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酔いと共に【後編】*
「俺も、好きだっ!」
間髪入れずに返ってきた答えと、全てを押し入れられる衝撃で情けのない悲鳴が上がる。
目の前がチカチカして、確実に意識が一瞬飛んだ。
肩を掴まれてベッドに押し付けられ、ぐん、とせっかく入ったものを引き抜かれる。
腸が一緒に出ていくかと思った。
それだけ痛く、熱く、狂いそうな衝撃を感じたと思ったら引き抜かれた質量が突き入れられて中に戻ってくる。
「あ、ああああぁっ!」
痛い。
と、思うのに、リュカは器用だった。
前立腺を盛大に擦り上げていったのだ。
点滅する世界の中で、見目の良い男が目の前に辛うじて確認出来た。
その首にしがみ付く。
なにかに掴まっていないと、どこかへあっという間に飛ばされてしまいそうだった。
先程覚えておこうと思った感覚はなんの役にも立たない。
「んむ……!」
ごっ、ごっ、と前立腺を押し潰され、体の奥がおかしい。
そこからどんどん未知の感覚が広がるのだ。
キスが深くなる。
舌をとろとろに絡め合いながら、下半身を突かれるとあの痛みや衝撃が和らぐ。
(すき、好きだ……リュカも、俺の事を、好き、俺も……リュカが……)
だから繋がるのだ。
だから繋がっている。
なんにも難しい事はない。
ただそれだけの事。
繋がるところから広がる、あの痛みも衝撃もゆっくりと慣れていく。
熱の塊が体の奥を抉る感覚は、前立腺を突かれる度に全体が快感と誤認識していくようで気持ち良さが増してくる。
気持ちいい、と。
「あっ、くっ、んっ……いっ……」
気持ち良い。
首から肩に、肩から腕に、背中に、手を滑らせながら縋り付く。
この男と、セックスしている。
リュカと、している。
繋がっている。
確認していく。
自分の中にリュカが入って、出て、また入り、突いて、自分は今、リュカに犯されている。
「はっあ!」
「ユウキ、気持ち、いい……お前は、痛く、ないか……っ」
「い、気持ちいいっ!」
今更気遣うような事を言う。
遅い、と思うよりも、罵るよりも先に「気持ちいい」と口から出た。
唇がまた合わさる。
リュカはキスが好きなのだろうか。
(気持ちいい……っ)
でも悠来も好きだ。
リュカとのキスは堪らなく気持ちがいい。
むしろ、ああ、むしろ……もっと——。
「リュカぁ! もっと深いところ……突いて……」
「っ……!」
「ひっ!」
前立腺を主に執拗に突かれていた。
それを、より奥へ招く。
内臓がうねるのが自分でも分かった。
これをもっと奥へと、もっと自分の奥に、中へ、離してなるものか。
浅ましく、いじらしく、痛みもものともしない体が泣く程求めている。
喉が鳴り涙が溢れた。
時折、カリ部分が前立腺を押し潰しながら体に快感が教え込まされていく。
作り換えられていく、という方が正しいかもしれない。
「んっ! くうっ! あっ、ぅっ、あ……ぁっ!」
「ユウキ……ユウキ……っ」
覚えて、変わる。
多分もう戻れない。
それでも構わないと思う。
背中に回した手で、リュカの服を掴む。
ゴリゴリと削られ、拓かれていく。
折られた硬い太腿に腰を支えられながら、望み通りに奥の奥へ熱い塊が叩き付けられる。
心なしか、その速度は先程よりも速くなっていて感じる質量も増えている気がした。
「あ……イ、イくの……」
「すまん……っ」
「っ~~!」
生暖かいものが腹の奥に広がっていく感覚。
これが、中に出されるという感覚か、と息を必死で整えながら思う。
「いっ!?」
「す、まん」
「ちょっ! あっ……!」
「すまん、本当にっ……!」
「あ、あっ、あぁぁっ、アッ、ばっ、や、めぇ……!」
止まるどころか、休むどころか腰が打ち付けられる。
先程と同じ速度。
更に前屈みになって激しさを増す。
今、達したのではなかったのか……。
「っぅ~~~!」
六つに割れた腹筋に、悠来の性器が擦り付けられる。
思わず仰け反った。
これは、まずい。
性器を擦られるという慣れた快感と、知ったばかりの後ろの快感が混じり始めている。
これが一つになったら……。
(絶対バカになる! ダメんなる……ぅ!)
汗と悠来の垂らした先走りで、腰を持つリュカの手が滑る。
掴み直され、その感触にさえ身が震えた。
両手で腰を掴まれて力強く押さえ付けられる。
そして、腰を叩き付けられた。
何度も何度も、とても、激しく。
「りゅぅ、かぁ……!」
「くっ……ユウキ、も!」
「っああぁ!」
そして今度は悠来も知る感覚が迫り上がる。
これは……イく、達する。
リュカの肩口を掴み、目をきつく閉じた。
(イッ——!)
頭が真っ白になる。
前と後ろの快感が混ざり合い一つになり、そして、リュカが深く深く……体の奥に、一番、誰も知らない場所にいるという優越感。
とても、気持ちいい。
涙が溢れる。
「ってぇ……!」
「す、まない」
「いや、マジすまないじゃな……!」
悠来は達したが今度はリュカが達していない。
先程イッているはずだ、リュカは。
間違いなく腹の中に温かいものが広がるのを感じたし、実際中の滑りが良くなっている。
リュカが出したものが新たな潤滑油となって、快感を拾いやすくしてくれた。
なのに、リュカの腰は止まらない。
(こ、いつ、まさか……!)
