私のかぐや姫

西園寺アリサ

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かぐや姫別物語り

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「あの青い星はいつ見ても美しいわね」

姫は、指先で望遠鏡をくるくると回し、イタズラっぽい瞳で、下女を見つめる。

「ダメですよ」

「まだ、何も言ってないじゃない」

姫は、クスクス笑っている。

「先に言わせて頂きますよ。行けません。ダメです」

「わかりましたわ」

拍子抜けする程あっさり諦めたのかと思ったが、姫の口元の口角があがっていて、このような笑顔のときは、もう姫の中で地上に行く計画が出来ている。

「はぁ、私はお止めしましたよ」

「ありがとう」

「でも、必ずお迎えに上がりますので、そのときは、必ずお帰りくださいませ」

「わかりましたわ」

下女が用意したのは、竹型の最新式宇宙船。姫はからだを小さくすると、乗り込んだ。

そして、地球に向けて出発した。

上手く竹藪に降り立つことができた。

ただ、姫は竹型宇宙船の振動で、記憶が一時的になくなっていました。

そして、そのまま眠りについていました。

そこへやって来たお爺さん、光る竹を切ってみると、小人のように小さな女の子が眠っていました。

お爺さんは、若いときから自分の子供が欲しかったのだが、生憎子宝には恵まれなかったので、

スヤスヤと眠る娘を大切に抱えて家に帰って行った、

お爺さん同様、お婆さんも娘のことは、大喜びてした。

どこに出しても、はずかしくない女性へと成長しました。

そして、娘の美しさと言ったら、姿を見た者は、虜になってしまう程でした。

成長した娘は、自分の名前は「かぐや」だと言った。

最近では、日々求婚者がやって来ます。

大抵は、断れば諦めて帰って行きます。

けれど、地位が高い男程しつこいのです。

かぐやの記憶は、すっかり戻っていました。

月から見た地球は、青く美しく見えたけれど、

夜空を明るく光る満月は、地球に負けない程美しく見えた。

九月の満月まで、あと二ヶ月。

二ヶ月以内に戻らなければ、地球人との全面戦争になってしまう。

求婚してくる男性に、うんざりしていて、かぐやはお爺さんとお婆さんだけは、助けたいと考えていました。

七月の満月も、なかなか素敵ね。

襖を開けて、縁台に腰をかける。
月の光りは、かぐやを照らす。
白くて、透明な光。

光の中に、メッセージが隠れていて、それは月で待っている恋人からだった。

『私のかぐや、冒険は最終段階に来ているよ。早く帰っておいで、帰ったら私の妻として、私を支えておくれ』

かぐやは、帰りたい気持ちとお爺さん、お婆さんとわかれたくない気持ちで揺れていました、

そこへお婆さんがやって来ました。

「かぐや、私たちの大切なかわいい娘。どこへ行こうとも娘にかわりないよ」

「お婆さん、私は、じつは、、
、」

お婆さんは、かぐやの肩を抱き締めた。

しわくちゃな小さな手。でも力強い、私を地球で育ててくれた、特別な愛情を与え続けてくれている。大きな愛をくれる人。

お婆さんは、ずっと変わらずに愛情を注いでくれている。

お爺さんは、少し変わってしまいました

貴族と結婚させようと必死だった。

そして、今日もかぐやに会いに来たという男と酒を酌み交わしている。

成金のような、男だった。

どうやら、お爺さんは、持参金の金額が少ない男には、かぐやに逢わせない。

そして、今酒を飲んでいる男は、大きな家が買えるくらいの持参金を用意しているというのだ。

お爺さんは、花婿はこの男にすると言い出した。

「婆さんや、いるか布団をひいておくれ」

直ぐにお爺さんの元へ行くと、

「何事ですか?今夜その客人を泊めるのですか?」

お爺さんは、下品な笑いをすると、
「今夜は、かぐやの初夜じゃ」

「お爺さん、なんてことを勝手に決めて、私は許しませんから」

「かぐやを釣れて来いや」

お爺さんは、変わってしまっていました。すっかり金の亡者です。

「お爺さんは、ずいぶん変わりましたね」

「どこが変わったというのだ」

「変わってしまったご自分にも気づけないのですか?」

「そんな、くだらないことばかり話していると、離縁だからな」

お爺さんは、有頂天になっています。

「かぐやの幸せを考えられないお爺さんとなんて暮らして行けません」

「何を言っている、婆さんに何ができるというんだ」

お爺さんは、酔いが回っていて、自分がしようとしていることの重大さに気づけていません。

