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第3話 百合のレーザー光線銃
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彼女はキョトンとした。
ざわわってなに? 言い間違えたぁ!
彼女は私から少し距離を置いた。
明らかに警戒している様子だ。
「アナタ……まさか?」
なんですかぁ?
だいたい“ざまぁ”と叫んでなんになる? そんなの、ただのおかしな女の子だ!
自分のアホさ加減に幻滅した。
彼女と上手く話すこともできず、ずっと変な子だと思われている……きっと……
「うえぇん! ひっくぴっく……」
私は子供の頃と同じ泣き方をしていた。
昔から私はこんな人間だ! いつも大事な所でつまずいてばかりで……私、生まれてからずっとイけてない。
「びえぇん! びえっびえ……」
彼女が見ている前で大泣きして恥ずかしいけど、もう止める事が出来ない。
「アナタ……使えるのね?」
彼女は私から距離を置いて身構えた。
戦闘態勢のポージングだ。
なんのことやら? 私は人畜無害のカワイイ美少女ですよ。
「ワタシに“ざまぁ”を使おうとしたわね!」
「ぐじゅ! ぐじょ?(えっ! なにそれ?)」
「アナタ、ワタシを狙う刺客だったのね」
「し、し、し? な、な、なななななな?(し、四角? なんの事ですか?)」
今度は私がキョトンとした。
「とても可愛いからワタシの愛人にしてアゲルつもりだったのに」
「ぐっ? ぐっじょぶ!(はい? はい、いやです!)」
この女性はなにを言っているの?
「返り討ちにしてあげるわ!」
えぇ~! 私を攻撃するってこと? いやいや、待ってぇ!
「ま、ま、ま、待て~い‼︎」
彼女は待ってくれず、私に右手を向けた。
怖い怖い怖い!
私、せっかく生き返ったのにすぐ死んじゃうのぉ! しかも今度は全裸のまま!
私は目を閉じ、丸くなって全身に力を入れて呪文を唱えた。
「バ、バ、バリぃア!」
ここが異世界であるならば魔法が使えるはず、防御魔法を唱えればなんらかの効果が発揮するかもしれない。
……しかしなにも起こらず、しかも彼女にはまったく理解されずになんの効果も発揮出来なかった。
「ざまぁ!」
彼女の叫びと共に手から光が放たれ、私を包み込むように辺りが白くなった。
「あ~れ~~!」
私を中心に世界がグルグル回り出した。
…………
…………
カラーン! カラーン! カラーン!
…………
「あなた、モニターをやってみない!」
聞き覚えのあるその声に私は目を開けた。
私の目の前が普段通っている大学の教室に変わっていた。
そこにはもう一人の私がいて、盗撮された映像が立体映像となって観せられているような不思議な感覚だった。
話しかけた彼女は同級生で、映像の私はいきなりの事でビクついていた。
「家が脱毛美容クリニックやっててさ! 姉が初めて現場に出るんだよねぇ。
それで経験がないから……ぶっちゃけ、練習台として体験してみない!
あっ、当然、無料だから!
あなた、前々から可愛いって思ってたからさぁ、やってみた方がいいよ!」
「……」
返事に困った私がいる。
(これってあの時の……あの場面がみゃー助の立体映像と同じように観えてる?)
クリニックの彼女の友達が話に加わってきた。
「それイイじゃん! 元が可愛いのにシャレっ気がないの、勿体ないと思ってたんだよね」
「はぁ……」
グイグイくるクリニックの友達に引いている私が観える。
元々この二人とは友達になりたくないタイプなので、私は心を閉ざしていたのだ。
「ほら、こんな具合だよ!」
クリニックの彼女は自分の脇の下を見せて来た。
彼女の脇は体毛がなくツルンツルンだった。
「脱毛だよ、綺麗でしょ」
私はいつもカミソリで剃っていて出血したり剃り残しがあったりしてイヤだったので、少し興味が湧いて来た。
「わたしも無料体験に行くから、一緒に行こ!」
クリニックの友達が私に催促した。
「無料だから来て! お願い」
クリニックの彼女が手を合わせて拝んだ。
「う、うん……」
断れない私……私は渋々頷いた。
(ダメ、行っちゃ! 酷い目に遭っちゃう!
