【完結】ルームメイト〜僕と彼の関係〜

天白

文字の大きさ
39 / 51
王道と非王道の違いが未だにわかりません

10

しおりを挟む


 いつものキラキラ輝くアイドル張りのイケメン双子が次々と変態発言をかましていくので僕が心底ドン引きしていると、抱きつかれたままの紫瞠君が冷静に彼らへと言葉を掛けました。

「それより、二人とも。他に何か言うことがあるでしょ?」

「「ぎくっ」」

「僕、とっても怒ってるんだよ?」

「「え~……だってさ~……」」

「怒ってるんだぞ、こんにゃろう」

「「はい。ごめんなさい」」

 くるっと僕に振り向いて、ビシッと姿勢を整えた双子が寸分の狂いなくピッタリと動きを合わせて深々と頭を下げてきました。な、なになにっ?

 戸惑う僕を見かねた七海君が、助け船とばかりにいつものにこやかな笑みを浮かべながら横やりを入れてくれました。

「僕から説明しようか? あのね、この橘ズは紫瞠君の友達なんだよ。確か、中学の時からだっけ?」

「「イエース、ザッツライト」」

 と、友達? でも、僕と一緒に会った時はこの二人、紫瞠君を知らないって言って初めましての挨拶してませんでした?

 その説明は橘兄弟の口から交互にしてくれました。

「これ見てればわかると思うけど~、俺ら柳のことが超好きなわけ」

「でも俺らって無駄に人気あるじゃん? 生徒会に入る前から持て囃されてきちゃってたし、今じゃファンクラブやら親衛隊やらまでいる始末だし」

「そんでその俺らが柳と親しくしたら、可愛い柳が親衛隊に狙われんじゃん? 平凡君みたいにさ」

「俺らは柳を巻き込みたくねえから、ものすっごいチューしてえ気持ちを堪えに堪えて、周りには平凡君や片岡を気に入っている様に見せてたの」

「「平凡君なら会長のお気にだし、的にしてもいっかな~って」」

 なるほど、だからか。握手の際、彼らが力強く紫瞠君と握手をしていました。あれは触れられて気持ちが高ぶっていたんですね? つうか、てめえら俺をそんな粗末に扱うんじゃねえよ。毎度毎度スキンシップが過剰で気持ち悪いんだよ。

 謎が解けてややすっきりした僕とは別に、眉を下げた紫瞠君が橘兄弟に向かって悲しそうに言いました。

「たとえ理由がそうだとしても、ああやって知らないフリをされるとやっぱり悲しかったよ。それに二人とも、自己紹介の時にからかって嘘ついてたでしょ」

「嘘?」

 首を傾げると、紫瞠君が右、左とよく似ている双子を交互に指差しながら教えてくれました。

「こっちが真で、こっちが実。なのに二人とも、僕に自己紹介した時に遊んで逆を言ってたの」

 びっくりしました。鏡を合わせたかのように似ている双子なのに、紫瞠君は見分けることが出来るんですね。すげー。

「「だってさ~……」」

「もっぺん怒るぞ」

「「はい。もう遊びません。ごめんなさい」」

 これだけ弱ってる橘兄弟を見るのも初めてです。ざまー。

「それよりも紫瞠君。この壊れちゃった眼鏡、どうする?」

 七海君が無惨な姿になってしまった紫瞠君の眼鏡をハンカチの上へと拾い上げながら尋ねました。

「そうだった! うわ~、レンズもこんなに割れちゃってる~……」

「これでは日常生活に支障が出ますね。この倒れちゃってる人達に弁償させつつスペアも購入してもらっては?」

 と、坂本君が提案すると紫瞠君が。

「僕、視力は良いから生活は困らないよ?」

 と、不思議そうに答えてくれました。なるほど、伊達だったんですね。あの王道転校生のように眼鏡のあるなしで劇的な変化というのは見られませんが、紫瞠君はやっぱり可愛いらしい顔立ちをされています。ですがきっと、何か事情があって眼鏡をしているんでしょう。とても落胆しています。

「う~……ねえ、七海君。校則違反だけど、今から電話してもいいかな?」

 紫瞠君が七海君にそう尋ねると、七海君はポケットからスマホを取り出しホーム画面を開くと紫瞠君へ差し出しました。

「僕のを貸してあげるよ。紫瞠君のは教室でしょう?」

 さすが副会長! あのバ会長とは雲泥の差です! 出来る男!

「ありがとうっ、七海君……けどあの……これ、どうやって使うの?」

 その紫瞠君はスマホ初心者でしたが。

 持ち主である七海君から操作方法を教えてもらいつつ紫瞠君は電話番号を入力し終えると、スマホを耳に当てて相手が出るのを待ちます。はて、どなたに掛けているのでしょう?

 数コール後、相手が電話に出たようです。紫瞠君が話し始めました。

「あ、もしもし。海さんっ? うん。僕だよ! えっ? 誰の電話かって……お友達のを借りてるの! ううん、球技大会中なんだけど具合が悪くなったとか怪我したとかじゃなくてね……うん。大丈夫! ほんとにほんと! あのね、電話したのは僕の眼鏡のことなんだけど……その、こ、壊れてね。それで……ちがっ、転んでないよっ! 僕、そんなドジなことしてないもんっ! た、たまに転んじゃうけど……はい……ううっ、ごめんなさい~!」

 すごい。電話相手に一人で百面相をしています。お家の方でしょうか? 今はしきりにペコペコと頭を下げています。そのお相手は電話のその向こうなので見えていないはずなのですが。

「ごめんなさい、海さん~!」

 何もかもを知っていそうな七海君に、思わず聞いてしまいました。

「かいさんって?」

「紫瞠君の旦那様のことじゃないかなぁ?」

 紫瞠君、謎すぎます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

laugh~笑っていて欲しいんだ、ずっと~

seaco
BL
バー「BIRTH」で働くイケメン久我 侑利(くが ゆうり)は、雨続きで利用したコインランドリーで辛い過去を持つ美人系男子の羽柴 慶(はしば けい)と出会う。 少しずつお互いに気になり始めて、侑利の家に居候する事になる慶。 辛い過去や、新しい出会い、イケメン×無自覚美形の日常の色々な出来事。 登場人物多数。 基本的に「侑利目線」ですが、話が進むにつれて他の登場人物目線も出て来ます。その場合はその都度、誰目線かも書いて行きます。何も無いのは全て「侑利目線」です。 また、予告なく絡みシーンが出て来る事がありますが、グロいものではありません(^^; 初めての投稿作品なので…表現などおかしい所もあるかと思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです。

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

寡黙なオオカミαにストーカー気質のネコΩが嫁いだ話

かとらり。
BL
 誰もがケモミミとバース性を持つ世界。  澪は猫種のΩだった。  引っ込み思案の澪は半ばストーカーのように密かに追いかけている憧れの人がいる。  狼種のαの慶斗だ。  そんな慶斗にいきなり嫁ぐことが決定した澪。話しかけるのも無理なのに結婚なんてできるの?  しかも慶斗は事情があるらしくー…

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?

処理中です...