22 / 48
22 知らない母の顔
しおりを挟む
「先生! 先生どこですか!?」
園芸室にもおらず、メリベルは温室の壁をとにかく叩いた。ここだけはメリベルでも勝手には開けられない。先生が許可しない限り扉は閉ざされているようだった。しばらく温室の周囲を回っていると訓練場からは見えない方向から手招きだけが見えた。すぐに回り込むと、細く開いた入り口から先生が恨めしそうに覗いていた。
「お前は目立ちたいのか隠れたいのかどっちなんだ」
「過去を視たんです。十歳の時に池に落ちた時の記憶でした。あの時助けて下さったのは先生だったんですね? 昔から私の事を知っていたんですよね! それにジャスパー様がお母様の死と、関係あると……」
その後が言葉にならない。すると引き入れられるように温室の中に入った。
「待て待て、外でそんな事を話すな。ったく、僕は昼寝を邪魔されるのが大嫌いなんだよ」
「先生教えて下さい! あの魔素に染まった蝶は何だったんです? どうして私の中に入れたんですか? それに、それにジャスパー様がお母様の死に関わっているって、どういう事ですか」
引っ張るように掴んでいた先生のシャツを無理やり引き離されると、先生はガシガシと頭を掻きながらその場に座り込んだ。
「あの過去を視たのか。そして閉めなかったって訳だな」
「忘れたくありません! どうしても信じられないんです。嘘ですよね? ジャスパー様がお母様の死に関わっているなんて、嘘って言って下さい!」
すると膝を立てていた先生はその間に項垂れて大きな溜息を吐いた。
「それを知っているのはお前だよ、メリベル」
どういう意味か全く分からない。顔を上げた先生は真剣な表情でこちらを見ていた。
「何が起きたのかはお前が知っているはずだ。犯人の事も見ているかもしれない。殿下が関わっているってのは本当だ。でも何があったのかは分からないんだ」
「……お母様は、殺されたんですか?」
「お前はなんで母親が死んだって聞かされてたんだ?」
「お母様は事故で亡くなったって、それだけです。お父様がとても辛そうだったからそれ以上聞けませんでした。家でその話はなんとなく出来なくて」
「アークトゥラス侯爵はお前を箱入りにする気なんだろうな。まあ侯爵令嬢だからそれでも間違いじゃないが。お前の母親はとある仕事に就いていた。さっきも言ったが、それが関わっているが何が起きたかは分からん。お前が自分で過去を視て探してみろ。母親の事は侯爵にでも聞け」
「……私、お母様が働いているなんて知りもしませんでした」
「誰もが自分の全てを見せている訳じゃない。ある一面を好いても、その反対側を憎むかもしれないんだ」
「メリベル? 食欲がないのかい?」
久しぶりに夕食を一緒に取っているというのに、メリベルはいつの間にか先生との会話を頭の中で繰り返していた。不意にフォークに乗せた白身魚がポロリと皿に戻る。メリベルはとうとう手を止めると、心配そうにこちらを見ている父親を見た。
「今日ある過去を視たの。十歳の時の記憶よ。お母様が亡くなって二度目の命日だったわ」
「ああ、お前が池に落ちたあの日だね。あの時は式が終わってからその話を聞いて心臓が止まる思いだったよ。無事で本当に良かった。という事は、その記憶は消さなかったんだね」
頷くと、テーブルの下で組む手が無意識に震えてしまう。今まで他愛ない母親との思い出話は沢山してきたが、“死”に関する話は敢えてしてこなかった。二人とも避けてきたと言ってもいい。それでもなぜ死んでしまったのかは今聞かなければいけない気がした。
「お母様は何かの仕事をしていたの? その仕事のせいで亡くなってしまったの?」
父親はしばらく黙り込んでしまった。しかしやがて意を決したように立ち上がった。
「付いて来なさい」
向かったのは両親の寝室。ずっと黙ったままの空気に緊張しながら、父親が本棚を動かし操作をすると、壁に扉が現れた。
「お前やお母様程ではないが、私も魔術を扱えるのだよ。ここにはお母様の愛用品を置いているんだ」
開いた部屋は大人が数人寝転べる程の広さ。懐かしい物もあれば初めて見る物もあり、中には母親とは結びつかない物もあった。その中でも特に異質だったのは剣だった。
細く美しい剣。
「この剣もですか?」
剣が母親の愛用品とはどういう事だろうか。すると父親はその剣を愛おしそうに手に取った。
「エルライを知っているかい?」
「……五百年前の剣術と魔術を極めたお方ですよね?」
「そうだ。エルライのように二つの力を同時に持つ者はそういない。なぜなら、ソル神とルナ神は創生の時代に決別したからだ。通常その二神から加護を受ける事はないと言われているんだ。でももう一人、エルライの他にその加護を受けた者がいる」
「まさか……」
ここに飾られているのは剣とペンダント。それが何を意味しているのかは、王立ソルナ学園に通っていれば自ずと分かった。
「お母様はエルライの血を引いているんだ。お母様の故郷はエルライが興した村なんだよ。お母様の能力の高さはやがて王都まで聞こえるようになり、魔術団から声が掛かって王都で暮らしていたんだ。その時すでに王立ソルナ学園はあったけれど、まだ柵があって平民が入学する事は出来なかった。だからこちらに来ても随分苦労したようだったよ」
「それじゃあ即魔術団に入ったの?」
「即でもなかったかな。魔術団に入るにしても色々と揉めたみたいだからね。お母様は剣術の才もあったから」
昔の貴族社会は今よりもずっと階級制度への意識が強かった事は知っている。平民でありながら魔術団に認められた者が、他の者達からどんな目で見られるかは安易に想像がついた。
「お母様って凄い人だったのね。エルライの子孫でその力の受け継いでいるなんて……」
すると隣から小さな笑い声が聞こえた。
「気がついていないかもしれないが、メリベル、お前もエルライの子孫に当たるのだからね」
「そう、ね。私もエルライの子孫なのよね。でも私には魔術しかないわ」
「確かに、でも飛び抜けた魔術がある。それも凄い事なんだよ」
「ありがとうお父様。それじゃあ、お母様は何かの任務中に亡くなったんですか?」
父親の様子が緊張したのが分かった。聞いてしまった事を後悔したがもう遅い。でも、もうそれがどんな事であろうと知らなくてはならない。
「分からないんだ。何が起きたのか誰も知らないんだよ」
「え……?」
部屋の中を眺めていた父親の視線がこちらに向く。そして泣き出しそうな顔で言った。
「お前しか知らないんだ、メリベル。あの時現場にいたのはお母様とジャスパー様。そしてメリベル、お前だよ。ジャスパー様は気を失っていらしたし、お母様は……」
ドクンっと心臓が鳴り出す。先生が過去を視るように言った理由は魔廻を小さくするというだけでなく、本当の意味はここにあったのかもしれない。
「お前が過去を消していくと言った時は正直怖かったよ。恐ろしく悲しい体験を二度させる事になるかもしれないからね。そしてお母様が亡くなった原因を我々が知るという事は、お前はその過去を視たにも関わらず鍵を閉めないという事になるのだから」
母親の死を追体験するかもしれない。でも誰も知らなかった母親の死の原因を知る事が出来る唯一の方法でもある。そして十年前の記憶の様子から、おそらく母親の死に捕らわれているであろうジャスパーを開放してあげられるかもしれなかった。
「視る過去を決める事は出来ないけれど、もしその過去を視たら私は絶対に鍵を閉める事はないわ」
「メリベル……」
その夜メリベルは紙を使い、一つの過去を消した。その前に自分の中で決めた決まり事。それは、過去を消すかどうかの基準は、自分の心が逃げていないか否かを見極める事、だった。どんなに辛い事でも必要だと判断すれば残す。しかしただ悲しいだけの記憶でその記憶がある事により明日笑えないと思えば消す事にする、だった。
園芸室にもおらず、メリベルは温室の壁をとにかく叩いた。ここだけはメリベルでも勝手には開けられない。先生が許可しない限り扉は閉ざされているようだった。しばらく温室の周囲を回っていると訓練場からは見えない方向から手招きだけが見えた。すぐに回り込むと、細く開いた入り口から先生が恨めしそうに覗いていた。
「お前は目立ちたいのか隠れたいのかどっちなんだ」
「過去を視たんです。十歳の時に池に落ちた時の記憶でした。あの時助けて下さったのは先生だったんですね? 昔から私の事を知っていたんですよね! それにジャスパー様がお母様の死と、関係あると……」
その後が言葉にならない。すると引き入れられるように温室の中に入った。
「待て待て、外でそんな事を話すな。ったく、僕は昼寝を邪魔されるのが大嫌いなんだよ」
「先生教えて下さい! あの魔素に染まった蝶は何だったんです? どうして私の中に入れたんですか? それに、それにジャスパー様がお母様の死に関わっているって、どういう事ですか」
引っ張るように掴んでいた先生のシャツを無理やり引き離されると、先生はガシガシと頭を掻きながらその場に座り込んだ。
「あの過去を視たのか。そして閉めなかったって訳だな」
「忘れたくありません! どうしても信じられないんです。嘘ですよね? ジャスパー様がお母様の死に関わっているなんて、嘘って言って下さい!」
すると膝を立てていた先生はその間に項垂れて大きな溜息を吐いた。
「それを知っているのはお前だよ、メリベル」
どういう意味か全く分からない。顔を上げた先生は真剣な表情でこちらを見ていた。
「何が起きたのかはお前が知っているはずだ。犯人の事も見ているかもしれない。殿下が関わっているってのは本当だ。でも何があったのかは分からないんだ」
「……お母様は、殺されたんですか?」
「お前はなんで母親が死んだって聞かされてたんだ?」
「お母様は事故で亡くなったって、それだけです。お父様がとても辛そうだったからそれ以上聞けませんでした。家でその話はなんとなく出来なくて」
「アークトゥラス侯爵はお前を箱入りにする気なんだろうな。まあ侯爵令嬢だからそれでも間違いじゃないが。お前の母親はとある仕事に就いていた。さっきも言ったが、それが関わっているが何が起きたかは分からん。お前が自分で過去を視て探してみろ。母親の事は侯爵にでも聞け」
「……私、お母様が働いているなんて知りもしませんでした」
「誰もが自分の全てを見せている訳じゃない。ある一面を好いても、その反対側を憎むかもしれないんだ」
「メリベル? 食欲がないのかい?」
久しぶりに夕食を一緒に取っているというのに、メリベルはいつの間にか先生との会話を頭の中で繰り返していた。不意にフォークに乗せた白身魚がポロリと皿に戻る。メリベルはとうとう手を止めると、心配そうにこちらを見ている父親を見た。
「今日ある過去を視たの。十歳の時の記憶よ。お母様が亡くなって二度目の命日だったわ」
「ああ、お前が池に落ちたあの日だね。あの時は式が終わってからその話を聞いて心臓が止まる思いだったよ。無事で本当に良かった。という事は、その記憶は消さなかったんだね」
頷くと、テーブルの下で組む手が無意識に震えてしまう。今まで他愛ない母親との思い出話は沢山してきたが、“死”に関する話は敢えてしてこなかった。二人とも避けてきたと言ってもいい。それでもなぜ死んでしまったのかは今聞かなければいけない気がした。
「お母様は何かの仕事をしていたの? その仕事のせいで亡くなってしまったの?」
父親はしばらく黙り込んでしまった。しかしやがて意を決したように立ち上がった。
「付いて来なさい」
向かったのは両親の寝室。ずっと黙ったままの空気に緊張しながら、父親が本棚を動かし操作をすると、壁に扉が現れた。
「お前やお母様程ではないが、私も魔術を扱えるのだよ。ここにはお母様の愛用品を置いているんだ」
開いた部屋は大人が数人寝転べる程の広さ。懐かしい物もあれば初めて見る物もあり、中には母親とは結びつかない物もあった。その中でも特に異質だったのは剣だった。
細く美しい剣。
「この剣もですか?」
剣が母親の愛用品とはどういう事だろうか。すると父親はその剣を愛おしそうに手に取った。
「エルライを知っているかい?」
「……五百年前の剣術と魔術を極めたお方ですよね?」
「そうだ。エルライのように二つの力を同時に持つ者はそういない。なぜなら、ソル神とルナ神は創生の時代に決別したからだ。通常その二神から加護を受ける事はないと言われているんだ。でももう一人、エルライの他にその加護を受けた者がいる」
「まさか……」
ここに飾られているのは剣とペンダント。それが何を意味しているのかは、王立ソルナ学園に通っていれば自ずと分かった。
「お母様はエルライの血を引いているんだ。お母様の故郷はエルライが興した村なんだよ。お母様の能力の高さはやがて王都まで聞こえるようになり、魔術団から声が掛かって王都で暮らしていたんだ。その時すでに王立ソルナ学園はあったけれど、まだ柵があって平民が入学する事は出来なかった。だからこちらに来ても随分苦労したようだったよ」
「それじゃあ即魔術団に入ったの?」
「即でもなかったかな。魔術団に入るにしても色々と揉めたみたいだからね。お母様は剣術の才もあったから」
昔の貴族社会は今よりもずっと階級制度への意識が強かった事は知っている。平民でありながら魔術団に認められた者が、他の者達からどんな目で見られるかは安易に想像がついた。
「お母様って凄い人だったのね。エルライの子孫でその力の受け継いでいるなんて……」
すると隣から小さな笑い声が聞こえた。
「気がついていないかもしれないが、メリベル、お前もエルライの子孫に当たるのだからね」
「そう、ね。私もエルライの子孫なのよね。でも私には魔術しかないわ」
「確かに、でも飛び抜けた魔術がある。それも凄い事なんだよ」
「ありがとうお父様。それじゃあ、お母様は何かの任務中に亡くなったんですか?」
父親の様子が緊張したのが分かった。聞いてしまった事を後悔したがもう遅い。でも、もうそれがどんな事であろうと知らなくてはならない。
「分からないんだ。何が起きたのか誰も知らないんだよ」
「え……?」
部屋の中を眺めていた父親の視線がこちらに向く。そして泣き出しそうな顔で言った。
「お前しか知らないんだ、メリベル。あの時現場にいたのはお母様とジャスパー様。そしてメリベル、お前だよ。ジャスパー様は気を失っていらしたし、お母様は……」
ドクンっと心臓が鳴り出す。先生が過去を視るように言った理由は魔廻を小さくするというだけでなく、本当の意味はここにあったのかもしれない。
「お前が過去を消していくと言った時は正直怖かったよ。恐ろしく悲しい体験を二度させる事になるかもしれないからね。そしてお母様が亡くなった原因を我々が知るという事は、お前はその過去を視たにも関わらず鍵を閉めないという事になるのだから」
母親の死を追体験するかもしれない。でも誰も知らなかった母親の死の原因を知る事が出来る唯一の方法でもある。そして十年前の記憶の様子から、おそらく母親の死に捕らわれているであろうジャスパーを開放してあげられるかもしれなかった。
「視る過去を決める事は出来ないけれど、もしその過去を視たら私は絶対に鍵を閉める事はないわ」
「メリベル……」
その夜メリベルは紙を使い、一つの過去を消した。その前に自分の中で決めた決まり事。それは、過去を消すかどうかの基準は、自分の心が逃げていないか否かを見極める事、だった。どんなに辛い事でも必要だと判断すれば残す。しかしただ悲しいだけの記憶でその記憶がある事により明日笑えないと思えば消す事にする、だった。
483
あなたにおすすめの小説
誰も愛してくれないと言ったのは、あなたでしょう?〜冷徹家臣と偽りの妻契約〜
山田空
恋愛
王国有数の名家に生まれたエルナは、
幼い頃から“家の役目”を果たすためだけに生きてきた。
父に褒められたことは一度もなく、
婚約者には「君に愛情などない」と言われ、
社交界では「冷たい令嬢」と噂され続けた。
——ある夜。
唯一の味方だった侍女が「あなたのせいで」と呟いて去っていく。
心が折れかけていたその時、
父の側近であり冷徹で有名な青年・レオンが
淡々と告げた。
「エルナ様、家を出ましょう。
あなたはもう、これ以上傷つく必要がない」
突然の“駆け落ち”に見える提案。
だがその実態は——
『他家からの縁談に対抗するための“偽装夫婦契約”。
期間は一年、互いに干渉しないこと』
はずだった。
しかし共に暮らし始めてすぐ、
レオンの態度は“契約の冷たさ”とは程遠くなる。
「……触れていいですか」
「無理をしないで。泣きたいなら泣きなさい」
「あなたを愛さないなど、できるはずがない」
彼の優しさは偽りか、それとも——。
一年後、契約の終わりが迫る頃、
エルナの前に姿を見せたのは
かつて彼女を切り捨てた婚約者だった。
「戻ってきてくれ。
本当に愛していたのは……君だ」
愛を知らずに生きてきた令嬢が人生で初めて“選ぶ”物語。
【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜
桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」
私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。
私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。
王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした…
そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。
平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか?
なので離縁させていただけませんか?
旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。
*小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
せめて、淑女らしく~お飾りの妻だと思っていました
藍田ひびき
恋愛
「最初に言っておく。俺の愛を求めるようなことはしないで欲しい」
リュシエンヌは婚約者のオーバン・ルヴェリエ伯爵からそう告げられる。不本意であっても傷物令嬢であるリュシエンヌには、もう後はない。
「お飾りの妻でも構わないわ。淑女らしく務めてみせましょう」
そうしてオーバンへ嫁いだリュシエンヌは正妻としての務めを精力的にこなし、徐々に夫の態度も軟化していく。しかしそこにオーバンと第三王女が恋仲であるという噂を聞かされて……?
※ なろうにも投稿しています。
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
もう何も奪わせない。私が悪役令嬢になったとしても。
パリパリかぷちーの
恋愛
侯爵令嬢エレノアは、長年の婚約者であった第一王子エドワードから、公衆の面前で突然婚約破棄を言い渡される。エドワードが選んだのは、エレノアが妹のように可愛がっていた隣国の王女リリアンだった。
全てを失い絶望したエレノアは、この婚約破棄によって実家であるヴァルガス侯爵家までもが王家から冷遇され、窮地に立たされたことを知る。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる