異世界転生して、チート無双できると思ったら殊の外ハードモードなんですが!?

BAKUFU

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第1話「ちょっとハードな異世界転生」

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第1話「ちょっとハードな異世界転生」


「…ぐぁあああああああああ!!!!!」

全身を駆け巡る凄まじい苦痛に苛まれ、俺は覚醒した。

「あああああッ!???なんだよこれぇ!!!」

俺はあまりの痛みに耐えきれず、思わずのたうち回った。

しかし、しばらくのたうち回った後、ある違和感に気づき、行動を静止させ、その事実を確認し戦慄する。

…なぜならば

「腕が….ない!!??」

そう、腕があるという感覚がないのだ。
もっと言えば両腕だけではなく、両足の感覚もない。

先程まで五体満足だった筈の俺の体は、完全に四肢を欠損した状態になってしまっているのだろうか?

何故疑問形なのかと言うと、それは自らの身体を視認できない、詳しく言えば、周りを見渡しても、辺りが真っ暗で何も見えないからだ。

まさか、眼まで失ってしまっているのではないだろうか…

…考えたくはないが、そういうことだろう。

さて、痛みにも漸く慣れてきたところだし、一先ず状況の整理を行うとしよう。

一つ目は今俺がいるこの場所は一体どこなのかということ

二つ目は何故俺の四肢が(恐らく眼球も)失われてしまっているのか

三つ目は何故死んだ筈の俺が……。

….ああ、そうか、俺は死んだのだった。


数時間前

4時間目の授業を終わらせるチャイムが鳴ると、授業中は静かだった教室内が一変し、一気に騒がしくなった。

それぞれ購買に向かって走る者、教室の隅で雑談する者、机を合わせ、友達同士で楽しそうに弁当を食べる者など様々であったが、その中でも一際浮いた存在がいた。

そう、俺だ。
いくら昼休みとは言え、一人で机に突っ伏しているのは俺ぐらいのものだろう。

かと言って俺は別に浮いていようが気にはしていない。

あんな馬鹿どもとつるむぐらいならこうしていた方が何倍もマシだ。

「…ねえ?みんなと一緒にご飯食べないの?そんな机に突っ伏してないでさ!」

…この声は聖堂神花しょうどうしんかか。
全く、こいつもどうせあの馬鹿どもを構成しているうちの一人だ。
どれ、軽くあしらって…

「べ、ベベ別に、お、お俺はこうしてるのがす、好きなだけだしッ!あ、あんな馬鹿どもとつるむ気ないしッ!」

しまった。

そういや、俺最近女子と全く喋ってなかったんだった。

しかも相手が聖堂神花となると尚更分が悪い。

「ふふ、なにそれ?そうしてると、友達いなくなっちゃうよ?」

何せ相手、聖堂神花は誰もが見惚れてしまうような絶世の美少女で…

「え、う、うんごめん」

…………

「あはは、何で謝るの?やっぱ君って面白いよね」

俺が唯一惚れてしまった女の子だったからだ。

「あはははははは!」

俺は彼女の笑い声を聞きながら、恥ずかしさのあまり机に突っ伏したままである。

全く、いつもはクールな俺の調子が乱されてしまうぜ。

「あはははは……ッ!………………」

?、妙だな…。

急に彼女の笑い声が途絶えた。

それになんだか大きな物音がしたような。

まあいい、それはどうせ馬鹿たちが暴れているんだろう。

「………………………………」

まさか!?何を言っても机に突っ伏したままの俺に遂に呆れてしまったのでは!?

それだけは嫌だ!!

俺は急いで顔を上げる…………と…

「…ィッ!!??」

出たのは声にならない小さなうめき声にも似た悲鳴だった。

目の前には聖堂神花がいた。

正確に言えば、聖堂神花だった筈の潰されたぐちゃぐちゃの肉塊があった。

そして、その背後には巨大なハンマーのようなものを体から直接生やした醜悪でひたすらに悍しい魔物が佇んでいた。

理解できない。

理解したくない。

俺がずっと恋い焦がれていた彼女が、俺に唯一優しく、俺が唯一好きになった彼女が、

こんな訳の分からないことで、こんな理解し難いことで、あっさりと、一瞬で、潰されて殺された。
一瞬で肉塊にされた。

なんで、なんで、なんでなんで!!!!????


理解できない、できるはずがない!!

なんだよこれ!なんなんだよこれは!!


「うわああああああああああ!!!!!」





今度ははっきりと叫んだ。





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