お婆さんは
「わかりました。初夜となれば、湯浴みをして、化粧をして身を整えなくてはなりません。二時間程お待ちください」

そう言って、かぐやの元へ急ぎ足で戻りました。

「かぐや、今すぐ自分のいた世界に戻りなさい」

突然の話に、かぐやは驚きました。

「お爺さんは、変わってしまいました」

かぐやは、その言葉に、

「わかりました。今日が満月で良かった。お婆さんも一緒にいきませんか?」

「私のような年寄りが行って役に立つことがあるかね?」

「どうか、私の傍にいて、今までのように見守ってくだされば嬉しく思います」

かぐやのその言葉に、お婆さんは、月へ向かう決心がつきました。

かぐやは、月の光が煌々と射している部屋の真ん中に座りました。

そこで、誰も聴いたことのない唄を歌い初めました。

美しいメロディーに美しい歌詞、響きわたる美声に、月の光を纏ったかぐやの微笑み。

お婆さんは、思いました。かぐやは、月の国の住人というけれど、神の子ではないだろうか。

かぐやの唄が終わると、遠くから、男性の声の唄が聴こえて来ました。

その声は、少しずつ大きく聴こえて来ます。

月から御者が降りて来ました。

馬が馬車を引いています。中から品のある男性が降りて来ました。

その男性は、かぐやを抱き寄せ ました。

お婆さんは、
「貴方がかぐやの好い人ね」

「いつも、月から拝見しておりました。かぐやを慈しみ育ててくださりありがとうございます」

「お礼の言葉なんていらないのよ。かぐやの成長をみることが出来て、幸せでしたよ。ありがとう」

かぐやは、改まってお婆さんに
「今度は私がお婆さんを守ります。どんなときでもです」

「私もいます、かぐやとふたりで貴女にお礼がしたいのです」

ふたりに説得され、お婆さんも月へ行く決心をしました。

これといって、荷物はないので、迎えに来た馬車に乗り込みました。

その頃、なかなか仕度が調わないのかと、お爺さんはイライラし始めていました。

「ええい、待ちきれん。婆さん、婆さんかぐやの仕度はまだ出来ないのか?」

待ちきれなくなったお爺さんは、風呂場に向かいました。

勿論ですが居ません。

お爺さんは、ハッとします。
風呂場が濡れてない。

「かぐやが、もしやもしものことがあれば、」

さっきまで飲んだくれて真っ赤な顔をしていたのに、今はかぐやが見あたらず青くなっています。

草履は、玄関にありました。

と、言うことはまだ家からでていないということになります。

「かぐや、かぐや、どこにおるんじゃ」

お爺さんは、苛つきながら家中の襖や障子をバタバタ開けていきます。

かぐややかぐやの恋人とお婆さんは、馬車に乗り込み出発しました。

月に向かって少し進んだときに、お爺さんは、空に浮いている馬車をみつけました。

「かぐや、かぐやかぐやかぐや、お前は人ではなかったのか?どんな妖術かしらんが、 戻れ、戻って育ててやった恩を返せ」
お爺さんの顔は、再び真っ赤になっていました。

「本当に呆れた人ね。私も、永久にさようなら」

馬車から顔を出してお婆さんは、お爺さんに別れを告げました。

「婆さんまでが、、、、、」

そこで、お爺さんは家中にいるボディガードや使用人を集結させると

「どんな手を使っても良い。かぐやを取り戻せ。かぐやが生きていれば、多少傷があっても構わない。ワシを裏切った婆さんも捕まえて罰を与えてやろう」

ボディガードや弓矢を放ちましたが届かず。

拳銃を取り出すと、一斉に撃ち始めました。

銃の弾は月の光を浴びて、いくら撃っても馬車に届くことはなく、全てとけてしまいました。

この騒ぎに、町中の人たちが、空を見上げています。

馬車は、月に吸い込まれるように光の中へ入って行きました。

翌日、騒ぎを起こしたお爺さんは捕まりました。

牢屋に入れられて、反省するように言われていましたが、全く反省の色はなく

「かぐやがいれば、ワシはこの国一番の金持ちになれたはずなのに裏切りおって、しかも、婆さんまでワシを裏切るとは、この先一生許さない」

お爺さんは、一生を牢屋で過ごすこととなり、

かぐやは、かぐや姫として、かぐやを迎えにきた男性と結婚をし、お婆さんは百二十歳まで病気することなく生きて、幸せな晩年を過ごすことが出来ました、

お婆さんが旅立ってから、数ヶ月した頃、かぐや姫の妊娠が分かりました。

月の住人は、長生きなのです。

かぐや姫と旦那さまと産まれて来た子は、幸せな日々を送っています。



<おわり>

    
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