あっ?)
突然、学校の場面がフェードアウトして、町の駅前に場面が変わった。
駅前で彼女たちと脱毛美容クリニックに向かうため待ち合わせをしたのだ。
駅から少し離れた店舗は新しくて小洒落ていたが、中には客がひとりもいなかった。
「いらっしゃいませ」
クリニックの姉らしき人物が挨拶に来て、奥へと案内された。
奥の部屋は簡易ベットとSFチックな機械が置いてあった。
クリニックの姉はSFチックな機械からピストルタイプの器具を取り出して自慢げに見せびらかした。
「この最新型のレーザー銃で毛根を死滅させるので長期間の脱毛状態が続きます」
レーザー光線銃? 死んじゃう!
怖くなったので逃げ帰ろうとしたが、皆んなに押されて更衣室へ行かされた。
私とクリニックの友達は全裸になり、バスタオル姿で本番を待っていた。
クリニックの姉の準備が終わり、クリニックの友達が先にベットに横になった。
彼女は練習台として脇の下を差し出したのだ。
「綺麗にしてよね……あ痛っ!」
クリニックの友達は痛みで顔が歪んだ。
怖い、顔が怖い……帰りたい!
でも怖いもの見たさでじっと眺めるバスタオルの裸の私と、それを観ている素っ裸の私。
「痛たたた! 痛えだろ、このブスがぁ‼︎」
クリニックの友達が本性を表し言葉が乱暴になり暴れ出した。
しまいにはクリニックの姉に暴力を振わんとしている。
「アネキ! このブタ、早くシメようぜ!」
そう言いながらクリニックの彼女が、クリニックの友達を簡易ベットに乱暴に押さえつけた。
「どの部位も不味そうだから生ゴミ決定ね」
クリニックの姉は冷笑の表情で、銃をクリニックの友達の脇の下に突きつけた。
「痛いぃ! このブス姉妹、殺してやる! ギャー‼︎」
クリニックの友達が悪魔に取り憑かれたかのような顔で悪態をついてる。
簡易ベットもガタガタ激しく揺れている。
怖い、逃げ出したい! 誰かエクソシストを呼んでぇ!
現場はバイオレンスだ。
恐怖でバスタオルの私はその場でしゃがみ込んだ。
「あああっ! うっ、うううっ……はう~ん」
悪態をついたあと、クリニックの友達が急に大人しくなった。
“ウイ~ン、ウイ~ン”
レーザー光線銃の音が響くだけの静けさだ。
「あっ、うう~ん……はぁはぁ……いい……いいの……ゴメンなさい……ホントはいいの……あふ~ん」
ツンデレー!
私はクリニックの友達が急にしおらしい態度に変わった事に激しい衝撃を受けた。
「いいよ、ウチら永遠のダチだから……終わったら一緒に豚足を食べに行こう」
「約束よ、このブス」
「分かったわ、このブタ」
見つめ合う二人はひきつった笑顔で仲直りした。
それを見ているクリニックの姉はニッコリ営業スマイル。
怖い怖い怖い! なんなんでしょう、この三文芝居は。
早く帰りたい、この空間から消え去りたい!
身体が震え出した私は子供の頃にした自己防衛システムを発動した。
“バリぃア!”
私は自分にしか見えないバリアを張って防御に徹した。
(なんて幼稚な私……でも自分に出来ることは、これしかないの)
そんな私をほったらかして施術は終盤を迎えようとしていた。
「もっと、もっとよ! いいの、ああ~ん、イっ、逝ク~っ‼︎」
今、最後の断末魔にイクって言ったよね?