その予感を今更感じて焦った。
だが、遅い。
もう体は覚えてしまった新しい快感を拾い始めている。
一度出してクールダウンしたはずの頭は、瞬く間にリュカによって熱を上げていく。
「待っ……あっ、む、りぃ、だっ、からぁ、イっ、イッた、ばっか……だぁからぁ!」
「あ、ああ、ユウキ、可愛い……」
「んむぅ……っ!」
口を塞がれる。
これでは苦情も聞いてもらえない。
動きは相変わらず激しく、駆け上るように脳が痺れてきた。
(ぬ、抜かずの二発とか……コイツ! 溜まりすぎだろぉ~!?)
目の前がチカチカと点滅する、これは今さっき知ったばかりのものだ。
逃げ場もない。
濁流に飲まれて溺れてしまうか、空より高いところに飛んでしまうか……。
どんなに鼻で息をしようとしても、下半身に与えられる刺激でそれどころではない。
酸欠が進んで、気持ちがよくて——。
「ゆ、ユウキ、一緒に……」
「んぅっーーーっ!」
「っ……!」
強く抱き締められて、悠来も達した。
熱い。
簡単に体を持ち上げられ、厚い胸板に押し付けられながらリュカの首筋に顔を埋めた。
先程感じた、汗と男の匂い。
体が意識せず自然に震えた。
ビク、ビク、と過ぎた快感を必死に外へ逃がそうとする。
とどめとばかりに強く腰を打ち付けられて、肩が跳ねた。
「あ……っ」
ベッドに背中が付く。
上半身を起こしたリュカが上着を勢い良く脱ぎ捨てた。
淡いオレンジのランプの灯りの中で、散っていく汗。
浮かび上がる鍛え抜かれた体躯。
快感に浮かされた艶のある表情。
揺れる淡いクリーム色の髪。
熱のこもった眼差し。
その光景が余りにも男らしくて凝視してしまう。
(は、はあ? か、かっこよすぎだろ……)
伸びた手が悠来の上着も脱がせていく。
ボタンを全て外されて、広げられる。
悠来も汗だくだった。
肌が空気に触れる。
ベタ付いていた服がなくなってホッと吐息が漏れた。
だが、これは……悠来の身が余す事なくリュカに見られるという事でもある。
見上げて、その目にまだ強い欲が見えた。
(……あれ? ちょっと、ヤ……)
ヤバイ、と思ったまたも遅い。
そもそも、まだリュカは悠来の中にいる。
「あっ!」
膝を掴まれて、脚を大きく開かれた。
腰が進む。
大きな音を立てて先端がごりり、と一番奥まで入ってくる。
背が仰反った。
最初に挿れられた時の衝撃を思い出す。
「あっ、あぁぁあっ!」
前立腺が抜かれる瞬間にカリに削られ、突かれる瞬間抉られる。
それが繰り返され、あっという間に目の前が点滅し始めた。
声が漏れ、唾液が口の端から垂れる。
質の悪いベッドが激しくぎしぎし鳴った。
「リュカ、ぁ! むり、も……たの、むから、ぁ!」
一向に止まる気配のないリュカを制止する。
押し退けようとした手を掴まれて、ベッドに縫い付けられた。
熱いのに、血の気は引く。
最初に感じた嫌な予感。
これは、想像していた以上にまずいのではないか?
「おまっ、まさか……! 絶り、んんっ!?」
また口を塞がれた。
先程と同じパターンだ。
止まる事のない腰にそろそろ悠来の腰の下の感覚がなくなってきている。
反面、尻の中は熱く逞しいモノで穿たれてますます本来の機能とは別のものに成り果てた。
(気持ちいい……気持ちいい……気持ちいい)
それしか考えられなくなっていく。
キスも気持ちがいい。
肌を直接合わせて感じる体温も。
繋がった場所も。
なにもかもが、気持ちいい。
どうでも良くなって、リュカを締め上げた。
呻き声に、ああ、そういえば男は締められると気持ちいいのだと思い出す。
とはいえ、男の尻穴は女の膣とは別物だろう。
リュカが止まらないのも、まさか満足していないからでは、と少しだけ残った意識で心配になる。
だが、すぐさまそれは不要な心配だったと思い知る事になった。
「ユウキ……ここがイイのか? 今とても締まった」
「っあ!」
「ああ、それもそうだな……こうすればユウキは気持ちいいんだな? また締まった」
「お、おまっ!」
前を触られ、扱かれ、慌てて起き上がろうとしたら突き上げられる。
太腿が痙攣した。
そのまま、前も後ろも弄られる。
「あ、あーっ! ほんっと、もう……ムリ、イッ……!」
「ユウキは、ここを突いても、イキそうになるな」
「や、ぁめ……!」
それは前立腺だ。
なにを今更当たり前の事を、と叱る言葉も喘ぎ声に変わる。
前と、前立腺を執拗に攻められれば瞬く間だ。
(こ、いつ……! 余裕が出来て……)
数回達したせいで妙に余裕が出てきたのだろう。
悠来を観察し、悠来の良いところ探しが始まっている。
これはまずい、このままでは本当にバカにされてしまう。
もちろん、バカというのはリュカが悠来を罵るという意味でも揶揄する意味でもなく。
「あっあっ、あっあ、ま……ほんとぉにぃ! またイッ、イク……イッ……! んあぁぁ!」
明らかに悠来がイカされる回数が多い。
これまでの女性とのセックスではありえない回数飛んでいる。
涙が溢れて、ベッドを濡らした。
女性は、こんなに何度もイッて苦しくないのだろうか?
悠来は苦しい。
うつ伏せになって涙を拭う間も、リュカが腰を突き入れてきた。
「ま、まってぇ……ほんとにぃ、イッ、イッたばっかで……くるしい、からぁ!」
「すまん、止まらない……!」
「お、おぉまえぇ……マジ……覚えてろ……あ、ああぁーっ!」
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