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令嬢13歳・執事と取り引き
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寮の部屋に戻ってマクシミリアンに、エイデン様と一戦交えていた事の経緯を説明している訳ですが。
ソファーに座って説明しているわたくしをマクシミリアンは腕を組んで怖い顔で見下ろしている……うう、すごく怒っていらっしゃる……。
「――という訳で。カーウェル公爵家のエイデン様に絡まれていたの……」
わたくしが上目遣いで言い終えると、マクシミリアンは深い溜め息を吐いた。
「……お嬢様。どうしてシュミナ・パピヨンに近づいたのです? 今まで彼女に何をされたのか覚えていないのですか?」
「で……でも彼女も反省してるみたいだし! わたくしも今まで彼女の事を決めつけ過ぎてたのかなってちょっと反省しているところもあって……」
マクシミリアンの剣幕にわたくしはソファーで縮こまって怯えてしまう。
彼はドスッと音を立てながら隣に座る。
その振動にわたくしは思わずびくりと体を震わせ顔を伏せてしまった。
「ビアンカ様……」
名前で呼ばれ恐る恐る隣を見ると、冷たい表情でマクシミリアンがこちらを見つめている。
……呆れられて……しまったのかしら。ま……まさか……嫌われた?
「……心配、させないで下さい」
マクシミリアンは泣きそうな顔になると、わたくしを抱きしめた。
……わたくしを包み込むマクシミリアンの体は……微かに震えていた。
「『犬』達で守り切れない事態に遭遇したら、どうするおつもりですか。私は貴女を失いたくないです」
「マクシミリアン……」
『犬』達で排除出来ない脅威なんてそうそう無いと思うのだけど……きっとそういう問題じゃないのよね。
彼はわたくしが危ない目に遭う事自体が許せないのだ。
安心させるように抱き返すと、マクシミリアンは大きく溜め息を吐いた。
「もうシュミナ・パピヨンには関わらないで下さい。カーウェル公爵家の者が絡んでいるとなるとお嬢様の身に迫る危険が段違いになりますから。お嬢様の正体がバレていないのでしたら、このまま黙していればこちらに面倒事が降りかかる事は無いでしょう」
「そ……それは約束できないわ、マクシミリアン。シュミナ嬢、本当に参っているみたいなの。それにこのままだと彼女……エイデン様に監禁されちゃうかもしれなくて……」
「それはあの女の自業自得でしょう?」
マクシミリアンの抱きしめる力が更に強くなる。痛い、痛いわマクシミリアン……!!
……だけど……。
「……いいって言ってくれないと。わたくしマクシミリアンに教えずにこっそり彼女と会うわ」
「お嬢様……!!」
心底困ったという顔でこちらを見るマクシミリアンの頬を両手で挟んで。
……わたくしは彼の唇に唇を重ねた。
マクシミリアンは目を見開いてこちらを凝視している……うん、驚くわよね。
でも彼を宥めようと思ったらこの方法しか思いつかなくて……!!
わたくしも相当テンパっているのかもしれない。
彼は顔を真っ赤にしてキスされた唇を押さえる。
そんなマクシミリアンの反応を見て、わたくしの顔にも朱が滲んだ。
「……えっと。ごめんなさい」
慌てて離れようとするとマクシミリアンから肩を強い力で掴まれ、その場に固定された。
……マクシミリアン、貴方どうしていい笑顔なの??
「お嬢様、そんなにシュミナ・パピヨンとお話がしたいのですね?」
「えっと……その……」
「1度のキスくらいで、私が絆されると??」
怒ったのかな? 火に油を注いでしまったってヤツね……??
「……お嬢様がもっとキスして下されば『シュミナ・パピヨンと話すのも仕方ないか』と私も考えを改めるかもしれませんね?」
「マクシミリアンさん……??」
笑顔のマクシミリアンが……どんどん近づいて来る。
うう……これは、怒ったんじゃない。
マクシミリアンが満足するまで逃がして貰えないヤツだ……!!
「待ってぇ!!」
上げようとした悲鳴は、マクシミリアンの唇に塞がれてその音を消した。
――三十分後。
へろへろになったわたくしは満足そうなマクシミリアンに抱きしめられていた。
「では、お嬢様。男装でシュミナ・パピヨンと会う時は私を必ずお近くに置いて下さい。それと私が居ない時の危険を考えて、犬は毎日お側に控えさせます」
「ふぁい……」
ぼんやりとした頭でふにゃふにゃと返事を返す。
そうだ『犬』の事で思い出したけど……。
「エイデン様に『犬』を見られたのは……大丈夫なのかしら」
「実はエイデン様の『犬』に関する記憶を消そうとしてみたのですが……。用心深い御仁のようで精神操作系の魔法から身を守る強力な護符を身に付けてらっしゃって。どれだけ高位の光魔法師が作ったものなのかは知りませんが……流石は王家筋の公爵家のご子息ですね」
マクシミリアンはそう言うと軽く舌打ちした。
そう……なのね。じゃあエイデン様は『犬』の事を覚えているのね。
彼は抱きしめた状態でわたくしの後頭部を優しく撫でる。
……気持ちいい……幼い頃からもう慣れた彼の手の感触。
マクシミリアンはわたくしを失う事を恐れているけど……それはわたくしだってそうなんだから。
「彼は『犬』を使うのは男装の方の貴女だと思っているでしょうし。お気を付け下さい、お嬢様。私は貴女が居なければ生きていけません」
マクシミリアンが切なげに言う……うう、わたくしマクシミリアンの命も背負ってるのね。
……シュミナ嬢の悩みを聞いてあげているユウ君にも身辺に気を付けてって言わないとなぁ。
シュミナ嬢のエイデン様のバッドエンドフラグを折る頑張りが実ってハッピーエンドになればそれが1番なんだけど。
ソファーに座って説明しているわたくしをマクシミリアンは腕を組んで怖い顔で見下ろしている……うう、すごく怒っていらっしゃる……。
「――という訳で。カーウェル公爵家のエイデン様に絡まれていたの……」
わたくしが上目遣いで言い終えると、マクシミリアンは深い溜め息を吐いた。
「……お嬢様。どうしてシュミナ・パピヨンに近づいたのです? 今まで彼女に何をされたのか覚えていないのですか?」
「で……でも彼女も反省してるみたいだし! わたくしも今まで彼女の事を決めつけ過ぎてたのかなってちょっと反省しているところもあって……」
マクシミリアンの剣幕にわたくしはソファーで縮こまって怯えてしまう。
彼はドスッと音を立てながら隣に座る。
その振動にわたくしは思わずびくりと体を震わせ顔を伏せてしまった。
「ビアンカ様……」
名前で呼ばれ恐る恐る隣を見ると、冷たい表情でマクシミリアンがこちらを見つめている。
……呆れられて……しまったのかしら。ま……まさか……嫌われた?
「……心配、させないで下さい」
マクシミリアンは泣きそうな顔になると、わたくしを抱きしめた。
……わたくしを包み込むマクシミリアンの体は……微かに震えていた。
「『犬』達で守り切れない事態に遭遇したら、どうするおつもりですか。私は貴女を失いたくないです」
「マクシミリアン……」
『犬』達で排除出来ない脅威なんてそうそう無いと思うのだけど……きっとそういう問題じゃないのよね。
彼はわたくしが危ない目に遭う事自体が許せないのだ。
安心させるように抱き返すと、マクシミリアンは大きく溜め息を吐いた。
「もうシュミナ・パピヨンには関わらないで下さい。カーウェル公爵家の者が絡んでいるとなるとお嬢様の身に迫る危険が段違いになりますから。お嬢様の正体がバレていないのでしたら、このまま黙していればこちらに面倒事が降りかかる事は無いでしょう」
「そ……それは約束できないわ、マクシミリアン。シュミナ嬢、本当に参っているみたいなの。それにこのままだと彼女……エイデン様に監禁されちゃうかもしれなくて……」
「それはあの女の自業自得でしょう?」
マクシミリアンの抱きしめる力が更に強くなる。痛い、痛いわマクシミリアン……!!
……だけど……。
「……いいって言ってくれないと。わたくしマクシミリアンに教えずにこっそり彼女と会うわ」
「お嬢様……!!」
心底困ったという顔でこちらを見るマクシミリアンの頬を両手で挟んで。
……わたくしは彼の唇に唇を重ねた。
マクシミリアンは目を見開いてこちらを凝視している……うん、驚くわよね。
でも彼を宥めようと思ったらこの方法しか思いつかなくて……!!
わたくしも相当テンパっているのかもしれない。
彼は顔を真っ赤にしてキスされた唇を押さえる。
そんなマクシミリアンの反応を見て、わたくしの顔にも朱が滲んだ。
「……えっと。ごめんなさい」
慌てて離れようとするとマクシミリアンから肩を強い力で掴まれ、その場に固定された。
……マクシミリアン、貴方どうしていい笑顔なの??
「お嬢様、そんなにシュミナ・パピヨンとお話がしたいのですね?」
「えっと……その……」
「1度のキスくらいで、私が絆されると??」
怒ったのかな? 火に油を注いでしまったってヤツね……??
「……お嬢様がもっとキスして下されば『シュミナ・パピヨンと話すのも仕方ないか』と私も考えを改めるかもしれませんね?」
「マクシミリアンさん……??」
笑顔のマクシミリアンが……どんどん近づいて来る。
うう……これは、怒ったんじゃない。
マクシミリアンが満足するまで逃がして貰えないヤツだ……!!
「待ってぇ!!」
上げようとした悲鳴は、マクシミリアンの唇に塞がれてその音を消した。
――三十分後。
へろへろになったわたくしは満足そうなマクシミリアンに抱きしめられていた。
「では、お嬢様。男装でシュミナ・パピヨンと会う時は私を必ずお近くに置いて下さい。それと私が居ない時の危険を考えて、犬は毎日お側に控えさせます」
「ふぁい……」
ぼんやりとした頭でふにゃふにゃと返事を返す。
そうだ『犬』の事で思い出したけど……。
「エイデン様に『犬』を見られたのは……大丈夫なのかしら」
「実はエイデン様の『犬』に関する記憶を消そうとしてみたのですが……。用心深い御仁のようで精神操作系の魔法から身を守る強力な護符を身に付けてらっしゃって。どれだけ高位の光魔法師が作ったものなのかは知りませんが……流石は王家筋の公爵家のご子息ですね」
マクシミリアンはそう言うと軽く舌打ちした。
そう……なのね。じゃあエイデン様は『犬』の事を覚えているのね。
彼は抱きしめた状態でわたくしの後頭部を優しく撫でる。
……気持ちいい……幼い頃からもう慣れた彼の手の感触。
マクシミリアンはわたくしを失う事を恐れているけど……それはわたくしだってそうなんだから。
「彼は『犬』を使うのは男装の方の貴女だと思っているでしょうし。お気を付け下さい、お嬢様。私は貴女が居なければ生きていけません」
マクシミリアンが切なげに言う……うう、わたくしマクシミリアンの命も背負ってるのね。
……シュミナ嬢の悩みを聞いてあげているユウ君にも身辺に気を付けてって言わないとなぁ。
シュミナ嬢のエイデン様のバッドエンドフラグを折る頑張りが実ってハッピーエンドになればそれが1番なんだけど。
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