攻略なんてしませんから!閑話集めました。

梛桜

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アリア十五歳

小さな恋のお話

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 幼い頃にお兄様とお姉様に手を引かれて連れて行って貰った、グラッシュラー伯爵領地。その場所と、コルネル辺境伯令嬢をすっかり気に入って仲良くなったアリアお姉様に連れられて、僕とアイクお兄様は毎年グラッシュラー伯爵領地へと訪問している。
 と言っても、貴族としてアトランティ家は侯爵の爵位を持っているから、領地に戻る前に寄り道したって面倒な理由を持って訪問する。貴族同士の癒着とか、力のある貴族が繋がって謀反を考えていないかとか。内政を自分の有利に運びたいだけの、狸親父共の考えの汚さにはうんざりすると、アリアお姉様がにっこりと微笑みを浮かべながら零してたのを、僕は今でも覚えている。

(あの時のアリアお姉様、アイクお兄様みたいで怖かった……。でも、狸ってなんだろう?)

「ピュピッ」
「リピド、今回は一緒に行く?」
「ピピッ」

 寒い地方にも行くけど、リピドは精霊だから大丈夫だろうか?そう思いつつも、アリアお姉様に何か温かい袋みたいなものを作って貰おうと、部屋へと向かった。


****


「アイドクレーズ様、アメーリア様、ラーヴァ様。ご訪問ありがとうございます」

 グラッシュラー伯爵領に建つ、グラッシュラー伯爵邸に入ると、出迎えてくれたのはグラッシュラー伯爵とアズライト。そして、コルネル辺境伯領地から、先に遊びに来ていたセレナローズ。アズラのお兄様は騎士団所属で、今は辺境の地で勤務をしている為、会ったことは無い。

「お久し振りです、グラッシュラー伯爵」
「今回も訪問を承諾していただき、誠に嬉しく存じますわ。此方、アトランティ家特製のケーキです」
「今回は、リピドも一緒に連れて来ました」

 グラッシュラー伯爵は、子供がとても好きな方だと、お父様から聞いて居ました。早くに奥様を亡くされて、その後は後妻も取らず過ごされているので、子供はアズラのお兄さんと、アズラのみ。早々に騎士として活躍されているアズラのお兄さんは、滅多に帰ってこれないから、セレナがよく様子伺いに訪問していたらしい。

(アズラもセレナも学園だもんな…。普段は王都の屋敷でも二人は寮だから……)

 侯爵家まで行くと、警護の問題もあり屋敷からの通いの選択もあったけど、二人は騎士科だから自分の身は自分でって事もある。それを思うと、グラッシュラー伯爵寂しいよね?

(アリアお姉様の特製のケーキを持ってくるのは、破格の待遇なんだよ)
『アリアのお菓子、私も好き』
(リピドはクッキーが一番好きだよね、グラッシュラー伯爵もそうなんだって)
『ふーん、そうなんだ。あ、ラーヴァ外いきたい!』

 リピドの言葉は僕だけに聞こえる声、ハウとオブはにゃあにゃあしか聞こえないけど、リピドは精霊だから、聖獣の二匹の言葉が解るので僕に教えてくれる。

「ラーヴァ様、先にお茶を如何ですか?」
「ありがとう、リピドが外に出たいって言ってるんだけど、出てもいい?」
「少しお待ち下さい、私がご案内させて頂きます」

 セレナは側にいた侍女に何かを告げ、僕用にと準備されていたコートを持って来てくれた。相変わらずコートのフードにクマの耳がついているのは、アリアお姉様の趣味だなと笑みが零れる。リピドが中に入れるようにと、大き目のポケットも付けてくれていた。

「アリアお姉様は器用ですよね」
「うん、でもね、たまにアレがあったらもっと速いのにー!って怒ってるよ」
「怒る?アリアお姉様が?」

 目を丸くしているセレナだけど、アリアお姉様は料理をしている時や何かに集中していると、つい気が緩むのか考える事がポツリと零れる。場合によっては作り出してるんだけどね?それが便利なものだから、お父様が王宮に持ち込んで国王陛下に見つかって貴族に広まって、お父様はアリアお姉様に怒られてる。お母様とアイクお兄様はそんな二人を笑って見てるから、其処まで深刻じゃないと思う。
 
「お父様には結構怒ってるかな?でも、結局は許してるよ?」
「仲が宜しいのですね」

 ふわりと微笑みを浮かべるセレナは、とても綺麗でキラキラしている。侯爵家にはない白銀の髪と、涼やかな空色の瞳。薄紅の唇は花弁のようで、アリアお姉様と比べてみると、とても儚げだった。

(実際はアリアお姉様以上に、行動的な女性だけど)

 頭には白くて丸い耳、長くてしなやかな尻尾。獣人のセレナは獣化すると雪豹へと変化する。とても早く走る綺麗な雪豹。雪山で遊ぶ時だって、セレナの速さについて行ける人は少ない。

「僕、風属性の特化でよかった。リピドのお陰だね」
「ピピッ」

(隣を歩く、雪の精霊のように綺麗なセレナを見上げると、視線に気がついたのか微笑みを向けられた。まだ、僕はアリアお姉様と同じ扱いになるのかな?)

 少し切ない心を隠して笑みをかえし、外へと案内してくれるセレナと一緒に、いつもソリ遊びをしている丘へと向かった。

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