『下品注意』強すぎる力に条件があるなんてことはよくある話だ

𝐄𝐢𝐜𝐡𝐢

文字の大きさ
1 / 3
特殊すぎる力

【01】――その力は○○○

しおりを挟む
 ――その者達は生き物ではなく。
 ただそこにいて、近づいてきた人間を襲う――【ゴーレム】と呼ばれる、巨大な何かだった。
 要するに、近づかなければ、害はなく。注意さえしていれば、危険な存在ではないのだが、それがなかなか難しかったりする。
 なぜなら、その見た目はそこらへんにある岩と変わらず、じっとしている様子を見て、判別しなければならないからだ。よくよくみれば、特徴がある。頭に――【変な触覚】があるのだ。その触覚を目印に、この世界の者達は、危険を回避していた。だが、常に神経をはりめぐらせているのは疲れるだろう。そして、そういったことからうまれる気の緩みによって、襲われてしまう、なんてこともあるわけで――、

「ぁ……、あぁ……」

 とある森の中。
 数体のゴーレムに囲まれ、声を震わせている少女がいた。
 彼女の名は――レイナ。羽のようにふんわりとしたブロンドの髪に、獣のような耳が見え隠れするように、見えている。つまり、彼女は人間ではなく、獣人族と呼ばれる種族の少女だった。
 服装は動きやすそうなショートパンツスタイルで、背丈は平均的。すばしっこそうな体躯と言った感じだ。
 見た目だけでいえば、すばしっこそうな感じで、ゆったりと近づいてくるゴーレムたちを撹乱し、簡単に逃げることができそうな感じだのだが、恐怖心によって、下手に動けずにいるようだ。とはいえ、一か八かで逃げ回らないのは、冷静な判断とも言えるだろう。
 彼女は呼吸を落ちつかせながら、じっとゴーレムたちを観察していく。だが、いつ動いても悪手になってしまうかのような不安から、なかなか動けずにいた――と、そのとき。

「――おらぁ!?」

 その声の主は、空から振ってきた。
 黒髪の少年だった。彼はまっすぐゴーレムの方へと蹴りを入れると、それを受けたゴーレムの胴体が一瞬で粉々になり、そのまま土に返るかのように、さらさらと姿を失っていた。
 ちなみに、少年がやったのは体術といった感じではなかった。彼を包み込みように、目視できるかのような、恐らく――魔力というのが正しいだろうなにかが、彼を包んでおり、理論的に説明のつかないような現象を引き起こしていたのだった。
 そして向かってくるゴーレムは、残り――三体となり、そこへ、

「――注意して。今の奇襲はうまく言ったけど、適当に突っ込むのは危険だわよ」

 なにやら、変な語尾が特徴的な、少年と同じく、黒髪の少女が、空間に現れる。
 その声に、少年はうまくゴーレムを注意を引きつけ、獣人の少女の方から離すようにしながら、返事をした。

「わ、わかってる、けど。戦いなんて、経験がないからさ……」

「しかたがないわね。ちょっと魔力がもったいないけど……、戦いに慣れるまでは、私もサポートするから、心配しないで」

「ああ、頼むわ」

 そう言って、黒髪の少年と少女はアイコンタクトをすると、

「「『リンク』」」

 二人同時に言う。
 すると、唐突に少女の体からふ、と力が抜け、

「へっ? お――っと……」

 少女の体を、獣人の少女が支える。

「おお、わりぃ。そいつ、『リンク』してるあいだは動けないから、ちょっと見ていてもらえないか?」

「……『リンク』? っていうか、この子を守りながらって――」

「大丈夫。砂の一粒も、そっちにはいかせねえから」

 少年はそういうと、三対のゴーレム全体を意識するように構えると――爆発。
 三体のゴーレムに対して、きっちりと狙いを絞ったかのように大音量が響き、三体同時にを粉々にした。

「な、なんなの……? あの頑丈なゴーレムが……、こんな……。っていうか、詠唱は?」

「――まあ、そんなことはいいじゃない」

 いつの間にか、黒髪の少女が目を覚ましていたらしく、彼女はふんわりとした白を基調としたのワンピースをぱんぱんとはらう。

「それよりもあなた、怪我はない?」

「あ、うん。おかげさまで……」

 戸惑いの色を浮べながら、獣人の少女は答えていると、

「つーかさ、マニラ。やっぱり、さっきのは流石にやりすぎじゃねえか?」

 そう言って二人の方へ歩いてきた少年の手には、なにやら緑色の宝石があった。それはゴーレムを粉々にした、瓦礫にの中から持ってきたもので、この世界において、なかなかの高価値な石だった。ちなみに、その石を目当てに、ゴーレムを討伐するもの達なんていうのもいるが――それはさておき、

「いやいや。エイキはゴーレムをなめすぎなんだわよ。私のサポートがなかったら、こんなに簡単にはいかないんだからね」

「そ、それは……。けどよ……、今ので、空んなっちまったぜ? 魔力」

「まあ、確かに、魔力がないのは困るだわね……」

 そう言いながら、マニラは獣人の少女へ、なにやら、含みのある視線を向ける。

「へ? ……私?」

 自分を指差して戸惑う少女。
 そんな彼女に、マニラは首を横に振って答える。

「いえ……。ちょっと……、つかぬことを訊くんだけれど……。あなた、今――おならを、だせないかしら?」

「……へ?」

 唐突な珍奇な問いに、獣人の少女は言葉を失う。
 あまりの内容に、脳が追いついていない、といった様子で、彼女はぽかんとする。そんな彼女に、マニラは言いずらそうに言葉を続ける。

「まあ、彼。色々と特殊でね。物凄い力を持っていはいるんだけど。力を使うのに――おならが必要なのよ。それで……」

「いやいや。そんなことを言われて、信じられるわけが……。でも、助けてもらったんだよね、私……」

「まあ、そういう反応になるわよね。無理強いをするつもりはないから、大丈夫だわよ。あまり悩まないで」

「…………」

 獣人の少女は、どう答えたら言いのか、分からない様子で黙り込み、「うーん」と考えるように、あごに手をやる。そして、口を開こうとした瞬間――どん。
 巨人の足音のような音が、場に響きわたり。
 三人が向いた先には――先ほどよりも二回りほど巨大なゴーレムがいた。

「おいおい……」

「もしかして、さっきの爆発音で……」

「な、なんで、二人して、私のほうをみるのよ……」

 二人の視線を受けて、マニラが少し居心地悪そうにする。
 その様子に、獣人の少女が「いやいや」と少し慌てた様子で手を横に振る。

「深い意味があるとかじゃなくて……、なんとなくだって」

「まあ、それならいいけど。とにかく、あいつをとめないと……」

 そう言って、マニラは手のひらをゴーレムの方へと向けると、
 何らかの力を発し、それを受けたゴーレムが、規格外にでかいロープで拘束されたかのように、その動きをとめる。
 それを確認すると、マニラはほっと息を吐き、

「さっきの『リンク』で、私のほうにも魔力が少しだけ流れ込んできたみたいだわよ。だから、少しのあいだなら食い止めておけるけど……」

「まじか……。ちなみにマニラ、今――出るか?」

 エイキの含みのある言葉に、マニラはなにやら少しだけ頬を赤くすると、渋い表情で首を横に振る。

「ちょっと……、無理そう、だわよ……」

「じゃあ、逃げるしかねえな……。力があるのに、野放しにするのは、気が引けるけど……。まあ――」

「ねえ」

 唐突に、獣人の少女が話しに加わる。
 彼女もなにやら、頬を少し赤くしており、言葉を待つエイキとマニラに、おずおずとした様子で訊いた。

「さっきの話なんだけど。ほんとう、なんだよね?」

「あ……、ああ、まあ。っていうか、この状況で、嘘をつく理由がないだろ」

「それは……、いや、もう単刀直入に訊くけど。あれを倒すのには、どのくらい……、その、必要なの?」

「まあ、相手があいつ一体なら、『肉弾戦モード』でいけると思うから、軽い一発ぐらいで十分だけど……」

 エイキは言いながら驚きの表情を浮かべ、「まさか……」と問うような視線を獣人の少女へと向ける。
 すると、少女は顔をさらに赤くし、エイキの目をまっすぐにみながら、ゆっくりと頷き、

「だから。やるんなら、はやくして」

「あ、ああ! 助かるけど……」

 緊張をしているのか、硬い口調で言う少女に、エイキは慌ててしたがい、

「わかった。ちゃんと目は閉じてるから。頼むぜ」

「あ、ありがとう……。じゃあ、ぃ――」

 ~ ぷううぅぅううぅぅ!

 その音は、唐突だった。
 タイミングにたいしてか、音にたいしてか、獣人の少女自身が、驚いた様子で、ぽかんとしており。そして、その尻から鳴ったのは紛れもなく――彼女のおならだった。
 それを受けたエイキは、少し面を食らった様子でいたが、すぐに気を取り直すと、勢いよくそれを吸い込み――、

「おええええええええええええええええ!」

「ちょっと!」

 盛大に気分の悪そうな声をあげる少年に、獣人の少女が心外そうに声をあげる。そして、あまりに予想外な事態だったのか、エイキは驚愕するように目を見開き、

「い、いや……、ちょっと……、むせて……、うぐぅ……」

「むせたって……、そんな言い訳が……」

「へえ。まさかの逸材がこんなところに……、うっ、こっちまで……」

 マニラの方にも臭いがきたみたいで、少し顔をしかめる。
 と、そこで、エイキは目を開けると、気を取り直した様子で、ゴーレムのほうを向く。そして、

「へんな反応しちまって、わるい……。そのかわり、ちゃんとそのぶんの仕事はしてくるからよ」

 そうエイキが言ったタイミングで、ちょうどマニラの魔力が空になったのか、ゴーレムの拘束が解ける。

「おつかれ、マニラ」

 額にうっすらと汗を浮べるマニラに、エイキは一言言うと、

「あとは、まかせとけ」

 彼はそう言って、自分の数倍ものサイズのゴーレムへと、向かっていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三匹の○○○

𝐄𝐢𝐜𝐡𝐢
大衆娯楽
【注意】特殊な小説を書いています。下品注意なので、タグをご確認のうえ、閲覧をよろしくお願いいたします。・・・ とある家を襲おうとしている狼の、下品な話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...