17 / 51
腐男子坂本くんの○○なお話
END
しおりを挟むーーーー…
「これって運命なのかな? 君がここの生徒だって知った時は天にも昇る気分だったよ」
「それを一日で調べ上げた貴方を本当に尊敬します……ある意味で」
「ん~。興味あるものには、とことんやり抜くのが僕の信条だからね。まぁ、そのおかげで副会長なんてやらせてもらえてるんだけど」
のんびりとそう言うのは、僕の隣で昼食用の購買パンをかじるイケメン男子。名前は七海昂也。僕たち以外は誰もいない屋上でランチタイムです。
初めてこの七海君と出会ってから数日後。寮生活をしている僕のルームメイトが変わりました。いきなりどうしたんだろうと不思議でしたが、新しく入ってきた相手の姿を見て、心臓が飛び出そうになったのは初めての事でした。
現れたのは、女装をしていた僕に告白をしたイケメン男子。そして、その正体はこの学校の生徒会副会長というオチ。
不覚でした。この人が生徒会副会長だと気付けなかったのは、髪型が違っていたのと、眼鏡なんてアイテムをしていたからだなんて。そんな言い訳が通用するはずがありません。王道学園生徒会モノスキーの腐男子としては、一生の不覚なのです。
親衛隊が作られてしまうほどの人気生徒会です。本当にどうして気づけなかったのでしょう。そしてどうして……
どうして、そんな人が僕なんかに告白なんてしてくるのでしょう。僕はただ、ホモォに囲まれた高校生活を楽しみたかっただけなのに。
僕の男の子バージョンを目の前にしても、七海君の態度は変わりませんでした。いえ、それどころか。同室になったこともあってでしょうか。僕への愛の告白が進化しました。愛の言葉はもちろん、贈り物まで貰ってしまうようになったのです。試しに、手に入らないだろうブランドのテディベアをおねだりしてみました。それが三日後に届いた時は、七海君のお家柄と財力が心底知りたくなったものです。
僕は七海君の隣で同じ購買で買ったパンを食べています。ちなみに今日はメロンパンです。甘くてサクサクの、美味しいメロンパンです。百五十円。買ってくれたのは隣の七海君です。
どうせなら他人にやってくださいです。僕はそれを見てオカズにしますから。
「坂本君さ」
名前を呼ばれました。顔を向けると、僕の口元についたメロンパンの屑を指で拭ってくれました。
「本屋でホモ、買ってたよね。腐男子ってやつでしょ?」
「だ、だったら、なんですか?」
「ん~。リアルのホモに興味ない?」
指で拭ったパン屑は当然のように七海君の口元へと運ばれました。乙女ゲームだったら鼻血を吹いているところでしょうが、実際にされるとどうリアクションを取れば良いのか戸惑います。自分の口元を再度、持っていたハンカチで拭いました。
「に、二次元と三次元は別だっていう人もいますけど」
「リアルホモもいけるんでしょ? じゃあ、僕とは?」
性急過ぎます。僕がそう言われて困ることは、すでに知ってるはずなのに。
「黙っちゃったね。ん~、自分は別ってやつなんだろうね……でもさ」
ずいっと顔を近づけられ、さらに僕の困る質問をしてくるのです。
「僕と一緒にいて、嫌じゃないでしょ?」
そう。
僕はこの七海君と一緒にいて、困らないのです。だって、七海君はイケメンで、とても優しくて、そして決して強引な手段には出ないから。
困る質問はしてくるけれど、いつだって僕を尊重してくれます。僕の気持ちを考えてくれるのです。告白はしてくるけれど、決して僕に、自分の気持ちを押しつけるだけの一方通行はしないのです。
こんなに優しい人……正直、僕にはもったいないです。だって僕は、本当は最低だから。人の事を勝手に利用して、カップリングにして、ラブラブさせて……そして自分の萌えのために楽しんでる。人の気持ちなんて考えずに。
こんな僕の、いったい何に惚れたって言うんでしょう。
「な、七海君は……」
「ん?」
「七海君は……僕といて楽しいですか?」
「楽しいよ」
即答でした。なぜ、こんなにも早くに答えが返ってくるのでしょう。友人が生徒会長のセフレになる前までは、僕の脳内で会長×副会長を繰り広げたこともあるというのに!
「どうして、楽しいだなんて言えるんですか。僕、基本黙ってるじゃないですか」
「うん。そうだね」
「つまらないじゃないですか」
そう言うと、七海君は首を横に振って笑いました。それも、とても綺麗な笑顔で。
「全然。むしろ、喋った時はレアだなって普段より楽しんでるくらい。坂本君と一緒にいられることが、すごく楽しいよ」
「そんな……」
「だって惚れた相手と一緒にいるんだよ? 舞い上がらない方が変でしょ」
僕はゆっくりと俯きました。七海君がまるで太陽みたいに眩しい存在のようで、直視できなくなったからです。
本当に。どうして僕なんだろう。
告白されてからこの数日の間。僕は七海君に必要以上の接触を許しませんでした。いいえ。七海君は触れないのです。本当に好きなら、同じ部屋で寝ている自分をどうにかしたいと思うはずです……でぃ、DTの僕が言うのもなんですけど。
からかわれてるんじゃないかって思ったこともあります。でも、からかうだけで部屋を移り変わるでしょうか?
生徒会長の性欲と独占欲の強さを知っているからでしょうか。僕の友人はよく腰を押さえています。だから七海君も手の早い部類の人間だと勝手に思いこんでいたのです。ですが、もしかしたら、七海君は奥手も奥手の超奥……
「まぁ、あの若の下にいるからね~。そう思われても仕方ないし。自分で言うのもなんだけど、結構手が早い方だよ。正直、坂本君に手を出したくてたまんない」
前言撤回です。七海君も会長に負けず劣らずのようです。ほんの少しだけ距離をとりました。
でも。じゃあ。だったら。
どうして?
その渦巻く疑念が、顔に出ていたのでしょうか。
ポンと、僕の頭に決してなよなよしくはない手の平が乗りました。視線を七海君にやると、彼は僕をあやすように優しく言いました。少しだけ頬を、赤く染め上げながら。
「君、ホモ本抱えて嬉しそうに笑ってたでしょ? あの時の笑顔に、本当にヤられちゃったんだよね。嬉しそうに抱えていた中身がホモ本だって知ってたら、もしかしたら違ってたのかもしれないけれど……でも、君には心の底から惚れちゃったから。だから君が僕を受け入れてくれない限りは、僕からは手を出さない」
ああ、そうか。
本当にこの人は、僕を好きでいてくれてるんだと。この時。僕を好きになったという理由を聞けたこの時。ようやくわかったのです。
この人の気持ちを。
「じゃあ」
「ん?」
「僕達が高校を卒業するまで、我慢……できますか?」
僕が尋ねると、七海君がきょとんと。彼の周りだけ時が止まったかのように、固まってしまいました。ですが、僕はそのまま尋ねます。
「エッチは十八歳になってからって、決めてるんです。七海君はそれまで、我慢が出来ますか?」
手が早いという七海君。でも、これだけは譲れません。僕は腐男子ですが、実際の恋愛事に関していえば、貞操概念がとても固いのです。
もしも、七海君が僕の事をとても想ってくれているのなら。
それまで。我慢してくれるのでしょうか?
試すようなことを言っているのはわかっています。でも。でも……!
「あ~エッチの方ね。びっくりした」
は~っ、と。長い息を吐いた後、七海君はクツクツと可笑しそうに笑い始めました。何か変なことを言ったのだろうかと首を傾げてみせると。
「さすがにキスもハグも十八歳になるまで我慢しろって言われたら自信なかったけど……それなら大丈夫。そういうのは君と両思いじゃないと意味がないって思ってるから」
安心した、と。七海君は僕に顔を近づけました。そして嬉しそうに笑うのです。
ビクリと肩を震わせると、七海君が僕を抱きしめました。「良かった」と、小さく呟きながら。
「高校を卒業したら、ね……わかった!」
そして、チュッと。リップ音を立てながら、僕の耳にキスを落とすと。
「楽しみにしてる」
「ひゃっ」
耳元で囁いたのです。僕は驚いて、七海君を押しやりながら離れました。
び、びっくりです。何が、ってわけではないですけど。とてもびっくりしました。
あ、あれ? 何で? 心臓が……ど、動悸です。心臓がバクバクしています。
意味もなくですが。心臓がバクバクしているのが、なんだかとても悔しくなったので、胸を抑えながら、嫌みを言ってやりました。
「そ、それまでに、七海君が僕に飽きてたら、意味がないですけどね」
「あ、それはないない。大丈夫。僕、君にぞっこんだから」
きっぱりと断言をされました。そう言ってられるのも今の内のように思いますが……こんなに好きだと言われて飽きられてしまうのも嫌だと思っている自分がいます。
矛盾しているんでしょう。でも、本心です。
だって、僕。七海君のことが、嫌いじゃないんですから。
も、もちろん。僕は健全な腐男子ですよ? 今の好物だって……
「会長攻めと平凡君受け、でしょ?」
「こ、心の中を読まないでくださいっ!」
「う~ん。若が君の理想の会長攻めかどうかはさておくけど。カップリングだっけ? それをどうやって変えていくかがポイントだな……ま、卒業まで時間あるし。イけるでしょ」
「な、何を?」
「高校を卒業するまでには、副会長攻めと腐男子受け萌えにしてあげるから。覚悟しててね?」
END.
21
あなたにおすすめの小説
ずっと二人で。ー俺と大好きな幼なじみとの20年間の恋の物語ー
紗々
BL
俺は小さな頃からずっとずっと、そうちゃんのことが大好きだった───。
立本樹と滝宮颯太は、物心ついた頃からの幼なじみ。いつも一緒で、だけど離れて、傷付けあって、すれ違って、また近づいて。泣いたり笑ったりしながら、お互いをずっと想い合い大人になっていく二人の物語です。
※攻めと女性との絡みが何度かあります。
※展開かなり遅いと思います。
【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!
ひつじのめい
BL
αとΩの同性の両親を持つ相模 楓(さがみ かえで)は母似の容姿の為にΩと思われる事が多々あるが、説明するのが面倒くさいと放置した事でクラスメイトにはΩと認識されていたが楓のバース性はαである。
そんな楓が初恋を拗らせている相手はαの両親を持つ2つ年上の小野寺 翠(おのでら すい)だった。
翠に恋人が出来た時に気持ちも告げずに、接触を一切絶ちながらも、好みのタイプを観察しながら自分磨きに勤しんでいたが、実際は好みのタイプとは正反対の風貌へと自ら進んでいた。
実は翠も幼い頃の女の子の様な可愛い楓に心を惹かれていたのだった。
楓がΩだと信じていた翠は、自分の本当のバース性がβだと気づかれるのを恐れ、楓とは正反対の相手と付き合っていたのだった。
楓がその事を知った時に、翠に対して粘着系の溺愛が始まるとは、この頃の翠は微塵も考えてはいなかった。
※作者の個人的な解釈が含まれています。
※Rシーンがある回はタイトルに☆が付きます。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで
月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆
辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。
けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。
孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。
年齢差、身分差、そして心の距離。
不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。
■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。
使用後には、加筆・修正を加えています。
利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。
■GPT
https://openai.com/policies/terms-of-use
■Claude
https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b
■Grok Bate
https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/
αの共喰いを高みの見物してきた男子校の姫だった俺(α)がイケメン番(Ω)を得るまで。
Q矢(Q.➽)
BL
αしか入学を許可されないその学園の中は、常に弱肉強食マウントの取り合いだった。
そんな 微王道学園出身者達の、卒業してからの話。
笠井 忠相 (かさい ただすけ) 25 Ω
×
弓月 斗和 (ゆづき とわ) 20 α
派生CPも出ます。
※ 1月8日完結しました。
後日談はその内書くと思います。
ご閲覧ありがとうございました!
王子様の愛が重たくて頭が痛い。
しろみ
BL
「家族が穏やかに暮らせて、平穏な日常が送れるのなら何でもいい」
前世の記憶が断片的に残ってる遼には“王子様”のような幼馴染がいる。花のような美少年である幼馴染は遼にとって悩みの種だった。幼馴染にべったりされ過ぎて恋人ができても長続きしないのだ。次こそは!と意気込んだ日のことだったーー
距離感がバグってる男の子たちのお話。
Bランク冒険者の転落
しそみょうが
BL
幼馴染の才能に嫉妬したBランク冒険者の主人公が、出奔した先で騙されて名有りモブ冒険者に隷属させられて性的に可哀想な日々を過ごしていたところに、激重友情で探しに来た粘着幼馴染がモブ✕主人公のあれこれを見て脳が破壊されてメリバ風になるお話です。
◯前半は名有りモブ✕主人公で後半は幼馴染✕主人公
◯お下品ワードがちょいちょい出てきて主人公はずっと性的に可哀想な感じです(・_・;)
◯今のところほとんどのページにちょっとずつ性描写があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる