108 / 174
痴漢電車
しおりを挟む
~ある朝、山足線にて~
痴漢です。痴漢だ。痴漢だよ。痴漢よ。痴漢です。誰か助けて。キャー!痴漢!、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、、、、。
車内にたくさんの声が響きました。通勤時間、いつもどうり満員です。。痴漢が発生しがちな時間であることは確かです。しかし、それにしても多すぎはしませんか。痴漢を訴える声は、数え切れません。一体、だれが痴漢されたのでしょう。
車内を見渡すと人々は何が起こったかわからないというような様子でぼけっと立っています。おじさんも、おばさんも、通学中の中学生も高校生も、大学生も同じように突っ立っているのです。そこに、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、と声が響いています。だれの声なのでしょう。ぼうっと突っ立っている人々、よく見るとみんなそれぞれ一点を見つめているようです。それは、吊革です。どうやら声は吊革から発せられているようでした。吊革が、痴漢を訴えているのです。吊革を持っていた人は動揺しています。そんな、私はただ、吊革を持っていただけなのに。なんで、なんで。逆に、吊革を持っていなかった人、つまり吊革に痴漢で訴えられなかった人は、吊革に痴漢した人に軽蔑の視線を向け始めています。
次はにゃんにゃん駅、にゃんにゃん駅。
駅に着きました。吊革を痴漢していた人々は痴漢していなかった人々に捕まえられます。腕を掴まれ、電車の外に押し出されました。
「なんでだ。俺はただつり革をつかんでいただけじゃないか。」
「ああ、つまり痴漢したんじゃないか。」
「そんな馬鹿なことあるかい。君だって椅子に座れていなかったら吊革を掴んでいただろう。」
「ああ、もし椅子に座れていなかったら俺も吊革を掴んでいただろうな。でも俺は今椅子に座っていただろう。だから俺は痴漢してないんだ。観念しろ。」
「なんで突然。吊革を持つことが痴漢なんてことになっちまったんだ。」
「それは吊革が痴漢だと言ったからだ。観念したまえ。」
「うぅ、うぅ、ちくしょうめ、ちくしょうめ。」
老若男女、手すりに訴えられた人々はみな警察に身柄を拘束されました。中には涙を流している人もいます。しかしもう言い逃れはできません。たくさんの人が現場を目撃しているのですから。
残った人々は電車に乗りましたが、吊革に訴えられないようにしゃがんで乗りました。しかし、次の駅で乗ってきた人は吊革が痴漢を訴えるなんてことは知りません。電車に入ると椅子に座っている人以外みんなしゃがんでいます。お、これはどういうことだろう。みな怪訝な顔をします。しゃがむ人、不安そうな顔をしながら吊革を掴む人、いろんな人がいました。運悪く吊革を掴んでしまった人は容赦なく痴漢で訴えられ、泣きながら警察に捕まっていきました。毎駅ごとに悲劇は繰り返されていきました。
この件はそのニュース速報として、大きく報じられました。
ピロピロリン、ピロピロリン
ニュース速報
「山足線内で、吊革が痴漢を訴え、多数の人間が強制わいせつ罪で身柄を拘束されました。」
このニュース速報が多くの人間を救いました。そのニュースはその衝撃からsnsなどネット上でどんどん伝わっていき知らない人はいないほどの事件となったのです。そのため、その後山足線に乗る人はみな吊革に触らないよう注意し、椅子に座るか、床にしゃがみながら乗ったのでした。
夜のニュースでもこの件は大きく取り上げられました。
続いてのニュースです。吊革が、痴漢被害を訴えました。今日の午前六時頃、山足線内の電車で吊革が痴漢被害を訴えました。目撃者によりますと車内で突然吊革が、痴漢だ、痴漢だと騒ぎ出し吊革を掴んでいた人は全て痴漢加害者として警察に連行されていったということです。実際に現場に居合わせた人のインタビューです。
「どのような様子でしたか。」
「私はいつものように通勤中で椅子に座っていたんですがね。突然吊革が痴漢、痴漢って騒ぎ出したもので。これは助けなきゃいけないと思って、吊革を掴んでた人たちを捕まえた訳なんですよ。」
「吊革の声はどのようなものでしたか。」
