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SBOの大型イベント(2)
しおりを挟む現在六月に入ったばかり。
十月に入ってすぐなら確かに余裕はあるだろう。
イベントの準備もゲーム会社がやるはずなので、こちらは参加を表明するだけでいい。
それにしては、かなり大規模なイベントになりそうである。
社長がにこやかに「イベント用容量強めの強化サーバーも間に合いそうですしね」と言う。
これも金にものを言わせていそう。
「俺たちも出るんですか?」
「Repressionはメンバーもまだ決定ではないので、君たちも来年ですね。ただし、東雲学院芸能科で参加可能なグループにはすべて出演していただきます」
「俺たちって十月にでっかい仕事入ってなかった!?」
「十月十六日に東京ジャポニーズゲームショー及びeスポーツ世界大会前夜祭出演と、十月十七日に東京ジャポニーズゲームショー及びeスポーツ世界大会開会式出演だね。……もしかしてこれも社長が手を回しました?」
「うん」
学生セミプロにはあまりにも大きすぎる、と思っていたがやはりそういうことだったのか。
どんな金持ちの道楽だ、と思ったら世界的な祭典になるイベントに学生セミプロを捻じ込めるほどの金持ちだったとは。
「しゃ、社長ってそんなにお金があるんですね」
「みんなが思っているよりありますよ~。多分世界お金持ちランキングに名前が載るくらいありますよ~。載せないように情報操作してるんですけどね~」
「ヤバい人じゃん……」
「まあ、だからこの国の芸能界情勢も、一掃しようと思えばやれるんですけどね?」
ゾッとした。
笑顔で言うておられるぞこの人。
神野ではないが、本当にヤバい。
変わらず笑顔で「やらないですよ?」とおっしゃる。
「ぜひそのまま大人しくしていてほしいものですなぁ」
「もちろんですよ? お金も一種の暴力ですからね。使い所はちゃんと考えて決めますとも。でも宣伝費は経済を回すのにとても役立ちますからね。君たちの体力と健康に害のない範囲でしっかり働いていただきたい」
「資金源が潤沢なのはうちの事務所最大の強みだろうけれど……ヤバすぎ……」
本当にな。
「それともう一つ」
「えー……なに? なんか結構もうお腹いっぱいなんだけど」
「SBOの中に来月から特殊モンスターが実装されるんです。月に一度しかポップしないフィールドモンスターで、倒すと新レアアイテム『Sの宝玉』というスキルポイントが100手に入る――というもので、さらに0.05%の確率で新レアアイテム『Uの宝玉』が手に入ることがあります。この『Uの宝玉』はユニークスキルのスキルツリーを覚えられるもので、しばらくの間はまず間違いなくオンリーワンになれる、というオタク心を擽るアイテムなんですよ。まあ、レベル80以上になると独自でユニークスキルを開発できるそうですけど」
「え! そうなんですか!?」
「らしいですよ。僕、ゲームしないのでわからないんですけど、隠し要素? があるとゲーオタは嬉しいんだよ、とかなんとか……言ってましたね。開発した人が」
「それ、鏡音くんが聞いたらすごく喜びそうです」
「へー。やっぱりそうなんですね」
社長、ご自身はゲームしない。
が、ゲームを作った人とは仲良しらしく色々話すそうな。
しかし、淳もそれなりにゲームはしたことがあるので、そんな話を聞いたらやりたくなってしまう。
「すっごく面白そう。俺、レベル61からなかなか上がらなくなってきたので」
「……え……今知ってる人の中で一番レベルが高い」
「ゲーム結構好きなので。でも、綾城先輩もかなりレベル高そうですよ」
一緒にプレイしているシアもかなりゲーム好きだったようなので、あの二人結構レベルが高そう。
早瀬と廣瀬はゲームをまったくしないタイプの人種らしく、「それって俺たちもやらなきゃダメなんですか?」と怪訝な表情。
今時ゲームもしてない人種の方がちょっと珍しいような……と思わないでもないが、この二人、神野や鶴城と同じく幼少期から仕事をしてきたタイプ。
神野、鶴城のコンビと決定的に違うのは、生活のために仕事をしていたか、そうでないか。
早瀬と廣瀬は親が裕福な層。
しかし、親の道楽と見栄のためにモデルや子役をやっていたので、どことなく向上心に欠ける。
その決定的な差が、神野にとって「ムカつく」「面白くない」と感じるのではないだろうか。
「ゲームする人が面白く感じたのなら上手くいきそうですね。ああ、ちなみにSBOアカウント作成は必須ですよ。そこの栄治と一晴にもとりあえず作らせましたから。SBO内でのライブは、うちの事務所では必ずやってもらいます。提携していますからね」
「う……そ、そうなのですね。ゲームなんてやったこともないのですが……」
「歌が上手ければ追加付与効果というのが出るので、レベリングを無理にやる必要はないですよ。やった方がいいのは間違いないですけれど」
顔を見合わせる早瀬と廣瀬。
さっきお説教されたばかりなのにやりたくなさそうな態度が隠れていない。
無理にレベルを上げる必要はないが、SBOアカウントを作るのは必須事項。
淳としては「SBO普通に面白いのにぁ」と思いを馳せる。
「で、その新アイテムや特殊モンスターの実装イベントで、うちの事務所から歌える人を出したいと思っていたんです。栄治と一晴はSBOプロモーション担当なのですから、強制参加ですよ」
「はぁーい」
「それで我らが呼ばれたのですな……」
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