いいなずけ制度

山田ランチ

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2ー3 未練

「テアが許嫁じゃなくなった!? 嘘ですよね!?」

 その瞬間アベルの頬に重たい平手が降ってきた。吹き飛ばされた体は床に倒れ、侍女の小さな悲鳴が聞こえた。
 夏休みも後数日を残し、学園に戻る準備をしていた時だった。外出していた父親が戻って来るなり放った言葉はアベルの思考と止めていた。

「裁判所から連絡が来て向かってみれば、ヴァイスヴルスト公爵家との許嫁関係を解消するようにとサインを迫られた! すでに陛下と裁判所、それとヴァイスヴルスト公爵家とテアのサインがあれば私に拒むなど出来る訳がないだろう! お前は何をやっていたんだ! テアを掴まえていたんじゃなかったのか!? テアが自分から離れる訳がないと言っていたのは嘘だったのか!?」

 肩で息をし怒りが頂点にある父親は更に胸倉を掴んできた。

「今からでもテアを籠絡して来い! それが出来ないなら土下座をしてもう一度許嫁になってくれるように頼み込むんだ!」
「で、出来ません……」

 二発目の平手打ちが飛び、アベルはその場に倒れた。

「ヴァイスバルト公爵家との繋がりがなくなればお前の婚約者は男爵家の養女だけだぞ! 全くもってなんの役にも立たないじゃないか!」
「それなら何故クラリッサを許嫁にしたんです!? そのせいでテアとは距離が出来てしまったんですよ!」
「言い訳をするな! 誰もが皆複数の許嫁を持っても上手く立ち回っているんだぞ! 何故お前にはそれが出来ないんだ!」

 倒れたままアベルは父親を睨み付けた。

「俺は最初から許嫁はテアだけで良かったんです! それなのにどうしてバウム男爵の願いを聞き入れたんですか!」

 すると父親はしゃがみ込み、耳元で囁いてきた。

「ッつ」
「今更後には引けないんだ。お前はクラリッサとテアを必ず妻にしろ。いいな? 学園に戻ったらテアとの関係を修復するんだ」
「……はい、父上」

✳✳✳✳✳

 事前にカレイアとリヒャルドには話をしていた為、女子寮から教室に入り先生が来るまでの間、二人と友人が周囲を囲んでくれていたおかげでアベルが話し掛けてくる隙きはなかった。それでも視界にはアベルの姿がチラチラと入っていたし、何か言いたげ様子なのも見て取れた。

「あまり気にするな。どう考えても悪いのはアベルなんだから堂々としていろ」
「堂々って言われてもやっぱりちゃんと話さないと駄目よね」
「話し合うならつもりなら付き合うぞ」
「ちゃんと二人で話すわ。もう書類は受理されているし今更話し合っても意味がないけれど、遺恨は残したくないもの。これからもどこかで顔を合わせる事になるんだし」

 するとカレイアがポンと頭を撫でてきた。

「あ、僕にもやってくれよカレイア!」
「リヒャはもう教室に戻れ。テアの事は私が守るから大丈夫だ」

 寂しそうに二年の教室に戻って行くリヒャルドに手を振っていると、ふと斜め後ろの男子生徒と目が合った。とっさに逸らされたがその生徒には正直いい印象がなかった。彼こそがアベルからの伝言を伝えてくれたパトリック・ヴェルターだった。

(でも彼は伝言を預かっただけだものね)

「それにしてもアベルとクラリッサの様子がおかしいと思わない?」
「そうか?」

 二人の席は隣同士。しかしアベルは肩をやや斜めにしてクラリッサから距離を取っているように見えていた。

✳✳✳✳✳

「舞踏会?」
「そうだ。そこまで大きな規模のものではないし、自由に友人を誘ってくれればいいと言われているんだけど、一緒に行かないか?」
「いいけれどリヒャじゃなくていいの? リヒャに煩く付き纏われるのは嫌よ?」
「リヒャルドも誘ったんだけどその日は家の用事があるらしいんだ。だから気分転換に二人で行こう」

 お昼休みに中庭のベンチでサンドイッチを食べながらカレイアが誘ってくれたのは、ヴィルター子爵家の夜会だった。アベルからの伝言を持ってきてくれたパトリックの家門で、王都に大きな演劇場を持ち、王都にも大きな別邸を持つ家だった。