そっか! 彼女の剛毛の毛根が抹殺されたから逝クって言ったのね。
施術を終えたクリニックの友達は、なぜか満たされた表情でうっとりと笑みを浮かべて余韻にふけっていた。
「はい、ポーズして!」
“カシャ! カシャ!”
クリニックの彼女がスマホのカメラでクリニックの友達の脇を撮っている。
えっ、写真って……大丈夫なの?
「さぁ、次はあなたの番よ、うふふっ」
クリニックの姉が目をギラつかせながら私を簡易ベットに誘った。
怖くて逃げる事が出来ない私は、恐る恐る簡易ベットに横たわり脇の下を差し出した。
「あっ! いっ! うっ! えっ! おっ! の……逝っ‼︎」
痛かったけど、クリニックの友達よりも早く済んだ。
クリニックの姉が鏡を持って来て、私の綺麗で可愛い脇がツルリンとして、より可愛くなっているのを見せてくれた。
「あなたの肌、とっても綺麗だわ。
どおっ! あなた、全身脱毛してみない。
こんなに可愛いんだもの、もっと可愛くなるわよ」
「……」
でもぉ、痛かったしぃ……今のままでも充分可愛いしぃ……
「どうせタダなんだし、イイでしょ」
クリニックの彼女がダメ出しをした。
(ダメよ! 断らないと)
「うっ、うっ……」
私は、“はい”とも“いいえ”とも分からない返事をした。
「うふっ、いいのね」
「えっ?」
(私……断れない子なんです……)
この後すぐ全身脱毛の施術が強行されたのでした……
太ももからお尻、そしてVゾーンなどなど、クリニックのお姉さんに私の全身の毛根を捧げたのです。
「あっ、痛い! んっ、んっ、ん~ん!」
「はぁはぁ、いいわ、子猫ちゃん! いいわ、いいわ!」
クリニックの姉は舌を舐めながら私にレーザー銃を何度も押し当てた。
「あ、あうっ! 痛っ! んっ……あっ! そ、そこはぁだめぇ! くうぅ~! も、もう、毛根がぁ……イ、イ、逝クぅ~‼︎」
私の全身の毛根は抹殺され逝ってしまった。
「はぁはぁ、終わったわ……はぁ、 とってもヨカッタ……最高のカラダだったわ……ふぅ!」
「はぁ~んんっ、はぁ~」
私は息を切らして、全身の力が抜けた状態で終了を迎えた。
なぜかクリニックのお姉さんも息を切らして満足げに笑みを浮かべていた。
「見せて、見せて!」
「拝ませて~!」
二人の同級生が私の両足を開いて、ソコだけを見た。
「キャー! カワイイ!」
「ワァ! 子供だぁ!」
「アハッ! お尻までキレイ!」
「全部ツルツルゥ! 赤ちゃんだぁ!」
“カシャ!”
“カシャ!”
二人ともスマホを取り出しカメラで撮り始めた。
いやぁ、撮らないでぇ!
「サンプル写真として、わたしも撮っちゃおう!」
クリニックのお姉さんが、ドデカイ望遠付きのデジカメを持ってきた。
“バゴォーン‼︎”
凄いシャッター音がする。
撮っちゃだめぇ!
私は抵抗しようとしたけど身体に力が入らずカメラで撮られるままだった。
“カシャ! カシャ!”
“カシャカシャカシャカシャカシャカシャ!”
“バゴォーン‼︎ バゴォーン‼︎”
(もう止めてぇ~!)
激しいシャッター音が終わったあと、急に静かになった。
(あれ、止まった?)
ポーズ? まるで映像が停止した状態みたいに静かになった。
(これで終わったの?)
突然、クリニックの彼女とクリニックの友達とクリニックのお姉さんが動き出し、この映像を観ている私の前に横一列に並び始めた。
(なに、なに、なに? こんなシーンはなかったし、なんで観ている私の方に来て、皆んなで私を見ているの?)
一番右のクリニックの友達が喋り出した。
「♪ざまぁ!」
(えっ!)
