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花屋のうさぎと銀狼の朝10
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「レイラ……レイラ?」
リオネル様に何度も呼ばれて、僕はようやく我に返った。
何分の間か、僕は意識を飛ばしてしまっていたらしい。だってリオネル様が、あんなふうに素敵に笑うから。
「レイラ、大丈夫か?」
リオネル様は僕を片手で抱え上げると、すりすりと額同士を合わせてきた。
心配してくださるのは嬉しいのだけれど、そんなことをされるととどめを刺されて気絶してしまいます!
「リオネル様、大丈夫です」
「……本当にか? 体調が悪かったりはしないな?」
「本当です! この通り元気です!」
「そうか。では、行くか」
こちらをじっと見つめた後に、リオネル様は頷きながらそう言った。そして、僕を抱えたままで歩き出そうとする。
「ま、待ってください! どうして抱えたままなんですか!」
「守ると約束したではないか。こうしていると守りやすい」
こんな両手が使えな体勢では、守りやすいわけがない。それくらい僕にだったわかる。
それに……
「これじゃ『守る』じゃなくて、『過保護』です! 自分で歩きますから」
「む……」
ただでさえ目立っているのに、これ以上目立つのは本当に困るのだ。
リオネル様はなぜか渋々という様子で僕を地面に下ろすと、手をそっと差し出してきた。それを握ると、微笑みながら優しく引かれる。
「では、行こう」
「は、はい」
僕が買おうとする花をリオネル様が買おうとするので、それを阻止をしながら市場を回る。
……リオネル様に仕入れてもらうなんて、それはさすがにおかしな話になってしまう。
花を入れるための背負い籠はパンパンになってしまったので、籠に入らない分はさらに二人で分けて持つ。今日は買いすぎたかもしれないな。二人いるから量が買えるというのもあるけれど……リオネル様とのお買い物で、僕はたぶん浮ついている。
「これで終わりか?」
「はい。リオネル様が一緒なので、いつもよりたくさん買えました」
それにいつもよりもスムーズに歩けたような気がする。リオネル様の周囲には人が集まりはするけれど、皆不思議と遠巻きになってしまうから。リオネル様のオーラが、そうさせるんだろう。
「では籠は、私が持とう」
「いえ、遠慮しておきます!」
僕が背負っている籠を持つ、とリオネル様がたびたび提案してくれるのだけれど、僕はそれを断り続けていた。こんな毎日使ってボロボロな籠を、リオネル様に持たせるのは忍びなさすぎる。
「これはうさぎ族用です。サイズが合わないので、リオネル様は背負えませんし」
「では、レイラごと持とうか。それが手っ取り早いな」
「それは、もっとダメです!」
毎日のことで慣れているからと、何度も言って諦めてもらう。
リオネル様は渋々というご様子だったけれど、最後には引き下がってくれた。
「私が持ちたかったのだがな……」
拗ねた様子で唇を尖らせるリオネル様は、凛とした雰囲気が薄れて親しみやすさが湧く。
そういう彼を見られることを、僕は心から嬉しいと思ってしまう。リオネル様が……少しでも気を許してくださっているんだって。そう思えるから。
リオネル様に何度も呼ばれて、僕はようやく我に返った。
何分の間か、僕は意識を飛ばしてしまっていたらしい。だってリオネル様が、あんなふうに素敵に笑うから。
「レイラ、大丈夫か?」
リオネル様は僕を片手で抱え上げると、すりすりと額同士を合わせてきた。
心配してくださるのは嬉しいのだけれど、そんなことをされるととどめを刺されて気絶してしまいます!
「リオネル様、大丈夫です」
「……本当にか? 体調が悪かったりはしないな?」
「本当です! この通り元気です!」
「そうか。では、行くか」
こちらをじっと見つめた後に、リオネル様は頷きながらそう言った。そして、僕を抱えたままで歩き出そうとする。
「ま、待ってください! どうして抱えたままなんですか!」
「守ると約束したではないか。こうしていると守りやすい」
こんな両手が使えな体勢では、守りやすいわけがない。それくらい僕にだったわかる。
それに……
「これじゃ『守る』じゃなくて、『過保護』です! 自分で歩きますから」
「む……」
ただでさえ目立っているのに、これ以上目立つのは本当に困るのだ。
リオネル様はなぜか渋々という様子で僕を地面に下ろすと、手をそっと差し出してきた。それを握ると、微笑みながら優しく引かれる。
「では、行こう」
「は、はい」
僕が買おうとする花をリオネル様が買おうとするので、それを阻止をしながら市場を回る。
……リオネル様に仕入れてもらうなんて、それはさすがにおかしな話になってしまう。
花を入れるための背負い籠はパンパンになってしまったので、籠に入らない分はさらに二人で分けて持つ。今日は買いすぎたかもしれないな。二人いるから量が買えるというのもあるけれど……リオネル様とのお買い物で、僕はたぶん浮ついている。
「これで終わりか?」
「はい。リオネル様が一緒なので、いつもよりたくさん買えました」
それにいつもよりもスムーズに歩けたような気がする。リオネル様の周囲には人が集まりはするけれど、皆不思議と遠巻きになってしまうから。リオネル様のオーラが、そうさせるんだろう。
「では籠は、私が持とう」
「いえ、遠慮しておきます!」
僕が背負っている籠を持つ、とリオネル様がたびたび提案してくれるのだけれど、僕はそれを断り続けていた。こんな毎日使ってボロボロな籠を、リオネル様に持たせるのは忍びなさすぎる。
「これはうさぎ族用です。サイズが合わないので、リオネル様は背負えませんし」
「では、レイラごと持とうか。それが手っ取り早いな」
「それは、もっとダメです!」
毎日のことで慣れているからと、何度も言って諦めてもらう。
リオネル様は渋々というご様子だったけれど、最後には引き下がってくれた。
「私が持ちたかったのだがな……」
拗ねた様子で唇を尖らせるリオネル様は、凛とした雰囲気が薄れて親しみやすさが湧く。
そういう彼を見られることを、僕は心から嬉しいと思ってしまう。リオネル様が……少しでも気を許してくださっているんだって。そう思えるから。
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