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間章
ルオートニスの朝食会(4)
しおりを挟むでもまあ、スヴィア嬢がランディをマジでそんな目で見てなかったのなら、まあ、いいのかな? この話、進めても……いい、か? いいよね?
でもスヴィア嬢って結構意地っ張りな人だから、本心が読めない。
本当に、進めていい?
思わずレナに視線で確認をとってしまう。
「レオナルドは、正直に申し上げてランディに比べて能力が低い。歳の差もありますし、なによりランディはハニュレオで半年ほどマロヌ姫の教育係をしていた経験があり、国外に行くのに慣れてもおります。家格も侯爵家と、申し分ないかと」
「ヒューバート様が信頼している側近の方ですわね。ジェラルド様にお聞きしましたわ」
ジェラルド、俺のいないところでめちゃくちゃランディの話してたの?
え? お前そんなにランディ大好きだったの?
知らなかったよ?
「そうですね、側近の中では一番信頼しております」
言うて俺の側近ランディとジェラルドだけなんですけど。
ジェラルドはなんか“きょうだい”って感じだから、側近って感じがあんまり。
「それに、ランディは石晶巨兵の初期型から開発に関わっている。ルレーン国に行って石晶巨兵を開発していく上で、この上なく力になってくれることでしょう。……ただ、その、一応やはり本人に話を聞いてみてから、回答してもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ。わたくしもぜひお会いしてみたいと思っております」
「ええ、では——お茶の時間に向かわせましょう」
いいかな、と父上に目配せすると頷かれる。
シャルロット様とミレルダ嬢、ソニア姫とマロヌ姫とスヴィア嬢とレナは、午後に母上とお茶会の予定があると言っていた。
それにランディとジェラルドを突っ込む。
帰ってきてすぐに申し訳ない、ランディ……頑張ってきてほしい。
でもシャルロット様は美人だし……めちゃくちゃ美人だし……条件はいいと思うよ、うん。
でも正直、ジェラルドのミラー家には新たな問題が発生したと言わざるを得ない。
ジェラルドが俺の側近として活躍し、石晶巨兵開発第一人者の一人として陞爵が決定している中、さらに他国から侯爵令嬢を嫁にし、他国の秘宝級遺物を二つも受け継ぐのだ。
しかも嫁にはギア・イニーツィオ。
伯爵家にしておくわけには……いかん……!
一気に侯爵の家格に跳ね上げるのは、正直他の貴族から嫉妬されて軋轢を生みそうなんだけれど、技術的、武力的、貢献度的にも伯爵家の家格では見合わない!
父上を見上げると、父上も顔色が心なしか悪い。
同じこと思ってそう……。
でも、これに関しては俺のせいではないので!
「……父上、ジェラルドの父を早々に陞爵させましょう。ジェラルドを辺境伯に推薦します」
「その手があったか。よし、それでいこう」
「……?」
レオナルドは訳がわからん顔をしているが、簡単に言うとジェラルドの実家の陞爵を早めるのだ。
今まではジェラルドが当主の座についてから伯爵家に家格を上げる予定だった。
しかし早々にジェラルドの父を伯爵にして、ジェラルドには王家に近い権威を持つ辺境伯の地位と領地を与え、セドルコ帝国国境の土地を守ってもらうことにしたのだ。
正直ギア・フィーネとギア・イニーツィオとエアーフリートを持っているジェラルドを、王都で遊ばせておくわけにはいかない。
今もっとも危険であるセドルコ帝国との国境付近に、これらの武力を置くことで盛大な牽制となる。
シズフさんとデュレオも王都とジェラルドの領地の側に領地を与えて、そこを拠点にしてもらいたい。
ナルミさんの話と、前回宇宙軍がセドルコ帝国側から現れた話を考えると……セドルコ帝国と宇宙が接触して繋がっているのは多分間違いないんだよね。
反対側の南側はディアスが拠点を置いているから、もう少し土地が広がったら東の土地をラウトに預けたい。
西方諸国はランディがシャルロット様と婚約すれば、ルレーン国が見ていてくれる。
問題はハニュレオかなぁ?
このままだと関係が薄くなりそうだが、マロヌ姫とライモンドが婚約すればだいぶ安定する。
それまではふわふわおつき合いをするしかない、かな?
「ヒューバート様」
「あ、は、はい。なんでしょうかレナさん……」
「お食事が終わりましたら、ゆっくりお部屋でお休みくださいね」
「ヒュ……ッ」
喉が変な音を立てた。
レナの表情が、見たことない顔になっている……!
「……はい」
これは、「仕事するなよ」って言ってる……?
あ、ハイ……し、しませーん。
仕事はしないのだが、お茶会が気になりすぎたためラウトとデュレオを誘って中庭にやってきました。
「オイコラ王子サマよ、マロヌ姫が来てるなんて聞いてないんだけど!」
「そうだっけ?」
「どうしてお前は大人しく寝ていられないんだ……」
「だって気になるじゃん」
幼馴染の親友たちの婚約話なんですよ?
姿は現さず、こっそーり柱の影から見守るよ。
もし見つかったらデュレオをマロヌ姫の生贄に捧げて逃走します。
「お、来た来た」
やや不満そうなジェラルドと、固まったランディが見えてきた。
ランディはシャルロット様を見つめたまま全然動かなくなっている。
……あれ? なんか嫌な予感がする。
嫌な予感っていうか……。
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