真ん中のクリニックのお姉さんが喋り出した。
「♪ざまぁ!」
(なに? なに?)
そして、左端のクリニックの彼女がトリを取った。
「♪ざまぁ!」
(どういう事?)
最後に呆然とする私を囲むように近付いて、三人声を揃えてママさんコーラスのようにハモリ出した。
「♪ざまぁ~~~!!!」
「うぃやぁぁぁ~! ぎょえっぴ! ずぅどぉるぴぃ‼︎」
む、胸が苦しい、頭がくらくらする!
違う! 心にひびが、魂が割れる!
その時、天空から光の針のような物体が映像を観ている私の胸元に向かって来た。
「泡わわわ!」
その光の針は私に刺さらずに、そのまま私の身体を通り抜けて奈落へと消えて行った。
「あっあっ! いっいっ! いく、いく、去くぅ~‼︎」
私の意識が遠のいて去く……
…………
カラーン! カラーン! カラーン!
…………
…………
脱毛美容クリニックの悲惨な映像は消え、元いた中世風の屋敷の部屋に戻って来た。
「……アナタ、一体どこから来たの?
初めて見る景色だったわ」
金髪のお嬢様風彼女が驚いて質問をしたが、私はぐったりして壁にもたれ掛かって話せる状態ではなかった。
「馬のいない馬車がたくさん走っていたわ!
みんな変わった服装だったし……建物もみんな変わっていたわ!
いったいドコの国なのかしら?」
彼女はひとりで興奮して喋りまくった。
そして私に近付き、私の身体を……股間を眺めた。
「フフッ!
アナタ、ソノ……脱毛美容クリニックという所で全身脱毛したのね。
なんだか騙されたって感じね。
ウフッ!
デモ、とっても可愛くてアナタに似合っているわよ。
ソノ、お・ま・た!」
私は右手を伸ばして、このセクハラ金髪お嬢様風女に向かって叫んだ。
「ざまぁ!」
「ナッ! しまったわ!」
また世界がグルグル歪み始めた。
ざわわってなに? 言い間違えたぁ!
彼女は私から少し距離を置いた。
明らかに警戒している様子だ。
「アナタ……まさか?」
なんですかぁ?
だいたい“ざまぁ”と叫んでなんになる? そんなの、ただのおかしな女の子だ!
自分のアホさ加減に幻滅した。
彼女と上手く話すこともできず、ずっと変な子だと思われている……きっと……
「うえぇん! ひっくぴっく……」
私は子供の頃と同じ泣き方をしていた。
昔から私はこんな人間だ! いつも大事な所でつまずいてばかりで……私、生まれてからずっとイけてない。
「びえぇん! びえっびえ……」
彼女が見ている前で大泣きして恥ずかしいけど、もう止める事が出来ない。
「アナタ……使えるのね?」
彼女は私から距離を置いて身構えた。
戦闘態勢のポージングだ。
なんのことやら? 私は人畜無害のカワイイ美少女ですよ。
「ワタシに“ざまぁ”を使おうとしたわね!」
「ぐじゅ! ぐじょ?(えっ! なにそれ?)」
「アナタ、ワタシを狙う刺客だったのね」
「し、し、し? な、な、なななななな?(し、四角? なんの事ですか?)」
今度は私がキョトンとした。
「とても可愛いからワタシの愛人にしてアゲルつもりだったのに」
「ぐっ? ぐっじょぶ!(はい? はい、いやです!)」
この女性はなにを言っているの?
「返り討ちにしてあげるわ!」
えぇ~! 私を攻撃するってこと? いやいや、待ってぇ!
「ま、ま、ま、待て~い‼︎」
彼女は待ってくれず、私に右手を向けた。
怖い怖い怖い!
私、せっかく生き返ったのにすぐ死んじゃうのぉ! しかも今度は全裸のまま!
私は目を閉じ、丸くなって全身に力を入れて呪文を唱えた。
「バ、バ、バリぃア!」
ここが異世界であるならば魔法が使えるはず、防御魔法を唱えればなんらかの効果が発揮するかもしれない。
……しかしなにも起こらず、しかも彼女にはまったく理解されずになんの効果も発揮出来なかった。
「ざまぁ!」
彼女の叫びと共に手から光が放たれ、私を包み込むように辺りが白くなった。
「あ~れ~~!」
私を中心に世界がグルグル回り出した。
…………
…………
カラーン! カラーン! カラーン!
…………
「あなた、モニターをやってみない!」
聞き覚えのあるその声に私は目を開けた。
私の目の前が普段通っている大学の教室に変わっていた。
そこにはもう一人の私がいて、盗撮された映像が立体映像となって観せられているような不思議な感覚だった。
話しかけた彼女は同級生で、映像の私はいきなりの事でビクついていた。
「家が脱毛美容クリニックやっててさ! 姉が初めて現場に出るんだよねぇ。
それで経験がないから……ぶっちゃけ、練習台として体験してみない!
あっ、当然、無料だから!
あなた、前々から可愛いって思ってたからさぁ、やってみた方がいいよ!」
「……」
返事に困った私がいる。
(これってあの時の……あの場面がみゃー助の立体映像と同じように観えてる?)
クリニックの彼女の友達が話に加わってきた。
「それイイじゃん! 元が可愛いのにシャレっ気がないの、勿体ないと思ってたんだよね」
「はぁ……」
グイグイくるクリニックの友達に引いている私が観える。
元々この二人とは友達になりたくないタイプなので、私は心を閉ざしていたのだ。
「ほら、こんな具合だよ!」
クリニックの彼女は自分の脇の下を見せて来た。
彼女の脇は体毛がなくツルンツルンだった。
「脱毛だよ、綺麗でしょ」
私はいつもカミソリで剃っていて出血したり剃り残しがあったりしてイヤだったので、少し興味が湧いて来た。
「わたしも無料体験に行くから、一緒に行こ!」
クリニックの友達が私に催促した。
「無料だから来て! お願い」
クリニックの彼女が手を合わせて拝んだ。
「う、うん……」
断れない私……私は渋々頷いた。
(ダメ、行っちゃ! 酷い目に遭っちゃう!
あっ?)
突然、学校の場面がフェードアウトして、町の駅前に場面が変わった。
駅前で彼女たちと脱毛美容クリニックに向かうため待ち合わせをしたのだ。
駅から少し離れた店舗は新しくて小洒落ていたが、中には客がひとりもいなかった。
「いらっしゃいませ」
クリニックの姉らしき人物が挨拶に来て、奥へと案内された。
奥の部屋は簡易ベットとSFチックな機械が置いてあった。
クリニックの姉はSFチックな機械からピストルタイプの器具を取り出して自慢げに見せびらかした。
「この最新型のレーザー銃で毛根を死滅させるので長期間の脱毛状態が続きます」
レーザー光線銃? 死んじゃう!
怖くなったので逃げ帰ろうとしたが、皆んなに押されて更衣室へ行かされた。
私とクリニックの友達は全裸になり、バスタオル姿で本番を待っていた。
クリニックの姉の準備が終わり、クリニックの友達が先にベットに横になった。
彼女は練習台として脇の下を差し出したのだ。
「綺麗にしてよね……あ痛っ!」
クリニックの友達は痛みで顔が歪んだ。
怖い、顔が怖い……帰りたい!
でも怖いもの見たさでじっと眺めるバスタオルの裸の私と、それを観ている素っ裸の私。
「痛たたた! 痛えだろ、このブスがぁ‼︎」
クリニックの友達が本性を表し言葉が乱暴になり暴れ出した。
しまいにはクリニックの姉に暴力を振わんとしている。
「アネキ! このブタ、早くシメようぜ!」
そう言いながらクリニックの彼女が、クリニックの友達を簡易ベットに乱暴に押さえつけた。
「どの部位も不味そうだから生ゴミ決定ね」
クリニックの姉は冷笑の表情で、銃をクリニックの友達の脇の下に突きつけた。
「痛いぃ! このブス姉妹、殺してやる! ギャー‼︎」
クリニックの友達が悪魔に取り憑かれたかのような顔で悪態をついてる。
簡易ベットもガタガタ激しく揺れている。
怖い、逃げ出したい! 誰かエクソシストを呼んでぇ!
