親友に「花嫁を交換しよう」と言われまして

古森きり

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交流夜会 2

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 三ヶ国が、友好国として良好な関係を続けていける、その基盤を作る。
 俺の代でそれを成したい。
 そう考えていたが、入ってきてすぐにたかわらい……これは、俺の願いは——。

「え! カワイーーー! なんだその肩に乗ってるカワイイ生き物は! 魔物? 魔物?」
「これか? これはアリスだ! うさぎ、というらしい!」
「えー、カワイー!」

 …………。
 え?

「……」

 絶望を感じた。
 その直後である。
 エルマ皇女がすごい速度で駆け寄ってきて、フォリアの肩に乗っていたアリス様を見上げた。
 からのこの態度。
 お付きの従者たち、入り口のところで置いてけぼり。

「カワイイ! カワイイ! 触りたい! 触りたい! 触っていいか!?」
『お断りよ!』
「ガーン! 断られた! 断られた!」
「断られたな! アリスが嫌というのでは仕方ないと思う!」
「そうだな!」
「…………」

 ノリ、似てるね?
 フォリアと、エルマ皇女……。
 若干エルマ皇女の方が幼い感じがするが、それは年相応ってことだろうが。
 従者の人たちの方を見るとハッとしたような顔をされ、その後肩をすくめられた。
 え、なにその態度。
 その上五人のうち二人は「あとはよろしくお願いします」とばかりに丁寧に頭を下げられた。
 ちょっとそのお辞儀どういう意味ですかね?

「フォリア、まずご挨拶しないと」

 よし! なんかやばそうだから流れを修正しよう。
 そもそも挨拶は招待客側が主催に行うものなのだが……せっかく近づいてきてくれたのだからこれを利用しない手はない。

「そうだった! 私はフォリア・エーヴァスだ! リットの奥さんだぞう!」

 なんでドヤ顔?
 しかも胸まで張って……。

「……」

 なんか満更でもない気持ちになるのは、なんだろうな?
 恥ずかし……。

「そうか! わらわはエルマ・クォーンだ! 帝国の皇女だぞ!」
「よろしくな!」
「おう! よろしくな!」

 実は血の繋がった姉妹とかではないよね?

「で? そっちのはなんだ?」
「あ、わ、我らはシーヴェスター王国王太子アグラスト・シーヴェスターと俺の妻、ミリー・シーヴェスターだ。本日は帝国の姫君に会えると聞いて、楽しみにしていた。よろしく頼む」
「おう、貴様がシーヴェスターの王太子か! ではこっちのお前が主催のエーヴァス公国のリット・エーヴァスか!」
「ああ、よろしくお願いします」

 頭を下げるととてもいい笑顔で「おう!」と言われたんだが、あの「ひれ伏すがよい!」発言は一体なんだったのだろう?

「兄様……」
「あ、そうだ。アグラストとエルマ皇女に弟も紹介しておきたい。弟のハルスだ」

 実はアグラストにハルスを紹介したことがない。
 なので、まとめて紹介しようと今日出席させていた。
 今までは人の多い場所は、埃が舞ってあまりよくなかったんだが……今は体調も整っているから、大丈夫だろう。

「はじめまして、ハルス・エーヴァスと申します。お会いできて光栄です、アグラスト様、エルマ皇女」

 ずっと弟をアグラストに紹介したかったのだが、念願叶ったな。
 どうだうちの弟は。
 とても賢くて優しくて気が利く子なんだぞ。
 アグラストはすぐに「話は嫌というほどリットに聞いている。よろしくな」とハルスと握手する。
 うん? なんだその言い方は。

「え! すごい好みなんだが!」

 と、叫んだのはエルマ皇女である。
 耳がつんざくような声だったのだが、普通そんなことを大声で言わんだろう。
 ちら、と従者の人たちのを見るとニコ……と優しく微笑まれた。
 そしてまた頭を下げれた。
 見間違いでなければ諦めた人間の微笑みだったんだが?

「え? はい?」
「え、お、お、お、お前か、カワイイしかっこいいな……! わ、わらわの周りにはいないタイプで……え、え、え、ど、ど、ど、どうしたらいいんだこういう時……!」

 そして突然右往左往し始める。
 頬を包むように両手を当てて、ぐるぐると回転しはじめたエルマ皇女。
 時折ハルスをチラ、チラ、と見て、また顔を赤くする。
 え、えーと?
 こ、これは?
 まさか? まさかそんな、こんなわかりやすく……?
 俺もチラ、とエルマ皇女の従者たちを見る。
 すると従者たちも「ヤベーもん見た」みたいな顔してボケッと突っ立っていた。
 しかし俺の視線に気がつくと、真ん中の一人がハッと我に帰る。
 ちょっとあの人たち大丈夫ですかね?
 まさか顔面だけで従者決めてないよね? ね?

「…………」

 え、えーと……顔を覆われてしまった。
 なんだこの空気。

「もしかして……エルマ皇女殿下はハルス様に一目惚れなさったのですか?」

 と、どストレートに聞いたのはミリーである。
 しかしどうやらこれが当たりだったらしく、エルマ皇女は跳ね上がった。

「ひ、ひ、ひ、ひとめぼれ……」
「っ」

 ええ、これどうしたらいいの?
 チラッ、と斜め後ろを見ると、ハルスも盛大に困惑顔。だよね。

「ここはわたくしにお任せください」

 と、突然ドヤ顔になるミリーは、今日一いい笑顔になると——。

「エルマ殿下、まずはあちらで一息つきましょう?」
「う、うんっ」
「あ、ケーキあるぞ!」

 そう、ケーキや軽食が置いてある場所に誘導していく。
 俺は思わずハルス、アグラストと顔を見合わせる。

「で、出出しから波乱だな……」
「胃が痛い……」
「に、兄様、しっかり!」
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