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第25話
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これは、今から約250年前のお話です。
現在アンサルドと呼ばれている街の近くに、かつてアンサルディという小さなお城が建っていました。
当時は、白い大理石で覆われた壁面が、太陽の光を反射してきらめき、近隣諸国でも噂に上るほど美しい城として、アンサルドの人々の誇りでもありました。
そこには1人の王子が住んでいました。
王子の名はベルディナット・ヴァン・アンサルディ。
アンサルディ城の城主でもありました。
早くに親兄弟を亡くした王子は、物事の善悪にうとく、騙されることも度々。
また、周囲から見るとズレた行動を取ることも多くありました。
そのため、執事もメイドも、王子に仕える騎士たちでさえ「おバカな王子」と呼んでいました。
ですが、そんな王子にもいいところがありました。
それは、まだ王子の両親が生きていたころに取り決められた婚約者。
隣国の伯爵令嬢――コレット・ロゼ・ネフライトを、深く深く愛しており、とても大事にしていたところです。
コレットの気持ちとしては、ズレた行動の多い王子でしたが、一途に好きだと言ってくるベルディナットのことを嫌いではありませんでした。
ただ、愛しているかと問われると、よくわからなかったのですが。
王子は「君の髪や瞳の色とよく似ている」と言って、アンサルディ城に代々伝わる秘宝――赤のルベライトをプレゼントするほどの熱の入れよう。
しかし、恋人であり、妻であり、母であり、姉であり、友人でもある。
早くに親兄弟を亡くし、同世代の友人さえいない王子にとって、コレットは替えのきかない唯一無二の存在。
全てにおいて、コレットを優先する王子の態度は、いつしか彼女にとって重荷になってしまいました。
そんなある日のこと。
ベルディナット王子の奇行を耳にしたコレットの父親が、娘に王子の様子について尋ねたのです。
そしてつい、コレットは自分の悩みを打ち明けてしまいました。
結果、父親は王子に娘の婚約破棄を申し出たのです。
コレットは父親を止めませんでした。
彼女自身が、王子に対して疲れていたということもありましたが、もう一つ。
父親もまた、早くに妻を亡くしており、一人娘のコレットを大事に育てていました。
誰よりも幸せになってもらいたいと願っていたのです。
そんな父親に、今更婚約破棄をなかったことにしてくれ、などとはとても言えませんでした。
こうしてコレットは、父親に反抗したくないという気持ちを盾に、自身の婚約破棄を正当化してしまいました。
その後、コレットは自国の王子と結婚し、幸せな日々を送ることになります。
それはとても贅沢な日々でした。
ですが、1人残してきた王子のことを忘れない日はありませんでした。
こうして、結婚相手が亡くなり、息子が王位を継ぎ、自分の存在が必要なくなったころ、コレットは王子の行方を調べることにしました。
それまでは、結婚相手への申し訳なさと、王子への後ろめたさから、積極的に知ろうとはしなかったです。
現実から目を背けていたのです。
調査の結果、王子はすでに亡くなっており、アンサルディ城内を、ゴーストの姿でさまよっているということがわかりました。
おバカな王子は、コレットに婚約破棄された事実を理解しておらず、死ぬまで彼女を待っていたそうです。
王子の霊は、安らかな眠りを迎えることができなかったのでしょう。
「自分のせいだ」と悔やんだコレットは、冒険者協会やルクスベルの神殿に、王子のゴーストの浄化を依頼しました。
せめて、魔物と化した彼を、魔界ではなく天界へ連れて行ってあげたいと願ったからです。
けれど、それらは全て失敗に終わります。
コレットは誰にも告げず、王子の霊を浄化しなければならない、という強い後悔の念を抱いたまま亡くなりました。
その目的を果たすため、コレットもまた、王子同様、現世にしがみ続ける道を選んだのです。
現在アンサルドと呼ばれている街の近くに、かつてアンサルディという小さなお城が建っていました。
当時は、白い大理石で覆われた壁面が、太陽の光を反射してきらめき、近隣諸国でも噂に上るほど美しい城として、アンサルドの人々の誇りでもありました。
そこには1人の王子が住んでいました。
王子の名はベルディナット・ヴァン・アンサルディ。
アンサルディ城の城主でもありました。
早くに親兄弟を亡くした王子は、物事の善悪にうとく、騙されることも度々。
また、周囲から見るとズレた行動を取ることも多くありました。
そのため、執事もメイドも、王子に仕える騎士たちでさえ「おバカな王子」と呼んでいました。
ですが、そんな王子にもいいところがありました。
それは、まだ王子の両親が生きていたころに取り決められた婚約者。
隣国の伯爵令嬢――コレット・ロゼ・ネフライトを、深く深く愛しており、とても大事にしていたところです。
コレットの気持ちとしては、ズレた行動の多い王子でしたが、一途に好きだと言ってくるベルディナットのことを嫌いではありませんでした。
ただ、愛しているかと問われると、よくわからなかったのですが。
王子は「君の髪や瞳の色とよく似ている」と言って、アンサルディ城に代々伝わる秘宝――赤のルベライトをプレゼントするほどの熱の入れよう。
しかし、恋人であり、妻であり、母であり、姉であり、友人でもある。
早くに親兄弟を亡くし、同世代の友人さえいない王子にとって、コレットは替えのきかない唯一無二の存在。
全てにおいて、コレットを優先する王子の態度は、いつしか彼女にとって重荷になってしまいました。
そんなある日のこと。
ベルディナット王子の奇行を耳にしたコレットの父親が、娘に王子の様子について尋ねたのです。
そしてつい、コレットは自分の悩みを打ち明けてしまいました。
結果、父親は王子に娘の婚約破棄を申し出たのです。
コレットは父親を止めませんでした。
彼女自身が、王子に対して疲れていたということもありましたが、もう一つ。
父親もまた、早くに妻を亡くしており、一人娘のコレットを大事に育てていました。
誰よりも幸せになってもらいたいと願っていたのです。
そんな父親に、今更婚約破棄をなかったことにしてくれ、などとはとても言えませんでした。
こうしてコレットは、父親に反抗したくないという気持ちを盾に、自身の婚約破棄を正当化してしまいました。
その後、コレットは自国の王子と結婚し、幸せな日々を送ることになります。
それはとても贅沢な日々でした。
ですが、1人残してきた王子のことを忘れない日はありませんでした。
こうして、結婚相手が亡くなり、息子が王位を継ぎ、自分の存在が必要なくなったころ、コレットは王子の行方を調べることにしました。
それまでは、結婚相手への申し訳なさと、王子への後ろめたさから、積極的に知ろうとはしなかったです。
現実から目を背けていたのです。
調査の結果、王子はすでに亡くなっており、アンサルディ城内を、ゴーストの姿でさまよっているということがわかりました。
おバカな王子は、コレットに婚約破棄された事実を理解しておらず、死ぬまで彼女を待っていたそうです。
王子の霊は、安らかな眠りを迎えることができなかったのでしょう。
「自分のせいだ」と悔やんだコレットは、冒険者協会やルクスベルの神殿に、王子のゴーストの浄化を依頼しました。
せめて、魔物と化した彼を、魔界ではなく天界へ連れて行ってあげたいと願ったからです。
けれど、それらは全て失敗に終わります。
コレットは誰にも告げず、王子の霊を浄化しなければならない、という強い後悔の念を抱いたまま亡くなりました。
その目的を果たすため、コレットもまた、王子同様、現世にしがみ続ける道を選んだのです。
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