「それはもう、the 吊革、the 吊革という感じでした。ほんとにもう、the 吊革、the 吊革。」
「そうでしたか。ありがとうございました。」
ということでしたが、飲酒院さん、どうお考えになりますか。
はい、ええとまあ、やはり被害に遭っていた吊革をいち早く救ったということでね、これはやはりね、賞賛に値する素晴らしい行動だったのではないですかね。
そうですね。では、続いてのニュースです、、、、、
翌日。
山足線に乗る人々は吊革を触らないようみんなしゃがんだり、椅子に座ったり、床に座ったりしていました。今までにない、新しい光景でした。物珍しさに写真に収める人もいました。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
電車はいつものように進みます。しかし、
痴漢です。痴漢だ。痴漢だよ。痴漢よ。痴漢されてます。助けて、助けて。痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、、、、。
昨日と同じような声が再び聞こえてきました。息を飲む人々。空気が凍りました。どこから聞こえているのか。耳を澄まします。
痴漢、痴漢痴漢痴漢、痴漢痴漢、、、、
ああ、椅子、椅子です。椅子が痴漢を訴えているようです。椅子に座っている人々はそれに気付き愕然としています。私はただ、椅子に座っていただけなのに、、、、。床に座っていたりしゃがんだりしていた人々は椅子に座っている人々に軽蔑の視線を向け始めます。椅子に座っていた人々は動揺しています。そんな、私はただ、椅子に座っていただけなのに。
次は、にゃんにゃん駅、にゃんにゃん駅
駅に着きました。椅子を痴漢していた人々は痴漢していなかった人々に捕まえられます。腕を掴まれ、電車の外に押し出されました。
「なんで、私はただ椅子に座っていただけじゃないのよ。」
「それはつまり、痴漢したということじゃないか。」
「あなただって、もし椅子が空いていたら座っていたでしょうよ。」
「ああ、もし椅子が空いていたら座っていただろうけど。でも空いてなかったから僕は椅子に座らなかったんだよ。」
外には警察官が待ち構えていました。老若男女、椅子に座っていた人々は警察官に取り押さえられました。泣き叫ぶ人、呆然とする人、様々でした。それから電車内ではみな椅子に座らず、吊革にも触れず床にしゃがんだり、座ったりしながら電車に乗っていました。入ってきた人はこの光景を見て少し驚きましたが、昨日吊革を持っていた人が逮捕されたことを知っていたためか、椅子に座る人はあまりいませんでした。きっと、あ、今日は椅子に座った人が痴漢で訴えられたのだな、と、理解したのでしょう。
ピロピロリン、ピロピロリン
「ニュース速報 山足線内で椅子に座っていた人が椅子に痴漢で訴えられ、警察に連行。」
その夜、この件は昨日と同じようにニュースで大きく取り上られました。
続いてのニュースです。椅子が、痴漢被害を訴えました。今日の午前六時頃、山足線内の電車で椅子が痴漢被害を訴えました。目撃者によりますと、車内で突然椅子が、痴漢だ、痴漢だと騒ぎ出し、椅子に座っていた人は全て痴漢加害者として警察に連行されていったということです。実際に現場に居合わせた人のインタビューです。
「どのような様子でしたか。」
「うん、ええとね。私はまあ吊革に痴漢しないように注意してね、床にしゃがんでいたんだけど。そしたら、突然痴漢だ、痴漢だという声が聞こえてきてね。ちょっと最初はびくっとしたんだけれども。耳を澄ますとどうやら椅子の方から聞こえてきてね。ああよかった、と安心したんだ。でもまあ椅子は助けを求めてる訳だから椅子に座ってる人たちを捕まえて警察に引き渡した訳なんだよ。」
「そうでしたか、椅子はどんな声でしたか。」
「うん、いすいすいっすー、いすいっすーっていう感じだったかな。」
「そうでしたか、ありがとうございました。」
ということでした。新市(あたらいち)さんはこの件についてどのようにお考えですか。
「そうですねー。まあ、この人は椅子に座ってなくてラッキーだったなーって感じじゃないですか。痴漢にならなくて済んだ訳ですし。」
そうですか。ありがとうございました。では続いてのニュースです、、、、、、。