「でもカレイアも大変ね。領地が遠いから当主の代わりにあちこち色々な場所へ顔を出しているじゃない」
「仕方ないさ。お父様はお父様で……」
「どうかしたの?」
「いやなんでもないよ。それにしてもアベルの奴来ないな。食堂で話し掛けられたら皆に話を聞かれてしまうと思ってわざわざ中庭にしたのに」

 持っていた包みを折りながら小さく息を吐いた。

「きっともうアベルもいいんだと思うわ。関係が終わってみるとなんだか、絆を築いていたようで何も築けていなかったんだなと思うと……少し悲しいわね」
「テア……」

 心のどこかではアベルが許嫁関係を解消したくないと言ってくれるかと思っていた。少なからずアベルからの好意を感じていなかった訳ではない。でも追って来ないという事はきっとそこまでなんだと思う。自分から終わらせておいて追ってきてほしいなんて虫が良すぎる話だと思うけど、それくらい愛されてみたかった。

「ヘッセン先生の所には行くのか?」
「え? あぁ、行かないわ。少し忙しいみたいだから助手は暫くお休みなの」

 ヘッセンは人形が“大地の澱”を浄化した日から聖女がこのゴーレムを作ったと思われる場所を探しに出掛けていた。このゴーレムを作った土がある場所は恐らく“大地の澱”を浄化出来る土地になる。そうすればもう王族が浄化をする必要はなくなり、命の危険に晒される事もなくなる。本当は着いていきたかったが、学生は勉強するべきだときっぱりと断られてしまった。

「それにしてもどんな手伝いをしているんだ? いつも昼食を持っていっているけど、それだけじゃないんだろ?」
「んん――、例えば先生が出しっぱなしにすた物を片付けたり、喉が乾いたと言われたら飲み物を持っていったり、掃除をしたり、借りた本を読んだり……」
「雑用じゃないか! 公爵家の令嬢に雑用をさせるなんて学園長に講義してやる!」

 思っていた内容と違ったのがカレイアは立ち上がった。

「好きでやっているからいいのよ!」

 その瞬間、カレイアは驚いたように見下ろしてきた。

「好きでやっているのか? 雑用を?」
「そうよ。先生の側にいると色々勉強になるの。貴重な本も読ませてくれるし私は結構気に入だしているのよね」
「そうか。それならいいんだが……」
「あ、カレイアは後期から剣術の授業を取っているのよね? 準備があるんじゃないの?」

 一年を前期と後期に分け、前期は皆同じ授業を受けるが、後期からは自分の受けたい授業を選択する事が出来るようになる。カレイアはずっと騎士希望の為、後期からは剣術や武術、戦略などの授業を受ける事になっていた。

「そうだった! それじゃあ後でな。もしアベルが来たら話は聞こえない程度にひと目の付く場所に移動するんだぞ」

 心配そうにするカレイアの背を押すと、周囲を確認したがアベルの姿はなかった。

✳✳✳✳✳

「アベル! 待ってアベルったら!」

 小柄なクラリッサではアベルの背に間に合わず、走り出すと前に回り込んだ。

「クラリッサ、廊下を走るな。テアなら絶対にそんな事しないぞ」
「な! あなたが止まってくれないからじゃない! どうしてテア様と比べるの?」
「貴族になったならそれらしい振る舞いをしないと駄目じゃないか。俺は当たり前の事を言っているだけだよ」

 クラリッサの目に涙が溜まっていく。

「すぐに泣くのも止めてくれ。俺が悪いみたいだ」
「……好きって言った事がそんなに悪い事だったの? 私にだって感情があるのよ。あなただけが傷付いているんじゃないわ!」
「俺はテアに許嫁を解消されたんだぞ!」

 その瞬間クラリッサの顔に笑みが浮かんだ。しかしアベルは舌打ちをするとクラリッサを避けるようにして歩いて行ってしまった。

「テア様が許嫁じゃなくなったの? という事はアベルの妻になるのは私一人って事?」

 口元を押さえながらテアは笑みを抑えきれなかった。

「クラリッサちゃん、今の話って本当なの? アベルがテア様と許嫁関係を解消したって」
「パトリックも聞いていたよね? アベルがちゃんとテア様との許嫁関係は解消されたって言ったよね!?」
「そう聞こえたけど。もしかしてそれってお祭りの事が原因だったりするかな?」
「あなたは伝言を伝えただけじゃない」

 するとパトリックは青褪めた顔でクラリッサを見た。

「クラリッサちゃんがアベルと仲直りしたいっていうから言ったのに、まさか許嫁関係を解消するまでになるなんて……バレたら僕……」
「大丈夫よ。もし本当にアベル達に知られそうになったら私が頼んだって言うわ。でもそれも今のままだと庇いきれないかもしれないの。アベルと本当に仲直りしないとアベルは私の言葉を信じてくれないもの」
「それじゃあ早く仲直りしてきてくれよ!」

 クラリッサはうんと頷きながら踵を上げてパトリックに耳打ちをした。

「だからね、協力して欲しいの。あなたのお家もバウム家の支援を受けているんでしょう? 私に協力しておいた方がいいわよね?」

 パトリックは顔を強張らせたまま背を僅かに屈めた。

✳✳✳✳✳

 舞踏会は小規模なものだった。ヴェルター子爵家の別邸で行われいる為か見知った顔が並ぶ招待客に、テアはカレイアと共にヴェルター子爵に挨拶を済ませた後は、友人達と気ままに食事をしながら談笑していた。

「そういえば先程アベルも見かけましたよ。お探しに行かれます?」

 友人の一人がそう微笑んでくる。まだ許嫁を解消したと知られていないらしく、気を使って言われればむしろ気まずくなってしまう。

「今は皆さんといるから大丈夫よ」
「でもクラリッサさんは来ていないみたいですし、久し振りにお二人きりになれるんではないですか?」
「それじゃあ後で見かけたら席を外すわね」
「あら、バウム男爵だわ」

 友人が呟いた言葉に手が止まる。その瞬間、小さな悲鳴とざわめきが走った。

「待って、あのお方はコンラート殿下じゃなくて?」
「私コンラート殿下を一度でいいから拝見したかったの。でも無理よ、直視出来ない!」

 バウム男爵を連れ立ってヴェルター子爵の元へ歩いて行くのは紛れもなくコンラートだった。驚いたまま見つめていると向こうも気が付いたのか僅かに目が見開かれる。しかしそのままヴェルター子爵達とどこかへ消えてしまった。

「今こちらを見たわよね? 絶対に見たわ! 私達コンラート様の目に映ってしまったという事!?」
「なんだか目を瞠っていたわよね? もしかしら誰が見初められたんじゃない? だってコンラート様にはまだ妻はおろか許嫁だっていないのよ!」

 興奮覚めやらない友人達を置いて、テアはそっとその場を後にした。
 コンラートは今聖女の作ったゴーレムの土の場所を探しているはず。だから小規模の社交界に出ている理由が何かあるはずだった。廊下に出てみてもコンラート達の姿はない。歩き回っていた所でヴィルター家の使用人にまた会場まで送り届けられてしまった。

「テア!? 良かった。ここに来たら会えるんじゃないかと思っていたんだ」
「アベル……」

 正直思っていたよりも直接会うのは辛かった。胸がズキンと痛み、言葉が何も出てこない。アベルも固まったように立ち尽くしていた。

「話す事があるならお互いに手短にしましょう」

 するとアベルは傷付いたように眉を寄せた。

(そんな顔をしたいのは私の方よ)

「それじゃあ一つだけ聞かせてくれ」

 頷くと、アベルは泣きそうな顔で言った。

「どうして許嫁関係を解消したんだ?」

 言う時がきたのだと思いながらも、口にするのが怖い。認めるようで辛かった。それでも言わなければ二人共先へは進めない。ずっとあの事を心の傷にして生きるのは嫌だった。

「お祭りの日、あなたがクラリッサさんと話している内容を聞いてしまったの」

 するとアベルの顔がどんどん強張っていく。

「聞いたってまさか」
「クラリッサさんがあなたを好きで、口付けをしたって聞こえたわ」
「あれは違うんだ。テアが思っているようなものじゃなくて……」
「私も一つだけ教えて欲しいの。本当にクラリッサさんと口付けをしたの?」

 答えは聞かなくても分かる。アベルは辛そうに頷いた。

「話は終わりね。あなたは理由が知りたかった。私は事実が知りたかった。それだけよ」
「待ってくれテア!」

 勢いよく向かって来られ後退りした時だった。横から手が伸びてくる。アベルの前に体を滑らせてくれたのは、来られないはずだったリヒャルドだった。

「テア、もう行って。カレイアが中で探しているよ」
「あ、ありがとう。でも……」
「僕に任せて」

 いつものように優しく微笑まれ、テアはアベルから逃げるように会場の中に戻って行った。

「邪魔をしないで下さい! これは俺とテアの問題です!」

 珍しく歯向かったアベルだったが、リヒャルドは冷たい視線をアベルに向けた。

「テアにはもう関わらないでもらいたい。もし守ってくれないなら公爵三家が敵になると思ってくれて構わないよ」
「た、たかが恋人同士の喧嘩に家門を持ち出すおつもりですか!?」
「恋人? 確かもうテアは許嫁ではなかったよね? 先程もテアの事を呼び捨てにしていたようだけれど、もうその資格がないという事は自覚しているかな?」
「そんな風に割り切れる関係でないんです! 俺達はずっと想い合ってきたんですから」

 するとリヒャルドは深い溜め息を吐いた。そしてびくりとしたアベルの胸にそっと手を当てた。

「想い合っていただって? そうは見えなかったな。もっと出来る事はあるはずだったよ」
「それは……俺だって本当はテアともっと一緒にいたかった! でもいつもあなた達がそばにいたせいです!」
「僕達のせい? 君を誘った事は何度もあるけどね。そのどうでもいい劣等感に支配されて君はテアを避けてきたんだ。違うかい?」

 その瞬間、アベルはリヒャルドの胸倉を掴んでいた。

「あなた達に分かるはずがありません! 絶対に俺の気持ちなんて絶対に!」
「知りたくもないよ。生まれは宿命なんだ。それじゃあ聞くけど君に僕の覚悟が分かるかい? 教えてあげるつもりはないよ。この覚悟は僕だけのものだからね」

 胸倉を掴んでいた手を振り払うと背を向けた。

「忠告を破ったらどうなるか、テアの元許婿が利口である事を願っているよ」


「アベル? 少しいいかな?」

 立ち尽くしているアベルを見つけたパトリックがその肩に触れた時だった。思い切り払われ、互いに驚いたまま顔を見合わせた。

「あぁ、パトリックか。すまない」
「いや大丈夫だけど何かあったの?」
「何でもないよ。少し疲れただけだから気にするな」
「気にするよ。大事な招待客なんだから。よかったら部屋で休むかい?」

 しかしアベルは帰ると言って歩き出した。

「それならクラリッサさんも一緒に連れ帰ってくれないかな!?」
「クラリッサも来ているのか?」
「うん、友人として招待したんだけど具合が悪くなって部屋で休んでいるんだよ。特にこういった場にはまだ慣れていないみたいで疲れちゃったんじゃないかな」
「クラリッサが迷惑を掛けてすまない。寮まで送り届けるよ」

 アベルはパトリックに案内されるまま二階へと上がっていった。

「クラリッサちゃん? アベルが送ってくれるって」

 扉が開いた瞬間、アベルは部屋の中に押し込まれた。

「おいパトリック! 開けろパトリック!」
「無駄よ。パトリックは私の味方だもの。アベルが悪いのよ? 私を突き放そうとするから」
「お前達何を企んでいるんだ? こんなの立派な犯罪だぞ!」
「犯罪な訳ないじゃない。許嫁同士が愛を確かめ合うだけなんだから」

 そう言ってクラリッサは予め緩めておいたドレスを床に落とした。

「何をする気だ……」

 そしてアベルは部屋の中に漂う異様な香りに気が付いた。

「これは特別な催淫剤らしいの。お義父様が特別に異国から取り寄せた貴重品よ?」
「止めろ、クラリッサ……止めてくれ」

 しかしすでにクラリッサの息は上がっており、アベルもまた意識が朦朧とし始めていた。
 扉の外ではハンカチで鼻を押さえたパトリックが使用人達へこの部屋には誰も近付かないように指示をすると階段を駆け下りて行った。

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