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王道と非王道の違いが未だにわかりません
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しおりを挟むいつものキラキラ輝くアイドル張りのイケメン双子が次々と変態発言をかましていくので僕が心底ドン引きしていると、抱きつかれたままの紫瞠君が冷静に彼らへと言葉を掛けました。
「それより、二人とも。他に何か言うことがあるでしょ?」
「「ぎくっ」」
「僕、とっても怒ってるんだよ?」
「「え~……だってさ~……」」
「怒ってるんだぞ、こんにゃろう」
「「はい。ごめんなさい」」
くるっと僕に振り向いて、ビシッと姿勢を整えた双子が寸分の狂いなくピッタリと動きを合わせて深々と頭を下げてきました。な、なになにっ?
戸惑う僕を見かねた七海君が、助け船とばかりにいつものにこやかな笑みを浮かべながら横やりを入れてくれました。
「僕から説明しようか? あのね、この橘ズは紫瞠君の友達なんだよ。確か、中学の時からだっけ?」
「「イエース、ザッツライト」」
と、友達? でも、僕と一緒に会った時はこの二人、紫瞠君を知らないって言って初めましての挨拶してませんでした?
その説明は橘兄弟の口から交互にしてくれました。
「これ見てればわかると思うけど~、俺ら柳のことが超好きなわけ」
「でも俺らって無駄に人気あるじゃん? 生徒会に入る前から持て囃されてきちゃってたし、今じゃファンクラブやら親衛隊やらまでいる始末だし」
「そんでその俺らが柳と親しくしたら、可愛い柳が親衛隊に狙われんじゃん? 平凡君みたいにさ」
「俺らは柳を巻き込みたくねえから、ものすっごいチューしてえ気持ちを堪えに堪えて、周りには平凡君や片岡を気に入っている様に見せてたの」
「「平凡君なら会長のお気にだし、的にしてもいっかな~って」」
なるほど、だからか。握手の際、彼らが力強く紫瞠君と握手をしていました。あれは触れられて気持ちが高ぶっていたんですね? つうか、てめえら俺をそんな粗末に扱うんじゃねえよ。毎度毎度スキンシップが過剰で気持ち悪いんだよ。
謎が解けてややすっきりした僕とは別に、眉を下げた紫瞠君が橘兄弟に向かって悲しそうに言いました。
「たとえ理由がそうだとしても、ああやって知らないフリをされるとやっぱり悲しかったよ。それに二人とも、自己紹介の時にからかって嘘ついてたでしょ」
「嘘?」
首を傾げると、紫瞠君が右、左とよく似ている双子を交互に指差しながら教えてくれました。
「こっちが真で、こっちが実。なのに二人とも、僕に自己紹介した時に遊んで逆を言ってたの」
びっくりしました。鏡を合わせたかのように似ている双子なのに、紫瞠君は見分けることが出来るんですね。すげー。
「「だってさ~……」」
「もっぺん怒るぞ」
「「はい。もう遊びません。ごめんなさい」」
これだけ弱ってる橘兄弟を見るのも初めてです。ざまー。
「それよりも紫瞠君。この壊れちゃった眼鏡、どうする?」
七海君が無惨な姿になってしまった紫瞠君の眼鏡をハンカチの上へと拾い上げながら尋ねました。
「そうだった! うわ~、レンズもこんなに割れちゃってる~……」
「これでは日常生活に支障が出ますね。この倒れちゃってる人達に弁償させつつスペアも購入してもらっては?」
と、坂本君が提案すると紫瞠君が。
「僕、視力は良いから生活は困らないよ?」
と、不思議そうに答えてくれました。なるほど、伊達だったんですね。あの王道転校生のように眼鏡のあるなしで劇的な変化というのは見られませんが、紫瞠君はやっぱり可愛いらしい顔立ちをされています。ですがきっと、何か事情があって眼鏡をしているんでしょう。とても落胆しています。
「う~……ねえ、七海君。校則違反だけど、今から電話してもいいかな?」
紫瞠君が七海君にそう尋ねると、七海君はポケットからスマホを取り出しホーム画面を開くと紫瞠君へ差し出しました。
「僕のを貸してあげるよ。紫瞠君のは教室でしょう?」
さすが副会長! あのバ会長とは雲泥の差です! 出来る男!
「ありがとうっ、七海君……けどあの……これ、どうやって使うの?」
その紫瞠君はスマホ初心者でしたが。
持ち主である七海君から操作方法を教えてもらいつつ紫瞠君は電話番号を入力し終えると、スマホを耳に当てて相手が出るのを待ちます。はて、どなたに掛けているのでしょう?
数コール後、相手が電話に出たようです。紫瞠君が話し始めました。
「あ、もしもし。海さんっ? うん。僕だよ! えっ? 誰の電話かって……お友達のを借りてるの! ううん、球技大会中なんだけど具合が悪くなったとか怪我したとかじゃなくてね……うん。大丈夫! ほんとにほんと! あのね、電話したのは僕の眼鏡のことなんだけど……その、こ、壊れてね。それで……ちがっ、転んでないよっ! 僕、そんなドジなことしてないもんっ! た、たまに転んじゃうけど……はい……ううっ、ごめんなさい~!」
すごい。電話相手に一人で百面相をしています。お家の方でしょうか? 今はしきりにペコペコと頭を下げています。そのお相手は電話のその向こうなので見えていないはずなのですが。
「ごめんなさい、海さん~!」
何もかもを知っていそうな七海君に、思わず聞いてしまいました。
「かいさんって?」
「紫瞠君の旦那様のことじゃないかなぁ?」
紫瞠君、謎すぎます。
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