それからというもの、山足線に乗る人々は床に座ったり、しゃがんだりするようになった。なんせ椅子に座ったり吊革を掴んだりしたら痴漢になってしまうのですから。でも、そんなことをやっていたのでこの電車にはあまり人が乗れませんでした。椅子には触れないし、みんなしゃがんだり座ったりしているので立っているより場所を取りますし。山足線を運営するJR2(ジェイアールの2乗)社は困りました。だってやってることは同じなのに電車に乗れる客が少ないのですもの。これでは利益が得られません。JR2社は会議を開きました。
「はてさて、どうしたものかね。」
「うーむ、困ったね。」
「乗れる客の数が半分くらいになってしまったからね。運行数を倍にすればいいのではないかね。」
「うーん、これ以上は限界だよ。制御出来ず事故が起きてしまう。」
「では、客が乗ってくるときプレスをかけてお客様の体積を半分にしてしまうというのはどうでしょう。」
「うーむなるほど、面白い考えだ。でもね、体積を半分にするということはそれ即ち殺すということじゃないかね。それは流石に良くないんじゃないか。それにね、プレスをかける時間も考えてみなさい。乗り降りに時間がかかってしまうでしょう。」
「ではどうすれば。」
「そもそもなぜこんな会議を開かなければいけなくなったんだ。」
「それは、確か、客があまり電車に乗れず儲からなくなったから。」
「なぜ客があまり電車に乗れなくなったのでしたかな。」
「それは、吊革と椅子が痴漢被害を訴えるようになったからだ。」
「そうだ、そうだ。だったら吊革と椅子を痴漢被害を訴えないものに交換すればいいではないか。」
「その通りだ!!」
その夜、JR2社は山足線の椅子と吊革を取り替えました。椅子と吊革はあまりの恐ろしさに発狂して叫びました。
助けてくれー!!誰か!!誰か!!うわー!!!助けてー助けてー!!
しかし、誰も助けてはくれません。吊革と椅子は山奥の倉庫に運ばれ、閉じ込められました。
次の日、山足線には
「この電車の吊革と椅子は痴漢被害を訴えません。」
という張り紙が貼られておりました。人々は安心して吊革を掴み、椅子に座ったのでした。
完
痴漢です。痴漢だ。痴漢だよ。痴漢よ。痴漢です。誰か助けて。キャー!痴漢!、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、、、、。
車内にたくさんの声が響きました。通勤時間、いつもどうり満員です。。痴漢が発生しがちな時間であることは確かです。しかし、それにしても多すぎはしませんか。痴漢を訴える声は、数え切れません。一体、だれが痴漢されたのでしょう。
車内を見渡すと人々は何が起こったかわからないというような様子でぼけっと立っています。おじさんも、おばさんも、通学中の中学生も高校生も、大学生も同じように突っ立っているのです。そこに、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、と声が響いています。だれの声なのでしょう。ぼうっと突っ立っている人々、よく見るとみんなそれぞれ一点を見つめているようです。それは、吊革です。どうやら声は吊革から発せられているようでした。吊革が、痴漢を訴えているのです。吊革を持っていた人は動揺しています。そんな、私はただ、吊革を持っていただけなのに。なんで、なんで。逆に、吊革を持っていなかった人、つまり吊革に痴漢で訴えられなかった人は、吊革に痴漢した人に軽蔑の視線を向け始めています。
次はにゃんにゃん駅、にゃんにゃん駅。
駅に着きました。吊革を痴漢していた人々は痴漢していなかった人々に捕まえられます。腕を掴まれ、電車の外に押し出されました。
「なんでだ。俺はただつり革をつかんでいただけじゃないか。」
「ああ、つまり痴漢したんじゃないか。」
「そんな馬鹿なことあるかい。君だって椅子に座れていなかったら吊革を掴んでいただろう。」
「ああ、もし椅子に座れていなかったら俺も吊革を掴んでいただろうな。でも俺は今椅子に座っていただろう。だから俺は痴漢してないんだ。観念しろ。」
「なんで突然。吊革を持つことが痴漢なんてことになっちまったんだ。」
「それは吊革が痴漢だと言ったからだ。観念したまえ。」
「うぅ、うぅ、ちくしょうめ、ちくしょうめ。」
老若男女、手すりに訴えられた人々はみな警察に身柄を拘束されました。中には涙を流している人もいます。しかしもう言い逃れはできません。たくさんの人が現場を目撃しているのですから。
残った人々は電車に乗りましたが、吊革に訴えられないようにしゃがんで乗りました。しかし、次の駅で乗ってきた人は吊革が痴漢を訴えるなんてことは知りません。電車に入ると椅子に座っている人以外みんなしゃがんでいます。お、これはどういうことだろう。みな怪訝な顔をします。しゃがむ人、不安そうな顔をしながら吊革を掴む人、いろんな人がいました。運悪く吊革を掴んでしまった人は容赦なく痴漢で訴えられ、泣きながら警察に捕まっていきました。毎駅ごとに悲劇は繰り返されていきました。
この件はそのニュース速報として、大きく報じられました。
ピロピロリン、ピロピロリン
ニュース速報
「山足線内で、吊革が痴漢を訴え、多数の人間が強制わいせつ罪で身柄を拘束されました。」
このニュース速報が多くの人間を救いました。そのニュースはその衝撃からsnsなどネット上でどんどん伝わっていき知らない人はいないほどの事件となったのです。そのため、その後山足線に乗る人はみな吊革に触らないよう注意し、椅子に座るか、床にしゃがみながら乗ったのでした。
夜のニュースでもこの件は大きく取り上げられました。
続いてのニュースです。吊革が、痴漢被害を訴えました。今日の午前六時頃、山足線内の電車で吊革が痴漢被害を訴えました。目撃者によりますと車内で突然吊革が、痴漢だ、痴漢だと騒ぎ出し吊革を掴んでいた人は全て痴漢加害者として警察に連行されていったということです。実際に現場に居合わせた人のインタビューです。
「どのような様子でしたか。」
「私はいつものように通勤中で椅子に座っていたんですがね。突然吊革が痴漢、痴漢って騒ぎ出したもので。これは助けなきゃいけないと思って、吊革を掴んでた人たちを捕まえた訳なんですよ。」
「吊革の声はどのようなものでしたか。」
「それはもう、the 吊革、the 吊革という感じでした。ほんとにもう、the 吊革、the 吊革。」
「そうでしたか。ありがとうございました。」
ということでしたが、飲酒院さん、どうお考えになりますか。
はい、ええとまあ、やはり被害に遭っていた吊革をいち早く救ったということでね、これはやはりね、賞賛に値する素晴らしい行動だったのではないですかね。
そうですね。では、続いてのニュースです、、、、、
翌日。
山足線に乗る人々は吊革を触らないようみんなしゃがんだり、椅子に座ったり、床に座ったりしていました。今までにない、新しい光景でした。物珍しさに写真に収める人もいました。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
電車はいつものように進みます。しかし、
痴漢です。痴漢だ。痴漢だよ。痴漢よ。痴漢されてます。助けて、助けて。痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、痴漢、、、、。
昨日と同じような声が再び聞こえてきました。息を飲む人々。空気が凍りました。どこから聞こえているのか。耳を澄まします。
痴漢、痴漢痴漢痴漢、痴漢痴漢、、、、
ああ、椅子、椅子です。椅子が痴漢を訴えているようです。椅子に座っている人々はそれに気付き愕然としています。私はただ、椅子に座っていただけなのに、、、、。床に座っていたりしゃがんだりしていた人々は椅子に座っている人々に軽蔑の視線を向け始めます。椅子に座っていた人々は動揺しています。そんな、私はただ、椅子に座っていただけなのに。
次は、にゃんにゃん駅、にゃんにゃん駅
駅に着きました。椅子を痴漢していた人々は痴漢していなかった人々に捕まえられます。腕を掴まれ、電車の外に押し出されました。
「なんで、私はただ椅子に座っていただけじゃないのよ。」
「それはつまり、痴漢したということじゃないか。」
「あなただって、もし椅子が空いていたら座っていたでしょうよ。」
「ああ、もし椅子が空いていたら座っていただろうけど。でも空いてなかったから僕は椅子に座らなかったんだよ。」
外には警察官が待ち構えていました。老若男女、椅子に座っていた人々は警察官に取り押さえられました。泣き叫ぶ人、呆然とする人、様々でした。それから電車内ではみな椅子に座らず、吊革にも触れず床にしゃがんだり、座ったりしながら電車に乗っていました。入ってきた人はこの光景を見て少し驚きましたが、昨日吊革を持っていた人が逮捕されたことを知っていたためか、椅子に座る人はあまりいませんでした。きっと、あ、今日は椅子に座った人が痴漢で訴えられたのだな、と、理解したのでしょう。
ピロピロリン、ピロピロリン
「ニュース速報 山足線内で椅子に座っていた人が椅子に痴漢で訴えられ、警察に連行。」
その夜、この件は昨日と同じようにニュースで大きく取り上られました。
続いてのニュースです。椅子が、痴漢被害を訴えました。今日の午前六時頃、山足線内の電車で椅子が痴漢被害を訴えました。目撃者によりますと、車内で突然椅子が、痴漢だ、痴漢だと騒ぎ出し、椅子に座っていた人は全て痴漢加害者として警察に連行されていったということです。実際に現場に居合わせた人のインタビューです。
「どのような様子でしたか。」
「うん、ええとね。私はまあ吊革に痴漢しないように注意してね、床にしゃがんでいたんだけど。そしたら、突然痴漢だ、痴漢だという声が聞こえてきてね。ちょっと最初はびくっとしたんだけれども。耳を澄ますとどうやら椅子の方から聞こえてきてね。ああよかった、と安心したんだ。でもまあ椅子は助けを求めてる訳だから椅子に座ってる人たちを捕まえて警察に引き渡した訳なんだよ。」
「そうでしたか、椅子はどんな声でしたか。」
「うん、いすいすいっすー、いすいっすーっていう感じだったかな。」
「そうでしたか、ありがとうございました。」
ということでした。新市(あたらいち)さんはこの件についてどのようにお考えですか。
「そうですねー。まあ、この人は椅子に座ってなくてラッキーだったなーって感じじゃないですか。痴漢にならなくて済んだ訳ですし。」
そうですか。ありがとうございました。では続いてのニュースです、、、、、、。
それからというもの、山足線に乗る人々は床に座ったり、しゃがんだりするようになった。なんせ椅子に座ったり吊革を掴んだりしたら痴漢になってしまうのですから。でも、そんなことをやっていたのでこの電車にはあまり人が乗れませんでした。椅子には触れないし、みんなしゃがんだり座ったりしているので立っているより場所を取りますし。山足線を運営するJR2(ジェイアールの2乗)社は困りました。だってやってることは同じなのに電車に乗れる客が少ないのですもの。これでは利益が得られません。JR2社は会議を開きました。
「はてさて、どうしたものかね。」
「うーむ、困ったね。」
「乗れる客の数が半分くらいになってしまったからね。運行数を倍にすればいいのではないかね。」
「うーん、これ以上は限界だよ。制御出来ず事故が起きてしまう。」
「では、客が乗ってくるときプレスをかけてお客様の体積を半分にしてしまうというのはどうでしょう。」
「うーむなるほど、面白い考えだ。でもね、体積を半分にするということはそれ即ち殺すということじゃないかね。それは流石に良くないんじゃないか。それにね、プレスをかける時間も考えてみなさい。乗り降りに時間がかかってしまうでしょう。」
「ではどうすれば。」
「そもそもなぜこんな会議を開かなければいけなくなったんだ。」
「それは、確か、客があまり電車に乗れず儲からなくなったから。」
「なぜ客があまり電車に乗れなくなったのでしたかな。」
「それは、吊革と椅子が痴漢被害を訴えるようになったからだ。」
「そうだ、そうだ。だったら吊革と椅子を痴漢被害を訴えないものに交換すればいいではないか。」
「その通りだ!!」
その夜、JR2社は山足線の椅子と吊革を取り替えました。椅子と吊革はあまりの恐ろしさに発狂して叫びました。
助けてくれー!!誰か!!誰か!!うわー!!!助けてー助けてー!!
しかし、誰も助けてはくれません。吊革と椅子は山奥の倉庫に運ばれ、閉じ込められました。
次の日、山足線には
「この電車の吊革と椅子は痴漢被害を訴えません。」
という張り紙が貼られておりました。人々は安心して吊革を掴み、椅子に座ったのでした。
完
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる