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第13話
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アンサルドの街に戻り、冒険者協会で登録しようとすると、
「ユースフィアさん、聖女様で――ふんがっ!?」
受付嬢が大声を上げようとしたので、思わず姉さんと2人で口を塞いでしまった。
「大声で言わないでよ。あんまり知られるとボディビルダー神殿の連中が嗅ぎつけて、勇者の仲間になれってうるさいし」
「はぁ……」
「しばらくは騒がれるのを避けたいんで、姉さんの好きにさせてあげてくれませんか?」
「……ふぁい」
コクコク頷いたので手を離す。
「はぁ……。誠に申し訳ありませんでした。冒険者の個人情報を声に出して、あまつさえ叫んでしまうなんて……。ああ、それはそれとして、このあと細かい協会の利用規則や諸々の説明がありますので、引き続きこちらのカウンターで――」
「そういうのはトールに任せた! わたしは面白そうなクエストがないか見てくるからぁぁ、アデュー」
掲示板の方向へ走り去った。
「逃げたな……」
「あはは。それで弟さんのクラスは――」
あまり気が進まないのだけど。
しぶしぶクラス・プレートを見せる。
身分証明になっているので、見せないわけにはいかないのだ。
「えっと……これって……私、受付嬢として初めて見るクラスなんですが。街道巡視員よりレアだ」
街道を見回るためだけのクラスってのも、かなりのレアだと思うけど。
「何も言わないでください。たぶん、そういう星の下に生まれたというか、明らかに姉さんのせいなので……」
「はは……そうですね。一応、戦士クラスで登録しときますから……その、色々と頑張ってください」
こうして、受付嬢から、いくつかの説明や注意事項を聞き終えると、そのまま姉さんの元へ向かった。
巨大な掲示板には、一目見ただけでは把握しきれないほどたくさんの〝クエスト票〟――依頼が書かれた紙が、張り出されていた。
一応、上から順に難易度が高いクエストになっているようけど……。
「そういえば姉さん、先に仲間は見つけなくていいの?」
「うん。まずは2人だけでいくつかクエストを受けてみない?」
まだ、スラッシュのことを引きずっているのかもしれない。
「そうだね。僕も記念すべき最初のクエストは姉さんと2人で受けたいと思ってたし、いいんじゃないかな?」
「でしょでしょ。流石はわたしの弟、以心伝心ね!」
姉さんが枠外から一枚のクエスト票を剥がした。
「そんなトールとわたしのために選んだクエストが――じゃじゃん! これよっ!」
「ユースフィアさん、聖女様で――ふんがっ!?」
受付嬢が大声を上げようとしたので、思わず姉さんと2人で口を塞いでしまった。
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「はぁ……」
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「……ふぁい」
コクコク頷いたので手を離す。
「はぁ……。誠に申し訳ありませんでした。冒険者の個人情報を声に出して、あまつさえ叫んでしまうなんて……。ああ、それはそれとして、このあと細かい協会の利用規則や諸々の説明がありますので、引き続きこちらのカウンターで――」
「そういうのはトールに任せた! わたしは面白そうなクエストがないか見てくるからぁぁ、アデュー」
掲示板の方向へ走り去った。
「逃げたな……」
「あはは。それで弟さんのクラスは――」
あまり気が進まないのだけど。
しぶしぶクラス・プレートを見せる。
身分証明になっているので、見せないわけにはいかないのだ。
「えっと……これって……私、受付嬢として初めて見るクラスなんですが。街道巡視員よりレアだ」
街道を見回るためだけのクラスってのも、かなりのレアだと思うけど。
「何も言わないでください。たぶん、そういう星の下に生まれたというか、明らかに姉さんのせいなので……」
「はは……そうですね。一応、戦士クラスで登録しときますから……その、色々と頑張ってください」
こうして、受付嬢から、いくつかの説明や注意事項を聞き終えると、そのまま姉さんの元へ向かった。
巨大な掲示板には、一目見ただけでは把握しきれないほどたくさんの〝クエスト票〟――依頼が書かれた紙が、張り出されていた。
一応、上から順に難易度が高いクエストになっているようけど……。
「そういえば姉さん、先に仲間は見つけなくていいの?」
「うん。まずは2人だけでいくつかクエストを受けてみない?」
まだ、スラッシュのことを引きずっているのかもしれない。
「そうだね。僕も記念すべき最初のクエストは姉さんと2人で受けたいと思ってたし、いいんじゃないかな?」
「でしょでしょ。流石はわたしの弟、以心伝心ね!」
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