last humanity

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一話 廃墟群

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寂れた廃墟の中を一人音を立てないように歩いていく、昼間だというのに濃い霧が辺りを覆っている。ただ歩くだけで神経がすり減っていくのを感じる。辺りは人どころか虫一匹の気配も感じない

13年前人類は突如異形の怪物や解明不可能な災害『Heard problem』、名称を混沌の大渦潮『メイルストロム』によって数を減らした。
生き残った人類はドーム型都市『turtle』を形成し内部に人類が存続可能なエリアを構築した。

turtleの存在はいくつか確認できているが互いに干渉することは叶っていない、
turtleの外は異形の怪物や解明不可能な現象によって阻まれており他のturtleに辿り着く事は困難を極めている。

僕は今turtle間のコンタクトを可能にするべく僕の所属するturtle αから存在を予測している turtle β に向かって相棒である女性シンシャ・ソルテッツと共に行動している。

turtleをでてから現在三日がたっているが今のところ怪物には出会っておらず認識できる範囲でのHeard problemには遭遇していない。

今歩いている廃墟群は今朝発見したもので現存している人類の活動後地としては比較的綺麗に形が残っている方だろう。状態からしてこの街の住人は災害が起こる前にこの街から出たのだろう。

僕とシンシャは二人で互いの視界をカバーしつつアサルトライフルを構えながら霧の中を進んでいく。

シンシャは口数の多い女性ではなくあまり自分から口を開かない。常に冷静であり必要最低限の報告や行動提案しか行わない、僕の方から話しかけたらそっけないながらも返事は返ってくるので嫌われているわけではなさそうだ。

霧は廃墟群に侵入してから確認されたものであるため僕たちはHeard problemである可能性を視野に入れながらゆっくり進んでいく。

この街のメインストリートであったと予想される道の端を周囲に警戒を寄せながら遅々と進む、街の中を通らず外を回っていくという手段もあったが街の大きさや外周の様子がわからない上に食糧の問題がある以上あまり時間をかけるわけにはいかない。

外での食料の調達は極めて困難であり食べられる植物、動物を探す必要がある。

「こんな霧があるなら早めに外周ルートに行っていた方が良かったかもね」

「もう遅いでしょう、昼の間には街を抜けないと」

「食料の問題もあるしね、街の中に水くらい見つけられればいいけどね」

「それが飲める水とは限りませんが」

「腐っていなかったらどうとでもなるんだけど」

「食材を売っていた場所を探してみよっか」

「了解です」

「その敬語いい加減やめない?僕たち別に階級差があるわけじゃないんだしさ」

「階級差はありませんがあなたの方が年上ですし癖のようなものです」

「まあいいけどさ、、、少し急ごうか今のところこの霧に問題はなさそうだし怪物もいる気配はない、でも警戒は解かないで」 

「了解です」

言いながら僕は少し歩く速度を上げたシンシャは後方を確認しながら僕の後ろをついてくる。石畳の歩道はところどころひびが入って入るが起伏は少なく問題なく進めている。

アサルトライフルのサーマル暗視スコープを覗きながら目的の場所を探す。
街の形状からしてメインストリート上に水を売っている場所があってもおかしくはない。

ちなみに雨水を飲む事も可能ではあるが、メイルストロム以降何故か雨の降る回数は減り観測できた回数はこの13年で17回であり、いずれの場合も水の飲料は正しい処理の後可能であったとされている

600歩ほど進むと大きな時計塔のようなものが覗き込んだスコープに映った、この霧の中150メートル先まで視認可能だと確認してあるので約150メートル先に時計塔があるのだろう。

「150メートル先に時計塔が見えた、街の中心地だろうか?」

「そのように考えて問題ないと思います」

「典型的な円形都市のようだね、ここまでの距離が5.2キロほどだったよね」

「そのように記憶しております」

「ここまで2時間か昼の間には抜けられそうだね」

「安全なら街の中で一晩過ごしても良いのではないでしょうか?」  

「それも手ではあるけど正直turtleの外についてわかる事は少ないからね、街の中で過ごすのも街の外で過ごすのも必要とされる警戒意識は変わらないからね、だったらできるだけ前に進まないと」

「できれば壁に囲まれた中で眠りたかったのですが、、、後体を綺麗にしたいです」

「どうしてもっていうなら構わないよ?どのみち食料に関しても危険性に関しても未知数なんだ」 

「まあとりあえず目的のものを探しつつ考えよう」

「了解です」 

3分ほど歩くと大きな時計塔が視界に映る
レトロな雰囲気な趣のある時計塔だ、さぞこの街の自慢だった事だろう。

「レンさんこの時計塔よく見るとまだ針が動いてますよ?」

針に目をやる、すると僅かだが時計の針がピクピクと振動している。

「普通に考えて13年人のいない場所の時計の針が動いているなんて考えられないな、何らかのHeard problemの可能性がある」

「中に入って確認しますか?」

「自ら危険に飛び込む事はないだろうHeard problemの情報は欲しいけどそれは巻き込まれた時だけで十分だ」

「もうすでに巻き込まれている可能性もありますけどね」

「そうでないことを祈ろう、一つ前の路地から迂回しよう、後ろは僕が見るから戻ってくれる?」

「了解」

来た道の一番近くの路地まで戻りそこから時計塔を迂回する、時計塔をすぎたらもう一度メインストリートの方へともどった。

「水の匂いがする」

「本当ですか?」

「今突然掠めた、量が多い怪しいが確認した方がいいね」

僕たちは少し早足になりながら進んだ
 
「見えた、巨大な川みたいだ」

「は?、、、巨大な川ですか?見間違いでは?」

「こんな巨大な川見間違えるはずがないだろう」

「でも川なんてこの辺にあるわけないじゃないですか」

「メイルストロムのまえに僕たちの常識は通用しない、街の中に突然巨大な川が出てくるとはね、ほんと驚きだよ」

「確認しますか?」

「とりあえずしばらく様子をみよう川の見える建物に入ろう」

僕たちは近くにあった川の見える少し高い建物に入った。建物の中は少しカビ臭いが問題なく過ごせそうだ

「この現象に意味があるのかも危険なものなのかもわからない、この観察も無駄になる可能性の方が高いけどできるだけリスクは減らしたい」

「川の流れは比較的緩やかに見えますが何分広いですね、水は濁ってはいませんが飲めるでしょうか」

「Heard problemによって発生した水が飲めるのか試すチャンスかな?死んだら笑えないね」

「かといって選り好みできるほど余裕もありませんね、触ることぐらいできればいいんですけどね」

「とりあえず様子見だね、まず僕が見ておくからとりあえず休んでていいよ、30分したら起こすよ」

「了解しました」

彼女は重い荷物の中から寝袋を取り出して横になった。しばらくすると規則的な呼吸の音が聞こえてきた。

「turtleをでてから三日もたつし疲労も溜まってきたよね、でもβまでどのくらいの距離があるのかもそもそもβが存在するのかどうかもわからないし、まだまだ先は長いだろうな」

どこにいても安心できない環境において疲労やストレスは避けて通れないが先が長い以上慣れる他ない、しかしその慣れが油断の種にもなるだろう。いつ現れるか知れ ない異形の怪物や目の前にある
Heard problem 果たしてどこまで生きていられるだろうか、、、






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