ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり

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SBO実況生配信(3)

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「っていうか、たくさんお友達……え!? 円、お友達できたん!?」
「先輩と、同級生です」
「ちゃんと紹介しようか、鏡音くん」
「申し訳ありません。先輩の宇月美桜うづきみお先輩と音無淳おとなしじゅん先輩と、花房魁星はなぶさかいせい先輩と狗央周くおうあまね先輩と、同級生の柳響やなぎひびきくんです」
「柳響!? 嘘やん、ホンモン!? BLドラマ見とるよワイ!」
「え、本当ですか~? ありがとうございます!」
「逢魔さんBLドラマとか見るんだ……」
「見る見る。ワイの視聴者女の子半分くらいおるし、奥さんが見とるから一緒に見とる」
 
 鏡音がスン……と見上げていると、逢魔が大きな石の上から降りてくる。
 そして柳に「マジやん、本物やん、ヤバァ」とカメラと交互にみながらキャッキャする逢魔。
 それを見ていた宇月が頬を膨らませ始めた。
 
「僕の方が可愛いと思いまーす」
「え!? ごめん誰!?」
「はあー!? ……星光騎士団団長リーダーの宇月美桜だよぉ」
「え……かわええ……」
 
 急にスイッチが入った。
 宇月先輩がきゅるるんの瞳で見上げるので、逢魔が胸を押さえて頬を赤くする。
 双方のコメント欄が湧きたつ。
『可愛い~』『さすみお』『かわいすぎ』『あざと可愛いwww』『美桜くんじゃん』『逢魔、美桜くん知らないマ?』『草』『みおかわ』と、宇月を大絶賛。
 
「円ちゃん、こんな可愛い子とゲームするような子になっちゃったん!?」
「宇月先輩は男の人ですよ」
「え、男の子なん!? マ!?」
「一応共学ですが男女で校舎が分かれているんで、宇月先輩は立派な男性ですね」
「マッジでえええ!?」
 
逢魔のコメント欄が『宇月は男の子だぞ』『可愛くて有名な男子』『男の娘』『可愛い系男子』とフォローが入る。
 視聴者の方が詳しい。
 
「え、円、今どういう学校に通っとるん? 学校のこと詳しく聞いたことなかったけど」
「東雲学院芸能科です。今学生アイドルやっています」
「アイドルぅ!? え!? なにそれ、ワイ知らんよ!? え!? 円アイドルになったん!?」
「アイドルやってます」
 
 という鏡音に、逢魔のコメ欄の様子が変わる。
『マ!?』『円くんアイドル!?』『うせやろ!?』『え』『え?』『うそ!?』『アイドル!?』『鏡音アイドルマジか!?』『知ってた』『四月にプリ炎上してたやろ』『むしろなんで知らんかったん?』という二分化。
 ゲーム配信者の中でも鏡音はかなりの若手。
 そんな末っ子がアイドルになったと聞いたおじさんはジョ○ョ立ちを繰り返しながら「マジで!? マジで!? マジで!?」と八回くらい繰り返す。
 
「そんなに驚くようなことでしょうか」
「驚くことやろ! 社会性どこに捨ててきた!? って子がアイドルなんて人前に出るお仕事できるわけないやろ!? え!? やっているん!?」
「やってますよ」
「できてますよ。だいぶファンサービスも上手くなりましたもの。ね」
「へー!?」
 
 突然の沈黙。
 そこから鏡音の両肩にぽん、と手を置く。
 
「おいちゃんめっちゃ応援するわ。どうやって応援したらええん?」
「え…………いらな……」
「それでしたら『ファーストソング』に東雲学院芸能科公式ショップがあるので、そちらでグッズをお買い求めいただければアバターで我々の専用衣装を着たり、サイリウムや推しうちわでSBO内のライブステージでの応援に使えますよ~! あ、ちなみにグッズはリアルでも東雲学院芸能科オンラインショップでご購入できます! ゲーム内と違って手元に残るのでおすすめです♪」
「めっちゃ宣伝上手いやん。えっと、こっちの兄ちゃんが……?」
「初めまして。東雲学院芸能科、星光騎士団第一部隊所属、音無淳と申します」
「かっこよ。え、なにこの人。この人もアイドル? いや、もうどう見てもアイドルやったわ」
「はい、星光騎士団でアイドルをやらせていただいております」
 
 笑顔で胸に手を当ててお辞儀をすると、逢魔のコメント欄が高速で流れ始める。
『やばい』『これはアイドル』『正統派アイドル』『淳くんじゃん~!』『マジ紳士』『これは王子様』『淳くんマジ騎士様』『正統派』『かっこよ』『王子様やん』『これは次期団長』『正統派すぎる』『イケメン』等絶賛。
 
「え!? なに、リスナーのみんなはこの子のことも知っとるん!? マジで有名なの!?」
「はいはーい! 逢魔さんのリスナーの皆さん初めましてー! 俺は星光騎士団第一部隊の花房魁星!」
「同じく、狗央周です」
「うわ! うちのコメントの流れ見たことないほどはようなってるんやけど!? いや、ええ? 円ちゃんもそうやけど、え? リアルの姿インストールしとるん?」
「そうですよ」
「こんなイケメン三人も現実におるわけあらへんやろぉぉぉぉぉ!!」
 
 あまりにも全力の叫び。
 にこり、と微笑んでしまう淳。
 淳はともかく、魁星と同じレベルのイケメンが東雲学院芸能科の二年生にはあと二人いる。
 それになにより星光騎士団の一番の顔面宝具、魁星を褒められてニコニコになってしまうのは仕方ない。
 
「ん? 三人? 宇月先輩と響くんはどっちかというと可愛い系ですし、周と鏡音くんは美人系ですよね。イケメンは魁星でしょ? 三人……?」
「イケメンの自覚がない……!?」
「音無先輩もイケメンですよ?」
「ええ? そんなことないよ? 隣を見て? 俺は平凡だよ」
「自覚がないタイプや。ヤバァ」


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