現場はバイオレンスだ。
恐怖でバスタオルの私はその場でしゃがみ込んだ。
「あああっ! うっ、うううっ……はう~ん」
悪態をついたあと、クリニックの友達が急に大人しくなった。
“ウイ~ン、ウイ~ン”
レーザー光線銃の音が響くだけの静けさだ。
「あっ、うう~ん……はぁはぁ……いい……いいの……ゴメンなさい……ホントはいいの……あふ~ん」
ツンデレー!
私はクリニックの友達が急にしおらしい態度に変わった事に激しい衝撃を受けた。
「いいよ、ウチら永遠のダチだから……終わったら一緒に豚足を食べに行こう」
「約束よ、このブス」
「分かったわ、このブタ」
見つめ合う二人はひきつった笑顔で仲直りした。
それを見ているクリニックの姉はニッコリ営業スマイル。
怖い怖い怖い! なんなんでしょう、この三文芝居は。
早く帰りたい、この空間から消え去りたい!
身体が震え出した私は子供の頃にした自己防衛システムを発動した。
“バリぃア!”
私は自分にしか見えないバリアを張って防御に徹した。
(なんて幼稚な私……でも自分に出来ることは、これしかないの)
そんな私をほったらかして施術は終盤を迎えようとしていた。
「もっと、もっとよ! いいの、ああ~ん、イっ、逝ク~っ‼︎」
今、最後の断末魔にイクって言ったよね?
そっか! 彼女の剛毛の毛根が抹殺されたから逝クって言ったのね。
施術を終えたクリニックの友達は、なぜか満たされた表情でうっとりと笑みを浮かべて余韻にふけっていた。
「はい、ポーズして!」
“カシャ! カシャ!”
クリニックの彼女がスマホのカメラでクリニックの友達の脇を撮っている。
えっ、写真って……大丈夫なの?
「さぁ、次はあなたの番よ、うふふっ」
クリニックの姉が目をギラつかせながら私を簡易ベットに誘った。
怖くて逃げる事が出来ない私は、恐る恐る簡易ベットに横たわり脇の下を差し出した。
「あっ! いっ! うっ! えっ! おっ! の……逝っ‼︎」
痛かったけど、クリニックの友達よりも早く済んだ。
クリニックの姉が鏡を持って来て、私の綺麗で可愛い脇がツルリンとして、より可愛くなっているのを見せてくれた。
「あなたの肌、とっても綺麗だわ。
どおっ! あなた、全身脱毛してみない。
こんなに可愛いんだもの、もっと可愛くなるわよ」
「……」
でもぉ、痛かったしぃ……今のままでも充分可愛いしぃ……
「どうせタダなんだし、イイでしょ」
クリニックの彼女がダメ出しをした。
(ダメよ! 断らないと)
「うっ、うっ……」
私は、“はい”とも“いいえ”とも分からない返事をした。
「うふっ、いいのね」
「えっ?」
(私……断れない子なんです……)
この後すぐ全身脱毛の施術が強行されたのでした……
太ももからお尻、そしてVゾーンなどなど、クリニックのお姉さんに私の全身の毛根を捧げたのです。
「あっ、痛い! んっ、んっ、ん~ん!」
「はぁはぁ、いいわ、子猫ちゃん! いいわ、いいわ!」
クリニックの姉は舌を舐めながら私にレーザー銃を何度も押し当てた。
「あ、あうっ! 痛っ! んっ……あっ! そ、そこはぁだめぇ! くうぅ~! も、もう、毛根がぁ……イ、イ、逝クぅ~‼︎」
私の全身の毛根は抹殺され逝ってしまった。
「はぁはぁ、終わったわ……はぁ、 とってもヨカッタ……最高のカラダだったわ……ふぅ!」
「はぁ~んんっ、はぁ~」
私は息を切らして、全身の力が抜けた状態で終了を迎えた。
なぜかクリニックのお姉さんも息を切らして満足げに笑みを浮かべていた。
「見せて、見せて!」
「拝ませて~!」
二人の同級生が私の両足を開いて、ソコだけを見た。
「キャー! カワイイ!」
「ワァ! 子供だぁ!」
「アハッ! お尻までキレイ!」
「全部ツルツルゥ! 赤ちゃんだぁ!」
“カシャ!”
