いが悪すぎて、私このままじゃ監禁されてお薬漬けにされちゃうかも……」
ああ……エイデン様のバッドエンドってそんな感じだったわね……。
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全年齢ゲームの描写の限界だったからあそこまでの表現だっただけで、それ以上の事も多分されるんだろうなぁ……。
考えるだけで恐ろしい。
「今からでも、巻き返せるでしょう?」
今はまだエイデン様のバッドエンドを回避出来る時期のはずだ。
……現実がゲーム内の進行度そのままなら、だけど。
「……頑張ってるんだけど、ちょっと心が折れそうで」
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そう言いながら彼女はにこりと明らかに無理をしている顔で笑った。
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無責任な事を我ながら言ってるなぁと思うけど……学園祭までの間に衣装合わせの機会は多分何度かあるわよね。
その時にちょっと様子を見に行ってみよう……ビアンカに悩みを話して!っていきなり言われても困りそうだしこの姿の方がいいわよね。
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