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第29話
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「愛情ね……。そっか……。いっぱい、長い間すれ違ってたけど、最後まで変わらない想いかあ……」
「姉さん、うらやましかったりする?」
「そりゃーね。この世界……ううん、前世を含めて、変わらないものなんて何もないと思ってたもの。寿命があるんだかないんだかわからない魔物のスラッシュですら、あっという間にわたしの前からいなくなっちゃったし。この城だってそう。国破れて山河あり、城春にして草青みたり――だったかな?」
「なにそれ?」
「前世で覚えさせられたのよ。当時は綺麗なお城だったそうだけど、今じゃこんなにも蔦に覆われている。きっとわたしの本当の家族だってそう。トールだってそう」
「僕?」
「正直言うとね、このままトールといつまでも一緒に冒険なんて、してられないだろうなって。だって魔王退治よ? いくらトールが普通の人よりほんのちょっと器用で、初歩的な魔法を色々使いこなせるといっても、相手は魔王だもん。初期パーティのメンバーがラスボスのダンジョンとか無理でしょ。特別な才能だったりクラスじゃないと、危険すぎるもの。勇者や賢者クラスでないと。商人や遊び人と一緒の冒険は楽しいけど、やっぱりボス戦は辛いのよ」
相変わらず何言ってるのかよくわかんないけど、
「それも、姉さんがよく言うゲームの話?」
「うう、そうよ。悪い!?」
「はあ……」
コレットさんの最後の言葉を思い出す。
「姉さんがつけ上がりそうだから、これだけは見せたくなかったけど、ほら、姉さん、これが僕のクラス・プレート」
「なによ、今更」
「職業欄のとこ見てみなって」
「実は勇者とかって……」
----------------------------------------
【ネーム】:トール・アンデックス
【クラス】:聖女の世話係。ユースフィアのことよろしくお願いします。ユースフィアを守るために必要であれば、だいたい何でも出来ます/7
----------------------------------------
「ナニコレっ!? はは……なにこれ……ばっかみたい。こんなクラス聞いたことないわよ!」
「バカみたいって、これどう考えても姉さんのせいだよねぇぇ!?」
「えー、違うわよ。ルクスベルか、職業神のクラスベルが勝手にやったことだもの、わたしのせいじゃないしー」
いや、まあ、そうかもしれないけど……。
「はあ……。たぶんだけど、姉さんはみんなから愛されてるよ。神様からも――」
空を見上げる。
「……んー、じゃ、トールも?」
「…………うん」
「そっか……じゃ、いっか」
僕と姉さんは、はぐれないよう手を繋ぐと、アンサルディの古城をあとにした。
「姉さん、うらやましかったりする?」
「そりゃーね。この世界……ううん、前世を含めて、変わらないものなんて何もないと思ってたもの。寿命があるんだかないんだかわからない魔物のスラッシュですら、あっという間にわたしの前からいなくなっちゃったし。この城だってそう。国破れて山河あり、城春にして草青みたり――だったかな?」
「なにそれ?」
「前世で覚えさせられたのよ。当時は綺麗なお城だったそうだけど、今じゃこんなにも蔦に覆われている。きっとわたしの本当の家族だってそう。トールだってそう」
「僕?」
「正直言うとね、このままトールといつまでも一緒に冒険なんて、してられないだろうなって。だって魔王退治よ? いくらトールが普通の人よりほんのちょっと器用で、初歩的な魔法を色々使いこなせるといっても、相手は魔王だもん。初期パーティのメンバーがラスボスのダンジョンとか無理でしょ。特別な才能だったりクラスじゃないと、危険すぎるもの。勇者や賢者クラスでないと。商人や遊び人と一緒の冒険は楽しいけど、やっぱりボス戦は辛いのよ」
相変わらず何言ってるのかよくわかんないけど、
「それも、姉さんがよく言うゲームの話?」
「うう、そうよ。悪い!?」
「はあ……」
コレットさんの最後の言葉を思い出す。
「姉さんがつけ上がりそうだから、これだけは見せたくなかったけど、ほら、姉さん、これが僕のクラス・プレート」
「なによ、今更」
「職業欄のとこ見てみなって」
「実は勇者とかって……」
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【ネーム】:トール・アンデックス
【クラス】:聖女の世話係。ユースフィアのことよろしくお願いします。ユースフィアを守るために必要であれば、だいたい何でも出来ます/7
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「ナニコレっ!? はは……なにこれ……ばっかみたい。こんなクラス聞いたことないわよ!」
「バカみたいって、これどう考えても姉さんのせいだよねぇぇ!?」
「えー、違うわよ。ルクスベルか、職業神のクラスベルが勝手にやったことだもの、わたしのせいじゃないしー」
いや、まあ、そうかもしれないけど……。
「はあ……。たぶんだけど、姉さんはみんなから愛されてるよ。神様からも――」
空を見上げる。
「……んー、じゃ、トールも?」
「…………うん」
「そっか……じゃ、いっか」
僕と姉さんは、はぐれないよう手を繋ぐと、アンサルディの古城をあとにした。
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