“カシャ!”
二人ともスマホを取り出しカメラで撮り始めた。
いやぁ、撮らないでぇ!
「サンプル写真として、わたしも撮っちゃおう!」
クリニックのお姉さんが、ドデカイ望遠付きのデジカメを持ってきた。
“バゴォーン‼︎”
凄いシャッター音がする。
撮っちゃだめぇ!
私は抵抗しようとしたけど身体に力が入らずカメラで撮られるままだった。
“カシャ! カシャ!”
“カシャカシャカシャカシャカシャカシャ!”
“バゴォーン‼︎ バゴォーン‼︎”
(もう止めてぇ~!)
激しいシャッター音が終わったあと、急に静かになった。
(あれ、止まった?)
ポーズ? まるで映像が停止した状態みたいに静かになった。
(これで終わったの?)
突然、クリニックの彼女とクリニックの友達とクリニックのお姉さんが動き出し、この映像を観ている私の前に横一列に並び始めた。
(なに、なに、なに? こんなシーンはなかったし、なんで観ている私の方に来て、皆んなで私を見ているの?)
一番右のクリニックの友達が喋り出した。
「♪ざまぁ!」
(えっ!)
真ん中のクリニックのお姉さんが喋り出した。
「♪ざまぁ!」
(なに? なに?)
そして、左端のクリニックの彼女がトリを取った。
「♪ざまぁ!」
(どういう事?)
最後に呆然とする私を囲むように近付いて、三人声を揃えてママさんコーラスのようにハモリ出した。
「♪ざまぁ~~~!!!」
「うぃやぁぁぁ~! ぎょえっぴ! ずぅどぉるぴぃ‼︎」
む、胸が苦しい、頭がくらくらする!
違う! 心にひびが、魂が割れる!
その時、天空から光の針のような物体が映像を観ている私の胸元に向かって来た。
「泡わわわ!」
その光の針は私に刺さらずに、そのまま私の身体を通り抜けて奈落へと消えて行った。
「あっあっ! いっいっ! いく、いく、去くぅ~‼︎」
私の意識が遠のいて去く……
…………
カラーン! カラーン! カラーン!
…………
…………
脱毛美容クリニックの悲惨な映像は消え、元いた中世風の屋敷の部屋に戻って来た。
「……アナタ、一体どこから来たの?
初めて見る景色だったわ」
金髪のお嬢様風彼女が驚いて質問をしたが、私はぐったりして壁にもたれ掛かって話せる状態ではなかった。
「馬のいない馬車がたくさん走っていたわ!
みんな変わった服装だったし……建物もみんな変わっていたわ!
いったいドコの国なのかしら?」
彼女はひとりで興奮して喋りまくった。
そして私に近付き、私の身体を……股間を眺めた。
「フフッ!
アナタ、ソノ……脱毛美容クリニックという所で全身脱毛したのね。
なんだか騙されたって感じね。
ウフッ!
デモ、とっても可愛くてアナタに似合っているわよ。
ソノ、お・ま・た!」
私は右手を伸ばして、このセクハラ金髪お嬢様風女に向かって叫んだ。
「ざまぁ!」
「ナッ! しまったわ!」
また世界がグルグル歪み始めた。
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